さよならの余熱 の商品レビュー
表紙からは想像もできないほど大人の恋愛小説だった。すっごく面白かった! 最後の解説にもあったけどとにかく普通、日常。 だからこそすごく共感できるし、今自分の身に起きてなくても過去に起きてきたこと、これから起きうるだろうことにどこか繋がってる気がして学びが多かったな。 久しぶりの...
表紙からは想像もできないほど大人の恋愛小説だった。すっごく面白かった! 最後の解説にもあったけどとにかく普通、日常。 だからこそすごく共感できるし、今自分の身に起きてなくても過去に起きてきたこと、これから起きうるだろうことにどこか繋がってる気がして学びが多かったな。 久しぶりの連作短編だったけど、やっぱりいいところは それぞれの人生があるって考えさせられること。 誰かが泣いている横で誰かが笑ってて、誰かが失恋したときに違う誰かは恋が実ってたり。 一見繋がりのない人でもどこかの何かで繋がっているし、それが人間関係として繋がることもあれば繋がらないこともある。 人生の色んなことは順番でいつか自分のところに巡ってくる。だから何事も焦らず、自分の身に振りかかったことを受け入れて生きていきたい。 なんて、思った。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
短編集、それぞれの物語が微妙に繋がってはいるものの他人たちの恋の物語。現実世界のように、同じ街に暮らす人たちが少しだけ重なる瞬間が散りばめられていて心地よかった。ひとことで言うなら、余熱の伝線。さよならのときの、簡単には消えてくれない(消してしまいたくない)熱が読者にまで伝わってくるような小説だった。 『つまらぬもの』同棲中のカップルのお話、実生活にリンクする部分があったのでつい感情移入してしまった。 「わたしはこの広い世界の中で、彼に対してだけ、根拠のないヒステリックさをぶつけてしまう。」 わたしはそんなに人に強く当たるタイプではないはずなのに、主人公と同じように"彼"にだけ激しい感情が抑えられなくなることがあるけれど、大切な人にこそいつまでも優しくありたい。これからは全ての原因は甘えだと自分を律して、主人公とササのような結末を迎えぬよう日々をていねいに生きていきたい、というか生きていこうと思った。わたしの決意に繋がる作品をこのタイミングで読めたことはとても良かった。 『チョークを持つ手に』『電話をかける』先生に恋心を抱く女子高生と、彼氏のストーカーと化してしまう女の子のお話。遠い日のわたしのような描写があって、胸がギュッとなった。が、非通知での無言電話はさすがにしたことない。 加藤千恵さんの作品初めてだったけど、読みやすくて活字リハビリにぴったりな小説だった。 『おやすみを言って眠りにつく寸前や、あるいは目覚めて、おはようを言うときに、ササに優しくいよう、と思う気持ちはきっと嘘じゃない。けれど、実行されずに思っているだけなら、嘘みたいなものかもしれない。』
Posted by
特別でもなんでもないけど、それがかえって内容を否定させてくれない。サラッとなんでもないようなそっけなさの中にある、かつてはあったであろう甘さが余計に寂しさを深くしてる。
Posted by
後書きが西加奈子だったんだけども、おふたりはお友達だそうで、わたしはこちらの著者はお初だったので、えーそうなんだー!!!なんて少し喜んでしまいました。 そんなこちらの恋愛小説。 ホント、後書きでもあるよーに、とにかく普通なんだよね。短編に短く幾つもの恋愛を描いているんだけども...
後書きが西加奈子だったんだけども、おふたりはお友達だそうで、わたしはこちらの著者はお初だったので、えーそうなんだー!!!なんて少し喜んでしまいました。 そんなこちらの恋愛小説。 ホント、後書きでもあるよーに、とにかく普通なんだよね。短編に短く幾つもの恋愛を描いているんだけども、なぜかそれなんかわたしも経験したなぁ。と、おもうような甘辛い思いが一気に蘇るような一作一作で、どれも経験したような、体験したような、友達から聞いたような、いやいや、やっぱりわたしのできごとだ!って思うような、そんな恋愛小説で。 この歳になって今更振り返ることもできないようなささやかな気持ちが蘇る、そんな不思議な体験ができる恋愛小説でした!!!!! 40歳であの頃、17とか18歳の気持ちやら、二十歳以降のあのあたりやら。笑笑 そんな振り返りと共に読めて、わたしの話じゃないけど日記を読んでるような、こんなふうに物語描けたら、誰の人生も本になるよなぁ。 と、作者の巧みさに圧倒です。 きっと、誰でも自分のことだと思える本だと思う、笑笑 本の中にある、 まさかという坂はある。 という一文。 まさにそうだわ。こんな恋愛してきて、まさかの今の旦那と結婚して子ども産んでるなんて、まさに、あの頃のわたしからみて、まさかという坂だったな。と、実感してます。
Posted by
これも切ないけれど、なんか好き!と思った本。 長い間恋と無縁の日々を送る私も、キュンとしたり、誰かを愛おしいと思う気持ちを思い出した!
Posted by
「私が寝てたら何時に帰って来ようといいの?12時半が朝の5時になろうと関係ないの?」「なんでそんな極端なの?」って掛け合い、両方に対してそれなだった。書き写すの嫌になるぐらい、1.つまらぬもの、は自分のことだった。まとめると、切ないフェードアウトにとても惹かれる。共感しすぎて書き...
「私が寝てたら何時に帰って来ようといいの?12時半が朝の5時になろうと関係ないの?」「なんでそんな極端なの?」って掛け合い、両方に対してそれなだった。書き写すの嫌になるぐらい、1.つまらぬもの、は自分のことだった。まとめると、切ないフェードアウトにとても惹かれる。共感しすぎて書き写すのも迷った。 2022.9.15 何も響かなくなってたけど、何にも共感できなかったけど、でもすごく面白かった。
Posted by
「坂の上の雲」を全巻読了してしまい積読書が無くなったので、家の本棚をあさって有った本。 たぶん奥さんが読んだんだと思う。 著者の加藤千恵さんも初めてだと思う。 いわゆる女性を主人公とした恋愛小説の短編集。 短編集と言っても、少しずつ前後が関係している。 1話に登場した主人公の友達...
「坂の上の雲」を全巻読了してしまい積読書が無くなったので、家の本棚をあさって有った本。 たぶん奥さんが読んだんだと思う。 著者の加藤千恵さんも初めてだと思う。 いわゆる女性を主人公とした恋愛小説の短編集。 短編集と言っても、少しずつ前後が関係している。 1話に登場した主人公の友達が、2話では主人公になってるとか。 しかし、物語自体はぜんぜん関係がない。 その点、あまり深みは無く、読みやすいちゃあ読みやすいんですが特に感想なども無いです。(^^;) 今まで数カ月に渡って非常に読みにくい文章を読んでいたため、なんだこれは!というぐらいにスラスラ読めちゃいます。 なもんだからあっという間でした。 加藤千絵さんの他の本があったら読んでもイイな。
Posted by
友人から借りる。 ハニービターハニーより、本作の方が好き。 身近に感じられるようになった。 登場人物とそこそこ歳は離れてるけど… 当時読んだら、もっと感情移入して楽しめただろうな。
Posted by
「さよならの余熱」の題名を見れば単純に別れの話なのかと考えますが、別れを題材にしてどんなに読者を揺さぶる物語なのだろうという気持ちを良い意味で裏切ってくれました。とても普通の話ですが、一つ一つがとても繊細で心を揺さぶられます。どこにでもあるありふれた恋愛でも、その人にとっては特別...
「さよならの余熱」の題名を見れば単純に別れの話なのかと考えますが、別れを題材にしてどんなに読者を揺さぶる物語なのだろうという気持ちを良い意味で裏切ってくれました。とても普通の話ですが、一つ一つがとても繊細で心を揺さぶられます。どこにでもあるありふれた恋愛でも、その人にとっては特別な恋愛。物語のどれか一つには、自分と重ね合わせて共感出来る主人公もいるのではないでしょうか。 読み終えて本を閉じた時に感じるのは、「余熱」の意味。料理で言えば、冷めずに残っている熱であり、焦げ付かずにじんわり火を通すことが出来る熱。 大抵の別れはある日突然訪れるものではないことが、この本のどの物語からもわかります。 少しずつ積み重なったものがじんわり別れに向かっていく。この本の「余熱」は別れた後の気持ちの熱ではなく、どこで火が消えてしまったのかは分からないけれど、火が消えた後も別れを完成させるために進み続ける余熱なのだと感じました。 別れが怖いということは、どこかで別れを分かっているということ。そんな気持ちを経験したことのある人にオススメの一冊です。
Posted by
恋愛短編集。明確にならない気持ちも思い通りにならない感情を抱えていても、それでも相手がいることだから少しずつ関係性は変化していく。バンドエイドのお話が一番好きだった。別れの話じゃないからというよりは、誰かが誰かを大切に思う気持ちに気づいた瞬間の描かれ方がよかった。
Posted by