Yの悲劇 の商品レビュー
エラリークイーンがバーナビーロス名義で発表したミステリーの古典的名著。「ドルリー・レーン4部作」の第2部。世界の推理小説史上の名作として名高いが、とくに日本での人気が突出して高い。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file4/naiyou17401.htm...
エラリークイーンがバーナビーロス名義で発表したミステリーの古典的名著。「ドルリー・レーン4部作」の第2部。世界の推理小説史上の名作として名高いが、とくに日本での人気が突出して高い。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file4/naiyou17401.html
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クイーンの小説ではローマ帽子とXの悲劇を読んできた。共に探偵は事件の傍観者であり、謎を論理を使って解くことに集中していた。しかしこの事件においての探偵は、事件自体に感傷を抱いていたので、今までのクイーン小説とは少し違うなという印象を持った。 最後の部分で事件に同情しながらも、生きる資格のない人間なのですと言い切るところにドルリー・レーンというキャラクターが表れているのかなと思った。
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かなり期待して読んだのだけど、その期待が裏切られることはなかった。 すごいと思った。 まさかの連続だった。 そして、気が滅入る結末。まさに悲劇。 犯人が誰かを知ったらもう一度読む気にはなれそうもない。 最後のサム警視の疑問に納得出来る答えが用意出来ない。 この薬は大丈夫だと思ったの? でもそれならわざわざ飲まないよね。 でも何か細工したような気配は見つけられず… 私も最後まで計画通りにやってほしかったよ。
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まず、『Yの悲劇』というよりは、『H(ハッター)の悲劇』と言いたい。 個人的には『Xの悲劇』よりもヒント(?)が分かりやすく、 もしかしたらこの人物が犯人なのでは?と割と早くに思っていたけれど、 その動機や決着のつけ方は作者に任せて流れにのって読み進めた。 結果、ミステリの枠...
まず、『Yの悲劇』というよりは、『H(ハッター)の悲劇』と言いたい。 個人的には『Xの悲劇』よりもヒント(?)が分かりやすく、 もしかしたらこの人物が犯人なのでは?と割と早くに思っていたけれど、 その動機や決着のつけ方は作者に任せて流れにのって読み進めた。 結果、ミステリの枠だけに収まらないと思わせる、非常に味わい深い作品だった。 最後の示唆的な終わり方はどう捉えたらいいのか。 犯人のミスを知りながら見過ごしたのか、 それともレーン自身が・・・ おそらく後者か… だとすればレーンと、そしてそれを知ってしまった ブルーノの葛藤や苦悩はまさに筆舌に尽くしがたい。
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状況描写、心理描写が細かく臨場感があり面白かった。ストーリーも良く練られており犯人が分からないように、そして最後に気がつくようにうまく構成されている。第3幕第6場で犯人に気がついたときには、なぜもっと早く気がつかなかったかと自分の想像力の低さに少しがっかりした。面白い、でも、悲劇...
状況描写、心理描写が細かく臨場感があり面白かった。ストーリーも良く練られており犯人が分からないように、そして最後に気がつくようにうまく構成されている。第3幕第6場で犯人に気がついたときには、なぜもっと早く気がつかなかったかと自分の想像力の低さに少しがっかりした。面白い、でも、悲劇の中身は楽しい本ではない。
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小学生の時、読書感想文を書いた。 衝撃的な話だったのを覚えている。 久しぶりに読んでみて、面白かった。 クィーンの葛藤には、あのころは気が付かなかったな。
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Xの悲劇を読了し、「さあ次に……」といった具合にYの悲劇を手に取った。前作は普通の探偵小説という印象を受けたが、今作の衝撃は想像のはるか上をいっていた。 他の方も言っているとおり、勘の良い人なら(あるいはミステリを読み慣れている人なら)犯人には気付くだろう。しかし犯人やトリック...
Xの悲劇を読了し、「さあ次に……」といった具合にYの悲劇を手に取った。前作は普通の探偵小説という印象を受けたが、今作の衝撃は想像のはるか上をいっていた。 他の方も言っているとおり、勘の良い人なら(あるいはミステリを読み慣れている人なら)犯人には気付くだろう。しかし犯人やトリックを見抜いたところでこの作品の面白さが薄れることはない。 探偵役のドルリー・レーンがどのような心情で事件と関わっていたのかを考えると心苦しくも思う。しかし彼の選択にこそ〝ドルリー・レーン〟という人物が表れているように感じた。 犯人に気付いてしまった人ならば、レーン氏と同様「まさか」という気分を味わいながら作品を読み進めることができると思う。読了後の何とも言えぬ虚無感は流石と言わざるを得ない。 訳もとても読みやすく、決して古くささを感じさせない。是非ともお勧めしたい一冊である。
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4 第一幕第四場ルイーズへの事情聴取のシーンが名場面。ピンと張りつめた緊迫した状況、謎とヒントの提示のされ方が絶妙で、本格の醍醐味がぎゅっと凝縮、俄然引き込まれる至福タイム。新訳も好印象。
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人は人の善性を信じ、それを尊厳の源としている。 人は、人の愚かさ、悪性を繰り返し語るが、語る間はどんなに僅かでも善なるものへの信仰を抱いている。 人は、堕落からの回復という夢も信じている。現実には困難でも、どんな人間も、善き方向へ変化できると。 そうでなければ、人は生きて行けない。絶望は、致死性の高い毒だ。 古典的な探偵小説の探偵は、多くの場合、正義の人だ。 捻くれていたり、偏屈であっても、エゴによる殺人を憎んでいる。欲望を動機とする殺人は、人の尊厳を踏みにじる行為だからだ。 故に、真実を明らかにし、殺人者を糾弾する。 人は正義の生き物ではない。そも、正義とは絶対的なものでさえない。探偵は、悪に対しても理解を示す。だが、正義を成せば成すほど、探偵の、人間性は偏ってゆく。これもまた、毒だ。 神ならざるレーン氏は、自己の許容範囲を超えるほど歪んだ悪意に絶望した。もし、彼がもう幾ばくかの悪性や、人に対する失望を持っていたら、無責任に見放すだけだったろう。 レーン氏の行為は、人肉の味を覚えた猛獣を始末したようなものだ。人の社会を守るための止む得ない行為だった。 だが、しかし。 人の善性、堕落からの回復、尊厳。そういったものを踏みにじり、老境に差し掛かった氏を絶望させた少年を、氏は憎まなかっただろうか? 恐らく、氏はこの先、自己に問いかけ続けるのだろう。 ルイーザの、三重苦にもめげず、勇気を持って生を全うしようする姿勢は、善き人間の可能性を象徴しているように読めた。彼女の静かな死は、この物語の絶望に拍車をかける。 ルイーザの死は終幕後であったが、この舞台に満ちる絶望の深さを、レーン氏は感じ取っていたはずだ。ではなぜ、彼は決断したのだろう。 絶望は致死性の高い毒だ。ヨーク・ハッターのように死を選ばずとも、魂が腐り、無気力な放置を選択することもできた。そうすれば、少なくとも彼は、自分が偽善者という疑いを背負うことはなかった。 それでも彼は、恐らくは確実に手を下した。 絶望による魂の安楽死を拒絶してまで、何故? 老境に差し掛かるレーン氏は、人の善性や堕落からの回復の実例もまた多く知っていた。まだ多くの善きものがある世界へ、悪意の猛獣を解き放つことはできなかった。 これは殆ど私の妄想だ。ただ、エンディングのレーン氏の痛ましさの理由をこじつけたに過ぎない。 痛みとは、生きる者の感覚であり、死するもの、麻痺した者には持ち得ないものだから。
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ドルリー・レーンの第二作目。 一般的にはXとYの悲劇が有名だそうですね。 犯人についてですが、まさかまさかとは思っていましたが、こいつが犯人か…とは思いました。 脚立の描写などの描写で、最後の方ではこいつか…?とは思ってはいましたが…。 ただ、あの勘違いは英語ならではだと思うので、日本人には言われてもピンとはきませんね。 あとは動機。殺人を行うのに特別な理由は要らないとは言いますが、何というかあんまり納得できないというか…。 私が一番気になるのは、最後のエピローグの所で、ドルリー・レーンの不審な物言いですね。 何故間違ってしまったのか。…もしかして…。
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