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撤退の農村計画 の商品レビュー

3.4

17件のお客様レビュー

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2022/04/02

問題提起としては重要だけど、議論のたたき台にしても薄っぺらい。センシティブかつ挑戦的なテーマなのだから、もっと責任もって土台となる考え方や実践のあり方を示してほしかった。 終章だったか、「『最後の一人まで住み続けた』ことは評価されるべきであろうが、『地域の持続性』という面では明...

問題提起としては重要だけど、議論のたたき台にしても薄っぺらい。センシティブかつ挑戦的なテーマなのだから、もっと責任もって土台となる考え方や実践のあり方を示してほしかった。 終章だったか、「『最後の一人まで住み続けた』ことは評価されるべきであろうが、『地域の持続性』という面では明らかに敗北である。」という表現があり、あまりにも当事者への配慮が欠けているし、気分がわるかった。勝ち負けではないところで地域の持続性を考えるべきだと私は思う。

Posted byブクログ

2021/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

下記は少し長い前置きとして、私の考え。 --- 日本の多くの中山間地で、今後の人口減少は避けられない。 したがって、多くの中山間地の集落は、 今後、持続可能ではないと考えるべきだ。 活性化、再生、交流、それらはある意味幻想にすぎない。 持続不可能な集落を、終わりつつある人生の終わりになぞらえて、 終わりゆくものをそうならないように力を尽くす、 ということは、情緒的に美しいことではあるが、 後世代のことや、ライフライン・土木インフラの 財政負担のことを考えれば、その行為は誤っている。 人口や財政負担推計から持続可能性の低いところは、 一刻も早く「撤退」という意思決定をすべきなのだ。 それをずるずると先延ばしにすることは、 次世代に負担(移転コスト、地方債)を繰り延べることになる。 ---以上、前置き--- どのように撤退を進めるのか、その視点を学ぶため、購読。 結果、本書は、下記の点であまり内容が深くなかった。 ・「撤退の農村計画」とするからには、  その計画の骨子を示し、集落や自治体担当者にとっての  ガイドラインになるような内容が欲しかった。 ・集落以前に、人の生活を支えているインフラの維持に係る  財政運営の視点がない。  「道路などの撤収はできない」という半ページほどの  記述はあるが、水道や下水道、道路を維持する  財政運営が持続可能なのかどうか、という視点から、  集落の持続可能性を論じてほしかった。 ・「道路などの撤収・管理の簡素化とその効果」のパートで、  「GISが大いに役に立つであろう」  と書いてあるが、その分析手法や結果・計画への  反映のしかたを明示するのが、研究の肝心なところなのに、  書いてない。役に立つであろう、って他人事だな。  それを研究者がやらずして誰がやるのか。 まとめると、この本を読んだ率直な感想は、 「中身が浅い本だなあ」ということ。 その分野に関連する様々な人の執筆を寄せ集めて、 多角的に論じた書物のように見せているが、 実際は、関係者が何となく考えている、 「撤退」に関連していそうなことを、 コンパイルしただけの、まとまりのない本、という印象。

Posted byブクログ

2021/01/21

「集落から本当に人がいなくなるという時に、何をしていくのか」に焦点を当てて語られています。 * 実際、私も「あと1軒しか居住者がいない集落」等を見てきた中で、人が関与し続けることで風土を維持していく方法と、そうではない方法があるだろう、と思っています。 人口減少が特に著し...

「集落から本当に人がいなくなるという時に、何をしていくのか」に焦点を当てて語られています。 * 実際、私も「あと1軒しか居住者がいない集落」等を見てきた中で、人が関与し続けることで風土を維持していく方法と、そうではない方法があるだろう、と思っています。 人口減少が特に著しい中山間地域。いよいよ集落から住民がいなくなるかもしれない、という時に、地域住民、その支援者たちは、どんな点を抑えておくべきか、について整理されているという感じの本です。 山林や田畑などの自然資源、道路や水道、住宅などの生活インフラ、あるいは伝統農法や芸術文化などの知的資産、などの資源について、実際に放置すると何が起きるのか、俯瞰的に解説されています。 それらを悲観論として捉えるというよりは、住民自身が意思をもって選択していくことが重要、という話です。 * ちなみに私が所属するコミュニティデザイン事務所 studio-L 代表の山崎亮さんも、編著に加わっていて、彼は集落の移転について「コミュニティ転居」を提案しています。 阪神淡路大震災では被災者が仮設住宅への転居を余儀なくされ、転居先は機械的に割り振られたために元々のコミュニティが分断され、うつ病などを発症する高齢者がいた、と。 その教訓から、災害時に仮設住宅へ転居する際には、コミュニティ単位での転居を計画するケースがあると。その場合、つながりは維持され、物理的な痛手はあるけれども、良好な精神状態で生活を続けることができている、と。 これを、平時における集落移転においても応用することはできないか?という話ですね。 * 都市部と中山間地域では、生活上の論点が大きく違うように見えますが、どちらも一つの国の現実であり、自分はどう認識してどう行動していくのか、自分なりに問いを立てながら生きていきたいものです。

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2020/04/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

これからの国土再編に向けて一読すべき書。 農村の現状や今の施策の問題点を明示したうえで、過疎地域からの積極的な撤退の有効性を論じている。 ただ、共著のため各省の内容の深さや質に差がある。 また、森林環境や政策の実効性について、楽観的と感じる部分が散見された。

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2016/05/19

集落のコミュニティ、文化、伝統、生活全般から周辺環境までを100年後、200年後へとあるべき形で受け継いでいくために今何をすべきなのか──財政悪化や少子高齢化でこれまでの態を維持できなくなってきた今、取るべきは消極的な撤退ではなく体力温存と形勢立て直しのための「積極的な撤退」だと...

集落のコミュニティ、文化、伝統、生活全般から周辺環境までを100年後、200年後へとあるべき形で受け継いでいくために今何をすべきなのか──財政悪化や少子高齢化でこれまでの態を維持できなくなってきた今、取るべきは消極的な撤退ではなく体力温存と形勢立て直しのための「積極的な撤退」だと著者陣は主張する。夢物語にさせない緻密な論究は時に語気を強めて読者に現実を見ることを促す。不退転の決意と希望に下支えされた力強い提言に感動すら覚える。

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2015/10/20

住民を見ているのか、中央政府を見ているのか… 本書は過疎地域の再編についてのもので、半分を筆頭著者の林直樹氏が、残りをその他著者がそれぞれ執筆している。 林氏執筆部については、「財政が危険で危ないから歳出削減」といったニュアンスの文面が所々に出てきており果たして住民を見ているの...

住民を見ているのか、中央政府を見ているのか… 本書は過疎地域の再編についてのもので、半分を筆頭著者の林直樹氏が、残りをその他著者がそれぞれ執筆している。 林氏執筆部については、「財政が危険で危ないから歳出削減」といったニュアンスの文面が所々に出てきており果たして住民を見ているのか自治体を見ているのかはたまた中央政府を向いているのか読んでいて首を傾げたくなる部分が多い。 他著者にはそのような面はなく、中でも6章の土地・動物管理についての各著者の主張(のさわり)は見る部分はあるとは思う…が、いかんせん紙幅が少ないため詳細に触れる前に終わってしまうのが残念

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2014/10/05

議論として非常に浅く感じる。それは民俗学や文化人類学あたりからのカバーがなされていないことによるのだろうか。確かに「全て」の生き残りなど不可能だし、たぶんそれはどんなに科学技術が発展しようともそうだ。「コミュニティ転居」はごもっとも、ただ逆にそこまでして守りたいものなかはひとつひ...

議論として非常に浅く感じる。それは民俗学や文化人類学あたりからのカバーがなされていないことによるのだろうか。確かに「全て」の生き残りなど不可能だし、たぶんそれはどんなに科学技術が発展しようともそうだ。「コミュニティ転居」はごもっとも、ただ逆にそこまでして守りたいものなかはひとつひとつのやり取りからしか分からない。例えばその世代が入れ替わるまで、地道な人海戦術でこんな風に一人送り込み、そしていつの日かの看取りが合わさることも、それが人の世ではないかとも真面目に考えている。ただそれと国全体としてみた時の防災面でのコクドホゼンや食糧面での維持整備、生活面での文化継承を同時に進めるのは確かに困難かとも思う。つまるところしかし書籍としては非常に薄く肩すかし。

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2013/11/12

早稲田の農山村体験実習の講義を引き受けてみて、いざ自分自身があまり集落存続問題を具体策として考えたことが無いことに気付いた。どうもその辺が、学生のプレゼンに対するコメント力の無さに繋がっている感じがする。ので、この本に書かれた「問題のとらえ方」「振興だけではない様々な可能性」を考...

早稲田の農山村体験実習の講義を引き受けてみて、いざ自分自身があまり集落存続問題を具体策として考えたことが無いことに気付いた。どうもその辺が、学生のプレゼンに対するコメント力の無さに繋がっている感じがする。ので、この本に書かれた「問題のとらえ方」「振興だけではない様々な可能性」を考えてみたい。

Posted byブクログ

2013/10/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

人口減少社会において、農村部の集落を移転することを提案している。 都市の人々を農村へという流れも一部あるが、それだけでは不十分だという理由を挙げている。 若者の移転は、ニーズは一定程度あるものの、受け入れ側の空き家を貸したくない(時々何かで使うため)、村独特の文化になじみにくいなどの理由がある。小児科がないというのも面白い視点。 二地域定住については、移動に大気汚染などのコストがかかるし、税金もかかる。 定年帰農は、体力的な問題、安全面。 集落に人が少なくなると害獣対策が難しくなる。 焼畑は悪いことばかりではない、2種類の方法があり、森林破壊として言われているものと別のものもある。 移転をすることで、元の場所をどう利用するか、利用しないことによってどのような影響が出るかも記載されている。 農地を放牧に転用するのは一つの方法。おそらく臭いとかが障害になるのだろう。

Posted byブクログ

2013/05/29

積極的撤退 事例が既にある  一番奥にIターンの場合の費用負担どうするのか 除雪費用が大きい 道路の維持管理なくす スパッと切った方が楽にはなるが精神的にはきつい

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