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奇跡の教室 の商品レビュー

4.2

109件のお客様レビュー

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2015/11/08

 昭和59年まで50年間、兵庫県の灘中高の教壇に立ち続け、中学3年間は中勘助の自伝的小説『銀の匙』1冊だけを授業で扱うというスタイルを取っていた国語教師・橋本武先生のドキュメンタリー。各界を牽引する存在となった教え子たちへのインタビューを交えて、「エチ先生」の人柄や教室の様子が伝...

 昭和59年まで50年間、兵庫県の灘中高の教壇に立ち続け、中学3年間は中勘助の自伝的小説『銀の匙』1冊だけを授業で扱うというスタイルを取っていた国語教師・橋本武先生のドキュメンタリー。各界を牽引する存在となった教え子たちへのインタビューを交えて、「エチ先生」の人柄や教室の様子が伝わってくる読み物となっている。途中で齋藤孝などの教育学者が、橋本先生の授業を分析するコーナーが設けられている。  この読み物の舞台となるのが、戦後の昭和なので、とにかく時代のギャップが結構ある。表紙の写真は最近の子供達に囲まれるものなのに、ページをめくって出てくる写真がいかにも昭和の写真ばっかりなので、この表紙は何なんだ、とか思ってしまった。橋本先生みたいな授業が出来るのは、必要なことはこれでも出来る、という信念があるからだと思う。じゃなければ、「結果が出なければ責任を取る」なんて言えないだろう。  いくつか共感した部分を挙げると、まず「壁を階段にする力」(p.79)という部分。橋本先生よりも、この本の著者が実は20年間英語教員だったという事実に驚いてしまうが、「単語がわからなくても、文法が難解でも、前後の文脈から類推しようとする。意味がわからない一文があっても、とにかく読み進めていき、後の文章からヒントを探そう、結論から逆算してみよう、などとあれこれ方策を練る。」(p.78)というのが、英語の成績が伸びる生徒、と著者は言っているが、この部分に共感した。おれは高校の時は、「ミクロで攻めて(倒置・省略・挿入を見抜けば文型は取れるはず)、マクロで攻めて(結局この筆者は何が言いたくてこの文を書いているのか)」と自分に言い聞かせて英文を読み砕いていた。あとはこれも橋本先生自身の言葉ではないが、教え子で東大総長の濱田氏の「知識を伝えるのは、一種の『美しいもの』を伝える」(p.160)という部分。知的な興奮を味わせてやる、というのは教える過程における究極のステージだと思うので、こういうステージに到達できる授業者というのになりたいと思った。『銀の匙』を読んだことがないので、また灘という学校も超有名進学校のトップ、という意識しかないので、入り込みにくい部分もないことはないが、全体としては読みやすいエッセイみたいになっている。(15/11/08)

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2015/07/17

エチ先生のことをもっと早く知っていればなあ。高学年では無理かと思っていたが、これはまさに理想に近い「総合学習」だ。

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2015/03/06

読みやすい。 こんな授業ができたならどんなに楽しい日々を過ごせるだろう、と思う。 文庫本一冊を丸々授業で読み込んでいく、という学習をするには、授業者として、言葉に表せないくらいものすごい大量の教材研究が必要だ。 教員として、そのくらいの情熱をもって、教材とも向き合いたいし、目の...

読みやすい。 こんな授業ができたならどんなに楽しい日々を過ごせるだろう、と思う。 文庫本一冊を丸々授業で読み込んでいく、という学習をするには、授業者として、言葉に表せないくらいものすごい大量の教材研究が必要だ。 教員として、そのくらいの情熱をもって、教材とも向き合いたいし、目の前にいる生徒たちとも向き合いたい。 大村はま先生のような、強烈なパワーをもつ教師だと思うか

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2015/03/05

本を読むということは字を読み進めていくだけではないということを教えてもらいました。 文脈から、なんとなく意味の分かる単語でも実際には分かっていない。 それを知ることも勉強。 読めない言葉があっても、つい読むことを優先させてしまう。 辞書ではなくても携帯で読みを調べたらいい...

本を読むということは字を読み進めていくだけではないということを教えてもらいました。 文脈から、なんとなく意味の分かる単語でも実際には分かっていない。 それを知ることも勉強。 読めない言葉があっても、つい読むことを優先させてしまう。 辞書ではなくても携帯で読みを調べたらいいのにね。 名前は知っている地名だけど詳しくは知らないとこも多々ある。 そこの特産品を調べたり、今ならふるさと納税をしているか調べてもいい。 読むスピードの速さや読書量も必要なのかもしれないけど、深く読み進めていく読書をすることも大切なこと。 自分も橋本さんの授業を受けてみたかったです。

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2014/11/09

最近とかく話題になっている灘の橋本武先生のお話。 先日テレビにも出演されていたが、近所にお住まいらしい。 「銀の匙」も読んでみないといけないかな・・・

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2014/03/31

灘高校で国語の教師を務めていた、「エチ先生」による三年間で一冊の岩波の「銀の匙」を読むというユニークな授業。 一つ一つの文章や言葉から横道にそれ、無限に広がる知識と繋がる。 学力をつけるというのはこういうことを指すのだね。 先生というのは、叩けば出てくる小槌のように、学生の...

灘高校で国語の教師を務めていた、「エチ先生」による三年間で一冊の岩波の「銀の匙」を読むというユニークな授業。 一つ一つの文章や言葉から横道にそれ、無限に広がる知識と繋がる。 学力をつけるというのはこういうことを指すのだね。 先生というのは、叩けば出てくる小槌のように、学生の好奇心に火をつけるような知識や教養をたくさん持ち合わせた大人であるべき。

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2013/11/23

印象に残った言葉:①壁を前にしたときに押したり、引いたり、下から見たり、離れてみたりして壁を階段にする力が大事。②受験勉強は記憶一点張りのツメコミでまかなえるものでなく、観察力、判断力、推理力、総合力などの結集がものをいう。

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2013/11/16

凄く勉強とは何か。人生とは何かを痛感させられる一冊。モチベーションを凄くあげてくれた。スローリーディングの大切さ。読書量の大切さ。追求することの大切さ。読み込みます。おおおー。凄くいい感じで頭が働いてる。

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2013/09/28
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※このレビューにはネタバレを含みます

日本の年中行事や季節感が気付きにとって大切で、生活周辺の事が国語のチカラになる。そして国語力が人生の背骨になる。 重要なのは何語を話せるかではなく、何を話せるか。 子供にとっての原体験の大切さ。 そういったエピソードに終始頷きながら読み進めました。 私自身が田舎の生まれで、季節の移ろいや節句行事を当たり前に行う読書好きな家庭で育ちましたが、確かに現国・古典・歴史地理公民など文系科目は勉強として出てくる前に当たり前に知っているということが多かったように思う。 奇跡の授業は、灘校ならではの自由さ・生徒達自身の知的好奇心の高さ・エチ先生自身の教養のなせる妙技とは思えど、いつか自分に子どもが出来たら無理のない範囲でなるだけエチ先生の教育のエッセンスを取り入れたいと強く思う。

Posted byブクログ

2013/09/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

なんという贅沢! 正直、羨ましいとさえ思ってしまいます。 一つの教材『銀の匙』を3年かけて読み解く授業。環境が整わなければ実現は難しいでしょう。 ですが、それが許される環境にあり、また教えるエチ先生の好奇心、探究心あってこその奇跡の授業だったのだと思います。 私も国語は好きな科目であり、得意教科でした。中1の時の国語の先生のことはとてもよく覚えています。ノートのとり方はその先生の影響が大でした。なので、人生を変えてしまうほどの素晴らしい先生に出逢えた生徒はとてもラッキーだと思います。 願わくは うちの子ども達もそんな先生との出逢いがあればいいなぁと儚い希望をもっています^^ 「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる」 エチ先生の言葉は本当にその通りだと思います。 一つのことにじっくり取り組む、納得できるまで読み込む、そうすることが本当の力になるのです。 『銀の匙』 当時はさらりと読んでいましたが、今読むといろいろ味わって読めそうです。

Posted byブクログ