猫は知っていた の商品レビュー
秘密の抜穴と謎の電話、そして暗闇に突き出た毒塗りナイフと一匹のネコ……。引越し早々に起きた連続殺人事件に、推理小説ファンの兄と私は積極的に巻き込まれた――素人探偵兄妹の鮮やかな推理をリズミカルな筆致でさらりと描き、日本のクリスティと称されてデビューした著者による、今日の推理小説ブ...
秘密の抜穴と謎の電話、そして暗闇に突き出た毒塗りナイフと一匹のネコ……。引越し早々に起きた連続殺人事件に、推理小説ファンの兄と私は積極的に巻き込まれた――素人探偵兄妹の鮮やかな推理をリズミカルな筆致でさらりと描き、日本のクリスティと称されてデビューした著者による、今日の推理小説ブームの端緒となった江戸川乱歩賞受賞作。 仁木兄妹の探偵物語好き〜ワトソン役の悦子ちゃんは、音大に行ってるみたいで、今回の下宿先にいる幼稚園児にピアノを教えることで少しお家賃を安くしてもえるってことで、兄妹がとある個人病院に下宿するけど、悦子ちゃん、作中で全然ピアノ教えてなかったの本当にウケる。まぁ、それどころじゃないってかんじだったけど、最初にピアノの本を買ってきたけど、それだけだったな。そんな悦子ちゃんが好きだからいいんだけど。 時代がかなり古くて、戦後いくばか経ったあたりの話。防空壕で死んでいた老女。失踪した患者、そして次に殺される看護師。いやぁ、謎だらけだった。マジで誰が殺したのか分からなかったし、疑問なことが多かった。だけど、雄太郎くんは少しずつ推理を進めていって、犯人を追い詰めた。犯人にどうするか委ねたってかんじだったけど、これであの家族が後ろ指を刺されずに生きていけるのかなって思ったり。 仁木兄妹の話は、また別の話も読んでみたいなぁ。主婦になった悦子ちゃんの話も好きなんだよ。あと、仁木悦子さんの作品は、なんとなく人情があるっていうか、あたたかいっていうか語彙力なくて言葉見つからないけど、なんか好きなんだよなぁ。 2024.8.4 読了
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☆3.8 戦後まもなくの頃、住処を追い出された仁木雄太郎・悦子兄妹は友人の紹介で、ある個人経営の外科病院の一室に間借りさせてもらうことに。 引っ越し後早々に、敷地内にある防空壕の抜穴で一家の老夫人が殺され、同時に入院患者が一名行方不明になった。 行方不明になった患者は一体どこへ...
☆3.8 戦後まもなくの頃、住処を追い出された仁木雄太郎・悦子兄妹は友人の紹介で、ある個人経営の外科病院の一室に間借りさせてもらうことに。 引っ越し後早々に、敷地内にある防空壕の抜穴で一家の老夫人が殺され、同時に入院患者が一名行方不明になった。 行方不明になった患者は一体どこへ行ってしまったのか。 その彼は犯人だから逃げ出したのだろうか。 老夫人が殺された動機は何なのだろうか。 推理小説が好きな兄妹は、この事件を解決しようと謎に取り組み始める。 妹の悦子を語り手に、事件の関係者に話を聞いたり現場で手がかりを探したりと、結構きっちり地道な探偵仕事をしている。 なかなかにみなさん隠し事の多いこと。 出てくるアイテムやトリックなどは時代性感じる部分はあるけれど、物語や文章自体は平易でありながら今も変わらぬ普遍さで語ってくれる。 これ、ユーモアセンスが素晴らしすぎて軽く流しそうになったけど、全体的に結構なえぐみを内包している。 兄妹の仲の良さとか爽やかさがあまりに鮮やかでそっちに強く印象が残るのかな。 悦子の観察眼が鋭くて実は毒をも含むシニカルさなのも良かった。
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現場の間取り図がしっかり挿入されているのが、本格推理小説らしくって楽しいです。陰惨な事件が起こっているのだけれど、人の心の闇を過剰に描かずさらっと叙述するところに、作者のこだわりを感じます。
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1957年に発行され、第3回江戸川乱歩賞受賞作品、仁木兄妹の長編。 仁木作品は何作か読んだけど、やっぱり読みやすい。殺人事件が起きているけど、時代が時代だけにどこか長閑さを感じる。ほのぼの。 今の感覚だと、いやいや無理があるでしょう、という諸々も時代が時代だしね、と楽しく読める...
1957年に発行され、第3回江戸川乱歩賞受賞作品、仁木兄妹の長編。 仁木作品は何作か読んだけど、やっぱり読みやすい。殺人事件が起きているけど、時代が時代だけにどこか長閑さを感じる。ほのぼの。 今の感覚だと、いやいや無理があるでしょう、という諸々も時代が時代だしね、と楽しく読める。 そして、相変わらず、妹・悦子のキャラが良い笑
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すこしまえの出版社のフェアで手に取った一冊。 恥ずかしながら、作者も作品も全く知りませんでした。 実質的な第一回江戸川乱歩賞受賞作なのですね。 自動車の普及率やトリックに使われた器具など、時代を感じます。 仁木悦子さんが主人公兄妹に託した想いが色々と感じられました。 人が沢山...
すこしまえの出版社のフェアで手に取った一冊。 恥ずかしながら、作者も作品も全く知りませんでした。 実質的な第一回江戸川乱歩賞受賞作なのですね。 自動車の普及率やトリックに使われた器具など、時代を感じます。 仁木悦子さんが主人公兄妹に託した想いが色々と感じられました。 人が沢山死ぬわりには、作風がからっとしていて、「日本のクリスティー」と称されるのも納得ですね。 あとがきに有りましたが、この作品のヒットによって手術を受けられ、寝たきりの生活から車椅子をあやつって、外出も出来るほどになったこと。また、入院中に知り合った方との結婚と、その後の幸福な家庭生活を知りました。 江戸川乱歩や横溝正史、松本清張とも全く違うのですが、時代を創ったであろう作品ですね。 読めて良かったです。
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書名、著者共に有名な乱歩賞受賞作。未読だったのでkindle unlimitedで見つけて読んでみた。 兄妹二人の描かれ様が、爽やかで青春小説風にも関わらず防空壕が重要な役割をするあたりに時代を感じる。 猫を使ったトリックは強引すぎる。
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輝かしくもミステリとして最初の「江戸川乱歩賞」受賞作品だったそうだ。実際は第3回(1957年)なのだが。 「江戸川乱歩賞(えどがわらんぽしょう、通称「乱歩賞」)は、1954年、江戸川乱歩の寄付を基金として、日本探偵作家クラブ(現在は日本推理作家協会)により、探偵小説を奨励するた...
輝かしくもミステリとして最初の「江戸川乱歩賞」受賞作品だったそうだ。実際は第3回(1957年)なのだが。 「江戸川乱歩賞(えどがわらんぽしょう、通称「乱歩賞」)は、1954年、江戸川乱歩の寄付を基金として、日本探偵作家クラブ(現在は日本推理作家協会)により、探偵小説を奨励するために制定された文学の賞。第3回以降は、長編小説を公募し、優秀作品に与えられる事になった。現在では、推理作家への登竜門として知られている。」(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』) 女流ということ、病床にありお体が不自由ということ、独学ということなどで、当時、かなりセンセーショナルな登場。だからお名前と題名は当時からよく知っていたのだが、得てしてそういうのは読みもらしているのが私。念願を果たした気分である。 ウィキペディアにある受賞作一覧【第1回(1955年)~第52回(2006年)】をつらつら見るに、第39回(1993年)の 桐野夏生(『顔に降りかかる雨』) しか読んでいない。やはりマニアではないことがわかる。現在ネットなどで感想を見かける作家、作品がちらほらあり興味が湧くが。 肝心の感想だが、今となっては(こんなにミステリが多様化している時代)題材が平凡、ストーリー展開もほほえましい、とあまり芳しからず。当時に読んだら面白かったかもしれない。けれどもけれども、何にも初めてというのは輝かしい作品なのだ!尊敬する。
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有栖川有栖先生の日経新聞連載「ミステリー国の人々」31組目として紹介された仁木兄妹のデビュー作で、江戸川乱歩賞の実質初回受賞作。 「上質にして清冽な本格的ミステリ」という有栖川先生の評に納得。この時代にして血なまぐさくなく、クリスティのような知的ファンタスティックさがあるうえに、...
有栖川有栖先生の日経新聞連載「ミステリー国の人々」31組目として紹介された仁木兄妹のデビュー作で、江戸川乱歩賞の実質初回受賞作。 「上質にして清冽な本格的ミステリ」という有栖川先生の評に納得。この時代にして血なまぐさくなく、クリスティのような知的ファンタスティックさがあるうえに、あとから振り返るとああ!あそこも伏線だったのねと驚く緻密な網が張り巡らされている。時代設定がだいぶ昔で、防空壕がお庭にあったり、ある電気機器が世の中に出たばかりなのも、今となっては時代ごと楽しめる。
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兄が探偵でホームズ役、妹が語り手でワトソン役となり事件を解決していく。凶悪な連続殺人事件のわりにはほのぼのとした印象がある。語り手である妹に対して探偵役の兄の存在感が薄い。
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懐かしい仁木悦子さんを再読。 中学生になる頃に仁木悦子さんを知った。面白く夢中になって読みふけった。 多分、全ての仁木悦子作品を購入した。 中学生の小遣いでは文庫であってもなかなか痛む出費ではあったけれど、その頃既に知らないひとが読んだ本は嫌だと思っていたので仕方ない。 今わたし...
懐かしい仁木悦子さんを再読。 中学生になる頃に仁木悦子さんを知った。面白く夢中になって読みふけった。 多分、全ての仁木悦子作品を購入した。 中学生の小遣いでは文庫であってもなかなか痛む出費ではあったけれど、その頃既に知らないひとが読んだ本は嫌だと思っていたので仕方ない。 今わたしの手元にある仁木悦子さんの本は、日焼けしてはいるけれど汚れや破けもなくきれいだ。大切に読んでいたんだなと思い出す。 素人探偵仁木兄妹シリーズ。 仁木兄妹が、兄雄太郎の友人の伝手で下宿先である箱崎医院に越してくる。妹である悦子が箱崎家の娘のピアノの稽古をすることで下宿代を安くしてもらえるからだ。 仁木兄妹が越してくると間もなく、箱崎医師の妻の母親の遺体が庭に遺されたままの防空壕内の抜け穴から発見される。 発行されたのが昭和32年であり、防空壕や下宿といった古さを感じさせるところはあるものの、日本のクリスティと言われた仁木悦子さんの推理作品としての素晴らしさには古くささは全くない。今でも遜色なく楽しめる一級のミステリーだと思う。 伏線の回収は見事だし、トリックにやや無理がないこともないが、それはミステリーにはありがちなことだろう。そこが推理小説の華とも言える。 この作品が仁木悦子さんのデビュー作なのだから驚きだ。 引退した元警部の口添えで素人である仁木兄妹が捜査に介入するというのは現代では考えられないことではあるけれど、当時ならそういうこともあったのかもと思わせる。 実際、横溝正史作品での金田一耕助は捜査に口を出しまくりだ。 タイトルにあるように猫が事件の鍵を握っているわけだが、肝腎な部分で登場するだけで事件自体には関与しないし、赤川次郎さんの三毛猫ホームズのように猫が事件を解決したりはしない。丁度良い加減で猫が出てくる。 ラストがまさに猫は知っていたという感じになっているところが絶妙と言える。 仁木悦子さんの素晴らしさは仁木悦子さん自身にもある。 仁木悦子さんは4歳のときにカリエスに罹り寝たきり生活になってしまう。就学することもかなわない悦子さんの勉強を、旧制高等学校に通う兄がみてくれた。 兄が戦争のため出征してしまうと独学で学びつづけた。 自分の目で外の世界を見ることは殆どなかった仁木悦子さんは、書物やラジオ、兄や姉の話から情報を得てこの作品を書いた。 中学生のわたしは仁木悦子さんのエピソードに衝撃を受け、不自由な暮らしの中で学び、本まで書いてしまうことに深く感動した。仁木悦子さんのおかげで頑張れたと言っても過言ではない。 仁木悦子さんは本書の設定で、仁木兄妹を大学に通う兄と音大に通う妹としている。 この兄雄太郎はきっと仁木悦子さんに勉強を教えてくれた優しい兄のことだろうし、妹悦子は仁木悦子さん自身だろう。 妹悦子は足が速くとても健康的に描かれている。病床で寝たきりの仁木悦子さんの代わりに本の中で悦子が元気に走り回る。自分には叶えられない様々を、本の悦子に託しているのだろうかと思うと、単なる推理作品というだけでない作者の深い想いが伝わってくるようだった。 仁木悦子さんを思って胸を熱くした中学生のわたしをも懐かしく思い出す素晴らしい読書だった。
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