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歌集 パン屋のパンセ の商品レビュー

4.5

19件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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2026/02/01

読者に生まれてきてよかったと思わせてくれる第2歌集

サボテンはサボテンの子がかわいくて棘にすっぽり包んであげる・冷蔵庫には卵のための指定席秋のコンサートが始まるらしい

きりん

2025/10/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

やさしくかわいらしい、杉崎恒夫さんの第二歌集。昆虫、パン、野菜、紅茶、空。70~80代の頃のお爺ちゃんが作ったとは思えないほどユーモアのあるかわいい歌ばかりでやはり驚かされる。 ゆで卵匙にうつ時にわとりの水子の霊がぴよとささやく ジーンズのヒップが去って百あまりれんげの花がああ起き上がる 透明な卵ケースに守られて宙ぶらりんの黄身がみる夢 パンセパンセパン屋のパンセ にんげんはアンパンをかじる葦である 杉崎さんの、食べ物への想像力豊かで穏やかなまなざしが好きだ。この人の生きていた世界はきっとたくさんの小さな声に満ちた世界だったろうと思う。自分もそんな感性を育てていきたいものだ。こんなふうにやさしく、しかし感受性を鋭くして世界を抱きしめていられたら。それは楽しいばかりではなく、歌に現れているようにさみしさやかなしさをも拾い上げてしまう生なのだろうが、そうして世界を感じられたらきっと…と、つい思ってしまう。大事にしたい歌集だ。

Posted byブクログ

2023/07/22

杉崎恒夫さんの歌集ですね。 私は、まだ短歌の味わいをほんとうにはつかめないのですが、杉崎恒夫さんの歌集はとても気持ちが良い作品が多いですね。 ブクログの皆様のレビューも、素敵な表現をされて鼓舞されています。 九十で亡くなられて一周忌に発刊された遺作になるそうです。七十台から八十台...

杉崎恒夫さんの歌集ですね。 私は、まだ短歌の味わいをほんとうにはつかめないのですが、杉崎恒夫さんの歌集はとても気持ちが良い作品が多いですね。 ブクログの皆様のレビューも、素敵な表現をされて鼓舞されています。 九十で亡くなられて一周忌に発刊された遺作になるそうです。七十台から八十台に創作された歌とのことです。 作品としては、歌集『食卓の音楽』に続き二作目になります。 印象に残った歌は限りなく、私には、どれを、と選ぶ緣が掴めません。どの歌も、ひとつひとつが、こころに響く作品ばかりです。 杉崎恒夫の宇宙は、音楽と自然と穏やかな営みと豊かな感性を、みいだせるようです。 心を安らかにして下さる歌集ですね。

Posted byブクログ

2025/05/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

なんて素敵な歌集。 歌のひとつひとつに杉﨑恒夫さんの人柄がにじみ出ているよう。 静かで、穏やかで、温かくて、ユーモアがあって。 星や卵やパンや砂時計や、杉﨑さんの好きなんだろうなってものがいっぱいでてくる。 心地よい風を感じて爽やかな気分になった。 なんだか優しい気持ちになるね。 これは手元に置いておきたいなぁ。 まことさん、とても素敵な歌集をお勧めくださりありがとうございました! どれも素敵な歌ばかりですが、その中からいくつかあげます↓↓↓ たんぽぽをアガペーとひそかに呼んでみるたんぽぽにつけたぼくの愛称 決まったら夏へ旅立て魔法瓶には鮮やからしいことばを詰めて 「大切なものは見えない」友達にしたいキツネは街にはいない 冷蔵庫には卵のための指定席秋のコンサートが始まるらしい 「失くしたる小銭への怒り」地下鉄でベートーベンがうたってくれる さみしくて見にきたひとの気持ちなど海はしつこく尋ねはしない 晩年の胸に抱くにふさわしいバゲットはきっと乾いた花束 こんがりと夕焼けベーカリーが焼きあげしクロワッサンを一つください あたたかき毛糸のような雪ふればこの世に不幸などひとつもない 地下鉄に季節がふいに目をさます「春は前駅をでました」

Posted byブクログ

2023/05/14

国立天文台に長く勤めていた著者が70代から80代にかけて創作した短歌を、属していた[かばんの会]の会員が選歌、編集した著者の第二歌集。 高齢者が詠んだとは思えない、みずみずしい独特の感性が感じられる。

Posted byブクログ

2022/12/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

りまのさんの本棚で見かけて気になった一冊。心のひだに入り込む素敵な歌が沢山でした 『わたくしが鳥となるとき夕焼けの硝子とびらはつぎつぎ開く』 『ハムのごとき秋の夕日はぴらぴらと電車の窓にスライスされる』 『消しゴムでこすったような星空のあそこがアンドロメダ星雲です』

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2022/09/17

2週間前に図書室で借りたんだけど、今日返さねばならなく、延長もできない(他館から借りてくれてるため)のに、読んでない……ということで、走り読み… バゲットを一本抱いて帰るみちバゲットはほとんど祈りにちかい やさしい歌が多かった気がする。 こういう歌にもっともっと触れるべき...

2週間前に図書室で借りたんだけど、今日返さねばならなく、延長もできない(他館から借りてくれてるため)のに、読んでない……ということで、走り読み… バゲットを一本抱いて帰るみちバゲットはほとんど祈りにちかい やさしい歌が多かった気がする。 こういう歌にもっともっと触れるべきだな、私。と思った。

Posted byブクログ

2021/12/30

この歌集はりまのさん他のフォロワーさんのレビューで知りました。りまのさんをはじめとする皆さま、ご紹介ありがとうございます。 「パン屋のパンセ」というタイトルとパンが出てくる歌が多いので作者の杉崎さんはパン屋さんだったのかと思いましたが、天文台に勤務されていた方だそうです。70...

この歌集はりまのさん他のフォロワーさんのレビューで知りました。りまのさんをはじめとする皆さま、ご紹介ありがとうございます。 「パン屋のパンセ」というタイトルとパンが出てくる歌が多いので作者の杉崎さんはパン屋さんだったのかと思いましたが、天文台に勤務されていた方だそうです。70代から80代にかけて創作した歌だそうで、その感覚の新しさには驚かされます。 クラシック音楽でとりわけサティがお好きでカメラを趣味とされていたそうです。 はるかなる宇宙と、とびきり美味しいクロワッサンに出逢うことができました。 美味しくて、あったかくて、涼やかな気持ちになれます。 今年も残すところあと二日となりました。 今年の年末年始は全国的に数年に一度レベルの寒波がくるということですが、ブクログの皆さまのところは大丈夫でしょうか。 私のところは雪国ですので雪で停電の心配をしています。 寒い寒い北の国から暖かくなれるとびきり美味しくて、暖かい歌をこの歌集から厳選してお届けします。 お時間のある方はご覧いただければ嬉しいです。 今の季節に美味しい温かい一皿のポタージュスープのような歌ばかりだと思います。 では、皆さま、今年も一年間ありがとうございました!よいお年をお迎えください! ○熱つ熱つのじゃがいも剥けば冬眠からさめたばかりのムーミントロール ○卵立てと卵の息が合っているしあわせってそんなものかも知れない ○観覧車 恋人たちをよろこばすあれは夕焼けオルゴールです ○この夕べ抱えてかえる温かいパンはわたしの母かもしれない ○どんな小糠雨より美しい朝のセロリーに振りかける塩 ○星空がとてもきれいでぼくたちの残り少ない時間のボンベ ○七月の遠い人よグリーンの星まぜごはんを炊いてください ○日の暮れはわれを異国の人にするたった一駅はなれた街で ○美しい紅茶には神様が住んでいるある朝ふいに信じたくなる ○気の付かないほどの悲しみある日にはクロワッサンの空気を食べる ○虹をたべるやさしいマナー七色をくずさぬようにナイフを入れる ○消しゴムでこすったような星空のあそこがアンドロメダ星雲です ○気の遠くなるほど空の青い日はさよならなんか視野から外す ○こんがりと夕焼けベーカリーが焼き上げしクロワッサンを一つください ○発狂しそうな都市の夕焼けフィレンツェの天国案内人に遭わむか ○あたたかき毛糸のような雪ふればこの世に不幸などひとつもない ○どうしても消去できない悲しみの隠しファイルが一個あります ○グラタンはきっとB型グラタン皿のうえにてまだ煮えている ○地下鉄に季節がふいに目をさます「春は前駅を出ました」 ○ああ雪がふっていますね 来る明日は品切れですと神さまがいう ○牛乳を熱くしおればくり返す脚韻に似て夜はくるなり ○三月の雪ふる夜にだす手紙ポストのなかは温かですか ○あたたかい十勝小豆の鯛焼きのしっぽの辺まで春はきている ○星のかけらといわれるぼくがいつどこでかなしみなどを背負ったのだろう ○この街の黄色い点字ブロックを辿っていったら夕焼けだった

Posted byブクログ

2021/09/14

世界は繊細で、ゆるぎない。人間や虫や星をやさしくみつめる歌集だ。「ジーンズのヒップが去って百あまりれんげの花がああ起き上がる」「爆発に注意しましょう玉葱には春の信管が仕組まれている」「蒼海に自在のくじら泳がせて地球は春の軌道をめぐる」「観覧車 恋人たちをよろこばすあれは夕焼けオル...

世界は繊細で、ゆるぎない。人間や虫や星をやさしくみつめる歌集だ。「ジーンズのヒップが去って百あまりれんげの花がああ起き上がる」「爆発に注意しましょう玉葱には春の信管が仕組まれている」「蒼海に自在のくじら泳がせて地球は春の軌道をめぐる」「観覧車 恋人たちをよろこばすあれは夕焼けオルゴールです」「大文字ではじまる童話みるように飛行船きょうの空に浮かべり」「どんな小糠雨よりうつくしい朝のセロリーに振りかける塩」「休日のしずかな窓に浮き雲のピザがいちまい配達される」「音荒く雨ふる夜明け胸という一まいの野を展げていたり」「バレリーナみたいに脚をからませてガガンボのこんな軽い死に方」「星空がとてもきれいでぼくたちの残り少ない時間のボンベ」「微粒子となりし二人がすれ違う億光年後のどこかで星で」「晴れ上がる銀河宇宙のさびしさはたましいを掛けておく釘がない」「定年の男ありけりパソコンに深夜よびだしている熱帯魚」「さみしくて見にきたひとの気持ちなど海はしつこく尋ねはしない」「「大切なものは見えない」友達にしたいキツネは街にはいない」「風鈴の思い出しては鳴っているあれはゆうべの星との会話」「今日という停戦ラインの端っこで缶ビールの缶ぺかんと鳴らす」「パンセパンセパン屋のパンセ にんげんはアンパンをかじる葦である」「こんがりと夕焼けベーカリーが焼きあげしクロワッサンを一つください」「骨董屋のなかなか売れない天使像不遇は人間ばかりじゃなくて」「灯台の白い破片が飛びちっているのではない風のかもめら」

Posted byブクログ

2021/07/04

半年程前の冬に、地球っこさんから紹介され、すぐに購入しましたが、手元にあるので、安心して、ゆっくり読んでいました。本日読み返して、大好きな、大切な1冊となりました。 地球っこさんのおっしゃるとおり、チャーミングで愛らしい、滋味深く、瑞々しい歌がたくさん集められています。 その中...

半年程前の冬に、地球っこさんから紹介され、すぐに購入しましたが、手元にあるので、安心して、ゆっくり読んでいました。本日読み返して、大好きな、大切な1冊となりました。 地球っこさんのおっしゃるとおり、チャーミングで愛らしい、滋味深く、瑞々しい歌がたくさん集められています。 その中で、とてもリアルに感じられた歌がありました。 わたくしのおおマイゴッドは「おかぁさん」せっぱつまったときの呼びかけ 、、、私も、せっぱつまらなくても、お風呂の中などで、気が緩んだ時などに、「おかぁさん」と、つい、つぶやいているのです。私の母は、認知症で、寝たきりで、私の父に、介護されっぱなしの、母です。愛する母ですが、私が「おかぁさん」と、独り言で、呼びかけているのは、その母ではなくて、なんだか分からないけれど、普遍なる、呼びかけしたい、大きな存在にです。 変だけど、口から言葉が出てしまうのです。、、、つい、私の秘密を書いてしまいました。杉崎さんの、この歌を読み、「おお!」と、共感しました。 他にもたくさん、好きな歌が、ありました。 熱つ熱つのじゃがいも剥けば冬眠からさめたばかりのムーミントロール つばくろよ翻るたびにくらくらと雲がひっくり返るならずや 濁音を持たないゆえに風の日のモンシロチョウは飛ばされやすい バゲットを一本抱いて帰るみちバゲットはほとんど祈りにちかい 微粒子となりし二人がすれ違う億光年後のどこかの星で 金魚玉軒につるしたあの頃の金魚は雲をついばんでいた さみしくて見にきたひとの気持ちなど海はしつこく尋ねはしない 「大切なものは見えない」友達にしたいキツネは街にはいない 美しい紅茶には神さまが住んでいるある朝ふいに信じたくなる 高原の風に揺れゆれ誰よりもしあわせなのはコスモス自身 記憶素子ひとつもつゆえ天地にかなかな蝉はかなかなと鳴く サボテンはサボテンの子がかわいくて棘にすっぽり包んであげる わが胸にぶつかりざまにJe(ジュ)とないた蝉は だれかのたましいかしら 逆さまに持つのはやめて冬咲きの薔薇の頭に血がのぼるから 起立性貧血症の薔薇だからきゅうに抱きあげたりはしないで 「愛」を強制終了します。データはすべて失われます。 どうしても消去できない悲しみの隠しファイルが 一個あります 蜂蜜の冬固いのは何万のはちのナミダが凍るからです 星のかけらといわれるぼくがいつどこでかなしみなどを背負ったのだろう てれくさい母母母という字から何とさみしい笑いがきこえ 今日の夢に明日の夢を掛け合わすわれは未熟な調香士です 、、、地球っこさん、素敵な本のご紹介、ありがとうございました!! そして、ここまで読んでいただいた方、どうもありがとうございます!!

Posted byブクログ