蒼林堂古書店へようこそ の商品レビュー

乾くるみ【著】

2012/11/14

ミステリー専門の古本屋のマスターとその客たちが織り成すショートストーリー。間にミステリー案内を挟む。これがなかなか。
鉄道事故、誘拐、共同住宅など、それぞれのテーマでたくさんの本が紹介されている。

2012/11/08

古本とコーヒーの薫り、というのは相性ピッタリ。
そう思うのは私だけではないはず。
そんな本好き、古書＆コーヒー好きの気持ちにピタリと狙いをあてた小説です。

　元国家公務員で、今は書評家をしながらネット古書店を営む林雅賀は、扇町にリアル古書店も持っている。ミステリ専門の古書店に集まる常連客が、さまざまな「日常の謎」についてあーでもないこーでもないと議論を交わすと、店主の林が安楽椅子探偵よろしく、ネット上の情報や常連客の証言だけで、見事に謎を解いてみせる。

　そんな構成の作品が１４編おさめられた短編集。どの短編でも、常連客がさまざまなミステリを、店主の林が入れてくれたコーヒーを飲みながら読んでいるという趣向。

　そう、実はこの店、入り口からずっと奥のレジにカウンターがあって、１００円以上の本を買うと、店主の淹れたコーヒーが１杯サービスで飲めるという、実にすばらしい店なのだ！

　それぞれの短編の、意外な謎解きもさることながら、この店主の披瀝するミステリのうんちくが面白い。

　手練れのエッセイストや書評家が書く本の紹介以上に、小説に出てくるミステリが読みたくなる。
　これを電子書籍で販売して、書名をアマゾンにリンクしたら、そうとうの売り上げが期待できる。そう思える内容でした。いや本当に。

　各章末に店主（もちろん架空の人物ね）が書いたという設定の「ミステリ案内」というエッセイが入っているのも面白い。

　ミステリらしく、謎解きもからめた恋愛要素も入っている。こちらの成り行きも、けっこうミステリアス。乾の小説は初めて読んだが、軽やかな文体は好み。ほかにも探して読んでみようとおもっている。

　この小説を読んだ後、にわかにミステリが読みたくなり、実家の本棚からごそごそと、いろいろ本を物色して読み始めた。面白いなあミステリ。しばらくはまりそう。

　ここまで書いてネット調べてみたら、この方男性なんですね！　てっきり若い女性だと思っていたのでびっくり。しかも１９６５年生まれ。私より年長だ！　２度びっくり！

2012/10/19

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書評家の林雅賀が店長の蒼林堂古書店は、ミステリファンのパラダイス。バツイチの大村龍雄、高校生の柴田五葉、小学校教師の茅原しのぶ―いつもの面々が日曜になるとこの店にやってきて、ささやかな謎解きを楽しんでいく。かたわらには珈琲と猫、至福の十四か月が過ぎたとき…。乾くるみがかつてなく優しい筆致で描くピュアハート・ミステリ。
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林四兄弟シリーズ。今回登場するのは次男の林雅賀（はやしまさよし）。彼はカフェ付古書店のマスターで探偵役でありながら、主役ではなく、目線は常連客で高校の同級生の大村龍雄である。100円以上の売買をした客にコーヒーを振舞う、という独自のサービス目当てにやってくる常連客たちが持ち込むちょっとした引っ掛かりを解き明かす、という趣向である。北森鴻氏の香菜里屋シリーズに趣向は似ているが、数段こぢんまりさせたような感じではある。探偵役の林雅賀が――答えがあらかじめわかっているとは言え――インターネットで検索してみせる、というのはいまの時代ならでは、なのか、なぁ。気軽に愉しめる一冊ではある。

2012/10/04

古本屋での謎解き短編集、かと思いきや、伏線があってつながりがある。
読む前に、あとがきがないからって、最後の部分を読んではダメだ。
なぜなら、そこがこの小説の肝だから。

人が死んだりしないのに、ミステリーが盛りだくさんで誰でも楽しめる。
紹介されたミステリーを読みたくなる。
こういう本こそ、書店でもっと取り上げればいいのに。

乾くるみ、もっと読んでみよう。

2012/09/30

古書店での日常ミステリ連作短編。

謎解きよりも、合間の書評やミステリ話がおもしろい。この本読んでる！こんな本あるのかー。この本が入ってない！などなど。

2012/08/24

とにかく蒼林堂古書店へ行きたい！
常連になりたい！

って言うのがこの本を読まれた読書好きな方々の感想では？？
私ももちろんそう思いました。

お店で１００円以上の売買をすれば、珈琲が頂けてそこでそのまま本が読める。なんて素敵なんだ

設定がかなりツボだったのですが、各短編自体は「う～ん」って
感じだったかな・・・
ミステリーとは思わずに「ミステリー愛好家が日常の謎を内輪で
楽しんでいる物語」だと思えばいいのでしょうが、日常の謎の部分に無理があるような気がしました。
こじつけめいたものも多かったような・・・

私はメイン短編よりも「林雅賀のミステリ案内」が断然好きでした。これは良かったです。
昔読んだのに内容忘れてる本がいくつも出て来て、読み返したい
なぁと思っちゃったり、新たに読みたい本がいっぱい出てきたり。

2012/08/18

千冊単位で本を持っていたのが羨ましい。こんなお店いいよなーと思う反面、閉じすぎていて、入っていけない世界だなぁとも思う。
章タイトル見て、むー…と思ったら、やっぱりー。二番煎じ？だったのがどんでん返しだったのかな。いや、しかし雑誌だったらわかんなかったかも。

2012/08/14

こんな古本屋があったらいいなぁ～と思いました。
本の内容としては合間のミステリ案内があり
ものすごい勉強になりました。
解読された奇跡の最後も素敵でしたが
その後にまっていた、あの一文・・・
かなり警戒心を解いた状態で読んだので
衝撃は大きかったですねぇ
この作者の作品は、やはり最後の最後まで警戒心
はもったまま読まないといけませんね

2014/12/03

ミステリ専門古書店を舞台に描かれる日常。
ちょっとよく見ればミステリーが隠れているよと教えてくれる。

なにより店の奥に四畳半の小さな喫茶スペースがあり、
100円以上の売買をしたお客さんには珈琲のサービスがある。
なんて羨ましい！

ただ、なぜか読み進めるのに時間がかかった。
ミステリマニアたちの会話についていけなかったのか？

でも、最後はやはり乾くるみらしい。
今回は可愛らしい終わり方で好き。

なーんだあれは全部伏線だったのか。
乾くるみにまたしてやられた。

2012/08/05

一つ一つの話は短く、読みやすい。
また本編中に紹介される多数のミステリーは、実際に読んでみたくなる。
ただ、内容は薄いため、物足りなさも感じる。