陽の子雨の子 の商品レビュー
自分の青春時代(今も?)に思いをはせてみると、どうも明るく爽やかで輝いてるだけでは無かったように思う。なんにも考えていないようでいて、実は説明できないモヤモヤを抱えていたり。 この小説ではそうしたモヤモヤっとした部分が描写された上でキラキラと輝く「青春」が書かれているので、なん...
自分の青春時代(今も?)に思いをはせてみると、どうも明るく爽やかで輝いてるだけでは無かったように思う。なんにも考えていないようでいて、実は説明できないモヤモヤを抱えていたり。 この小説ではそうしたモヤモヤっとした部分が描写された上でキラキラと輝く「青春」が書かれているので、なんだか嬉しい。 紹介文を読むとなんとなく暗い話が想像されますが決してそんなことは無いと思います。気持ちのいいお話でした。
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今回はちょっと長めに感想を書いてみたいと思います。 ネタバレ注意 主人公は中学2年生の夕陽と4年前に家出をして拾われた聡 この二人とおばあちゃんから受け継いだ不動産で 暮らしていけるという24歳の雪枝との間で繰り広げられる物語 雪枝と夕陽はちょっとしたきっかけで出会い 子...
今回はちょっと長めに感想を書いてみたいと思います。 ネタバレ注意 主人公は中学2年生の夕陽と4年前に家出をして拾われた聡 この二人とおばあちゃんから受け継いだ不動産で 暮らしていけるという24歳の雪枝との間で繰り広げられる物語 雪枝と夕陽はちょっとしたきっかけで出会い 子供扱いしない雪枝に打ち解けていく夕陽 大人っぽい子供と、子供っぽい大人 子供と大人の間で揺れる感情が手に取るように分かる きっと読めばそういう時期もあったなぁって思う人も多いんじゃないかな 少なくても自分はありました。というか今もそうかもしれないけど 「夕陽くんまた来ると思う?」 「絶対来るよ、絶対」 自分の中で一番入り込んだ場面。 自分だったら・・・また行っちゃうだろうなと思いました。 あんまりネタバレも避けたいから、この辺にしとこ・・・ 紹介文にもあるんだけど 「青春の輝きと残酷さを刻みつけた、胸にしみる物語」 まさしく、それ。ほんとに色々考えさせられます。 やりたいことをやれる。すごく贅沢なことだけど、大事なこと。 見失っちゃいけない、分かっているんだったら進んじゃいけない そんな道も人生には必ずあるよね。 そんなことを考えさせられました。
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大人びた中学生の少年とある女性、そして彼女の家で暮らす青年の話。明るくなーい話。きらきらした豊島ミホを求めているとショックかも。私はこちらの方が好きだけど。
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うーん、いいかなぁ・・・? 夕陽君の清潔感とか、松田君のキャラクターとか、よかったね。 あと良かったのは、作者のこの作品への思い入れ。 ここまで正直、というか「思い」を書いたあとがきはそうそうお目にかかれない。 聡のキャラクターと人物造形にちょっと惹かれないのが…。
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<私立男子中学二年の夕陽が出会った二十四歳の雪枝。彼女の家には四年前に拾われた十九歳の聡がいた。「トクベツな自分」になりたいのになれなくて、絶望とかすかな希望の間で揺れる雪枝。そんな雪技に隷属する聡。二人の不可思議な関係に夕陽が入ることで、微妙なバランスが崩れかけるが…。青春の輝...
<私立男子中学二年の夕陽が出会った二十四歳の雪枝。彼女の家には四年前に拾われた十九歳の聡がいた。「トクベツな自分」になりたいのになれなくて、絶望とかすかな希望の間で揺れる雪枝。そんな雪技に隷属する聡。二人の不可思議な関係に夕陽が入ることで、微妙なバランスが崩れかけるが…。青春の輝きと残酷さを刻みつけた、胸に染みる物語。 >エッセイが良かったので初めて豊島ミホを読んでみた。非日常に巻き込まれる少年が主人公なので、読んでいるこちらも「これからどうなるんだろう・・?」と非常に先が気になり、一気に読んでしまった。紹介文を見ると暗そうだが、全然そんなことはなく、雨が降った日にでもまた読み返したいなと思う一冊となった。
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間違いや、不幸や、行き違いや、どうしようもない悲しみはあって、僕らの世界にしとしとと溜まっていく。 灰色の点々になって、あじさいの葉の陰に潜み、学校の廊下の蛍光灯のなかでうごめく。 それはいつも誰かに降り掛かっている。 そして間違いなく、僕の身にもいつだって降り掛かり得るものな...
間違いや、不幸や、行き違いや、どうしようもない悲しみはあって、僕らの世界にしとしとと溜まっていく。 灰色の点々になって、あじさいの葉の陰に潜み、学校の廊下の蛍光灯のなかでうごめく。 それはいつも誰かに降り掛かっている。 そして間違いなく、僕の身にもいつだって降り掛かり得るものなのだ。 でも、たぶん、僕らは単純に潰されてしまったりしない。 なにも両足でふんばって正面から立ち向かわなくたって ー頭を抱えて震えてやり過ごすのだっていい、 そいつにだめにされさえしなければ。 上記、文中より抜粋。 相変わらず、青春時代の行き場のない想いを描かせたら、 豊島ミホさんの右に出る者はいないと思う。 ・・・そう、あの感じあの感じ。 もう今はないし、戻ることもない。 でも、渦中にいたあの頃のことを、 今でも鮮やかに懐かしく愛しく思い出せる・・・若い想い。 あの頃は暗闇だったのに、 今の自分から見ると、まぶしい景色。 人に生まれて良かったと、 自分に生まれて良かったと、 生きることをたまらなく愛しく感じる小説でした。
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