「科学技術大国」中国の真実 の商品レビュー
「科学技術」を切り口に、中国(人)の考え方を学び、中国(人)との付き合い方を考える、という観点からは、面白い指摘や提案があり、読む価値がある。他方、「中国の科学技術の今」についての紹介も多いが、こちらは、データが豊富である代わりに、どんどん内容が古くなってきている。本書の初版が2...
「科学技術」を切り口に、中国(人)の考え方を学び、中国(人)との付き合い方を考える、という観点からは、面白い指摘や提案があり、読む価値がある。他方、「中国の科学技術の今」についての紹介も多いが、こちらは、データが豊富である代わりに、どんどん内容が古くなってきている。本書の初版が2010年10月なので、少し古びて見える。もう少し早く本書に出会って読んでいればよかったのだが。
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「専門」というカテゴリでもないのですが・・・. 著者は1974年生まれで東京大学工学部の卒業ですので,私の同級生にあたえる人です.それだから,著者が抱いている“焦り”は痛いほどよく伝わってきます. 私が中国に行ったのはわずか2回ですが,ほぼ同じような感想を持ちました.著者は3...
「専門」というカテゴリでもないのですが・・・. 著者は1974年生まれで東京大学工学部の卒業ですので,私の同級生にあたえる人です.それだから,著者が抱いている“焦り”は痛いほどよく伝わってきます. 私が中国に行ったのはわずか2回ですが,ほぼ同じような感想を持ちました.著者は3年ほど滞在されているはずですし,もっと具体的に,もっと緊迫感のある焦りを抱いたはずです. 個人的には,学生さんにこそ読んでほしい.社会人の多くは似たような認識をお持ちの方が多くいらっしゃることと思います.
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中国はすでに科学技術先進国。 中国を平均値で見ると見誤る。 米国博士号取得者出身大学1位=清華大学、2位=北京大学、 有人宇宙飛行世界3番目、スパコン速度世界2位・・・ 世界の富豪トップ1000では日本の3倍。 中国指導者はほとんど理系大学出身。 中国トップクラスと日...
中国はすでに科学技術先進国。 中国を平均値で見ると見誤る。 米国博士号取得者出身大学1位=清華大学、2位=北京大学、 有人宇宙飛行世界3番目、スパコン速度世界2位・・・ 世界の富豪トップ1000では日本の3倍。 中国指導者はほとんど理系大学出身。 中国トップクラスと日本を比べるべき。平均で語ってはいけない。 「創新」=innovationによる発展を目指す。 資金、人材と数、市場 で日本を圧倒する。 工業製品でも医学でも。 巨大な大学と付属病院。東大の比ではない。学生数、教授数、病院規模は数倍。 日本人が発見したiPS細胞。アメリカと中国に遅れを取ってしまっている。 研究者数は1990年代から増え続け、日本の2倍。 基礎研究より応用、開発研究。企業主導ではなく国家主導。 コア技術は賢い戦略で買ってきたもの。 アメリカ同様の大陸文化、ヒーローを求める民族。努力ではなく成功に共感。 日本では出る杭は打たれる。失敗が許されない。 中国の最重要課題は国家の安定と体制維持。 真の意味でのinnovationがなされるかは、政治判断が影響を及ぼす。 「面子」重視で非効率。 政治判断による歪められる客観的判断。 ハード重視でマネジメントやソフトインフラが追いつかない。 日本の進むべき道 中国と研究初期段から進める。 中国の一人勝ちにならないよう、コア技術は特許にもせず、ブラックボックス化。 周辺技術を共同開発し、市場のニーズに融合しで業界標準とする。 評価方法を標準化し、技術優位性を明確にする。 国際標準は早い者勝ち。 標準化ではコストの安いところが勝つ。 「デファクト標準」は世界的シェアが必要。アメリカに多い。 「デジュール標準」は議論に時間がかかり、マルチ化する。欧州に多い。 「フォーラム標準」は両者の中間。これが日本に最適。 その技術が良いものとみなされるための 「用語」「定義」「評価方法」を一人からでも始め賛同を得て標準化に。 研究開発は、すべての内部に抱え込む 「リニアモデル」から、 「オープン イノベーション」へ。 多くの分野が重なり合ってブレークスルーを生み出す時代。 自身の技術への過信から没落する。 過去の延長ではなく、自らを否定する 「破壊的イノベーション」から新しい商品と市場が生まれる。 科学技術は文化を超えた「土壌」。 中国は国家戦略として、あらゆる問題の解決手段をこの土壌に求めている。 :著者は元在中国日本大使館一等書記官で、現役の文科省官僚。
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中国の科学技術の現状を良い面、悪い面両面からわかりやすく解説。日本にとって中国が如何に脅威かが良く分かるし、一方で日本と中国がどう連携をとると良いかを考えるきっかけとなる。
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重要なところは中国の莫大な人口と政府主導の科学技術政策であろう.著者は中国の科学技術において日本を超えているところと,まだまだ日本が安心していられるところと,同時に存在していることを指摘している.しかし,人口を考えると最先端は日本を超えるし,底辺はとんでもなく底辺であることは当然...
重要なところは中国の莫大な人口と政府主導の科学技術政策であろう.著者は中国の科学技術において日本を超えているところと,まだまだ日本が安心していられるところと,同時に存在していることを指摘している.しかし,人口を考えると最先端は日本を超えるし,底辺はとんでもなく底辺であることは当然である. まさに「最」先端で日本が勝負を続けるためにはどうすれば良いか.難しい問題である.
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TOPPOINT 2011年1月号より。 著者は文部科学省の官僚。 中国の科学技術レベルはどれぐらいなのか?の実績レポート。
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最近本屋を覗いてみると中国の将来に対する経済成長を疑問視するような本が目につきます。環境汚染が進んで、エネルギー効率が悪い面もあるかもしれませんが、オリンピックでは国際社会に復帰してから上位を独占しているように、中国はやる気なった分野については、人数が多い面もありますが、優秀な人...
最近本屋を覗いてみると中国の将来に対する経済成長を疑問視するような本が目につきます。環境汚染が進んで、エネルギー効率が悪い面もあるかもしれませんが、オリンピックでは国際社会に復帰してから上位を独占しているように、中国はやる気なった分野については、人数が多い面もありますが、優秀な人が相当数出てくるような気がします。 この本の著者は、中国の科学技術の進歩の度合いを目の当たりにしている若手官僚で、書いてある内容は確度が高いのではと思い、この本を手に取ってみました。純粋な科学技術力と、製品開発力、大量生産技術力は異なるものだと思いますが、この本に書かれている中国の実力は凄いと思いました。 以下は気になったポイントです。 ・中国がスパコンの性能を不断に向上させる一方で、日本の最高性能のスパコンは、22位であった、中国は20位以内に3つものスパコンをランクインさせている(p18) ・大量の研究人材と資金を投じさえすれば一定の成果が得られる遺伝子の解析作業や、リスクが大きく政府のリーダシップが必要な宇宙開発では圧倒的な強さを見せる(p20) ・中国から海外へ移住する波は歴史的には今までに3つあり、1)唐代の9世紀、2)明代の16世紀、3)19世紀清朝末期で労働力として、4)現在、である(p33) ・中国には、少数ながら共産党以外の塔はが存在しその一つが海外からの帰国華僑で構成される「致公党」である、1925年にサンフランシスコで成立、党員は2万人(p35) ・米国で博士号を取得した約5万人(2007年度)のうち、3分の1が外国人、中国:5002人、次がインド、韓国と続く、日本人は330人(p36) ・中国は理系人材を大切にする一方で、日本は理系人材が報われない、日本では学歴が上がるほど就職が困難になる(p44) ・中国の指導者は序列1位から9位まで、一人を除いて理系出身(p45) ・論文数から見る研究者の質は、米国が圧倒的な地位を占めている、そして英国、ドイツの後に日本の研究者の質が高い(p50) ・国家財政における科学技術経費の増加率は、財政収入の成長率を上回らなければならないという規定が「中華人民共和国科学技術進歩法(1993)」にある(p73) ・日本では2003年にH2ロケット6号機が打上げ失敗した後、宇宙開発予算は大幅に削減、1年半にわたって打上げは凍結された(p95) ・湾岸戦争後の終結後に、劣化措置が施されて、100メートルの誤差を有する信号として、GPS測位サービスが提供されたが、各国からの反発もありクリントン大統領によって2000円にその措置は完全に解除された(p104) ・上海交通大学の研究所では、すべてのプロジェクトは4年後とに厳しい評価を下されて、成果を上げていないプロジェクトは直ちに中止されてそれに属していた研究者全員は解雇される(p144) ・中国企業では研究開発費には、それに少しでも関わるものは全て計上している(p160) ・中国では製造額に対する研究開発費の割合が8%を超えるものを「ハイテク」と定義しており、OECDの定義とは異なる(p161) ・中国国産の自動車メーカは世界一の市場となっているが、エンジンは国産では製造する能力がない、組み立てるだけ(p164) ・中国において生み出される特許は、既存の特許に少しの変更を加えたものが大多数(p175) ・CPUをたくさん繋げることでCPUの能力を挙げているが、チップ間の同期をとる技術設計は中国では進んでいない(p181) ・サムスンは日本より上回る品質の製品を開発したわけではない、技術力ではなく、市場ニーズを把握した上でのビジネス戦略で勝利した(p207) ・米国は、ルールではなく、市場によって標準を獲得してきた、安くて質のよい「ハの字型」プラグの製品を大量に市場に投入するデファクト標準を作った(p219) ・一番大事なコア技術は公開せず、それ以外の周辺技術については公開して標準化する(p232) 2011/1/23作成
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大陸の国家は似ているものなのだ。「平均的」国民が存在せず、スケールがでかい。悪い面でもスケールがでかく貧富、教育の差が激しかったりする。また面子を重んじ、国家的発意高揚のための情報は誇張を交えて喧伝する。政治力がが、中にはしっかり等身大の中国を見極めている人もいる。 中国が日本を...
大陸の国家は似ているものなのだ。「平均的」国民が存在せず、スケールがでかい。悪い面でもスケールがでかく貧富、教育の差が激しかったりする。また面子を重んじ、国家的発意高揚のための情報は誇張を交えて喧伝する。政治力がが、中にはしっかり等身大の中国を見極めている人もいる。 中国が日本を追い越していると言う分野は増えてきているが、内容を精査ししっかりと日本を見据えることが先ず大事である。平均的」人間が少ないと言うことは、中にはとんでもない逸材がいるということなので、そのような人との協業関係を構築すること。また市場としては「枯れた技術」でも通用する可能性が高い市場である。その技術を受け入れられる形に日中で協力できないものだろうかと考えさせてくれた本。陳腐な評になってしまったが、メディアが伝える中国に対してもう一歩突っ込んだことが書かれていると思われる。
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伊佐さんには、北京でたいへんお世話になりました。科学技術の専門家からみた日中の相違点というものが新鮮でよかったです。日中が相互補完してともに成長していけるような関係になると、それが本当にいいんだけどなぁ・・・。なかなかそううまくはいかないですよね・・・。
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中国の恐るべきソフトパワーの実力を、自分の目で見た事実から検証している。特に人材に関わる部分と国家のコミットメントの強さは、圧倒的に感じる。 実際、自分が現地(杭州)で行っている採用においても、わずか数万円の給料の募集に、海外留学経験を有し、3ヶ国語を操る人材がごろごろと応募に来...
中国の恐るべきソフトパワーの実力を、自分の目で見た事実から検証している。特に人材に関わる部分と国家のコミットメントの強さは、圧倒的に感じる。 実際、自分が現地(杭州)で行っている採用においても、わずか数万円の給料の募集に、海外留学経験を有し、3ヶ国語を操る人材がごろごろと応募に来る。この国の人材は底なしか。 ただ、それら有能な人材を使いこなす受け皿がどうか、違った問題もあるところが難しいところ。逆にそこは日本企業にとってもチャンスとなるはず。
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