いちにち8ミリの。 の商品レビュー
・ゴリづらの木 ・手裏剣ゴーラウンド ・いちにち8ミリの。 の3本が収録された短編集。 どれもほっこりとしたストーリー展開で、さわやかな読後感だ。 いちにち8ミリの。は父らも氏のガダラの豚を世っと思い出させてくれた。
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3つの短編の小説デビュー作。 ・ゴリづらの木 ・手裏剣ゴーラウンド ・いちにち8ミリの。 どれも哀愁が漂う物語で、特に閉鎖寸前の遊園地に現れる忍者が巻き起こす騒動を描いた「手裏剣ゴーラウンド」は、もっと続きが読みたくなるほど、お気に入りになりました。
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中島らも氏の娘である中島さなえさんの処女短編集『いちにち8ミリの。』を読了。小説を書く才能は遺伝しないとは思うが、なかなかの面白さだった。特に読んでいて人に対する優しい視線を感じるという点では、父娘の作品に共通するところがあるように思えた。親の七光りを狙った訳でもないだろうから親...
中島らも氏の娘である中島さなえさんの処女短編集『いちにち8ミリの。』を読了。小説を書く才能は遺伝しないとは思うが、なかなかの面白さだった。特に読んでいて人に対する優しい視線を感じるという点では、父娘の作品に共通するところがあるように思えた。親の七光りを狙った訳でもないだろうから親と同じファンタジー小説でもって著作業に挑戦する勇気はただものではない。この作品にはファンタージー短編が3編が納められているが、個人的には2作目の『手裏剣ゴーラウンド』が優しさあふれるものがたりで、一度読み直してしまったほどだ。今後に期待かな。
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非現実的なおはなしなのに、三編とも、グッと胸を掴まれる箇所がいくつもあった。心地よく読み進んでいった。
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思い出話を誇らしげに語る人は嫌いだ。それが自虐ネタであったとしても、あくまで過去の笑い話として片づけて、「でも、今は違う」みたいな自尊心を嫌らしくのぞかせる人がいるのだ。 その思い出が自慢であろうが自虐であろうが、それに浸っている限り、人間はそこから抜け出すことができない。 ...
思い出話を誇らしげに語る人は嫌いだ。それが自虐ネタであったとしても、あくまで過去の笑い話として片づけて、「でも、今は違う」みたいな自尊心を嫌らしくのぞかせる人がいるのだ。 その思い出が自慢であろうが自虐であろうが、それに浸っている限り、人間はそこから抜け出すことができない。 でも、そこから抜け出して前向きになるべきかと言われれば、無理にそうする必要もない気がする。というか、どうしてもそこに戻らざるを得なくなっているのではないだろうか、人生というものは。誇るべきものがある人は誇らしくあり続けるだろうし、情けない思い出しかない人は情けないままであるのだろう、大概の場合は。 ただ、それをありのままに表現しながら生きていくのが面倒臭くて辛いだけ、なのだと思う。だから色々な脚色をつけて、ノスタルジーを込めながら“思い出話”を語りたがるのだと思う。誰もが皆。 三つの短編。どれも面白い。何が面白いって、登場人物が過去の思い出に縛られながら、どうしようもなく今を生きているのがわかるから。なんだか可笑しくて、少し悲しい。 このへんの風味は、お父さん譲りなのかなあ。
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予想に反して、ナイフで刺されたような痛みと、その後鼓動と一緒に傷がズキンズキンするような痛み。 静まりかえっていく・・・ 一方で、ズキンズキン音がしている、そんな感じ。
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一見別物に見える3つの短編が、いくつか似ている部分がある。 非現実的なんだが、その出来事から学ぶというか、悟るというか、それが共通している。このことが自分の生活にとても近くて妙に腑に落ちる。 そこにハッピーエンドもバッドエンドも詰め込まれている共通点にもまた現実を強く感じさせられ...
一見別物に見える3つの短編が、いくつか似ている部分がある。 非現実的なんだが、その出来事から学ぶというか、悟るというか、それが共通している。このことが自分の生活にとても近くて妙に腑に落ちる。 そこにハッピーエンドもバッドエンドも詰め込まれている共通点にもまた現実を強く感じさせられる。 普段何気なく持つ感情が物語のそれと重なって考えさせられる。 ともすると親の七光りみたいに感じられてしまうかも知れないが、自分としては、そういった印象抜きに純粋に久しぶりに良い小説読んだと思った。
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庭に植わっている大きな木の上にいる男の子の内緒話と、 忍者に命を狙われる閉園間近の遊園地の園長の話と、 いちにち8ミリ動いた石と、猿の話。 3話の中編集。 可もなく不可もなく。 きれいすぎて まっすぐすぎて うまいこと書こうとしすぎてて ぎゃくに、私には伝わりにくかった。 い...
庭に植わっている大きな木の上にいる男の子の内緒話と、 忍者に命を狙われる閉園間近の遊園地の園長の話と、 いちにち8ミリ動いた石と、猿の話。 3話の中編集。 可もなく不可もなく。 きれいすぎて まっすぐすぎて うまいこと書こうとしすぎてて ぎゃくに、私には伝わりにくかった。 いい話だと思ったんだけど、説明しすぎるお話だなとも思った。 中島らもの娘っていうのは、作品じゃわかんなかったな。
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ここしばらく、ほとんど読んだことのない日本の作家の作品を読むことにしているのだけれど、そういう中で出会った本の中では、一番気に入った。 短編が3本。タイトルにもなっている最後の作品は中編と言っていい。 最初の作品は、重松清とか浅田次郎が書きそうな、心温まるファンタジーって感じ...
ここしばらく、ほとんど読んだことのない日本の作家の作品を読むことにしているのだけれど、そういう中で出会った本の中では、一番気に入った。 短編が3本。タイトルにもなっている最後の作品は中編と言っていい。 最初の作品は、重松清とか浅田次郎が書きそうな、心温まるファンタジーって感じ。ありがちのというか、みえみえのというか、本当に予想通り話が進んでいくんだけど、実は僕は、この話が一番好きだった。ほらほら、こう来るぞ、と思いながら読んで、本当にそう来るんだけど、なんというか、構えたミットにびしって速球が投げ込まれて、びしっていい音がする、って感じなんだな。 2本目は、遊園地に意外なお客さんが来る話。コミカルなんだけど、丁寧に書かれていて、最後の山場がいい感じでびっくりできた。 最後の作品がタイトル作。ある意味、純愛ドラマである。それに、宗教というか詐欺というか、ちょっとした事件が絡む。その事件の顛末は、正直説明不足というか、冷静に考えると「あれ?」ってところがないとは言わないんだけど、それもひっくるめて、一種独特の味を出している。全体として、コミカルと言えばコミカルなんだけど、それがだんだん切なくなってくる感じもいい。 何で、こんなに良かったなって思ったんだろう。 たぶん、作者のまなざしだ。うまくいかないとか、かっこわるいとか、落ち込んじゃうとか、器用に生きられないとか、そういうことに対して、すごく親和的なんだ。物語として、そういうことを解決するとか慰めるとかそういうことではなくて、「あー、僕らってそういうのが当たり前でいいんだな」なんて思う。だから、読み終わって結構切なく、でも元気になる。 おもしろかったし、なんだかすごくジーンときた。よかった。
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中島らもの娘さんが書かれた本という先入観があったのは確かなんですが。 いい意味で裏切られた感じ。 こういう話ってどっちかというと好きかも。
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