ベイジン(下) の商品レビュー
まさか、そこで終わり!? あとがきが2010年3月ということもあり、その1年後に福島の原発事故。 先見の明どころか、まるで未来を見てきたかのような終盤の展開。 映画、小説にもなったフクシマ50の話と、かなり酷似している点があり、鳥肌が立つ内容だった。
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工事人の質の問題や地元の権力者の横やりなどで遅々として進まぬ上巻に対し、下巻は北京五輪開会式に合わせた原発の稼働というクライマックスに向けて一気に盛り上がり、頁を繰る手が止まらなくなる。 が、最終の終わり方に消化不良の思いも少々。 紅陽核電の技術顧問田嶋、核電運転開始責任者鄧学耕...
工事人の質の問題や地元の権力者の横やりなどで遅々として進まぬ上巻に対し、下巻は北京五輪開会式に合わせた原発の稼働というクライマックスに向けて一気に盛り上がり、頁を繰る手が止まらなくなる。 が、最終の終わり方に消化不良の思いも少々。 紅陽核電の技術顧問田嶋、核電運転開始責任者鄧学耕、それに映画監督楊麗清のそれぞれの視点で話が進む。 記録映画のメインにしようと楊の企画により、この3人が一堂に会する場面がある。 そこで楊は二人を繋いだ絆は?と問うと、田嶋は「希望」と答える。 「紅陽核電から始まるエネルギー新時代への希望であり、中国人民が心を一つにしたいと願う希望」と。 中国での原発建設を描いたこの小説に通底する言葉は「希望」、その他の場面でも様々な人物により語られる。 「誇りと希望です。あなたは、人民にそれを与えることが出来るはずです」 「そうだ。希望とは結果じゃない。信じること、追い求めることなんだ」 二人の絆を謳いあげる一方で、巻末の参考文献に加え著者の綿密な取材に基づいたこの小説、現代中国の裏の姿をも記している。 「そもそも我々は、日本人を憎むように国家から教育されてきたんだ。ごく最近になってようやく、軌道修正しようとはしている。しかし、国家から指導された反日行動を、党の要人が否定するなんてことはあり得ないんだ。・・・」 「中国人は絶対に謝らないし、自己批判もしない」 北京五輪の開会式当日に原発の稼働を迎えるが、技術顧問の田嶋は一抹の不安を覚え、かんと化して稼働を止めようと図る。しかし、中国は彼の指摘を抑え込み、強引に稼働を進める。そして田嶋の不安は的中し、原発内での火事に爆発。まるで、福島第一原発の事故を予感させるような事態に。 過去の事故で命を落とした田嶋の親友の言葉として語られる「原発は、我々に素晴らしい恩恵を与えてくれる。だが、人間の心に隙が生まれた瞬間、神の火は、劫火に変わる」 東電関係者が、この小説をしっかりと読んで対策を怠らなかったら、あの事故は防げたのではと夢想してしまう。
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一つの目標に突き進んでいく異国人の心の葛藤と心の繋がりを巧みに紡ぎ出す内容であった。勧善懲悪のエンディングを活字で読むことを期待したが、大連市長のその後や施設内の結末、鄧と朱の恋模様が読者の想像になってしまったことは残念である。
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2008年8月8日8時pmに北京五輪が開催された。そこに合わせて、世界最大の原発も運開された。原発という巨大建造物を建てることに命をかける主人公たち、中国中枢の権力争いの物語、が並行して繰り広げられる。 絶対安全といえども人為的なミスにより事故が起きる
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後半のスピード感は真山さんの著書ならではの感じ。日本人技師田嶋氏の愚直さや準主人公?である鄧や秘書朱の少しずつ表に出てくる人間味が好感持てました。原発の仕組みや事故に至るプロセスが綿密な取材調査の元に書かれた事がよくわかります。東日本大震災の事故の前にこれ読んでいたら、震災現場で...
後半のスピード感は真山さんの著書ならではの感じ。日本人技師田嶋氏の愚直さや準主人公?である鄧や秘書朱の少しずつ表に出てくる人間味が好感持てました。原発の仕組みや事故に至るプロセスが綿密な取材調査の元に書かれた事がよくわかります。東日本大震災の事故の前にこれ読んでいたら、震災現場で起こっていそうな事が良くわかったのだろうなと複雑な気持ちになりました。最後は賛否両論ありそうですが、ハッピーエンド好きな私としては、皆が幸せになるとこを見られず残念か、悲惨な結末になるのを見ずにすみ良かったのか、、、。悩ましいが、これはこれで良しですかね。
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※このレビューにはネタバレを含みます
感想 えっ!?ここで終わり?事故後の処遇やそれぞれの安否など気になること満載過ぎて、えーー? エピローグがかなり気になった。。。 あらすじ 中国紅陽市の建設中の核電で働く田嶋と、党から派遣された鄧は、利権を貪る輩との戦いに明け暮れていた。IAEAからは核電が事故を起こした場合の悲惨な予測がしめされ、田嶋と鄧は愕然とする。 また、核電が耐震基準を全く満たしていないなど問題は山積みだ。そうこうするうちに鄧の義父が北京で自殺したと連絡を受ける。汚職がバレて責任を取らされたのだった。鄧は党上層部より、核電の運行、大連市長の汚職の摘発をお題に挙げられる。 いよいよ迎えた五輪の前日、非常用発電のエラー率30%、非発の軽油が盗まれる、工事用電線が盗難に合うなど問題満載で当日を迎える。 田嶋は核電の停止を主張したが、大連市長命令で警察に拘束される。そんな時、停電が起きる。持ち込んだラジオが原因で配電盤で火災を発生させたのだ。それに続いて非発でも爆発が発生する。田嶋と鄧は事故被害を最小限に抑えるため、奮闘する。
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ベイジン 真山仁 2008年の北京オリンピックに合わせて、中国が世界最大の原子力発電所の運開を目指す。そんな中で、日本の技術者と党本部規律検査委員会の役人が、それぞれの役割を全うしながら、想いを胸に同一のミッションに進んでいく。原子力発電所の光と闇に、3.11の前にこれだけ切り...
ベイジン 真山仁 2008年の北京オリンピックに合わせて、中国が世界最大の原子力発電所の運開を目指す。そんな中で、日本の技術者と党本部規律検査委員会の役人が、それぞれの役割を全うしながら、想いを胸に同一のミッションに進んでいく。原子力発電所の光と闇に、3.11の前にこれだけ切り込んでいる真山仁の慧眼にさすがに舌を巻く。同時に、本書は他の真山仁の作品と比べても主人公が青臭く、セリフが熱い。何度も名シーンと呼ばれる部分があり、その度に感涙するほどの良いシーンがたくさんある。 また、本書とは関係が薄いが、真山仁は「関西人のおっちゃん」が好きなのだろうなと最近思う。ハゲタカシリーズの飯島、コラプティオや標的、売国の東條、そして今回の門田。門田は今回良い役柄ではなかったが、飯島と東條は毎回真山仁の小説に一癖二癖加えるトリックスターだ。どちらもコテコテの訛りと、とにかく品性の欠片もない物言い、それでいて勘が鋭く、頭はとにかくキレる。作中で、妖怪と呼ばれるような形で、幾度となく基本的なストーリーラインを邪魔するのだが、どうも完全な悪人ではない。だから恨めないという絶妙なキャラクター。元記者の真山仁にとって、東條のような人間は実際に近くにいたのかもしれないが、毎度、ストーリーに出てくるこうしたタイプのキャラクターに、真山仁の愛を感じる。
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(上下巻合わせてのレビューです。) 真山さん久々の文庫本。 予想通りというか期待通りというか、 750ページを超える長編なのに 続きが気になって気になって仕方ない感じ。 寝る間を惜しんで、あっという間に読みきってしまった。 特に後半からのラストスパートはお見事! 話は、原子力...
(上下巻合わせてのレビューです。) 真山さん久々の文庫本。 予想通りというか期待通りというか、 750ページを超える長編なのに 続きが気になって気になって仕方ない感じ。 寝る間を惜しんで、あっという間に読みきってしまった。 特に後半からのラストスパートはお見事! 話は、原子力発電開発を支える日本人技師と 中国人エリートの物語。 中国国内の腐敗の様子や気質等、 日本では味わえないことがたくさん疑似体験できる。 改めて、世界の価値観は多様性に富んでいると感じた。 中国に興味のある人、もっと知りたい人は 是非読んで下さい。
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特に下巻の後半がスピード感があり面白い。感情をあまり出さなかった鄧の人間らしい行動、朱のたくましい凛とした行動に熱くなりました。 印象的なフレーズ、 「諦めからは何も生まれない。希望とは自らが努力し、つかみ取るもの。」
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※このレビューにはネタバレを含みます
時は2008年、所は中国。北京五輪開幕直前。世界最大級の原子力発電所では北京五輪開幕と同時に運転開始をするのを今か今かと待っていた。若き中国共産党幹部・登はこのセレモニーの責任者だった。しかし実際の現場を預かる日本人技術顧問・田嶋との軋轢が。中共幹部の腐敗、モラルの低さ、技術的な遅れ…その他様々な要因が重なり、大惨事が起きてしまう…。最大の危機に田嶋はどう立ち向かうのかー。詳細→ http://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou23411.html
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