写楽 閉じた国の幻 の商品レビュー
作者・島田荘司が構想20年のもと、週刊新潮に連載したものが本書。 いやぁ、長かったな・・・。 江戸期に10ヶ月だけ活躍した謎の浮世絵師・東洲斎写楽の謎に迫ったものであるが、「写楽別人説」の新機軸を打ち出している。で、本書が傑作かというと・・・。 これは大作だが傑作じゃないな。 ...
作者・島田荘司が構想20年のもと、週刊新潮に連載したものが本書。 いやぁ、長かったな・・・。 江戸期に10ヶ月だけ活躍した謎の浮世絵師・東洲斎写楽の謎に迫ったものであるが、「写楽別人説」の新機軸を打ち出している。で、本書が傑作かというと・・・。 これは大作だが傑作じゃないな。 本書に出てくる数々の資料・・・これが本物ならば、なるほど作者の言う「写楽別人説」は斯界の度肝を抜く新説なんだろうが、その説云々の前に構成やら文章がダメだ。 現代編と江戸編が交互に書かれてるんだが、特に江戸編のⅠとⅡ・・・これは必要なのか?江戸編の会話などを読んでいると、下手な落語を読まされてるようで嫌悪感を感じた。当時の江戸の人々がどのような話し方をしていたかなど知る由もないが、少なくとも本書で書かれているような話し方ではないように思う。まるで出来損ないの落語家の話を聞いてるような感じだ。 冒頭で主人公の一人息子が事故死するのだが、この子供の死の必然性は? 江戸参府の帰路、オランダ商館長が客死するが、北斎との関係や直前に何枚も破っていたという紙の謎は?等々・・・。 説明されてない余分な箇所が多々ある。 週刊誌に連載という形だったためか、繰り返しや説明に割いた頁も多く、読みきるのに労力を要した。 あとがきによると、作者は続編も考えているようだが、もう続編は読まないな。
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■2011年版のこのミス本での評価が高くて、ずっと気になっていたんだけど、時代ものだと思っていたので避け続けていた作品。 ■読み始めると現代と当時に行ったり来たりしながら、写楽の正体を明らかにして行くストーリーになっていて、日本史が苦手な自分でも面白く読めた。 ■こんなことな...
■2011年版のこのミス本での評価が高くて、ずっと気になっていたんだけど、時代ものだと思っていたので避け続けていた作品。 ■読み始めると現代と当時に行ったり来たりしながら、写楽の正体を明らかにして行くストーリーになっていて、日本史が苦手な自分でも面白く読めた。 ■こんなことならもっと早く読めばよかった。(笑
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写楽の勉強になった。 なんてよく知らなかったんだ… 回転ドアの事故のことは本にするにはつらい内容だった。 実際にあったことだし。
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はっきりいって、あとがきが一番面白かった。 島田荘司自身が、完全にペース配分を見誤った、と 書いているとおり、 おそらく「現代編」のプロットも用意してあり、 そのためのストーリーも少し始めていたのだが (たとえば、主人公が気絶するたびに、不自然にその場に居合わせる 美人教授は、明らかに、事件の裏側に関与しているのだが) 「写楽の謎とき談義」が長引きすぎて、 気付いたら、完全に紙幅をオーバーしており、 「現代編」は、あきらめたらしい。 予定では、さらに、ラストに集まった研究家たち、 一人一人の章があったとか。 そういう訳で、「現代編」の方は、完全に「幻の小説」に なってしまっている。 最初のエレベーター事件を発端に、何らかの事件に巻き込まれるはず だったのに、主人公は、巻き込まれたことにすら気付かないまま、 本編が終わってしまっている。 しかもこれだけの分量を書きあげながらなお、 中編程度を書きあげた手ごたえしかなかった、と書いている。 さて、肝心の写楽の謎について、 写楽の新説については、いかにも島田荘司の言いだしそうなことで、 特に感心はしなかった。というか、予想の範囲内。 同じように、実際の話をモチーフとしたものとしては、 「ハサミ男」の登場を予言したかのような(パクリ?) 「切り裂きジャック、百年の孤独」の方が、よほど感心した。 しかし、今回の特色は、なんといっても、 「裏を取っている」ことであろう。 説までなら分かるが、裏を取ってしまっている所がすごい。 しかも、あとがきで衝撃の告白が書かれているが、 連載開始時点では、まったくの見切り発車であり、 裏は取れていなかったらしい。 よくそれで、連載を始めたものであるが、 作中でも、この裏取りが成功したときの興奮というのが、 もっとも力点を置いて書かれている。 ところで、島田荘司は前科があり、 「ロシア幽霊軍艦事件」で、あることないこと書いてしまって、 読者を混乱させたので、今後は改めます、 みたいなことを「リベルタスの寓話」で書いていた。 それがどの部分を指していたか、よく覚えていないが、 たしか、あのような軍艦は、本当は存在しない、という話だった気がする。 しかし、「ロシア幽霊軍艦」では、それ以外にも、 「アナスタシア生存説」という、 これまた実際の出来事をモチーフとした話で、「生存説」を 無理やり通すためだろうが、過去に、アナスタシアたちを処刑した、 という証言のもとに、証言通りアナスタシアたちと思われる 骨が発見されているはずだが、その話自体を取り上げていない。 この話を、否定するならともかく、取り上げてすらいない点は、 さすがにアンフェアであろう。 都合の悪いことは黙っている、では小説の信憑性が、 著しく下がる。 これを反省してかどうなのか、「リベルタス」では、これは嘘、 これは本当、というのを明確にしており、 本作「写楽」でも、そのスタンスであとがきが書かれている。 ともあれ、見事に裏取りができて、筋が通ってしまった、この説。 現実の面白さが、小説の面白さを、凌駕してしまった感じである。
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写楽は誰なのかという難問に的確な解答が出たと感じた.若干のネタバレになるが片桐教授の存在が非常に大きいと思う.480ページの大冊だが,プロットの展開が面白く,一気に読める内容です.
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11月-8。3.5点。 写楽の正体に迫る。今までになかった、全く新しい説。 ただし、長い。650頁。他のレビューにあるように、 女性と、息子の事故は必要だったのか、微妙。続編があれば、 明らかになるのかな。
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歴史ミステリー。 最初は自分の子供が回転ドアに挟まれて亡くなった主人公の悲壮な話から始まってぽかんだったが、100P過ぎたあたりから写楽の正体を探ろうぜ!って流れになった。 作者の取材の成果が存分に発揮され、写楽の正体について一定の説を生みだすこととなった。続編がありそうなので期待してます。 純粋に二巻出しても売れそうにないのでどうしたものか。
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全く資料として残されていない、写楽とは誰なのか…。版元蔦谷がいきなり28作同時デビューをさせた写楽。歌麿呂説や平賀源内説をもとに追突していく。最後、鎖国時江戸に来ていたオランダ人説で決着。 ストーリーは、北斎研究家の主人公佐藤が自分の不注意から回転ドア事故で息子を亡くす。調査チームの大学教授と知り合い、救われていくー。量を詰め込みすぎて、教授との関係や事故の裁判まで描ききれず小説としては中途半端。しかし、歴史的資料としては大いに価値があるようだ。専門家の意見を聞いてみたい。
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このミス2011年2位。 現代編と江戸編が交互につづられる。 江戸編は面白かったけど、現代編が・・・。 登場人物とその行動に共感できなかった。
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序盤の希望の見えない展開から、この長い話を読み切れるか不安だったけど、どんどん引き込まれた。 写楽論争の面白さを味わわせてもらいました。 読み応えのある一冊。 しかし、気になる部分はいくつも残っているなぁ・・ お江戸の皆さんのシーンが小気味よくて、長い話に挫折しそうな時の救いでしたw
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