夏目家順路 の商品レビュー
読み終えたときに、非常にがっつりしっかりと小説を読んだような気持ちになった。読み応えたっぷりという感じ。 帯に「どこにでもいるただひとり」の男の一生とあったけれど、生まれてから死ぬまでではなく、死んでからのほうが長い。そして、この本には、夏目清茂と、生前の彼に関わりのあった人々...
読み終えたときに、非常にがっつりしっかりと小説を読んだような気持ちになった。読み応えたっぷりという感じ。 帯に「どこにでもいるただひとり」の男の一生とあったけれど、生まれてから死ぬまでではなく、死んでからのほうが長い。そして、この本には、夏目清茂と、生前の彼に関わりのあった人々のことがつまっている。 どんな性格の人がどういった立場でどのくらいの距離をとって清茂と接していたかで、それぞれの清茂への評価は違う。人って嫌われるばかりでなく、また好かれるばかりではない、当たり前なそんなことに改めて考え入ってしまった。
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おお、すき!主人公がくるくる変わって短編の詰め合わせっぽいから作風に合っているって思う。ラスト書下ろしはあってもなくてもよかったかな。朝倉さんの長編では一番好きかも。
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初老の男性が急死した。 この男性を取り巻く人々の階層から男性の姿が浮かび上がってくる。 ほんのりと、人々の記憶に残る人生を生きたいと思った。
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脳梗塞で74歳の生涯を終えた男性。彼の死をきっかけに周囲の人々それぞれの頭によぎる思いを描いています。彼の死を嘆きつつも皆自分に思いを馳せているところが面白いと思いました。一気読みしたので最後の方はちょっと息切れしました。いずれは迎えるであろう自身の親の最期のことまで考えてしまい...
脳梗塞で74歳の生涯を終えた男性。彼の死をきっかけに周囲の人々それぞれの頭によぎる思いを描いています。彼の死を嘆きつつも皆自分に思いを馳せているところが面白いと思いました。一気読みしたので最後の方はちょっと息切れしました。いずれは迎えるであろう自身の親の最期のことまで考えてしまいました。
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読み終わって、ふう~ん、と思った。 朝倉さんの文体は非常に独特である。 とにかくセンテンスが短い。素っ気ない。もう少しなにか付け足してもいいじゃないかといつも思う。 「田村はまだか」の時も思ったのだが、時々誰がなんのことを言っているのかわからなくなるときがある。もちろんすぐに推測...
読み終わって、ふう~ん、と思った。 朝倉さんの文体は非常に独特である。 とにかくセンテンスが短い。素っ気ない。もう少しなにか付け足してもいいじゃないかといつも思う。 「田村はまだか」の時も思ったのだが、時々誰がなんのことを言っているのかわからなくなるときがある。もちろんすぐに推測できるのだけれども。 この話も、読んでいたらだんだん息が苦しくなってきた。ハアハアと細かく息継ぎをしているようで、逆に肺に空気が入りにくいような気がしてくるのだ。 難しい言葉は何一つ無いのに、わからないことがたくさん出てくる。 現実はそんなものなのだ。誰かの行為、誰かの発言、そんなものにいちいちとらわれないし解析しないし、分析しない。しないまま流れていくのが日常で、そういう意味では朝倉さんの小説は日常をそのまま活写しているといってもいい。 「ともしびマーケット」はそれでももう少し饒舌だったような気もするが、「夏目家順路」は思っていた以上にそっけなく淡々と話が進む。 救いも絶望もなくて、そのうちにじんわりと、「そうだ、こうやって人生は続くのだ」という思いが沸き起こってくる。 それにしても、なぜ私は朝倉さんの小説を読むとこんなにくたびれるのだろう…。
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夏目清茂が死んだ。74歳、長寿大国日本にしてみれば 若くして亡くなったといえるかもしれない。 その清茂について、まず本人が語り(飲み屋で倒れる直前まで) 息子が語り、娘が語り、疎遠になっている甥っ子の娘が語り、 娘の夫が語り、清茂の若い友人が語り、飲み屋のママが語り、 ...
夏目清茂が死んだ。74歳、長寿大国日本にしてみれば 若くして亡くなったといえるかもしれない。 その清茂について、まず本人が語り(飲み屋で倒れる直前まで) 息子が語り、娘が語り、疎遠になっている甥っ子の娘が語り、 娘の夫が語り、清茂の若い友人が語り、飲み屋のママが語り、 清茂が若い頃世話をしてた男が語り、孫が語り、 別れた妻が語る。清茂の語り以外は葬儀をすすめながらの 感想や思い出など。清茂は昔を思い出して語っている。 視点があちこち飛んで、すごーく面白かった。 片側から見るとこういう面が、こっちから見ると違ったり、 片側からはわかならなかったけど、 それぞれにもいろんな事情や気持ちがあったり、 そういう物事の裏表がとっても上手に物語に折りこめられていた。 それでみんな冷静なのが良かった。 よくありそうな話なのに、よくありそうでない話になっているし また読み返したいなーって思えたので★5つ。
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夏目家順路 なんだか変なタイトル と思っていたら お葬式の式場への看板。こう指のやつ(最近さっぱり見ませんが)でした おじいちゃんが亡くなって、各章ごとにおじいちゃん縁の人の話で構成されています 田村はまだか より雰囲気が ともしびマーケット寄りかな なんだか人間の肉感が生っぽ...
夏目家順路 なんだか変なタイトル と思っていたら お葬式の式場への看板。こう指のやつ(最近さっぱり見ませんが)でした おじいちゃんが亡くなって、各章ごとにおじいちゃん縁の人の話で構成されています 田村はまだか より雰囲気が ともしびマーケット寄りかな なんだか人間の肉感が生っぽい・・・人間性がむき出し? 難しいなぁ 最近読んだ ツリーハウス 永遠の0 今回の夏目家順路 どれもおじいちゃん(おばあちゃん)が亡くなってから物語が回りだす 確かに人が一人いなくなると色々考えさせられる
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夏目清茂74歳、ブリキ屋の親父として実直に生きてきためでたい男が脳梗塞で昇天した。 清茂の一代記であり家族の物語、そして彼に関わった人たちの物語。 家を出て独立して小さいながらも自分の店を開き結婚して子供ができて家を建てた。 家に遊びに来てた悪ガキ仲間だったトッチのこと、男をつく...
夏目清茂74歳、ブリキ屋の親父として実直に生きてきためでたい男が脳梗塞で昇天した。 清茂の一代記であり家族の物語、そして彼に関わった人たちの物語。 家を出て独立して小さいながらも自分の店を開き結婚して子供ができて家を建てた。 家に遊びに来てた悪ガキ仲間だったトッチのこと、男をつくって出て行った元妻のかず子、結婚して独立していった素子と直のことが頭の中を駆け巡る。 臨終からお葬式のあいだにいろんな人たちの視点で清茂の人生が語られていく。特に劇的なドラマはなくても人には人それぞれの人生がありドラマがある。 もうずいぶんと前のことになるんですが亡くなった僕の親父は奇しくも清茂と同じ年だった。 読み終わって親父のことが頭をよぎり親父は何を思って生き何を思いながら死んでいったのかなっと思う。 僕にはじんわりと心に染み込んでくるいい物語でした。
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一部で藪の中的な構造をとっている。夏目家の家長の人生が軸にあって、その家族がそれぞれの見方で家長の死をとらえている。物語どうこうよりも、やっぱり比喩がうまいなあと思った。サーダーがちかちかするとか、ふとんにくるまっている様子を饅頭と餡の関係にたとえるとか。
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