授乳 の商品レビュー
収録されている3作どれもが内向きにしか興味がなくそれを何かに投影している。ただそれが現実とのつながりを感じた途端嫌悪の対象となる、といった物語。 ここでいう現実とは何か?本職の解説では女性性と捉えていたが社会規範として捉えることもできるのではないか、とも感じた。社会規範をうまく理...
収録されている3作どれもが内向きにしか興味がなくそれを何かに投影している。ただそれが現実とのつながりを感じた途端嫌悪の対象となる、といった物語。 ここでいう現実とは何か?本職の解説では女性性と捉えていたが社会規範として捉えることもできるのではないか、とも感じた。社会規範をうまく理解できない主人公がその心理的防御策として自分だけの世界を創り出す。なので似ていても自分のルールと少しでも異なると嫌悪感を抱き破綻すると対象を替え自分だけの世界を再構築する、そんなイメージ。自分の中の直視したくない部分を突きつけられたような気がして少し気が重くなるのと同時に、自分だけではないという安心感とが入り混じる感じがする。 3作の中では、美佐子がどんどん不気味な存在になって行くのが印象的な『コイビト』は世にも奇妙な物語風なホラー感があり一番のお気に入り。 それにしても全編通しての美しい文章に混じる汚い言葉が独特な表現であり何ともこの人らしい。
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表題作を中心とした、3つの物語。 淡々として低温の、けれど溢れ出す熱いものを抱えた女の子たちの、物語。 放出することを許されない環境で育つ彼女たち。3つの物語すべて、親が娘である彼女たちに、向き合っていなかった。彼女たちの中にある溢れだしていいものは、封印され、ある種歪んだ形で放...
表題作を中心とした、3つの物語。 淡々として低温の、けれど溢れ出す熱いものを抱えた女の子たちの、物語。 放出することを許されない環境で育つ彼女たち。3つの物語すべて、親が娘である彼女たちに、向き合っていなかった。彼女たちの中にある溢れだしていいものは、封印され、ある種歪んだ形で放出される。 彼女たちは、気づく。健全なものに触れた時、まだ彼女たちが到達していないどこかにいる人間に遭遇した時、彼女たちが抱える未放出の、溢れ出すものを受け止めてもらえた時、歪みに気づく。 物語を読み進めながら思ったこと。なんだか彼女たちの自慰行為を目撃してしまったような、そんな感じだ。 時折共感できる、彼女たちの心の叫び。それらがちくりと刺さるのは、自分にも歪みがあるからで。 彼女たちは極端な例かもしれないけれど、わたし自身もその歪みと向き合っていて、きっとみんな、多少の歪みを抱えながら、時には放出させながら、生きてるんだと思う。 解説がよかったです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
コンビニ人間をよんで。 ソッチ方面かなぁ、と予想はしていたけれど ソッチ方面でした。 解説滝井朝世氏。ナルホド。。。 いわゆる「普通の人とは違う」感性の持ち主3人の女の子のお話。 けれど、他者と関わらずには生きていけない自立前の女の子たち。 (大学生は割と好きなように泊まったり出来ていたようだが) 1作目は長続きは出来ないだろう関係性の物語で、 でもまだ中学生で 2作目はもっと高レベルの人間と出会ったことで関係性の変化へと繋がって でもまだ大学生で 3作目は同じ感性の持ち主かと思いきや、自分が高レベルで。。。でもまだ大学生で でも自分なりに終着点を見つけて。 彼女たちがこれから大人になってどうやって生きていくのだろう、と考えたら。。。 憂鬱に。。。 3作目が一番長かったが、その中で登場した「お姉ちゃん」がキツかった。。。 中身と外見が違う場合、自分の中で許容範囲内で外見に合わせていける人間は幸せだな、と。。。 他作品、読み進めようか悩む。。 授乳 コイビト 御伽の部屋
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またまた村田沙耶香さんにチャレンジ。 やはりクセが強すぎて自分に合わず。 突飛な話すぎて感情移入できない。 もうこの人の本はいいかなあ。
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彼女たちはどこに行くのか、 少しずつ他者と交わりなんとか外界と適合していくのか、 それとも自分自身の世界を打ち立てて生きていくのか。 興味を感じずにはいられない。 http://matsuri7.blog123.fc2.com/blog-entry-206.html
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女性性の拒絶、って解説にもあったけど、それがすごくわかりやすく一貫していた。 授乳はデビュー作らしいけど、正直絵面としてわかりやすくインパクトあるなあと思いました。 子供のいる人間が(とりわけ親)したはずのこと(婉曲)に対して感じる嫌悪って難しいと思う。別にこの作品では重要な要素...
女性性の拒絶、って解説にもあったけど、それがすごくわかりやすく一貫していた。 授乳はデビュー作らしいけど、正直絵面としてわかりやすくインパクトあるなあと思いました。 子供のいる人間が(とりわけ親)したはずのこと(婉曲)に対して感じる嫌悪って難しいと思う。別にこの作品では重要な要素ではなかったと思うけど。
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女であることに嫌悪感を抱いても、一生それとお付き合いしていくしかないんだけどねぇ。 「コイビト」のラストはゾワっとする。
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村田さんのデビュー作。村田さんらしい世界が広がる。短編集で、先に違う作品たちを読み終えているので、少々物足りなさを感じるが、この作品の延長上に最近の素晴らしい作品があるんだなと納得させられた。大好きな作家さん。
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村田沙耶香の初文庫本。生理的な存在に対する嫌悪、特にセクシャリティに対する嫌悪をそれぞれの短編の女主人公から感じられる。ありような人間に対しては徹底的にグロテスクに、常態が転倒した存在に対してはポエティックな柔らかい表現をもって扱っているのが特徴的。これは何だろうかと、著者の人格...
村田沙耶香の初文庫本。生理的な存在に対する嫌悪、特にセクシャリティに対する嫌悪をそれぞれの短編の女主人公から感じられる。ありような人間に対しては徹底的にグロテスクに、常態が転倒した存在に対してはポエティックな柔らかい表現をもって扱っているのが特徴的。これは何だろうかと、著者の人格に関心が出てくる。 17.7.6
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