ベイジン(下) の商品レビュー
鄧学耕が 朱克明のもとに 組み込まれていく。 政治的な力学が つねに左右する。 中立や無関係は存在しない。 無口で余分なことを言わない鄧学耕。 『希望とは 自分たちが努力して 奪い取るものだ』 と 鄧学耕はいう。 希望とは 世界で最大級の紅陽原子力発電所を 稼働させることであ...
鄧学耕が 朱克明のもとに 組み込まれていく。 政治的な力学が つねに左右する。 中立や無関係は存在しない。 無口で余分なことを言わない鄧学耕。 『希望とは 自分たちが努力して 奪い取るものだ』 と 鄧学耕はいう。 希望とは 世界で最大級の紅陽原子力発電所を 稼働させることであるが、 ラジオが 発電所内に持ち込まれて、それが問題を起こす。 そのラジオは 大連市長が経営している会社のもので、 原子力発電所のスタッフにプレゼントされたものだった。 オリンピックの開会式に 発電を間に合わせることに 成功するが、そのあと ブラックアウトとなる。 一方で 大連市の市長をターゲットにして 中紀委が拘束しようとするが 中紀委の書記の寝返りで果たせなかった。 つぎつぎに 発電所内で 火災が発生し 爆発をおこす。 鄧学耕と 田嶋はこの危機を どうのりきるのか。 中国という国を 中紀委 という視点を入れて 眺めたことが この作品の特徴であり、優れたところである。 田嶋と言う 優れた日本人が 描かれているが 鄧学耕は スーパーエリートであるが,柔軟性もあり, このような中国人が本当にいるのか と疑わざるをえない。 あまりにも,日本人的な思考力である。 それでも,いい作品であることは確かだ。
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中国で原子力発電所を設立するまで様々な障害を乗り越えていく中で生まれる日本人技術顧問と中国人責任者。 しかし汚職はびこる地方行政の影響で、原発の環境は著しく悪くなり、ついに。 2008年に書かれたこの本。あたかもフクシマの原発事故を見たかのように生々しく事故が書かれていく。 事...
中国で原子力発電所を設立するまで様々な障害を乗り越えていく中で生まれる日本人技術顧問と中国人責任者。 しかし汚職はびこる地方行政の影響で、原発の環境は著しく悪くなり、ついに。 2008年に書かれたこの本。あたかもフクシマの原発事故を見たかのように生々しく事故が書かれていく。 事故が起こって、どのようになっていくか・・・ というところで終わってしまい、物足りなさを感じた。
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3.11と尖閣問題の後となった今、改めて文庫本で読んだ。やはり真山仁はスゴい!! 改めて日本人と中国の難しさと原発の恐ろしさを感じる。これは今こそ必読。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
3.11を経験したいま、 物語後半の紅陽核電のSBO(Station Black Out)は、 FUKUSHIMAを思い起こさせます。 怖い。 でもねぇ、そういう終わり方ですが。 「希望」を浮かび上がらせようという手法なんですかね? 私は、最後までキッチリとして欲しかった。
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(ネタバレ)原因は違えど原発の電源消失→炉心融解を完全に予期した内容。真山仁の調査は深く、小説はとても示唆に富んでいる。また、この小説はハゲタカ続編のレッドにも繋がっていますね。
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燃え上がる五輪、原発、そして中国。人は国家と組織を乗り越えられるのか。最後まで希望を捨てずに生きようとした先に見えたものとは-? 現代の暗部を容赦なく抉る社会派エンターテインメント驚愕の結末。 中盤以降は怒涛のストーリー展開を見せる。ただ物語の面白さと裏腹に人物の描写が希薄にな...
燃え上がる五輪、原発、そして中国。人は国家と組織を乗り越えられるのか。最後まで希望を捨てずに生きようとした先に見えたものとは-? 現代の暗部を容赦なく抉る社会派エンターテインメント驚愕の結末。 中盤以降は怒涛のストーリー展開を見せる。ただ物語の面白さと裏腹に人物の描写が希薄になっていった。特に主人公のはずのひとり、中国人女性の存在感の薄さが際立った。結末も物足りなかったのも残念だった。 (C) 2012年の読書もこれで終わり。121冊読んでA評価は9冊、B評価で★5つが6冊でした。
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やっぱり真山仁はよい。上巻はいつも以上に背景を認識するのに時間がかかった。多分中国人の名前を頭に入れるのに苦労したから。★5にしなかったのは、ラストが途中で終わっていたから。このあとを勝手に想像せよというのは、ちょっと乱暴じゃないですか? それにしても、本書も震災の前に書いていた...
やっぱり真山仁はよい。上巻はいつも以上に背景を認識するのに時間がかかった。多分中国人の名前を頭に入れるのに苦労したから。★5にしなかったのは、ラストが途中で終わっていたから。このあとを勝手に想像せよというのは、ちょっと乱暴じゃないですか? それにしても、本書も震災の前に書いていたというのは、なんだろ、予言者かも。ただ、震災の影響で今後書きづらくなるような。そこは素人考えでプロはうまく現実を小説に取り入れるのを期待しちゃいます! しっかり続きを書いてください!!!
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★2012年10月26日読了 ベイジン(上、下)真山仁著 評価B+ 中国の大連に世界最大級の原子力発電所が建設されることとなる。 その技術指導に日本の原子力発電所のプラント会社から田嶋が派遣されるが、完成の日程は、北京オリンピック開催日と決められ、その政治的日程の制限と地元大連の...
★2012年10月26日読了 ベイジン(上、下)真山仁著 評価B+ 中国の大連に世界最大級の原子力発電所が建設されることとなる。 その技術指導に日本の原子力発電所のプラント会社から田嶋が派遣されるが、完成の日程は、北京オリンピック開催日と決められ、その政治的日程の制限と地元大連の有力者、市長、遼寧省長などが権謀術数を駆使して自らの勢力拡大に火花を散らす。 結果的に、オリンピック開会式に発電所の開所は間に合わせるのだが、、、、、、というストーリー。ハゲタカを書いた真山らしく、迫真の物語は、中国駐在経験の私にも面白く、中国に住んだことのない筆者がよく関係者への取材でここまで本質を捉えて、中国人の精神構造、政治構造を描いたものだと感心させられました。また、原子力発電所内部での様々な葛藤は、今となってはその後に起きた福 島原発の惨状を描いたと思えるほどの出来栄えであり、予言的でさえある。 平日にたった3日で読み通させる程の力をもった作品(文庫約760ページ)だが、惜しむらくは後半の展開が急ぎすぎ、中国人女流映画監督や大連市特命副書記、その秘書などが十分機能しきっておらず、あと100ページは必要だったのではないかと思わせる点で、評価はAを付けられない。
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ハゲタカシリーズの真山仁が週刊誌への連載に初挑戦した一冊。 原発事故の後の今読むとものすごくいろんなことがしっくり来るとともにいろんな空恐ろしさがやってくる。 舞台を日本にしたら書けなかったというのもすごい納得がいく上、中国を舞台にしているのもよいスパイスが効いている。 ハゲタカ...
ハゲタカシリーズの真山仁が週刊誌への連載に初挑戦した一冊。 原発事故の後の今読むとものすごくいろんなことがしっくり来るとともにいろんな空恐ろしさがやってくる。 舞台を日本にしたら書けなかったというのもすごい納得がいく上、中国を舞台にしているのもよいスパイスが効いている。 ハゲタカほどの勢いはないものの、筆力が上がっているので読みごたえが十分。エネルギー系のほうがこの人、いい話書くんじゃない?とか思ってしまった。 今の日本の原発の話を知るにも、良い一冊だと思います。
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