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にっぽん製 の商品レビュー

3.5

13件のお客様レビュー

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2022/09/29

あご頤で結んだネッカチーフ ほりゆうのしつ蒲柳の質 がいとう外套地 しんかん森閑とした御幸通り 飾窓 ねむけ睡気に襲われて 聴耳 麗々しく賽銭箱が据えてある えりしょう襟章 孔子さまの廟びょう いつもの習性の擒とりこ 豪奢な 仰向いて笑う美子の微笑みは 対抗の会社の選手が呉越同舟...

あご頤で結んだネッカチーフ ほりゆうのしつ蒲柳の質 がいとう外套地 しんかん森閑とした御幸通り 飾窓 ねむけ睡気に襲われて 聴耳 麗々しく賽銭箱が据えてある えりしょう襟章 孔子さまの廟びょう いつもの習性の擒とりこ 豪奢な 仰向いて笑う美子の微笑みは 対抗の会社の選手が呉越同舟で稽古をしているから 御御御付け(味噌汁) 絢爛たる応接間 古い在り来りな 恩顧をこうむった 言い換えれば消費とエンターテイメントの交差の始まりだったのだ 蒲郡プリンスホテル 強羅の環翆楼 美子は衣を着けなければその姿が見えない美の観念であって、正が日本製の身体なのである。美しい身体には愚直と純粋が宿っている、というのが三島の「思想」であった。

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2018/02/02

西洋文化を最先端に取り入れているファッショナブルなマダム主人公の恋バナ。 パトロンと元カレと今彼と、個性ありすぎの登場人物たちに振り回されて分かったこと 心は結局「にっぽん製」だったのね。いい意味で。

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2017/09/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 パリ帰りの飛行機の中で出会ったデザイナーの美子と柔道家の正。パトロンに囲われ、男に困らず、華やかなバタ臭い世界で生きる女と、亡き母の教えを尊び、柔道一筋の実直なにっぽん男児。巡り合わないはずの二人が出会い、彼女の嘘に正直な男がだまされ、堕ちてしまうのかと思いきや、孤独な女が愛を知る結果に。やっぱりにっぽんの魂、質実剛健がいちばんである。  登場人物の名前の符号が面白い。女性は美子で「美」の象徴、男性は正で「正義」を表す。パトロンは金杉で「金」、泥棒であり正の舎弟になるのが根住(ねずみ)。さらに、美子の洋裁店ベニレスとは、フランス語で「うわべ」「見せかけ」という意味だそう。  1952年当時、ハイカラな小説だったんだろうなあ。わかりやすいので、三島由紀夫を読んだことない人にもおすすめしたい。

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2011/11/01

ファッションデザイナーの美子と、柔道五段の正の青春恋愛もの。わかりやす過ぎるぐらいわかりやすい三島由紀夫によるまっすぐな青春小説でした。まだムキムキになる前の三島由紀夫が書いた小説だけど、ムキムキへの憧れがちらほら垣間見えて面白かった。

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2011/02/06

はじめて読んだ三島由紀夫さんの作品。試しに図書館にあった三島由紀夫さんの作品の中で一番薄い本を選んだのだけど、わかりやすく読みやすいことに驚きました。  ココ・シャネルのような女性が、虚栄心も劣等感・優越感も超えて、自分にとって本当に大切なものを見いだす話なのかな、と想いました。...

はじめて読んだ三島由紀夫さんの作品。試しに図書館にあった三島由紀夫さんの作品の中で一番薄い本を選んだのだけど、わかりやすく読みやすいことに驚きました。  ココ・シャネルのような女性が、虚栄心も劣等感・優越感も超えて、自分にとって本当に大切なものを見いだす話なのかな、と想いました。 他の作品も読んでみようと思えた作品です。

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2011/01/05

お洒落な雰囲気が出ている小説。 柔道、ファッション、背景、50年以上前の小説にしては想像しやすい内容です。

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2013/03/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 正と根住のやりとりが浅田次郎みたいだった。読みやすいし、あっという間に読める。 軽くて楽しい。 けど、体を鍛えている男の純情、純潔賛美に比べて、女ってそんなに醜い?っていう読後はやはりミシマ。。。 それに日本の泥臭さもけっこうイイとこあるんだけどなあ。 正のお惣菜の買い物シーンなんてけっこうおいしそうなんだけど。 時代かなあ。

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2010/11/07

パトロンの金杉への情と、朴訥な柔道青年・正への恋で悩み、 相談に行った美子に、今で言うセレブ(死語)奥様の 笠原夫人が伝えた言葉、 「人生って、右か左か二つの道しかないと思うときには、 ほんの二三段石段を上って、その上から見渡してみると、 思わぬところに、別な道がひらけてるもんな...

パトロンの金杉への情と、朴訥な柔道青年・正への恋で悩み、 相談に行った美子に、今で言うセレブ(死語)奥様の 笠原夫人が伝えた言葉、 「人生って、右か左か二つの道しかないと思うときには、 ほんの二三段石段を上って、その上から見渡してみると、 思わぬところに、別な道がひらけてるもんなのよ。そうなのよ」 が印象的。頼りになるなあ、笠原夫人。 あと、銀座のダンスホール、御茶ノ水のニコライ堂、新宿の劇場など 東京の猥雑さが描かれていて面白かった。

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2010/10/26

雨で本当に残念ね。大丈夫よ、でも、あしたはきっといいお天気だから。 ご謙虚なのね。人間って、惚れるとそんなに謙虚になるものなのね。あなたが古井戸なら、私はなに?私はもう枯れた井戸だから、誰かが落葉をどけてくれたって、青空の映りようもないんだけれど。

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2010/10/20

急に三島ブーム。王道作品も読みつつ、角川から出版されたこれまで文庫化されていなかった作品も併せ読む。 『にっぽん製』は、パリ帰りの新進女性デザイナーとまさに「にっぽん製」な柔道青年の恋の顛末を描いた作品。だが、その恋をめぐるストーリー以上に、この作品に流れる時代の「空気」がなん...

急に三島ブーム。王道作品も読みつつ、角川から出版されたこれまで文庫化されていなかった作品も併せ読む。 『にっぽん製』は、パリ帰りの新進女性デザイナーとまさに「にっぽん製」な柔道青年の恋の顛末を描いた作品。だが、その恋をめぐるストーリー以上に、この作品に流れる時代の「空気」がなんともいい。 冒頭の四十八人乗旅客機DC-6、その飛行機を誘導するジープに「FOLLOW ME」の文字(解説によればアメリカ軍のジープだとか)。私たちの知る現代の空港とは違う、まだ海外旅行が「洋行」と呼ばれた時代を彷彿とさせる空気。 主人公が出かける2つの宿は、現在「蒲郡プリンスホテル」「環翠楼」としてまだ健在で、断絶することない時の流れをしみじみ感じてうれしくなる。行ってみたいな。 「にっぽん」とひらがなで表されたタイトルが軽妙洒脱な印象を与えるが、戦後日本のどことなく浮ついた空気をも示しているようで面白い。その実、その言葉そのものが示す「日本」を象徴するのは古来の柔道により鍛え上げた肉体を持つ正であり、その存在がこの作品の安定感につながっている。  美子はパリに学び、身にまとう服をつくるデザイナーだが、そのまとう本体が醜いとせっかくのデザインも台無しになってしまう。笠田夫人のエピソードが語るように。 この笠田夫人は成金の下品さを象徴する存在として描かれているのかと思いきや、案外いいことを言う。 「人生って、右か左か2つの道しかないと思うときには、ほんの二三段石段を上って、その上から見渡してみると、思わぬところに、別な道がひらけてるもんなのよ。」 こういう人物にさらりとこう言わせるところがニクいなぁ。  

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