幻 の商品レビュー
好きな作家さん3人の短篇集『幻』 百年文庫を初めて手に取った。 『白い満月』川端康成 情景描写はさすが!1925年に発表された作品だが、洗練された言葉の美しさに魅了される。 「谷間には靄が湧いたらしい。山々の姿が月の光に仄白く浮いている。私に遠い海の幻が見えた。月に引っぱられて...
好きな作家さん3人の短篇集『幻』 百年文庫を初めて手に取った。 『白い満月』川端康成 情景描写はさすが!1925年に発表された作品だが、洗練された言葉の美しさに魅了される。 「谷間には靄が湧いたらしい。山々の姿が月の光に仄白く浮いている。私に遠い海の幻が見えた。月に引っぱられて膨らんでいる海面の幻が見えた。」 私と女中お夏、異父姉妹の八重子と静江。人間の不確かさや、まとわりつく死のかげを白い月の薄明かりと重ねているように思えた。 『壁の染み』ヴァージニア・ウルフ ふと一点の染みに目が止まる。そこから想像が次々と膨らんでいく。難解だが、蝸牛だったとの落とし所は納得。 『途上にて』尾崎翠 読みやすい。ただ『歩行』の冒頭の詩(おもかげをわすれかねつつ〜)を読んだ時の震えるような感覚はなかった。
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ウルフは全く理解できなかった。 川端は少しオカルトじみた内容。 尾崎翠は初めてだったが、どこか宮沢賢治を思わせる。時代的にも近いから?
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川端康成「白い満月」 おそらく自分と血の繋がっていないであろう妹の存在を知ったとき、主人公は母を憎むのではなく愛した。 母の不貞に対する責めや許しといった感情を超えて、妹の美しさから母の生の美しさを知った。 この辺りの述懐がとても良い。無からこの記述を思いつくの凄まじすぎる。文...
川端康成「白い満月」 おそらく自分と血の繋がっていないであろう妹の存在を知ったとき、主人公は母を憎むのではなく愛した。 母の不貞に対する責めや許しといった感情を超えて、妹の美しさから母の生の美しさを知った。 この辺りの述懐がとても良い。無からこの記述を思いつくの凄まじすぎる。文豪…。 たまに出てくる「青い焔」は良い意味で使われているっぽいがどういうことなのだろうな。 穏やかな熱情という感じかな? だから妹の美しさを軸にした話かと思ったらなんならそれはおまけみたいな展開。なんで? 登場人物は納得しているらしいが、なんで?と思うポイント、沢山ある。 そういうぼんやりとした不安感みたいなのも、読者を引き込むテクニックだったりするのかな。 現代小説は逆になんでも説明しすぎなのだ、という言説があると予想します。 来歴のところに川端康成のエピソードが書いてあって、 芥川賞の選考委員の際、太宰治の作品を「お前の素行がヤバいので落とす」って言っちゃって太宰治にめちゃくちゃ恨まれ、「てめーなんか遊んでるだけのくせによ」というような文章を発表されてるのみんな正直で面白すぎる。 ヴァージニア・ウルフ「壁の染み」 壁の染みを見た女性の散文的な考えを全て書き起こしたような内容。 精神分析的心理療法みたいだけど、あれは喋るし聞き手がいるから有効なのであって、自分の手で書いて誰の介入もなしに何度も推敲してたら頭おかしくなりそう。 実際作者は有名すぎる遺書を残して自殺している。 尾崎翠「途上にて」 夜の散歩を回顧しながら書いたお話で、内容も胸が詰まるような終わりをするのに何故か爽やかでいい。大らかな女性の視点で書かれてるからかな。 この本の中では一番好き。
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「白い満月」 精神というものの不思議を感じる。 なんだか、「女」という生き物の、奇妙な精神の力が描かれているように感じる。 弱い男。 そして、したたかであると同時にもろくもある女。 ここに出てくる女たちには、それぞれの吸引力がある。 そして、男はそれに振り回されているのだ。 「...
「白い満月」 精神というものの不思議を感じる。 なんだか、「女」という生き物の、奇妙な精神の力が描かれているように感じる。 弱い男。 そして、したたかであると同時にもろくもある女。 ここに出てくる女たちには、それぞれの吸引力がある。 そして、男はそれに振り回されているのだ。 「壁の染み」 この人は、暇なのだろうな。 たかだか壁の染み一つから、ここまでグダグダと思考を流すことができるのだから。 文化だの常識だの、誰かが決めたことに振り回されるあほらしさ。 そういう思いが伝わってきた。 本当にものごとを知る、ということの不可能さのようなものも。 科学や文化への嘲笑か。 思考の断片が寄り集まった文体なので、読みにくい。 読みにくい中で、こういったものを感じた。 「途上にて」 幻想的過ぎて、共感がしにくい。 変な夢を見ているような気持がした。 手ごたえが薄い。 正直、こういうタイプのものは、疲れる。 そして、私には、残りにくい。 読み終わったと同時に、淡く揺れて消えそうで消えない光。 その実態はわからない。 そんな印象だ。 正しく、幻のようなテイストの作品だと思った。
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日本が誇るノーベル文学賞受賞者作品を、もっと読んでみないと!ってことで。加えて、”灯台へ”がピンとこなかったウルフ作品も、短編なら何とかなるかも、っていう期待も抱きつつ。1分け2敗。川端作品は悪くなかったけど、他2作はやっぱりというか、合いませんでした。特にこのウルフ作品、とりと...
日本が誇るノーベル文学賞受賞者作品を、もっと読んでみないと!ってことで。加えて、”灯台へ”がピンとこなかったウルフ作品も、短編なら何とかなるかも、っていう期待も抱きつつ。1分け2敗。川端作品は悪くなかったけど、他2作はやっぱりというか、合いませんでした。特にこのウルフ作品、とりとめもない空想録を、どう味わえば魅力的に感じられるんだろ?いわゆる文学作品で、こういうタイプのものが一つのジャンルを成してる気がするけど、どうしても良さが理解できません。まあもう、仕方ないわなって感じ。
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感覚を呼び起こす言葉 パラダイスロスト、チョコレエト玉、ノオト、きんつば、油のにおい、くびまき、こおろぎ
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川端康成の「白い満月」、ヴァージニア・ウルフの「壁の染み」、尾崎翠の「途上にて」。 「幻」という一文字で集められた3つの物語。百年文庫の魅力を知った。
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川端康成『白い満月』 「私」と「お夏」の関係が、とても美しく羨ましい。恋でも愛でも恋愛でもない。お夏だって、決して見目麗しいわけではないのに。これは、なんなのだろう。ラスト数行で見事に惹きこまれてしまったわ。
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川端康成 『白い満月』 ヴァージニア・ウルフ 『壁の染み』 尾崎翠 『途上にて』 『白い満月』 架空の話を書いた小説でも、なかなか言葉にしにくい台詞はある。 この作品はそのあたりをためらわず、繰り返し言わせることで読者の胸に刺さる印象を 残していく話だと感じました。 登場人物...
川端康成 『白い満月』 ヴァージニア・ウルフ 『壁の染み』 尾崎翠 『途上にて』 『白い満月』 架空の話を書いた小説でも、なかなか言葉にしにくい台詞はある。 この作品はそのあたりをためらわず、繰り返し言わせることで読者の胸に刺さる印象を 残していく話だと感じました。 登場人物同士が互いをどう思っているのか、どんな意図を含んでの行動なのかが、 まだ読む力が足りないようで完全に読み取ることは出来ませんでした。 また時を重ねた上で読み返したい作品です。 それが川端康成の魅力なのかなと思います。
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「白い満月」 川端康成 正反対の性質を持つ、主人公の異父姉妹達が興味深い。 寓意が上手く読みとれなかったので、いつか再読してみたいお話。
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