街場のマンガ論 の商品レビュー
(以下引用) あまりいう人がいないので代わって申し上げるが、専門的な技能や知識と「食う・食えない」分岐線の間には直接の関係はない。どれほど専門的に高い技能や深い知識があっても、それに対して対価を支払う市場がなければ、「どれでは食えない」。(P.137) 「スーパーマン」も「バッ...
(以下引用) あまりいう人がいないので代わって申し上げるが、専門的な技能や知識と「食う・食えない」分岐線の間には直接の関係はない。どれほど専門的に高い技能や深い知識があっても、それに対して対価を支払う市場がなければ、「どれでは食えない」。(P.137) 「スーパーマン」も「バットマン」も、高い理想を掲げ、日々コツコツと世界の平和に寄与しているのだが、周囲の人間たちはその努力を知らず、彼に少しも感謝しようとしない。それどころか、「おまえがそのスーパーパワーを発揮することで、世界の秩序はかえって乱されているのだ。世界はお前なんか必要としていない」と罵倒を投げつけられるのである。その無理解に傷つき、いっときは「世界を救う仕事」なんかやまちゃおうかな、と思うのだが、彼を信じる少数の理解者のために、ヒーローはまた立ち上がって、世界を救う仕事に向かう……という話型を私たちは何度見せつけられたであろう。これはアメリカの自画像以外の何ものでもない。(P.160) 日本の戦後マンガのヒーローものの説話的話型は「生来ひよわな少年」がもののはずみで「恐るべき破壊力をもったモビルスーツ状のメカ」の「操縦」を委ねられ、「無垢な魂をもった少年」だけが操作できるこの破壊装置の「善用」によって、とりあえず極東の一部の地域限定的な平和をもたらしている、というものである。(中略)この恐るべき破壊力をもったモビルスーツ状のメカ」は日米安保条約によって駐留する在日米軍であり、それを文民統制している「無垢な少年」こそ平和国家日本のセルフイメージにほかならない。(中略)戦後マンガは「軍隊」(巨大な暴力装置)と「憲法九条」(イノセントな心)が「合体」するときだけ「よいこと」が起こるという物語を執拗に、ほとんど偏執的に繰り返してきたのである。(P.161)
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マンガは大好きだがこの手のマンガ論というのは初めて読む。 論というよりは断片的。 井上雄彦論、宮崎駿論がよかった。 特に「親族の基本構造」(レヴィ=ストロース)、「矛盾」(古諺、韓非)の成長するためにはそれぞれ違うことをいうロールモデルが2つ必要というのは実感を伴って納得した。...
マンガは大好きだがこの手のマンガ論というのは初めて読む。 論というよりは断片的。 井上雄彦論、宮崎駿論がよかった。 特に「親族の基本構造」(レヴィ=ストロース)、「矛盾」(古諺、韓非)の成長するためにはそれぞれ違うことをいうロールモデルが2つ必要というのは実感を伴って納得した。 (バガボンドのにょろにょろじじい2人 ) マンガを入り口に色々な考えを知ることが出来て、勉強になりやす
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内田樹のブログエッセイ本。マンガの効用についての考察。井上雄彦、マンガの中の日本語、少女マンガ、オタク、宮崎駿など。脳科学の観点でマンガの効用を説く養老孟司との対談集を含む。マンガを読むにもリテラシーが必要で、特に少女マンガの世界は無意識を記号化したものが見られ、独特の読み方が必...
内田樹のブログエッセイ本。マンガの効用についての考察。井上雄彦、マンガの中の日本語、少女マンガ、オタク、宮崎駿など。脳科学の観点でマンガの効用を説く養老孟司との対談集を含む。マンガを読むにもリテラシーが必要で、特に少女マンガの世界は無意識を記号化したものが見られ、独特の読み方が必要になる。意識したものだけが記号化される少年マンガとの違いはそこにあるらしく、マンガは好きでも、少女マンガは苦手な人も多い。養老孟司も対談の中で、少女マンガの話になると無口になってしまうのが面白かった。内田樹はマンガを読むことで、脳の中での画像と文章の並行処理能力が身に付くと説く。子供の頃からマンガを読む日本人には、その優位性があるという。確かにマンガ好きにはとても面白い内容ですが、このような考察を今の若い世代はどう思うだろう。ちょっとオジサンの理論みたいな感じもある。だいたい取り上げられたマンガが80年代以前に流行ったものが多い。90年代までは、娯楽が少なくて電車でマンガを貪るように読む人が多かったが、今はスマートフォンでゲームやネットで遊ぶ人のほうがはるかに多い。内田樹が言う日本人のマンガリテラシーの優位性も、これから低下していくのではないかと思う。それよりも、音楽を聞きながらゲームをやり、マックを食べながら普通に歩いている今の若い人は、異次元の並列処理をやっている人もいます。それが普通になる時代が来ているような気もします。
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内田センセイの著作を読む喜びの1つには、難しくて出会えそうにもなかった知性の世界を垣間見ることができる点がある。しかしながら、今回はマンガの話。いつもよりも気持ちが数段ほど前のめりになって、センセイのお話を伺っているだけじゃなく、私も一緒にしゃべりだしたい気持ちに駆られた。だって...
内田センセイの著作を読む喜びの1つには、難しくて出会えそうにもなかった知性の世界を垣間見ることができる点がある。しかしながら、今回はマンガの話。いつもよりも気持ちが数段ほど前のめりになって、センセイのお話を伺っているだけじゃなく、私も一緒にしゃべりだしたい気持ちに駆られた。だって、自分の知ってるマンガいっぱい出てくるんだもん。 内田センセイは少女マンガも読まれる「少女マンガリテラシー」を持ってはる。論考に登場する作品タイトルをざっと挙げただけでも、「日出処の天子」「風と木の詩」「パタリロ」「ガラスの仮面」「エースをねらえ!」「動物のお医者さん」などなど・・・。椅子から腰が浮いてしまう。 http://big-river.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-7849.html
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ブログに発表した文章の内、漫画に関する記事をまとめた本、らしい。 漫画はすっかり読まなくなったが (まわす時間と金がない。何から手をつけたらいいかもう分からない) 漫画に関する本は読む。 漫画論、といいつつ漫画を手掛かりにした社会論。 子供が成長するには、 同じことを別の言葉で言...
ブログに発表した文章の内、漫画に関する記事をまとめた本、らしい。 漫画はすっかり読まなくなったが (まわす時間と金がない。何から手をつけたらいいかもう分からない) 漫画に関する本は読む。 漫画論、といいつつ漫画を手掛かりにした社会論。 子供が成長するには、 同じことを別の言葉で言う複数のロールモデルが必要である、というのに唸る。 一つの言葉だけでは、洗脳になってしまう。 同じ方向を示す言葉が、同時に複数あることで、 その間の矛盾に迷い、受け入れる時に子供は成長のプロセスに入ると。なるほど。 他にも、仮名と漢字を併用する日本人は、右脳と左脳を同時に使うことで 他国よりも識字能力が高く、漫画という絵と言葉を一緒に理解することが出来る、らしい。 漫画を読むって、表音文字のみを使用する文化圏の人には、 頭の使い方を根本から変えねばならず、とても技術を要するようですよ。へー。 もう一つ唸ったのは、 年を取るということは、その年の自分がいるだけではなく、 10代の自分、20代の自分、30代の自分、とその時々の自分が同時にいる中で、 時に応じてどの自分を出すかということだ、的なことが書いてあって そのとーりだなあと。 内田樹の本は、橋本治と同様、 視点一つでストンとすっきりするような気分になります。 http://takoashiattack.blog8.fc2.com/blog-entry-1954.html
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新幹線で読んでました。ほとんど前にブログで読んだことでしたけど、まあ確認作業。突っ込みどころも多いですけど。
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読後、無性に漫画が読みたくなりました。 確かに、漫画のことが話題にはなっていますけれども、そこから触発された数々の知見に触れられることこそ、この著作の持つ大いなる価値と信じます。
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ビジネスの観点から日本のアニメ、マンガがいいコンテンツであるということから、一歩踏み込んで文化人の方達からマンガというものを論じられ、お墨付きを与えられるってことはいい時代になったのだと思う。文学的に優秀な作品以外にも、絵画的な芸術性をもつものも出てきた。今後の漫画界の発展を望み...
ビジネスの観点から日本のアニメ、マンガがいいコンテンツであるということから、一歩踏み込んで文化人の方達からマンガというものを論じられ、お墨付きを与えられるってことはいい時代になったのだと思う。文学的に優秀な作品以外にも、絵画的な芸術性をもつものも出てきた。今後の漫画界の発展を望み、より良い作品がまた読めればと思う。
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マンガがここまで浸透している理由は日本語のおかげ、 という部分にいたく感銘を受けた。 ありがとう日本語。 ありがとう内田樹先生。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「目からウロコ」の連続。 内田樹の本は何を読んでもそう。 ・2つのロールモデルの話 井上雄彦の「バガボンド」に登場する、石舟斎と胤栄。 全くべつの考えをおっしゃる二人だが、本人はちんぷんかんぷんだがそれでいいとのこと。 葛藤のすえにブレークスルーはおこる。 二つのモデルの共通願望は対象人物の「成長」 なるほど! ・漫画がサブカルであることの意味 マンガの自由度を担保するため。 ・言葉は上に抽象化していく ゆえに、体を介在させる必要がある(ブルっ!!)。
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