ばかもの の商品レビュー
ダメと分かっていながらも、行き場のない思いに潰されてお酒に手が伸びる悪循環が重苦しい。でも後半に入って、信じてあげようと言う額子と、容易じゃないと言うヒデ、このふたりを思うに、人は誰しも時間とともに変わり続けるものなのだろうと感慨深くなる。
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群馬(高崎・前橋)の話で、また方言がとてもリアルで驚き。これもよかったなあ。 アル中の焦燥感ってこんな感じなんだろうな、というのがよくわかる。
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とっても良かったです。この作家さんは前から読みたいと思っていて、今回、はじめて読みましたがとてもいいなぁ、と思いました。作中でてくる 『容易じゃねぇなあ』というのがとても私には渋く、ある意味この作品に収斂していく表現かなぁと思ったりしました。この作家の作品を他を読んでみようとおも...
とっても良かったです。この作家さんは前から読みたいと思っていて、今回、はじめて読みましたがとてもいいなぁ、と思いました。作中でてくる 『容易じゃねぇなあ』というのがとても私には渋く、ある意味この作品に収斂していく表現かなぁと思ったりしました。この作家の作品を他を読んでみようとおもつています。
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かつて愛した女・額子に下半身丸出しで木に縛り付けられ「私結婚するから、じゃね」とあっさり捨てられた青年ヒデが、アル中社会人生活を経て、片腕を失ったかつての恋人額子と再会を果たす物語。 だいぶ端折りましたが、大筋はこんな感じ。ざっくり書くと本当カオスな物語だな……。 morat...
かつて愛した女・額子に下半身丸出しで木に縛り付けられ「私結婚するから、じゃね」とあっさり捨てられた青年ヒデが、アル中社会人生活を経て、片腕を失ったかつての恋人額子と再会を果たす物語。 だいぶ端折りましたが、大筋はこんな感じ。ざっくり書くと本当カオスな物語だな……。 moratoriumを経て社会に出たものの、アルコール依存症になってしまい、恋人も友人も失う顛末が、「そりゃまああんた自業自得ですわね」と若干鼻白らむんですが、なんとか踏ん張って断酒するヒデの独白が、元カノ額子を思い出すでも感傷に浸るでもなくアッサリしてて、なんか無性に読み心地が良い。 額子との再会も、ドラマチックではなく淡々としていて、だけどどこかぎこちなさが伝わる2人の様子に、ちょっぴりじーんとしたのでありました。 ラウンドアバウト(迂回)してようやく邂逅を果たした二人。どうか不器用な彼等の前途が、少しでも困難が少ない道程でありますように。
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カラダのことばかり、酒のことばかりの前半と、情景を見つめたり、心の通じたやりとりをしたり、弱さを受け入れたりする後半。コントラストが美しい。
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ばかもの 本人?の一人称で書かれた物語は、荒削りで生々しい…。読んでて こちらがギュッと苦しくなる描写を くどくどと書き連ねている波に いつのまにか巻き込まれている様だった。 ばかもの 後は なんとか ええ感じで生きってって欲しい。
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高崎の大学生、大須秀成(ヒデ)は吉竹額子27歳に夢中。でも2年後、額子(ガクコ)は結婚。その後、ヒデは、山根ゆきや翔子と付き合うが、28歳の時はアルコール依存症に。酒を断つか命を断つか。3ヶ月入院。額子の母に会い、額子が事故で左腕を切断、離婚して片品で一人で住んでることを聞く。電車とバスで2時間、バス停に総白髪の女性が。額子の家で食事をした後、額子はヒデにお願いを。右腕をゴシゴシ洗ってほしい。そして、右の腋毛を剃って欲しいと。秀成と額子の長い年月をかけて辿り着いた愛の物語。絲山秋子「ばかもの」。
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平凡な生活を過ごす大学生のヒデはバイト先の年上女性の額子に誘われ初めて女性の身体を経験し付き合い始めるが何事も経験豊富な額子に始終リードされっぱなしのヒデだが、どんどん額子のクールで不思議な性格に引き込まれて行くが付き合って2年目に夜中の公園の立木に下半身を曝されて縛られたまま...
平凡な生活を過ごす大学生のヒデはバイト先の年上女性の額子に誘われ初めて女性の身体を経験し付き合い始めるが何事も経験豊富な額子に始終リードされっぱなしのヒデだが、どんどん額子のクールで不思議な性格に引き込まれて行くが付き合って2年目に夜中の公園の立木に下半身を曝されて縛られたままで結婚が決まったから別れると一方的に宣言され額子は去って行く。 額子が居なくなった後、ヒデは就職や新たな恋人と付き合いながらも充足されない心をアルコールで満たす様になって行き親友の加藤や恋人翔子の忠告も無視しアルコールに依存する生活が続いて行く。 家族・友人・恋人・職場・身体の全てをアルコール依存症のヒデは失ってしまいどん底の中で飲酒運転で事故を起こしてしまい断酒する事を決意しささやかで素朴な人生を取り戻して行き額子と再開するが変わり果てた彼女との結末は。。。 この小説は短いですが可笑しさ・せつなさ・絶望・愛がぎゅっと凝縮されとても深く心に浸みます。冒頭では額子とヒデの過激な性描写に驚き、額子に別れを宣言される公園でのシーンには変態的なプレーとその状況は思わず笑ってしまいます。大学時代の友人ネユキが宗教団体に入信、親友加藤は大人としての基盤を築いている、依存症のヒデが自分を取り戻し本当の気持ちを大切にして、お互いに素直になれるのだろうか、
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な。なんだこれ?という小説だなあ、って印象。読んでいて、ビックリするほどに「そう行くのか!?」という展開。いやあ、驚きでした。中編?というか、短編?というか、極めて短い、あっちゅう間に読んでしまえるのに、ここまで展開変わるかね?という驚き。 いきなり、主人公と、年上の恋人の女とのエロエロのシーンから始まり。その後。問答無用でフラれる。 学生時代からの女友達が、何故かいきなり。宗教にハマりまくっている。 主人公、気が付いたら、バンバンにアルコール中毒のダメ人間になる。 そっから一応回復?して、まあ、あの、ええなあ、って感じの終盤に、流れ込む。 という。いやもう。え?なんなんこの展開?という、全く予想していなかった流れにドンドンと話、進むんです。ビックリした。なにこれ?なにこれ?という物語。 だが、それが、なんだか、こう、妙に納得できるんですよ。ああ、、、こういうの、、、あるかもなあ、、、ってか、うん。なんじゃこら?この展開、意味わからんぞ?という感じでは、ないのです。なんとも、納得、できてしまうんです。不思議と凄い。 凄い不思議な味わいでした。コレってアリ?ナシ?なんなん?って思いつつ揺れ動きつつ読んで、いやでも、うん。アリですね。って思う。思うに至った気持ちの動き。自分としては。面白かったですね。 どうなんだろう?好きか嫌いか?って、結構分かれるんじゃないかなあ、、、って内容でしたが、自分としては、最初は意味わからん、って思いつつ、途中から愛おしくなり、終わり口は極めて納得。ああ、ええもん読ませてもらいました、という印象。なんじゃこの感想?って感じですが、うん。好きです。こういうの。決してアルコールに溺れないようにしたい、、、という気持ちを、できるだけ持ち続けたいです。うん。 それにしても「ばかもの」って。「馬鹿者」ではなくて、なんか、ひらがなで「ばかもの」って、愛があるなあ、って、思いますね。日本語って、いいなあ。
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これ嫌な人は嫌かもしれない。いきなりエロエロで始まるし、主人公の男は超絶馬鹿で同情の余地もないし。 10代の頃に出会った年上の女性にドロドロにはまった挙句捨てられて、それ以降の彼の人生を追ってそのどうしようもなさを追体験出来る本です。 転落っぷりが妙にリアルでエロから始まった本の...
これ嫌な人は嫌かもしれない。いきなりエロエロで始まるし、主人公の男は超絶馬鹿で同情の余地もないし。 10代の頃に出会った年上の女性にドロドロにはまった挙句捨てられて、それ以降の彼の人生を追ってそのどうしようもなさを追体験出来る本です。 転落っぷりが妙にリアルでエロから始まった本のはずなのに、段々苦しい気持ちになって来て、中盤まで読んだときにはこの馬鹿男の友達になったような気分になっていました。 男女の情愛を書いた本ですが、これをどういう風に読むのかは人それぞれという気がします。でも私にとっては非常に刺さる本でありました。私はこの男のような要素はどちらというと無く、無難な生き方をする人間なのですが、それでもこういう本を読むと人生って一度きりなんだなあとしみじみ思いました。 酒、博打、女、薬物に嵌って人生台無しにする人は心が弱い、と思ってしまいます。実際そうなのではないかと思っていますが、その人間の弱さが極めて文学的です。強くて自分の道をまっすぐ歩いていく人の話はどちらかというとエンターテイメントですもんね。 絲山さんの本はやはり純文学なので、人の弱さにスポットを当てた作品が多いのでしょう。 これ、絲山さんの本の中で現時点最も好きです。
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