世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下巻) の商品レビュー
うわぁ〜凄かった…。何この世界観。 すっごく面白かったです。 今活躍している小説家さんたちって、残らず村上春樹を読んでいて、かつ強い影響を受けてるんじゃないかとさえ思う。これを40年も前に書かれていたなんて。 物語は下巻。博士に会えてからようやく、一気に種明かしが始まる。二つの...
うわぁ〜凄かった…。何この世界観。 すっごく面白かったです。 今活躍している小説家さんたちって、残らず村上春樹を読んでいて、かつ強い影響を受けてるんじゃないかとさえ思う。これを40年も前に書かれていたなんて。 物語は下巻。博士に会えてからようやく、一気に種明かしが始まる。二つの世界が一体何で、どのように交錯していくのか。 ところが仕組みは分かったものの、物語がどう行き着くのか最後まで全く予想が付かないまま駆け抜ける。そして膨大な想像力で描かれたストーリーが、大きく余白を残して幕を閉じる、といった感じです。私たちの想像力まで試されているような。この余韻まで計算し尽くされているんだろうな。 100人いたら100種類くらい感銘を受ける箇所が人それぞれ違うんじゃないかな。それだけ物語は複雑に入り組んでいる。 私は今の私の世界を知っているからこそ「影」の言葉に共感しました。ユートピアには絶望もなければ愛も存在し得ない。不完全な完全性。世界の終わり。 でもそこでまだ主人公は「心」を持つ。愛する人の心を取り戻したいと願える。微かだけど希望の兆候は頭骨の変化から読み取れる。 そもそも計算士なんていう謎の職業が出てきたり勝手に脳を操作されたり、何なんだよ!っていうのがここでの現実世界なのに、その物語に引き込まれてしまう。古い小説なのに斬新。それってこの物語で語られていた、日々進化していくものと不変で普遍的なものとがあって(後者は料理とか音楽とかとも言いたいのかな?)…この小説自体がそんな要素をギュッと詰め込んだ不思議な存在なんじゃないかな、って思いました。 世界中で評価されてるのが分かる。
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村上春樹の初期の傑作。 上巻を読み終えてから随分と時間が経ってしまった。 改めて読み直し、ようやく下巻も読了。 村上春樹はどうも苦手というか、自分には合わない。 それでも読んでしまう。読まなければいけないと思わせる不思議さ。 "計算士"の主人公が博士に頼まれ...
村上春樹の初期の傑作。 上巻を読み終えてから随分と時間が経ってしまった。 改めて読み直し、ようやく下巻も読了。 村上春樹はどうも苦手というか、自分には合わない。 それでも読んでしまう。読まなければいけないと思わせる不思議さ。 "計算士"の主人公が博士に頼まれた書類を暗号化したことから 何者かに追われるようになる『ハードボイルド・ワンダーランド』。 一角獣の住む壁に囲われた街で"夢読み"として働くことになった僕が 心を持たぬ穏やかな住人たちと街の謎を探す『世界の終わり』。 二つの世界が動き出すその先に、予想外の結末が待ち受ける。 そんなあらすじ。 村上作品らしく出てくる女性はなぜか主人公を好きになりベッドを共にする。 もはやデフォの様な設定は今回も健在。 というか初期の作品だからこそ、当たり前か。 読みやすさで言ったら村上春樹作品の中では上位の方。 やはりこういった冒険譚は面白い。 謎は多いし、読み終えても理解しきれていない設定等々あるが、 それでも相反する二つの世界の関係性だったりは面白い。 最後の収束していくサマも含めてよくできている。 全てにおいて理解しきれたとは言えないので、 また数年後に読み返したい。 村上作品は年輪を重ねると共に読後感も変わってくるから不思議だ。 この作品もその感覚を味わうにはピッタリかもしれない。
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手でつかもうとすると、スルスルと手の中を掻い潜っていつの間にか手にはそこにいたという実感だけが残るような物語だった。 物語は自分の内省に潜るようにできているかと思えば、社会に翻弄され生きている主人公はそれを出口の付いた犬小屋と例えた。 世界の終わりの中にする人々は、僕が失った...
手でつかもうとすると、スルスルと手の中を掻い潜っていつの間にか手にはそこにいたという実感だけが残るような物語だった。 物語は自分の内省に潜るようにできているかと思えば、社会に翻弄され生きている主人公はそれを出口の付いた犬小屋と例えた。 世界の終わりの中にする人々は、僕が失ったものかもしれないし、あるいは、世界を作ると言ううえで獲得せざるを得なかったものかもしれない。 とにかく、資本の中に自分という曖昧さを保ったまま観測者として、淡々と生き続ける主人公は社会との接点をある種見損なってしまったのかと思う。 それは、彼自身には社会と接続をするということだったのかもしれないが。 そのようにして形成された社会は世界の終わり、しかしそれは柔軟に完結し続けるというのはまさにだと思う。 村上春樹は、街というシステムで構築され、そこに過去の豊かさや、世界の曖昧さ不完全性を損なったものと、生きるということに直結をして生きていくシステムを失った自律的な空間森とを比較した。 そして、街を自分で形成したことを踏まえ、森を選んだ。 これは頭の中につくる僕たちの社会に対するシステムかもしれないし、あるいは誰かが既に定義をし、それを強引に僕たちに押し付けただけなのかもしれない。本当に産業革命があったと言い切ることができる人間はもうここには生きていないのだ。 みながシステムに生き、それでもそのシステムの中で揺らぎながら、社会という街の中で生きている。 それを、影、僕、私と存在を分離させ、まるでワンダーランドのように曖昧に線を引くことで描いた本作は力作出会ったように思える。 作中、線を引くのではなく、線を引かなければそれは曖昧さを失ってしまう 線は線としてそれ以上の奥行きを失ってしまう、と語った。 それはまさに彼の小説であり、ワンダーランド、世界の終わりという曖昧さこそが、何かを手繰り寄せそこに焦点を合わせる唯一の手段だったのであろう。 とても面白かった。 果たして村上春樹はこれをどのように作ったのだろうか、
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今の自分をそのまま比喩表現しているきがした。 私は一通り目にしただけだけど、自分だけが苦しく生きているわけではないと思えたし、相手に深く入り込んでしまう 自分を追い詰めて落胆することが多い自分の人生の中で主人公達のセリフが物凄く印象的に残った。例え大切な人を失ったとしてもそれでも...
今の自分をそのまま比喩表現しているきがした。 私は一通り目にしただけだけど、自分だけが苦しく生きているわけではないと思えたし、相手に深く入り込んでしまう 自分を追い詰めて落胆することが多い自分の人生の中で主人公達のセリフが物凄く印象的に残った。例え大切な人を失ったとしてもそれでも日常は進んでいく。そのように人は生きていくのだから祝福して自分と他人を受け入れて生きていきたいと思えた。全部読むと堅苦しくなるので私はある程度の文を心に収めた。
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いまだに何のジャンルをよく書く人なのか私はよくわかってない村上春樹なんだけど、やっぱSF面白い シャッフリングとそれにまつわる組織とか、物語独自の設定をこんなに論理的に作り上げて、その中で登場人物たちが動かせるのが本当にすごい これ読むとビール飲みたくなるよなあ
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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド下巻。2種類の視点から交互に語られることから、状況把握に少し戸惑いました。この作品は幻想的な世界観が特徴的で、掴みどころのない雰囲気が漂っていたように感じます。
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SFよりの設定が盛り込まれていてて、主人公は計算士っていう特殊な職業をやっているのですが、人間の深層心理をキーにして情報を暗号化するという技術を使って機密情報を保存しておく、みたいな飛躍しすぎたITっぽい技術が登場して、ITエンジニアとして興味深かったですね。 一角獣の頭蓋骨というのがキーアイテムとして登場しますが、終盤でこの頭蓋骨が光りだすシーンの描写はいつにも増して幻想的でとても印象的でした。
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村上春樹の作品を初めて読んだ。 前から興味はあったが、好き嫌いが分かれるという声を聞いたのと、なんとなくハードルが高いイメージがありなかなか手が出せないでいたが、意を決して読んでみた。結果、なぜ今まで読まなかったんだと思うくらいとてもよかった。 「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」の話が交互に語られていく形式だが、全く異なる二つの世界の関係が途中で明らかになる。 思考回路のジャンクションの切り替えの話が斬新でとても面白かった。 ハードボイルドワンダーランド(現実世界)で主人公は老博士から第三回路(世界の終わり)に閉じ込められて永遠にそこから出られなくなる(=現実世界での事実上の死)ことを教えられる。それと並行して世界の終わりでは影が日に日に弱っていく。主人公は影と一緒に世界の終わりを抜け出すか、世界の終わりにとどまるかという選択を迫られる。 結局第三回路の主人公は自分は世界の終わりに残り、影を世界の終わりの外へ逃がして生かす道を選択した。この「自分は残る」というのは、現実世界で自分の意思に反して外部から強制的に与えられた「事実上の死」というやるせない状況に対して、自分を納得させるために自身で選択した結果なのだと再定義する意味づけのような選択として描かれている。そして印象的なのは、影を殺さないことに決めたところである。影は生きるうえでのノイズや煩わしい感情として描かれているが、筆者にとってはそういう煩わしく面倒くさい感情が生きる意味なのだと感じた。影は結局ハードボイルドワンダーランドへ逃げたのか?逃げた後どうなったのか?他の人の意識として生きていくのか?など気になった。 また、心情の描写も素晴らしいと思った。物語終盤の主人公の現実世界の終わりが近づいたときの描写がとても心に響いた。「感情のうねり」という表現が本当に的確だし、それを涙もでないままやりすごす苦しさが手に取るように感じられた。 また随所に見られる比喩表現も、独特でとても面白かった。意味ありげな描写やキーワードが沢山出てくるが、ほとんどが明確な意味が明かされることはなく、解釈が読者に委ねられている部分が多いところも魅力的だと思った。(もしかしたら特に意味がないものもあるかもしれない)こういうところは他のメディアではなく小説ならではの魅力だと思うが、本作にはそれがつめこまれており、読書の楽しさを感じられた。 ただ、舞台も見に行ったが、そちらはそちらで舞台ならではの演出がとても素晴らしかった。バレエでの表現が独特の世界観を作り上げていたし、藤原竜也の演技力と存在感がさすがという感じで、とても感動した。 これから村上春樹の作品を読み漁ろうと思う。
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面白かったとも言えるし、そうでもなかったとも言える。でも下巻は没頭した。 起こる現実の出来事を俯瞰的に捉え続けてて良かった。俺も7針縫う怪我をしても達観した思想を持ちたい。
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相変わらず面白いのだが、春樹作品の主人公の性欲の強さには度々呆れるわ。ファンタジーは基本得意ではないが、現実と非現実が交差する作りが巧妙でよかった。
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