写楽 閉じた国の幻 の商品レビュー
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江戸中期に突如現れ、わずか10ヶ月の間に145点もの作品を残し、 忽然と歴史から名前が消えた、天才浮世絵師・写楽。 日本美術史最大のミステリーと言われた写楽の正体に、 真っ向から挑んだ著者渾身の意欲作です。 この本を契機に私自身も写楽に興味を持ち、 毎晩ネットで写楽について色々と調べたりしました。 (ちょっと前までは、江戸なんて最近のことに全く興味がなかったのに!) 現在は”阿波藩の能役者・斎藤十郎兵衛”だとする説が有力ですが、 それでも彼が実際に浮世絵を書いた証拠は何もなく、 新しい資料が見つからない限りは、大きな進展はないだろうなぁ。 さて著者はと言うと、この定説を否定して全く違う写楽の正体を提示します。 今まで、「写楽別人説」「写楽蔦谷説」「写楽斎藤説」などなど、 様々な説が叫ばれてきましたが、 彼が提示したのは、「写楽外人説」です。いやー驚いた! それを歴史資料を丁寧に調べ、説得力のある内容で語ってくるから面白いです。 しかし残念なことに、著者の説くこの内容も、 結局は「可能性論」の範囲内であり、何ら物的証拠がないことが残念。 外人が書いた証拠…なんてどういうモノがはたして存在しているのか、 それ自体が非常に難しいところですが、 エンターテイメントとしてのミステリー小説で評価するならば、 意外性という意味で、なかなか興味深い結末でした。 物語は現代と江戸時代の2つの場面で語られていきます。 当時を生きた、写楽を知っていたであろう人々の、 イマジネーションあふれる言動に、 ミステリー小説としての醍醐味を感じます。 その分、現代の場面がちょっと物足りなないですが。 これを読むと、きっと写楽に興味を持つでしょう。
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個人的には2010年度のベストミステリー、ずいぶん強引な展開、物語のような気がするが、ミステリーとは真実にたどり着く事の定義にのっとれば、この真実は虚実であるにせよ納得してしまい、おまけに感動的なこの答ゆえこれが真実なら、写楽に対する見方が360度変わる。歴史ミステリーの模範になるべき傑作。
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大変興味深く読んだ。かなりの長編だけあって中弛みしないわけでもなかったが、江戸Ⅲの章では、ホロリとさせられたりして。 しかし、写楽には詳しくはありませんが、こういう大胆な解釈もアリかと。 ただ、第二期以降の写楽絵はどう説明するんでしょうかね?と、突っ込みたくなるもなりますが、ここ...
大変興味深く読んだ。かなりの長編だけあって中弛みしないわけでもなかったが、江戸Ⅲの章では、ホロリとさせられたりして。 しかし、写楽には詳しくはありませんが、こういう大胆な解釈もアリかと。 ただ、第二期以降の写楽絵はどう説明するんでしょうかね?と、突っ込みたくなるもなりますが、ここは目をつぶりましょう。 「あとがき」にも筆者が記しているように、どうしても紙面の制約があったようですね。まだまだ、書き足りないのであると。 第二弾も期待したいところですが、難しいだろうなぁ。 久しぶりの☆4つ。島田荘司作品またぞろ、読みたくなりました。
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続編がありそうな終わり方でした。 大学で美術史を専攻しておきながら写楽に関しては無知でとても面白かったです。 構想20年だけあって、内容が濃い! 読むのにかなり時間がかかりました。 他のレビューにもある様に子供のくだりはちょっと要らなかったかな…。 お陰でのめり込むまでにちょっと...
続編がありそうな終わり方でした。 大学で美術史を専攻しておきながら写楽に関しては無知でとても面白かったです。 構想20年だけあって、内容が濃い! 読むのにかなり時間がかかりました。 他のレビューにもある様に子供のくだりはちょっと要らなかったかな…。 お陰でのめり込むまでにちょっと時間がかかりました。 続編出たら読みたいな~。
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写楽探しだけに絞ったほうがすっきりしたかも 謎の美人教授とかレオナとか、この人の書く女性には、あまりお近づきになりたくない
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面白かった! ただ完結してない感は残った。あとがきを見ると 作者もそう思っているようだ。 Ⅱが出来るなら読みたい~ 主人公……ほんとにこれで立ち直ってるの?
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写楽探求のメイン部分は面白いのだが、連載であるため、序盤の回転ドアのくだりがまったく不要になってしまった。有機的に絡める構想があったのだろうが、写楽研究で力尽きた感。所々にミステリ的伏線があるようにも見えるのだがまったく回収されず。編集して研究本として出版しなおしては。7.0
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序盤で挫折・・・。 本の厚みと学術的な感じは覚悟してたけど、無理でした。 挿絵とかで補足説明があるともう少し読みやすかったかな。 名前の複雑さとか段々面倒になってしまった。残念。 そもそも、子供の事故って必要だったのでしょうか。
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写楽ミステリーに一石を投じた力作。 現代の浮世絵研究家と江戸時代の蔦谷重三郎を交互に描くことで、写楽とは一体だれだったのか?という謎に迫る。 個人的には、島田作品のウェットな文体が好きではなく、島田世界のリズムに乗るまでは、多少時間がかかった。 特に前半4分の1にも及ぶ現代パー...
写楽ミステリーに一石を投じた力作。 現代の浮世絵研究家と江戸時代の蔦谷重三郎を交互に描くことで、写楽とは一体だれだったのか?という謎に迫る。 個人的には、島田作品のウェットな文体が好きではなく、島田世界のリズムに乗るまでは、多少時間がかかった。 特に前半4分の1にも及ぶ現代パートでは、話がなかなか核心へと到達しないため、写楽の謎に対するはやる気持ちが抑えきれずにイライラした。 が、島田作品はの妙はその焦らしにこそあるかもしれない。 中盤以降加速度を増す展開。 現代と江戸時代とを、文体を変えながら明確に世界を対比させつつ、現代と江戸時代を交差させて、ひとつの幻想ともいえる世界観を作り出す。 特に、ラストの奇跡としか言いようのない写楽と蔦谷重三郎の観劇のシーンは、まさに感動もの。 江戸の昔、あったかもしれない、幻のような一夜を精緻な筆で丁寧に描くことで、読者に時空を超えた感動を与える。 非常に厚い本ですし、途中退屈な部分もあるかもしれませんが、ラスト手前の一章は、蔦谷重三郎という生き様、きらびやかな江戸文化、そして人と人とが育む文化の偉大さで読者を圧倒します。 本当にオススメですし、こんな歴史ミステリーの作品自体、奇跡だと思った。 いや〜ラストの歌舞伎の場面では涙出るかと思った。
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読むのを途中で断念!!浮世絵や歌舞伎の知識もなく歴史に絡めた話は理解出来ず読むのが辛いです。だから時代小説とかも読みません。
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