杏っ子 の商品レビュー
室生犀星の自伝的長編小説。 私生児として真っ直ぐな愛情を受けずに育った自身の遍歴と、その自分にできた娘の成長と苦しい結婚生活を描く。 子が父をさん付けで呼ぶような、家族のかたちとしては奇異ではありつつも、端々に温かく滲むような親子の愛を感じた。 親の苦悩、子の苦悩、物書きの苦悩、...
室生犀星の自伝的長編小説。 私生児として真っ直ぐな愛情を受けずに育った自身の遍歴と、その自分にできた娘の成長と苦しい結婚生活を描く。 子が父をさん付けで呼ぶような、家族のかたちとしては奇異ではありつつも、端々に温かく滲むような親子の愛を感じた。 親の苦悩、子の苦悩、物書きの苦悩、夫婦の苦悩、結婚の苦悩、都会の苦悩、生活の苦悩、そしてそのすべてを補って余りあるほどの(この)親子の愛。 ほんとうにいい本を読んだ。
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杏子はこのどうしようもない夫となぜ別れないのか、まだ別れないのか、まだかまだかと苛々しながら読み進むうちに600ページ読み終わった。いろいろフラストレーションがたまる作品だった。 杏子に息子との付き合いをやめさせるよう親が依頼に来たときには、相手の家にまで乗り込んでいった平四郎な...
杏子はこのどうしようもない夫となぜ別れないのか、まだ別れないのか、まだかまだかと苛々しながら読み進むうちに600ページ読み終わった。いろいろフラストレーションがたまる作品だった。 杏子に息子との付き合いをやめさせるよう親が依頼に来たときには、相手の家にまで乗り込んでいった平四郎なのに、なぜ杏子と夫を無理矢理にでも別れさせないのか。また、息子の嫁に対しても娘の夫に対しても甘すぎる。おまけに息子はいい年して定職に就かないプー太郎。杏子と夫の夫婦喧嘩の場面は同じことの繰り返しでうんざりした。結局、登場人物のだれにもシンパシーを感じなかったし、感情移入もしなかった。 詩人として評価の高い室生犀星だが、小説に関して言えば短編を含め、あまりすぐれた作品とは思われない。少なくとも自分の好みの作風ではない。今度は是非、犀星の詩を読んでみたいと思う。
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表題の語感とはかけ離れた重厚な内容。 600p弱のボリュームだが、非常に細かく区切られていて当時にしては読み疲れのしづらい構造になっている。 作者とその娘をモデルとし、娘の人生の荒波に浮き沈みし流転する日々が克明に描かれる。 現代とはかけ離れた価値観と家族への愛情を持つ作者の特...
表題の語感とはかけ離れた重厚な内容。 600p弱のボリュームだが、非常に細かく区切られていて当時にしては読み疲れのしづらい構造になっている。 作者とその娘をモデルとし、娘の人生の荒波に浮き沈みし流転する日々が克明に描かれる。 現代とはかけ離れた価値観と家族への愛情を持つ作者の特異性を存分に感じれる必読の一冊。
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前半は親友芥川龍之介が出てきて、天然ぷりが面白かった。 後半。娘婿は酷いやつで、最終的に離婚し戻ってきたので良かったが、息子ものらりくらりやっている風、奥さんは寝たきりで、主人公一人がこれだけの家族を食べさせているというのも、いくら大作家とはいえ大変な事だと思った。当時はこういう事はよくある事なの? 杏子は働かない亭主にばか呼ばわりされ何かと助けてくれる父親まで悪く言われて散々だが、夫婦喧嘩のシーンは言いたい事を鋭く切り込んでいて格好良かった。そこが一番好き。ただしそれが通じない亭主なんだけど。
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私生児であったのも驚きだけど、生まれてすぐ、ごうつくばばあに育てられるのも、明治生まれの常識なのかな。しかし、室生犀星が侍の子であることは確からしいし、それが文筆の才や娘の美貌に繋がってるのかな、と思う。 やっぱり、血筋、遺伝なのだろうな。
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結婚生活において女性に使役を課すことを当然と考える男たちと、それに抵抗し続ける女達。後半の、犀星自身がモデルである父親の超然ぶりが面白かったです。
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文豪、室生犀星を初めて読む。 前半は氏自身のことを、後半は自身の娘である杏子のことを中心に書いている。軽井沢に疎開してきたところまでは淡々としており、作者の嫁とのエピソードも最小限だし(ほかの作品で描き切ったのか?)正直これと言って平坦で感情移入が出来ず、分厚い本を持て余す気分だったが、杏子が見合いを始めたあたりから急激に面白くなり一気に読めた。物語には悪者が必要なのかな、と感じる。杏子の夫は理屈の通らないひどい野郎だし、息子も職にも就かず嫁とは3か月で離婚、嫁のりえ子は病気になるしで散々ではある。息子の嫁探しのところで、バスで同席する人を探したりするところが可笑しい。 杏子との作者との掛け合いがとても楽しく、杏子が最後に家に戻ってくれるところで一応のハッピーエンドですね。 執筆を通じて母に会うことができ幸せと書いているが、自身の身に起こった不幸を作者に読んでもらう幸せもあるかと思う。ここまで赤裸々に書くのも恥ずかしいとは思うが。 こまやかな感情表現を美しい言葉で綴っており、読了後の充実感がよいです。 新聞の連載であったこの作品は読む気にさせるユニークな題名がついていて楽しく、小さな章で連続されているのも読みやすくて良いです。
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題名からは、少女の成長を想像したが、相反して特に後半は、夫婦の愛憎劇。とても子供向けの小説ではない。父親の傍観を装いながらも愛情もって娘を見守る姿が痛々しくも幸せそうである。2020.10.27
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こういう父娘もいるんだなと思った。父の幼少期の悲惨な感じに比べると、娘と息子が甘やかされてる感じもした。娘婿のモラハラぶりは読んでてもとても嫌だったが、この婿のひがみもまあ致し方ないような。ちょっとあまりに父親にべったり甘え過ぎ。息子も無職のように描かれてて、これも、え?なんで?って感じでした
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平四朗が娘(杏子)の交際相手の親から、もう付き合わないように娘に言ってほしい、と言われ、激高してある行動とるのが一番印象に残った。親ゆえの業であろうか。結局娘も息子も結婚に失敗してしまう。自らも私生児であったのも因果なのだろうか。興味深かったのがこの時代、男が無職で女が仕事してい...
平四朗が娘(杏子)の交際相手の親から、もう付き合わないように娘に言ってほしい、と言われ、激高してある行動とるのが一番印象に残った。親ゆえの業であろうか。結局娘も息子も結婚に失敗してしまう。自らも私生児であったのも因果なのだろうか。興味深かったのがこの時代、男が無職で女が仕事していて結婚できたことである。
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