いちにち8ミリの。 の商品レビュー
読み切り三編が収録されているこの作品集は、著者のデビュー作。親の七光りという声もあるが、世間の評判は上々のようだ。三編の中では、一作目の「ゴリづらの木」が秀逸。あまり出来が良くなさそうな中学3年生の女の子となぜか木の上で過ごす不思議な少年との出会い。子供の頃の昔懐かしい思い出は、...
読み切り三編が収録されているこの作品集は、著者のデビュー作。親の七光りという声もあるが、世間の評判は上々のようだ。三編の中では、一作目の「ゴリづらの木」が秀逸。あまり出来が良くなさそうな中学3年生の女の子となぜか木の上で過ごす不思議な少年との出会い。子供の頃の昔懐かしい思い出は、いつか年老いた祖父の昔年の思い出と重なる。予定調和的な展開だけれど、なかなか見事な語り口。意外なエピローグも余韻を残すファンタジー。これに較べると、二作目の「手裏剣ゴーラウンド」は、ささやかなユーモアは感じられるものの感動少なし。タイトル作「いちにち8ミリの。」は、ややアヴァンギャルドな里山の寓話だ。まだまだこれからというのが個人的な感想。
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表紙と帯とタイトルに惹かれて購入。 よかった。 読み進めるのに心地よくて、入り込みやすい空気感でした。 忍者の話が好きだなぁ。 最後読めるんだけど、微妙に裏切ってそしてめっちゃかっこいい!!
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中島らもさんの娘、中島さなえさんの小説デビュー作。庭にある、この村で一番大きなアカガシの木(ゴリづらの木)の枝の上に居る少年と少女の物語を描いた「ゴリづらの木」閉園の決まった遊園地の園長、林さんの下に「先祖代々の仇」として命を狙う忍者の荒巻さんがつきまとう「手裏剣ゴーラウンド」少...
中島らもさんの娘、中島さなえさんの小説デビュー作。庭にある、この村で一番大きなアカガシの木(ゴリづらの木)の枝の上に居る少年と少女の物語を描いた「ゴリづらの木」閉園の決まった遊園地の園長、林さんの下に「先祖代々の仇」として命を狙う忍者の荒巻さんがつきまとう「手裏剣ゴーラウンド」少女に恋をしてしまった猿と、石とカラスの物語「いちにち8ミリの。」の3篇を収めた作品集。いしいしんじさんよりは現実世界に近いけれどやっぱり不思議なファンタジー。少女の暮らす姿を見たいためだけに一日に8ミリずつ動いて丘の上に移動する「石」。その石と会話する事が出来る猿はその少女に拾われて以来少女に飼われている猿の壮太。この猿の一人称で語られる世界は、猿の目から見た世界だから不思議に見えるだけで同じ世界を人が見たら普通の世界なのかも知れないと思った。
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