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赤朽葉家の伝説 の商品レビュー

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211件のお客様レビュー

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2025/01/27

山陰の製鉄業で財を成した旧家の三代に渡る女性の年代記 以下、公式のあらすじ --------------------- 「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれるこ...

山陰の製鉄業で財を成した旧家の三代に渡る女性の年代記 以下、公式のあらすじ --------------------- 「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。2006年を締め括る著者の新たなる代表作、桜庭一樹はここまで凄かった! --------------------- 1953年から現代より10年前くらいまでの山陰地方を舞台にした地方の名家の三代記 製鉄業で栄える旧家の赤朽葉家 冒頭は現代パートの三代目視点の回想という形 後に赤朽葉に嫁ぐ事になる万葉が、山の民に置いていかれるところから物語が始まる 千里眼万葉時代 不良毛毬時代 名探偵瞳子時代 祖母の万葉は予知の能力があったのと、戦後と高度経済成長に伴う赤朽葉家の隆盛期 母の毛鞠は激動の世の中と丙午の年に生まれた気性と合致してしまった不良の時代でもあり、赤朽葉家の衰退を少女漫画家としての稼ぎで留めた時期 物語の語り手である瞳子は過去を振り返りながら、祖母の語った言葉の真意を探す 果たして、祖母の万葉は本当に人を殺した事があるのか?殺したとしたら誰なのか 戦後、高度経済成長、所得場像計画、職人の減少に伴う近代化、それに伴う公害問題 団塊ジュニア世代の学歴社会の受験戦争と落ちこぼれの二極化、暴走族の台頭、バブル景気など 歴史としての出来事や、少し上の世代の出来事として実感はないけれども知っている空気感、そして実体験として存在する社会情勢 本としての分量もさることながら、物語としての情報量も多い 万葉は地方の昭和史そのものだし 特に、毛鞠時代の暴走族の勢力争いなんて、城平京のスパイラル外伝「鋼鉄番長」を読んだような気分だ それでいて、途中から少女漫画家に転身するあたりは漫画家の修羅場エッセイのようでもある そして、瞳子も途中までは祖母や母に比べて平凡な女性の人生かと思いきや、いきなりミステリになる しかもその謎の対象がこれまで語られてきた赤朽葉の歴史という構造に面白さを感じる 万葉が昔に見た、空飛ぶ一つ目男のイメージ その人物が誰かは判明しているが、なぜ飛んでいるのか? そんなところにヒントがあるとはねぇ…… あと、面白いなと感じたのは、みどりと万葉の関係かな 子供の頃は苛めっ子と苛められっ子だったのに みどりの兄の死をきっかけにそれまでとは違った関係性になり 晩年は落ちぶれたみどりが同居しているのが普通になるというね それにしても、赤朽葉はほぼ無関係の高等遊民が多いなぁ 現代でこんなことできる家はまずない もしかして、富裕層では未だにこんな事ができたりするのかしら?

Posted byブクログ

2024/12/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

桜庭一樹先生の代表作の一つ。 1番大好きな作家さんなのに、なぜ今まで読まなかったのだろう。 桜庭先生独特の世界観が大好きです。 ミステリーと聞いていたけれど、1部、2部は全くミステリー色がなく、あれ?と思っていたところ、3部でミステリー色が出てきました。 3部の主人公が付けられるはずだった、「自由」という名前、これは「家」というものから「自由」になる世代という意味で付けられたのではないかと思います。 万葉も毛毬も生き方は違えど、「家」に属して、「家」を守っていた女たち。 瞳子はきっと「家」に縛られず、「自由」にこの物語が終わった後も生きていくのでしょう。 そして、きっと赤朽葉家は静かに終わりを迎えるのでしょう。 最後の3行は私たちのような、これからの未来を生きて、作っていくための人に向けた言葉。 ビューティフルワールドを作って、生きていく私たちへの言葉です。

Posted byブクログ

2024/12/11

始め物語が頭に入ってくるまで時間がかかり何ヶ月にも渡って読んでしまったが、軌道に乗ればストーリーが面白く早く読めた。文章はくどいところがあり、同じ言い回しが何度も出て来たり時系列が分かりにくかったり、個人的には必要のない文章があったりで、それが読みにくかったかなと思う。でも最初の...

始め物語が頭に入ってくるまで時間がかかり何ヶ月にも渡って読んでしまったが、軌道に乗ればストーリーが面白く早く読めた。文章はくどいところがあり、同じ言い回しが何度も出て来たり時系列が分かりにくかったり、個人的には必要のない文章があったりで、それが読みにくかったかなと思う。でも最初の千里眼の伏線が本当に最後に綺麗に回収されてスッキリした。

Posted byブクログ

2024/10/20

2024.10.20 読了 千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもない私。戦後史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たちを比類ない筆致で鮮やかに描き上げた雄編。 万葉編は少しファンタジックで世界観を掴むのが難しかったけど毛鞠編は自分が育った時代に近かったのでめちゃくちゃある...

2024.10.20 読了 千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもない私。戦後史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たちを比類ない筆致で鮮やかに描き上げた雄編。 万葉編は少しファンタジックで世界観を掴むのが難しかったけど毛鞠編は自分が育った時代に近かったのでめちゃくちゃあるあるだらけで楽しく読めました。 最後の瞳子編は瞳子自身の人生はごくごく平凡だけどミステリーとしての面白さがありどんどん読み進められました。

Posted byブクログ

2024/09/29

女3代いやタツさんも入れると4代の昭和の戦後の高度成長時代から平成、21世紀に跨る赤朽葉家の歴史の物語 それぞれが不思議な力を持っており、家の存続に力を果たす 男よりも女性の方が守るという事に合っているだろう それにしてもそれぞれ不思議なエピソードでグイグイと引き込まれていく ま...

女3代いやタツさんも入れると4代の昭和の戦後の高度成長時代から平成、21世紀に跨る赤朽葉家の歴史の物語 それぞれが不思議な力を持っており、家の存続に力を果たす 男よりも女性の方が守るという事に合っているだろう それにしてもそれぞれ不思議なエピソードでグイグイと引き込まれていく また、周りの登場人物たちも個性が強くネーミングセンスも抜群、サンカの存在や古代より受け継いできたたたら場など物語に華を添えまくっている トーコにも必ず何かしらの能力はあるはずで、鞄にもあるのかな? 丁度いいサイズの読み応えと満足のいく物語でした

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2024/05/17

女三代の登場人物の視点で描かれた物語で複数のテーマを包含しているが、桜庭一樹の独特の世界観も根底にあって良い意味でのアンマッチ感が面白かった

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2024/05/03

親子3代のお話だったので、時代の流れを感じられました。 それぞれの時代の若者の特徴をすごく的確に表現しているなと思いました。 このまま物語が続いていたら、令和の若者はどんなふうに表現されるのでしょう?

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2024/03/24

終戦後から平成の中頃までを、実際の出来事にも触れながら紡がれる女三代記でした。 語り部である三代目、瞳子が私と同じ頃の生まれで、誰か人伝に聞いた話のように読むことができ、社会情勢や価値観、暮らしなど移ろう時代を登場人物に想いを馳せて読んでいました。 特に一代目万葉の時代の話が...

終戦後から平成の中頃までを、実際の出来事にも触れながら紡がれる女三代記でした。 語り部である三代目、瞳子が私と同じ頃の生まれで、誰か人伝に聞いた話のように読むことができ、社会情勢や価値観、暮らしなど移ろう時代を登場人物に想いを馳せて読んでいました。 特に一代目万葉の時代の話が、実家に伝わる古い話とどこか似ていて、お気に入りです。

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2023/12/24

あとがきで「全体小説」という表現が使われているが、その名に負けない、色々な要素の詰まった作品。たくさんの要素の中で個人的に注目したいのは万葉の健気さと律儀さ、そして時代という名の大きく加速するエントロピー。 ただ、ミステリーではないので出版レーベルの選択は間違えだと思う。また瞳子...

あとがきで「全体小説」という表現が使われているが、その名に負けない、色々な要素の詰まった作品。たくさんの要素の中で個人的に注目したいのは万葉の健気さと律儀さ、そして時代という名の大きく加速するエントロピー。 ただ、ミステリーではないので出版レーベルの選択は間違えだと思う。また瞳子につけようとタツが考えていた名前が「自由」というのにも違和感を禁じえず (どうせなら「転機」とか...)、また万葉の一代記 (を瞳子が語るの) でも良かったと思う。

Posted byブクログ

2023/11/19

話は3部作構成。鳥取の名家赤朽葉家の女三代の物語。里で拾われた山窩の子供、千里眼の万葉。未来に起きることを幻視する。大奥様のタツのひと声で赤朽葉に嫁入り。その娘でレディースから漫画家になった毛鞠。恋愛、抗争、友情、そして青春の終わり。更にその娘、まだ何者でもない瞳子。万葉、毛鞠が...

話は3部作構成。鳥取の名家赤朽葉家の女三代の物語。里で拾われた山窩の子供、千里眼の万葉。未来に起きることを幻視する。大奥様のタツのひと声で赤朽葉に嫁入り。その娘でレディースから漫画家になった毛鞠。恋愛、抗争、友情、そして青春の終わり。更にその娘、まだ何者でもない瞳子。万葉、毛鞠が主役の2部目までは、これはいわゆる大河小説か?という展開。日本の経済発展、オイルショック、バブルへと。 当時の風潮を思い出しながら波乱万丈の2人の人生を愉しむ。それが面白い。自分の親の世代の万葉も、自分の世代の毛鞠も私の知ってる時代とは少し違う気もするが地域の違いか、個人の違いか。そこは小説だから御愛嬌。 そして瞳子の出てくる3部目になって思い出したかのように殺人の話が出てくる。登場人物が、その昔の殺人を告白するのだ。誰が殺されたのか?なぜ?どうやって?という謎解きに瞳子が挑む。その謎を解く伏線は前の2部、大河小説部分に隠されている。だからこんな突飛な2人の女性の人生を描いたのかと、そこで気づく。 そもそもこれは推理小説なのか?と思いながら読んで、違うけど面白いなと思い始めた頃に謎が提示されるから、そのときにはもう推理小説としての興味を失っている。謎解きはどうでも良いのだが、上手に作っている。それが良いのか悪いのかわからんが何より小説にいちばん大事なこと、お話として面白いので十分だ。

Posted byブクログ