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オリーヴ・キタリッジの生活 の商品レビュー

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46件のお客様レビュー

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2024/02/26

主人公の異なる短編が連続する。共通点は同じ町。いろんな人の主観のエピソードの中で、オリーブ・キタリッジは背景程度だったり、割と目立つ役だったり。 本人のエピソードもあって、だんだん彼女のキャラクターが見えてくる。 中年のオリーブは攻撃的で扱いにくい。その自分を若く愚かだったと思い...

主人公の異なる短編が連続する。共通点は同じ町。いろんな人の主観のエピソードの中で、オリーブ・キタリッジは背景程度だったり、割と目立つ役だったり。 本人のエピソードもあって、だんだん彼女のキャラクターが見えてくる。 中年のオリーブは攻撃的で扱いにくい。その自分を若く愚かだったと思いながら、老年には自分の素直な気持ちを受け入れる。 自分に素直になれるのは歳をとることのメリットだと、共感する。 オリーブの頑固で感情的な一面、優秀で子供のことをよく見ていた教師としての一面、いろんな面があり、人間の複雑さや、哀しさのようなものが伝わってくる。 「飢える」の短編が印象的。 「好きでこうなってるわけじゃない」「そりゃそうでしょう。だから何とかしてあげたいんだわ」 なお、表紙の食器の絵がファイヤーキングのような色遣いで、内容に合ってるのもいい。

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2023/06/25

メイン州の片田舎を舞台に、そこに生きる、市井の人の生活をさまざまな視点で描写する。 ジョジョは四部が好きなので、このタイプの短編集は好き

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2023/06/22

まるで母のような…というのが第一印象。言いたいことは言う、お節介に感謝しないと怒る。皮肉な口調、若い女(嫁)への嫉妬、息子が悪くて自分は悪くない、傷付けられたと思ってるが傷付けたとは思わない。そして、根っこにある善意。読むだけでも苦痛だが、続編も読む。すでに縁の切れた老母はこんな...

まるで母のような…というのが第一印象。言いたいことは言う、お節介に感謝しないと怒る。皮肉な口調、若い女(嫁)への嫉妬、息子が悪くて自分は悪くない、傷付けられたと思ってるが傷付けたとは思わない。そして、根っこにある善意。読むだけでも苦痛だが、続編も読む。すでに縁の切れた老母はこんな人生を生きてるのかもしれない、と思うために。 しかし、これが賞を取るんだなぁ。(批判とか否定ではなく、あまりにも母だったので驚き)

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2023/05/31

爽やかな装丁とは違う読後感。 アガサクリスティの「春にして君を思う」のお母親とオリーブは似てると思う。息子とのやりとりは哀しい。しかし中高年を主人公にした小説は少なく面白く読んだ。それでも続編は読むのを迷う。何かチクリと刺さるんだよな。

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2023/01/21

心にしまい込んだ苦い記憶、口にすべきではなかった言葉。知りたくなかった真実。耐えがたい己の自意識。様々なきっかけで、語り手達の心は何度も過ぎ去った過去へ流れ出していく。 そして「心の奥の蛇口が漏れるように泣いて」いても、時間が少しづつ傷口を覆い隠して、暮らしは続いていく。 でもそ...

心にしまい込んだ苦い記憶、口にすべきではなかった言葉。知りたくなかった真実。耐えがたい己の自意識。様々なきっかけで、語り手達の心は何度も過ぎ去った過去へ流れ出していく。 そして「心の奥の蛇口が漏れるように泣いて」いても、時間が少しづつ傷口を覆い隠して、暮らしは続いていく。 でもそれは決して絶望ではない。暗く吹雪の冬が過ぎれば、秋に植えた球根が咲く季節がまた巡ってくるのだから。 翻訳者の後書きから「使用上の注意」を引く。 『初めから順にお読みください。順序を乱すと効き目が薄れることがあります。』 『第一篇だけで判断せず、せめて二篇か三篇は服用して、しばらく様子を見てください。』 これは冒頭に書くべきだろう。 僕は五篇目から完全に没頭してしまった。とても感情移入できないと思ったオリーブだが、最後には気持ちが移り悲しみに寄り添っていた。感情を揺さぶる優れた小説だと思う。 最後に、翻訳者を真似てもう一つ注意を。 『読了後の効き目が薄れる前に、第一篇を再度服用してください。』 キタリッジ夫妻の生活は心に深く刻まれ、忘れられなくなるでしょう。

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2021/02/26

日経の書評で見て読んでみた。「ダリウスは生きづらい」といい翻訳小説は最初が入っていきにくいので、勧められないと中々読まないのだが、ダリウスと同様すぐにポートランドの海辺の街の世界に入っていける話だった。 主人公はオリーブ・キタリッジ。かと思いきや、冒頭では彼女の「人のいい」夫、...

日経の書評で見て読んでみた。「ダリウスは生きづらい」といい翻訳小説は最初が入っていきにくいので、勧められないと中々読まないのだが、ダリウスと同様すぐにポートランドの海辺の街の世界に入っていける話だった。 主人公はオリーブ・キタリッジ。かと思いきや、冒頭では彼女の「人のいい」夫、薬局経営のヘンリーが主人公で、店員のデニースへの淡い恋心が描かれ、オリーブはそのヘンリーを尻に敷く強烈な妻として描かれる。次の短編でも、主人公の元教師としてオリーブが描かれ、なるほどひとりの人物像を周囲からの視点から描いていくのかと思いきや、他の短編では思い切りオリーブが主人公となり、息子の嫁へのイライラが描かれる。 こんな感じで、オリーブが出たり入ったりして一つの本になっているのだが、通して読むと、一人息子の子育てと教職にエネルギーを費やし、人のいい夫へのイライラを本人にぶつけてきたオリーブが一人で老後を迎えた時、その老いぬエネルギーをどこにぶつけたらいいのかわからず、ときに爆発してしまう中高年ドラマになっている。自分の親の世代に重ね合わせつつ、自分の老後についても考えてしまう。 このオリーブのイメージに近い人物像で思い出したのは、米国ドラマ「six feet under」の母親ルース。夫を亡くした後、もはや自分を必要としない大きい子供らに怒りをぶつけ、急に恋人を作ったりして、必死に自分の居場所を探そうとする。でも恋人の介護みたいなお荷物を抱えるのはもういや…オリーブも倒れた知人を病院に連れて行った時に、久しぶりに自分が必要とされている感覚に包まれてホッとするが、彼が母親の代替を探しているのなら勘弁してくれと思っている。大雑把にくくれば、子供が巣立った後の喪失感の物語なのかもしれない。上野千鶴子さんの本をお勧めしたくなってしまう。 ところで、この本を読んだ後に、夢に強烈な年配女性が出てきて非常に目覚めが悪かった。この本に出てくる年配女性と自分の周囲の年上女性を足して割ったようなキャラで、今後自分が年をとっても、他の人の夢を掻き乱すことがないよう慎ましく生きようと、よくわからない決意をした。

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2020/09/22

"結局は、ほどほどに暮らす者が強いのだ。"(p.18) "自分の気持ちというのは仕方のないもので、人にどう思われようと、あっさり変えられはしない。時間がたつのにまかせるだけだ。ほかの気持ちになるから、もとの気持ちがどこかへ行く。さもなくば、どこか...

"結局は、ほどほどに暮らす者が強いのだ。"(p.18) "自分の気持ちというのは仕方のないもので、人にどう思われようと、あっさり変えられはしない。時間がたつのにまかせるだけだ。ほかの気持ちになるから、もとの気持ちがどこかへ行く。さもなくば、どこか小さなところに仕舞い込まれて、心の片隅でちらちら揺れるだけになる。"(p.84) "人の暮らしに何があるのだとしても(いま何軒もの家を通りすぎていて、どこかしらの家には、つらい悲しみを背負った暮らしがあるに違いないが)、そうであっても、やはり祝いたい気持ちを抑えられない。人それぞれとは言いながら、生きていることは祝うべきことなのだ。"(p.187) "一人でいるのはいやだった。それよりもなお、人といるのがいやだった。"(p.219)

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2020/02/15

オリーヴ・キタリッジはアメリカ北東部の小さな港町クロズビーに住む数学教師。歯に布着せぬ物言いと、ときどき激情に駆られて攻撃性を見せるため、周りからは敬意を持たれつつ怖がられている。もともと大きな図体は老人になってからさらに巨大化した。 薬局を営むヘンリーは人がよく穏やか、一人息子...

オリーヴ・キタリッジはアメリカ北東部の小さな港町クロズビーに住む数学教師。歯に布着せぬ物言いと、ときどき激情に駆られて攻撃性を見せるため、周りからは敬意を持たれつつ怖がられている。もともと大きな図体は老人になってからさらに巨大化した。 薬局を営むヘンリーは人がよく穏やか、一人息子のクリストファーはたまに精神に不安定さを見せるが医者として独り立ちしようとしている。 物語はクロズビーの住民たちの日常の一コマや心の動きを通しての人生の機微。 オリーヴ・キタリッジがすべての短編に出てきて、短編の最初から最後で30年くらい経っている。激情型の中年女は枯れることなく激情型老女になってゆく。人から「よくあんな女を」と言われる面もあれば、生徒たちからは「怖い先生だけれど個性的で強い言葉を言って嫌いではない」と言われる面もある彼女の影響を受けて密かに変わることもある。 2009年度ピュリッツァー賞(小説部門)を受賞した作品。  家族を愛しながらも、自分の店の若い女性店員との交流に心の安らぎを見出す男/『薬局』  自殺するために故郷に戻った青年が、恩師と語り、若い女性が生きようとする姿を見る話。 「わけのわからない、めちゃくちゃな世の中だ。こんなに彼女は生きようとする。夢中でしがみつくではないか」(P70) /『上げ潮』    バーでピアノを弾く女は町の有力者の愛人だった。ある夜訪れた心の転機。 /『ピアノ弾き』  新郎の母は、何もかも心得たような新婦の顔に不安を感じる。だから人生のちょっとした刺激になる”小さな破裂”を起こす。 (※嫁の立場からすれば、嫌な姑と思ってしまうんじゃないか…^^;) /『小さな破裂』  子供が独立したことと、拒食症の若い娘の転換を見たことにより夫婦のすれ違いに気づいた男 /『飢える』  乱入した犯人の人質になった夫婦は銃を突きつけられながら言い合いになる。助かったあとも、夫婦の双方から見方が変わってしまうようなわだかまりを残した。 /『別の道』  二人で穏やかな老後を過ごすはずだった夫婦の前に突きつけられた、夫の過去の女性問題。だがもうどうにもしようがないのだ。 「いまとなっては二人そろっているほかに何があるだろう。そうでさえなかったとしたら、どうすればよいのだろう」(P206) /『冬のコンサート』  息子が問題を起こしたため密かに暮らしている夫婦。その姿を見て自分自身を突きつけられる友人。 /『チューリップ』  病気で死んだ夫は旅のバスケットを用意して希望としていたのに。 どちらに傷ついたのだろう。葬儀の日に過去の浮気を告げられるのと、叶わなかった希望を目の当たりにするのと。 /『旅のバスケット』  二人の娘の男性問題に怒りをぶつける母/『瓶の中の船』  「妻と子供たちの面倒を見てほしい」と息子に言われた母親は喜んで訪ねてゆくが、哀れな老人扱いされていることに怒りをぶつける。だが今度は息子も黙ってはいない。 /『セキュリティ』  「お前には黙秘する権利がある」権利がある。そんなことを言ってもらえるのなら、逮捕されてみるのも悪くないだろう。 /『犯人』  夫を亡くした老女と、妻を亡くした老人。人間との暖かい交流を求めていることによってこの年でどんな関係になってゆくのか。 「よくわからない。この世界は何なのだ。まだオリーヴは世を去ろうとは思っていない」(P400) /『川』

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2018/12/11

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2018/05/05

架空の街を舞台にした群像劇。全ての話に重要であれ端役であれオリーヴ・キタリッジが関わってくる。 こういう語り口はすごく好きだ。話ごとに少しずつ時間は進み、他人の口から、または本人の口からオリーヴがどのような生活をしているのか知ることができる。 架空の街のピーピング・トムになった...

架空の街を舞台にした群像劇。全ての話に重要であれ端役であれオリーヴ・キタリッジが関わってくる。 こういう語り口はすごく好きだ。話ごとに少しずつ時間は進み、他人の口から、または本人の口からオリーヴがどのような生活をしているのか知ることができる。 架空の街のピーピング・トムになった気分。あるいはやたら近所の事情に詳しいおばちゃん。 一篇一篇は独立した物語で、主人公も、それぞれ抱えている悩みも違うが、寂れた港町ではどうしても恋愛スキャンダルや死が話題に上りがちになる。オリーヴが生命力に溢れた女性なのに対し、周囲は死の話が多い。最後にはオリーヴすらその死に巻き込まれそうになってしまっていた。 それでも、信仰が薄れ、死が決して救いではなくなった世界で作者が描きたかったものは生への讃歌かと、勝手に思う。

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