音もなく少女は の商品レビュー
暴力的な父と、気弱な母の間に生まれた聴覚障害を持つ少女のイヴ。そんな母娘の前に現れた女性”フランは、二人の生活に積極的にかかわり、二人の生活は徐々に良くなるように思えたのだが… いくつかの犯罪が出てくるため、サスペンスといえばサスペンスですが、この小説の本質はそこではありま...
暴力的な父と、気弱な母の間に生まれた聴覚障害を持つ少女のイヴ。そんな母娘の前に現れた女性”フランは、二人の生活に積極的にかかわり、二人の生活は徐々に良くなるように思えたのだが… いくつかの犯罪が出てくるため、サスペンスといえばサスペンスですが、この小説の本質はそこではありません。この小説が描くのは不幸に負けず生きようとする女性の姿です。 聴覚障害というハンデ、道を踏み外していく父、生まれながらにして、そうした宿命を背負わされるイヴですが、運命はさらに過酷です。光が見えたと思いきや、それが理不尽に、そしてあっけなく奪われてしまうことが多々あります。 やり場のない怒りや無力感に負けそうになるイヴ。それでも彼女はフランに支えられ、そして成長していくに従い、自分と同じような境遇の女の子を支える側にも回り、強く生きようとします。その姿の力強さこそが、ミステリやサスペンスの枠を超えて評価されたのだと思います。 イヴを支えるフランも、戦争の際、心身に深い傷を負った女性です。だからこそこの二人が、親子の絆をこえて、より深く結び付いていく姿も、心に迫ってきます。 文章は少しクセがあり、読みにくく感じることもあったのですが、そのクセが女性たちの生きざまを凛々しく魅せてくれていることも確かだと思います。 2011年版このミステリーがすごい! 海外部門2位
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貧困、人種、性の差別に加え障害を持つという問題に、犯罪が絡んでくるお話しでした。 イヴには、カメラがあって本当に良かった。
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「このミステリーがすごい」にランクインしていたらしい。うーん、でもミステリーって感じはしなかった。むしろ、虐げられた女性たちが、助け合いながら生き抜く様子を描いた作品。映画化したら良さそう。
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ずーっと気になりながら手が出なかった本。世評が高かったことに納得しつつ、でもやっぱりこの題材はつらい。女性に対する暴力をテーマにしたものって、傑作だろうが何だろうが、その描写だけでダメージを受けてしまって苦しくなる。 本作は、全身全霊で過酷な運命に抵抗する女性たちを描いている。...
ずーっと気になりながら手が出なかった本。世評が高かったことに納得しつつ、でもやっぱりこの題材はつらい。女性に対する暴力をテーマにしたものって、傑作だろうが何だろうが、その描写だけでダメージを受けてしまって苦しくなる。 本作は、全身全霊で過酷な運命に抵抗する女性たちを描いている。独特の文体とも相まって、読み捨てにできない重みを感じた。ちょっと「その女アレックス」を思い出すが、あの絶望感とは違ったものがある。比較するのも変だけど、こちらが格上だと思う。
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【借りて読んだ本】 原題WomanとかThe World Eve Left Usとかあるが 確かに戦中から1970年代を舞台にした女性の話。 推理とかミステリーとかいう言葉で読み始めると 期待外れに思うかもしれないけど、 世界に傷つけられ、虐げられ、ろくでもない男たちに 抗い、戦...
【借りて読んだ本】 原題WomanとかThe World Eve Left Usとかあるが 確かに戦中から1970年代を舞台にした女性の話。 推理とかミステリーとかいう言葉で読み始めると 期待外れに思うかもしれないけど、 世界に傷つけられ、虐げられ、ろくでもない男たちに 抗い、戦った、愛に満ちた女性たちの物語。
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原題は『WOMAN』。こちらのほうが内容にふさわしい。 (米国での出版時に『The World Eve Left Us 』に変更されたらしい。だから日本語版の書誌事項に「WOMAN」の記載があるのかな?) 主人公は1950年生まれ。主なストーリーは1975年まで。 その頃のアメリ...
原題は『WOMAN』。こちらのほうが内容にふさわしい。 (米国での出版時に『The World Eve Left Us 』に変更されたらしい。だから日本語版の書誌事項に「WOMAN」の記載があるのかな?) 主人公は1950年生まれ。主なストーリーは1975年まで。 その頃のアメリカを舞台にした、サバイブする女性たちの物語。 登場人物は主人公から敵役までみんなメインストリートから排除されている。 聾者だったり有色人種だったり移民だったり貧困だったり犯罪者だったり子供や年寄りだったり独身子無しだったり、そもそも女だったり。 絵空事の清廉なんかじゃ困難な状況を生き抜けない。 でも、美しいものもある。 筋は違うけど、女性たちの連帯に『カラーパープル』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/408760117Xや『タブー』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4861870747(これはノンフィクション)を思い浮かべた。 『この世の終わりにおびえるフィリフヨンカ』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4061882260の美しさもある。 立ち上がることはそれ自体が希望になる。 目を引くけれど内容と合わない邦題もそうだけど、しっくりこない言葉がちょこちょこ出てくる。 「血脈」(血管の意味で)とか「惹き起こす」(惹起もしくは引き起こすではだめなのか?)とか「焼却室」(ボイラー室?ナチがでてくる話でこの言葉はどうなの?)とか。 特別じゃない場面にまでいちいち毎回毎回「手話で話した」と出てくるのもうっとうしい。 間違っているわけじゃないけど引っかかる。 「アパートのアパートメント」(アパート→建物、アパートメント→個人の部屋っぽい使い方)、「後知恵」も変。 内容を理解せずに訳しているような感じもある。 p211の会話は人物が逆じゃないかな。じゃないと意味が通じない。 誤訳なのか元からなのかわからない部分では、管理人のはずの人が管理人にいやな顔をされたり、数年前と現在が同じ年号だったり、年上の人が同い年になっていたりする。 周辺化された人々の描写はよかったんだけど細かいあらが目立つ。 聾者と聴者の世界の溝を「見る」シーンが鮮烈。
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読んでいる途中で、少し間が開いたからかもしれないが、特に面白いとは思わなかった…女性や耳の不自由な主人公が弱い立場とされてしまう時代を背景にした小説だが、ストーリー展開自体はシンプルで、あまりサプライズなどが無い感じ。まあまあかな。
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誰も正体を知らない謎の作家ボストンテラン。 が、女性の自立を描いたこの本を読む限りは女性なのかなあと思った。 文庫の表紙に書かれているせいか「原題は"Woman"」と書かれているのをチラホラ見かけるけど「Woman」ではなく「The World Eve Le...
誰も正体を知らない謎の作家ボストンテラン。 が、女性の自立を描いたこの本を読む限りは女性なのかなあと思った。 文庫の表紙に書かれているせいか「原題は"Woman"」と書かれているのをチラホラ見かけるけど「Woman」ではなく「The World Eve Left Us」と思う。ソースはWikiと米amazonと海外のブログとか。 しかし、表紙になぜ赤字で「Woman」と書いてあるんだろ? 紛らわしいね。 物語が訴えたかったことを考えると主人公の耳が聴こえないという設定は特に重要でないと思ったのでやはり原題「イヴが私たちに残した世界」のほうが個人的にはしっくりくる。 内容はつまらなかった…。文体も独特で読みにくかった。このミス2位とのことだが、これはミステリーだろうか?
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耳が聞こえない少女イヴは、過酷な環境で育ち、理不尽な目にあい、何度も絶望の淵に沈みそうになります。心と身体に傷を持つドイツ人女性との出会いは、魂の出会いでした。打ちのめされるような非情な世界に、女性たちがそれぞれ向かっていく姿は、崇高でさえありました。
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ミステリーではないがサスペンス色が強く読ませる小説だと思う。非常にダークな内容だが、少しの明かりが見えてきて読み終える。そんな小説。
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