セイジャの式日 の商品レビュー
表紙は作中のミレイの絵のシーンなんですね。前半はがっつりミステリー。由良弟、大人しいなと思ってましたがやっぱりやるときはやる人でした。そしてまだ心の傷は癒えてなくて不安定な状態だった由良弟の強い想いが切なかったです。後半は由良弟らしい描写でした。人として大きく成長したんだなと思い...
表紙は作中のミレイの絵のシーンなんですね。前半はがっつりミステリー。由良弟、大人しいなと思ってましたがやっぱりやるときはやる人でした。そしてまだ心の傷は癒えてなくて不安定な状態だった由良弟の強い想いが切なかったです。後半は由良弟らしい描写でした。人として大きく成長したんだなと思いました。
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人の汚いところを散々に、それこそビビッドの絵を描くように書いておきながら、どうしてそんなにも綺麗に全ておさめていってしまうの……! というのが、最初の一言でした。これは疑問でも糾弾でもなくて、感嘆です。 描かれるのは人と、その死や狂気、青年や少女の心のうちであるわけですから、きったないことは当たり前なんですよ。それを美術を軸に据えて描きつくして、特にハイドラの一話目やセイジャの一話目(両方ハルさんだ……)なんて狂気まみれだと思うのに、それをこの本の二話目、由良シリーズの最終話で抱きしめるように綺麗にまとめてしまうのが凄い。うつくしいではなくて、綺麗。 一話目は、とにかく、ハルさんがとてもまっすぐな人で。これももちろん人なのだから略。 この彼が、才人はそれだけでもう別の生き物のように考えていた彼が、「才人は才人なりにしんどいんだって、分かってしまった」なんて独白ができたのだから、それはとても大きなことだと思うのです。 ――本人たちはそれを哀しいとは思っていないのかもしれない。 ――でも俺は哀しい。 この二文、これこそがハルさんだと思ってしまう。すごく好き。 オフィーリアはぱっと絵が思い浮かんだのでにやりとしてしまいました。好きですあの絵。 二話目は、今までに比べ、とても淡々と綴られていきます。周りを見て見ぬふりをして平穏のなかで生きる少年の視点。由良彼方に触れ、勇気を出して行動を起こします(ひどいまとめだ)。 このラストで、由良は、「立ち向かう」ことができたのでしょうか。 そして、最後の二文は、いったい誰から誰への言葉だったのでしょうか。 もう、とっても、お腹がいっぱいです。長々としてしまいました、すみません。 本を読み終えるときは大抵「おもしろかったー!」で本を閉じるのですが、これは違う。本を閉じた瞬間に色んなものが胸の奥でぐるぐると回って、吐き出したくなる。 わたしは凡人だけど、才人のことは理解できないかもしれないけど、それでもハルさんのようにがむしゃらに生きていられるかなあ。
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後半で由良があの高校に教育実習生として来るとは予想外でびっくりしました。先生(実習生だけど)な由良の姿も良かったです。最後の笑顔の絵にはやられました。由良がもっと好きになった1冊です。
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「自分の不幸も破滅も、後悔も罪悪感も、全部ぜんぶ糧にして、何もかも筆に載せて、そうして絵を描くんだ、俺たちは」 (P.162) 「思い出せない。何を見たのか。どんな色だったか。絶対に見逃さないようにと思って、目を開けてて、だから見たはずなのに。思い出せない。どうしても。だから、...
「自分の不幸も破滅も、後悔も罪悪感も、全部ぜんぶ糧にして、何もかも筆に載せて、そうして絵を描くんだ、俺たちは」 (P.162) 「思い出せない。何を見たのか。どんな色だったか。絶対に見逃さないようにと思って、目を開けてて、だから見たはずなのに。思い出せない。どうしても。だから、描けない。青い絵を完成させることができない。ずっと」 「…………」 「それが苦しい」 (P.170)
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ついに全部読みました!由良シリーズ。 久しぶりに買って良かったなと思ってます。 アタカナも好きだし、ハルちゃんも好きになれた。 1巻が一番切なくて好みだったけど、3巻で彼方も成長できてほんと安心。見届けることができて良かったなーと思います。 柴村さんの作品は今後も期待します*
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これでようやくプシュケの涙を逆立ちして読める。 彼と彼女の手が結ばれる。 花束のような、蝶たちを。
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おもしろかった。けど、これ3巻目なのか。 才能なんか持ってない人間にしてみれば、才能持ってる人間はすごくうらやましい存在だけど、才能ってすごく苦しいものなんだなあと。
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3部作の最後、やっと読了。ベストセラーじゃなくてもベテランじゃなくてもラノベのようでラノベじゃなくても、心に残る作品はいっぱいある。このシリーズは、こんな歳になってしまってから読んだにもかかわらず、残りの半生ずっとそばに置いておきたいと思った。第1作があまりにも切ない星5ツなので...
3部作の最後、やっと読了。ベストセラーじゃなくてもベテランじゃなくてもラノベのようでラノベじゃなくても、心に残る作品はいっぱいある。このシリーズは、こんな歳になってしまってから読んだにもかかわらず、残りの半生ずっとそばに置いておきたいと思った。第1作があまりにも切ない星5ツなので、今作は清々しく4ツで。
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一作目が一番良かったのかな。 最後の由良の顔には胸キュン いつも語り手が主人公の由良ではないのが柴崎さんぐっときます。 由良は何考えてるか分からない風になってるのが余計に良いと思う。 由良はかっこいい主人公でした。
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「どうしても逃れられないものから逃れるためにはどうすればいいと思いますか。 」 立ち向かう。 世界のどこへ逃げようと、結局、自分は自分なんだから。 周囲の環境が変わっただけで、自分が変わったわけでも、自分が抱えているものから逃れられたわけでもないんだから。 だったら立ち向か...
「どうしても逃れられないものから逃れるためにはどうすればいいと思いますか。 」 立ち向かう。 世界のどこへ逃げようと、結局、自分は自分なんだから。 周囲の環境が変わっただけで、自分が変わったわけでも、自分が抱えているものから逃れられたわけでもないんだから。 だったら立ち向かうしかない。 その場で踏み止まって戦うしかない。 噛みついてねじ伏せて、もういいやって思えるまで、どんなにみっともなくても。
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