田舎の紳士服店のモデルの妻 の商品レビュー
過去2作しか読んだことないけれど、この作家さんとは微妙に会わないのかもと思っていた。 だが、この本を読んでひっくり返った!あまりにも共感する部分が多すぎて、読み終わるのが惜しいほど。 細やかな心の機微も手に取るように分かり、これほどまでに主人公の気持ちにシンクロした事がかつてあっ...
過去2作しか読んだことないけれど、この作家さんとは微妙に会わないのかもと思っていた。 だが、この本を読んでひっくり返った!あまりにも共感する部分が多すぎて、読み終わるのが惜しいほど。 細やかな心の機微も手に取るように分かり、これほどまでに主人公の気持ちにシンクロした事がかつてあっただろうか。 主人公の梨々子はうつ病の夫とともに夫の実家に移り住むわけだが、その都落ちの気持ちも痛いほど分かる。 私自身も状況は違うが似たような都落ち(笑)の経験があるので、梨々子の心もとないような情けないような気持ちは手に取るように分かった。 自分の居場所はここではないと思いながら過ごす梨々子が年月を経て、次第に背伸びすることをやめ自分自身を穏やかに見つめる姿が丁寧に描かれている。 何年も経て、子供に話しかける際にとっさに方言が出た場面にはグッと来たな~。 梨々子がやけに良い子ちゃんだったり、のん気に専業主婦をしているのはなんだかな~とは思う。それに元アイドルとの純愛ごっこもつっこみどころ満載だけど、それはそれでご愛敬。物語の良いスパイスになっていると思う。 転勤族の主婦の皆さん、子育てに行き詰っているママさん、田舎で腐っているそこのあなた、そんな人たちに是非読んでほしい。 珠玉の作品です!!
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あらゆることにイライラ。 読みやすいけど期待外れでした。 早く結婚して子供欲しいと思っていたけど、これを読んだら怖くなってきました。
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人生に対する受け身の姿勢を肯定していて、その肯定の仕方がいい。 「めでたいと意識してさえいないときのめでたさを愛でたい」 「私は何者でもなかったし、今でも何者でもない。何者かにならなくちゃいけないなんて、嘘だ」 見つけないといけない趣味を暇つぶしに、確立しなければならない私...
人生に対する受け身の姿勢を肯定していて、その肯定の仕方がいい。 「めでたいと意識してさえいないときのめでたさを愛でたい」 「私は何者でもなかったし、今でも何者でもない。何者かにならなくちゃいけないなんて、嘘だ」 見つけないといけない趣味を暇つぶしに、確立しなければならない私を脇役に。
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会社を辞めた夫と田舎に移り住んだ専業主婦の10年。 宮下さんならではの丁寧な筆致で、こまやかに、淡々と描かれます。 宮下さんの作品では辛口なので、これが気に入らなくても~ほかもお試しを! 梨々子は結婚して4年。 夫の竜胆達郎は営業部のホープで、付き合って2年半で結婚にこぎつけ、...
会社を辞めた夫と田舎に移り住んだ専業主婦の10年。 宮下さんならではの丁寧な筆致で、こまやかに、淡々と描かれます。 宮下さんの作品では辛口なので、これが気に入らなくても~ほかもお試しを! 梨々子は結婚して4年。 夫の竜胆達郎は営業部のホープで、付き合って2年半で結婚にこぎつけ、潤と歩人という二人の男の子にも恵まれた。 歩人はよく泣く赤ちゃんで、子育ては大変だが。 幼稚園のバザーに何を着ていくかで頭がいっぱいの日、夫に会社を辞めると告げられる。 夫がうつだと初めて知った梨々子。 東京にずっと住むと信じて疑わなかったのに~一気に運命は暗転!? 夫の父は小さな工場を経営しているため、落ち着けばそこで働ける。 リハビリと思えばいいと実家の母。 幼稚園の母友達には、10年日記を餞別に渡され、これからはお茶もできないけど、不満はここに吐き出せばいいと言われるのでした。 都落ちの身と憐れまれた気がする梨々子。 夫の郷里は北陸で一番目立たない県?(おそらく作者の出身地の福井)の県庁所在地。田舎というほど自然が豊かというのでもない。 小さな不満や葛藤を抱えつつ家事をこなし、自分もちょっときれいなだけ(!)で取り柄はないと自覚する梨々子。 とくに善良な人柄ではないけれど、悪い人ってほどでもない。リアルさを出すためなのか、いい子ぶらない冷静な書きっぷりは、共感もてない人もいるでしょうねー。 夫は地元の紳士服店でチラシ写真のモデルを頼まれ、ちょっと嬉しそう。 「なんだ、うつでも嬉しいのね」と思う梨々子。 夫との間のことは詳しく書かれてはいないけれど、この時期でも会話は少なかったのか? 結婚の現実が垣間見えるような。 苦しさが募った頃、若い頃に憧れたグループのメンバーに偶然出会い、会うようになる。 たまにお茶を飲むぐらいの付き合いだけど、元気を取り戻していきます。 深い付き合いに踏み出しかけたとき‥? 上の子・潤は素直で出来は悪くないのだが、小学校があまり面白くないらしいと知って衝撃を受ける。 それに、発達障害という言葉は出ないけれど、歩人はどうやら問題児。 何かと先生に呼び出されることに。 子供達が小さい頃に、梨々子が地元になじめず夫に不満を抱いていたことも、ほんの少しは影響していたのかも? でも梨々子は、母親としては肝が据わっていて、そう悪くない感じ。 歩人が連れてきた友達の様子がおかしいのを、あたたかく受け入れることができるのだから。 子育て中の孤立感や夫との微妙な関係は、結婚して数年以上たった女性ならかなり共感できそう。 人はみな一人なんだと自覚したことから、かえって楽になるのです。 しだいに、地元にもなじんでいきます。 マンションの隣室の住人で、笑顔になることが少ない原田さんに、病院のボランティアをやらないかと誘われる。 「主役やりたい人は家にいたらつらいやろ」とは、かなり痛烈な言葉だが。 若ければそれだけでめげそう? いろいろ乗り越えた梨々子は、ちゃんと役に立つ人間になっていたのだ。 少しずつ人と関わって、少しずつ人生を編み上げていく。 笑いが増えた家庭に、ほっとする読み終わり。
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やっぱりこの作家さんとは合わない。表現が回りくどすぎ。気持ちの描写は細かくていいと思うけどちょっと細かすぎでは?
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なんというか・・・すごく濃厚な女の匂いのする話でしたね~。女臭いというったほうがいいくらいかも。途中、それでコワくなったくらいに。最後は、さらっとまとまってて、そのさりげなさで救われてる感じもしましたが、女の10年ですからね~、そりゃ、いろいろありますよねw
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子どもをもつ母親でないと共感することが難しい作品だと感じた。ただ流れとして、最初は田舎に住むことに抵抗を感じていた主人公が徐々にそこでの暮らしに慣れていく(もちろん、鬱に罹った旦那の回復、長男・次男の成長など家庭内の変化も大きい)というのは宮下さんの十八番(と僕が勝手に思っている...
子どもをもつ母親でないと共感することが難しい作品だと感じた。ただ流れとして、最初は田舎に住むことに抵抗を感じていた主人公が徐々にそこでの暮らしに慣れていく(もちろん、鬱に罹った旦那の回復、長男・次男の成長など家庭内の変化も大きい)というのは宮下さんの十八番(と僕が勝手に思っているのだけれど)の「成長」がテーマとして息づいている。読後感は良いのだけれど、一般的によく言われる(?)「女から母親になったときの気持ち」とか、女性特有の気持ちを残念ながら僕は汲み取ることができなかった。 構成に少し茶々を入れると、なぜ2年刻みにしたのか。その理由がわからなかった。たいして拘るところではないのかもしれないけれどさ。あ、もう一つあった。次男の歩人(あると)の友達「きよち」、彼の存在が謎だった。いろいろ問題がある子だけれど、そんな彼にも友達がいるよということを示唆しているのか、だとしたらもう少し活躍させてもいいのになあとか思ったり。まあでも、この話の視点は主人公の梨々子だし、夫との関係だとか子育ての難しさだとかを描いているからそこは重要でないのかもなあ、なんか口出ししてすいませんて感じにもなるわけで。 (グダグダになってきたので)つまり何が言いたいのかというと、世の中のお母さん(特に20後半から30後半の方)が読まれると「ああ、わかるわあこの気持ち!」と共感できるかと思うのです。
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理想の結婚生活だったハズが、夫の病気で一転。都会から引越し、新しい環境、子供たちの教育、夫の病気、主人公のトキメキ。さまざまな事が主人公である妻にふりかかってくる。理想の未来が見えなくなってしまい、その軌道修正をどうするか。いつの間にか、月日がたち、主人公自身の考え方が徐々に変わ...
理想の結婚生活だったハズが、夫の病気で一転。都会から引越し、新しい環境、子供たちの教育、夫の病気、主人公のトキメキ。さまざまな事が主人公である妻にふりかかってくる。理想の未来が見えなくなってしまい、その軌道修正をどうするか。いつの間にか、月日がたち、主人公自身の考え方が徐々に変わり、やがて良い方向に歯車がかみ合っていく。そんな前向きな内容。 ま、どう思うか、どう考えるかで人生が変わるんですよね。
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以前から気になる作品だったが、今回、小路氏とのコラボもあり、単独作品を読んでみようかと購入してみました。
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主人公の梨々子は専業主婦。社内恋愛で結婚した夫がうつ病にかかり、夫の実家がある田舎に引っ越してきた。夫はそこで紳士服店のモデルをすることからタイトルが来ているのだが、夫はストーリーにはほとんど登場せず、梨々子の心の動きを中心に描いている。 病気の夫がいるというところで、先日読ん...
主人公の梨々子は専業主婦。社内恋愛で結婚した夫がうつ病にかかり、夫の実家がある田舎に引っ越してきた。夫はそこで紳士服店のモデルをすることからタイトルが来ているのだが、夫はストーリーにはほとんど登場せず、梨々子の心の動きを中心に描いている。 病気の夫がいるというところで、先日読んだ鹿島田真希の「冥土めぐり」を思い出したが、こっちはちょっと上っ面な感じ。うまくまとめてはいるが、ちょっとツッコミが足りない感じがした。
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