1,800円以上の注文で送料無料

羊の目 の商品レビュー

3.9

31件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    16

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2010/06/01

夜鷹(娼婦)が産み、浅草の挟客・浜島辰三の妾(愛人)の門前に捨て置き、赤児の将来を託すのである。これが辰三によって育てられた主人公・神崎武美の過酷な運命の幕開けとなる。 神崎にとって辰三は、血を分けた親と子以上に絶対的な存在であり、生涯の忠誠を誓う。 関東へ勢力を拡大しようとする...

夜鷹(娼婦)が産み、浅草の挟客・浜島辰三の妾(愛人)の門前に捨て置き、赤児の将来を託すのである。これが辰三によって育てられた主人公・神崎武美の過酷な運命の幕開けとなる。 神崎にとって辰三は、血を分けた親と子以上に絶対的な存在であり、生涯の忠誠を誓う。 関東へ勢力を拡大しようとする関西の四宮組。やがて東京で抗争が勃発する。神崎は、四宮の本宅を襲撃し親分をあと数歩のところで仕損じてしまうが、痛手を負わせる。 こうして、四宮組の刺客に命をつけ狙われる身となった神崎は、米国に渡りロスアンゼルスのリトルトーキョーに身を隠す。 多くを語らない寡黙な彼を周囲が、いつしか「サイレントマン」と呼ぶ。日系人のケイコや教会の神父との出逢いによって彼の人生が救われたかに見えたが、これも束の間、ケイコ達家族を巻き込んでしまう事件へと発展する・・・・。 作者の『少年譜』を以前読んだ事があった。なので興味津々で手にとってみた。これは、ドンパチがあったり、かなり過激で展開も面白い! 神父との会話で「許すということはないのですか」と問うと、神崎は「私は敵となった者を許したことはありません」とやり取りするくだりがある。 修羅の世界に生きる神崎達には、際限はない。その末路は、あまりにも哀しく切ない。

Posted byブクログ