最後の命 の商品レビュー
幼いこころに同じ出来事でトラウマを生む親友二人。消し去ることのできない衝撃は、思春期に、学生時代に、大人に成長しても二人のこころを締め付ける。悩み、衝動、悔やみ、罰…。負を背負うことは同じでも行動は全く違う二人。負を追い払うよりも同化し慣れていくことで行きていくことができた二人…...
幼いこころに同じ出来事でトラウマを生む親友二人。消し去ることのできない衝撃は、思春期に、学生時代に、大人に成長しても二人のこころを締め付ける。悩み、衝動、悔やみ、罰…。負を背負うことは同じでも行動は全く違う二人。負を追い払うよりも同化し慣れていくことで行きていくことができた二人…負の描写をさせたらピカイチですな。もう完全に中村文則ファンです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ここまで読んできた中村文則の小説(といっても本作で4作目ですが)は 大体同じように暗くて主人公が心の闇を抱えててなのですが 「命」というものはとても大事にしているように感じていました。 この小説もタイトルが「最後の命」というだけあって 命に焦点が当たる表現も多いです。 特にラストの 「どんな状態であれ、命ってのは厄介なんだ。ずっとね、付きまとうんだよ」 という言葉が印象に残りました。 幼馴染の冴木と偶然遭遇したホームレスのレイプ現場。 同じ経験をしたのに成長するに従って 全く違う方向に進んでいく主人公と冴木ですが 結局同じような苦悩を抱えているというような 絶妙な描き方がよいです。 後半の冴木の鬼気迫る独白の場面も一気に読んでしまいました。 「明瞭でいること」を意識する感覚。 分からなくないなぁとちょっと共感してしまいました。
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読み終えて、Webで映画を観るが5分で断念、やはりというか・・・画像の暗さに欝々として観る気が失せてしまう。小説の内容を感覚的に表現すると「物凄くねちっこくて救いのない話、ハッピーエンドは期待できない」逆に評価すると、けっして知れることのない人の内面、また行動をここまで書ききる...
読み終えて、Webで映画を観るが5分で断念、やはりというか・・・画像の暗さに欝々として観る気が失せてしまう。小説の内容を感覚的に表現すると「物凄くねちっこくて救いのない話、ハッピーエンドは期待できない」逆に評価すると、けっして知れることのない人の内面、また行動をここまで書ききるとこができる貴重な作家はいないのかもしれない。この才能はとっても稀有だとおもう。
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僕たちは自力で生きてくしかないな、数多の文物や人間は僕たちを慰めてくれるしそのレベルに生活に入り込んでき得るものだけど、真の意味で僕たちを支えはしない。感想でもなんでもないけど。内容は最後めちゃくちゃに畳み掛けられて結局サイコーだと思ってしまった。ドストエフスキーの罪と罰ちゃんと...
僕たちは自力で生きてくしかないな、数多の文物や人間は僕たちを慰めてくれるしそのレベルに生活に入り込んでき得るものだけど、真の意味で僕たちを支えはしない。感想でもなんでもないけど。内容は最後めちゃくちゃに畳み掛けられて結局サイコーだと思ってしまった。ドストエフスキーの罪と罰ちゃんと読もう。
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幼馴染みの冴木と私は、小学生の頃に集団レイプ事件を目撃してしまう。そのため私は潔癖に、冴木は暴力による性に引き寄せられたてしまう。 ある事件が元で疎遠になっていた冴木と七年ぶりに会った直後、私の部屋で1人の女が死んでいた。部屋の中から検出された冴木の指紋が、指名手配中の容疑者のも...
幼馴染みの冴木と私は、小学生の頃に集団レイプ事件を目撃してしまう。そのため私は潔癖に、冴木は暴力による性に引き寄せられたてしまう。 ある事件が元で疎遠になっていた冴木と七年ぶりに会った直後、私の部屋で1人の女が死んでいた。部屋の中から検出された冴木の指紋が、指名手配中の容疑者のものと告げられた私は、冴木を探そうとする。 重く陰鬱な物語です。こういうのは苦手なのですが、何故かグイグイと読み続けました。私の語り口が淡々として変に攻撃的でなかったからかも知れません。 生と性、暴力と性、生きることが性に絡めて問われます。生きにくさを抱えながら、社会に放り出された者たちの物語。そう言ってしまえば簡単なのですが、この生きにくさというのは、誰しも持っているもので、気付いているかそうでないかだけかも知れません。世間と布一枚ごしに接する私というのも、その象徴なのでしょう。たった布一枚、でもそれがなければ自ら扉を開けることができない。そんな私が恋人に言う「怖くないよ。大丈夫。」という言葉に救いを感じます。
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これで、土の中の子供以外の既刊は読破。 共通しているのは、普段タブー視されていて語りえなところまで言語化しているところ。また、その場面を追体験できるところだろうか。 今回のテーマは性に関するものがほとんどだったような気がする。独特の仲村風の言い回しが良かった ⇒P161冴木 射精したとき、自分の全部が、精液になって出ていくような気がした。というか、俺が抜け殻になって、俺は精液になって女の中に入っていくみたいな、そういう気持ちになった。 人間の悪という概念も問題になっている。自分自身が悪に染まってしまえば、悪を感じない人間になる 人間的道徳から遠い存在になり、悪を楽しむことが出来るようになる。少しあこがれるようなところもあるが
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映画化。2014年チェルシー映画祭(アメリカ)・脚本賞 幼少期に集団婦女暴行事件に遭遇、その事件をきっかけに性トラウマを抱えた少年2人の生末の物語。一人は潔癖で悩み、もう一人は狂った悪に・・・。
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「悪はいったい、どこから来るのか」 映画のキャッチコピーですが、気になり本を買いましたがなかなか読めず、開けば1日で読めました。 本当に悪はどこから来たのか。 何が悪なのか。 一人一人の人生があったのだから、一人の視点からだけでは何も分からない。 物騒なニュースが多いが、本当にど...
「悪はいったい、どこから来るのか」 映画のキャッチコピーですが、気になり本を買いましたがなかなか読めず、開けば1日で読めました。 本当に悪はどこから来たのか。 何が悪なのか。 一人一人の人生があったのだから、一人の視点からだけでは何も分からない。 物騒なニュースが多いが、本当にどこから来たのか。 最後に香里さんとの向き合い方なんかも書かれていて、読み手にその後を丸投げにしない物語でフィクション感があった。
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理性が働いて悪性腫瘍のように自分を蝕む欲望だと 分かっていながらそれに耽溺してしまう冴木。 一般的に、正しいことだと分かっていながら 恐怖からそれを行えないとか、 幸せを受け入れられずあえて不幸を選んでしまうとか、 自分の経験ではその程度のことだけれど、 冴木のような状況は充分ありうるだろうなと思う。 成長しつづける魂の未来という連鎖が 人間に本当にあるのだとしたら、 こんな矛盾に満ちた世界に生れ落ちて 善なるものを獲得する人生を 記憶も新に何度も経験する必要などあるのだろうか? よく、記憶をリセットするのは 過去獲得した何者にも縛られずに 一からやり直して得られるものが真実だから的なこと をいうことがあるけれど、 記憶があろうとなかろうと、 真実善に向かう成長傾向があるものなら、 記憶があろうとなかろうとそのように歩むのは 当たり前のことのように思える。 でもこの世の中のことや自分のこととして 考えてみると、どうもそれは違うことのようである。 過去の記憶もなにもなく一からはじめているこの 生活の中で、恐怖に打ち克てず、欲望におぼれ、 他人を妬み嫉みいじけて汚れていく様が、 何より本質で真実の姿で、 どんなに記憶をリセットして何度生きることをやり直しても、 記憶もなく生きている今が真実の姿で自分の本質なのだから、 どんな人生を何度送っても、 恐怖に震え、欲望に屈し、罪に汚れていくのではないだろうか。 冴木が泣きながら訴えたことは 無駄じゃなかったと言えるとすれば、 彼が自分の人生を自ら閉じることで 友人へ影響を与えたただ一点のみなのではないか。 ・・・とか色々悲壮な思いに囚われます。
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掏摸、遮光が良かっただけに何だか本作は今一だった。 内容も自分の中では上手く消化出来ずにいた。冒頭の2冊が良かっただけに残念。
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