去年はいい年になるだろう の商品レビュー
2001年9月11日、ワールドトレードセンターが崩壊する映像の直後に 画面の中に現れたのはガーディアンと名乗る美女だった。 彼らはこれから起こる事故や自然災害、戦争を防ぎ 人間を保護するために24世紀からやって来たと言うのだ。 歴史を1年ごとに遡ってはその時代に10年滞在し、また...
2001年9月11日、ワールドトレードセンターが崩壊する映像の直後に 画面の中に現れたのはガーディアンと名乗る美女だった。 彼らはこれから起こる事故や自然災害、戦争を防ぎ 人間を保護するために24世紀からやって来たと言うのだ。 歴史を1年ごとに遡ってはその時代に10年滞在し、また次の年へ向かう彼らは その経験から我々の反発を見事に抑え込んだかのように見えた。 さらにSF作家の私の元には広報活動のため カイラという名のアンドロイドが訪ねてきた。 未来の私のメッセージや小説を持って。 未来の私が書いた物を自分の作品として発表してもよいものか、 悩んだ結果編集者に相談してみるが 考えることは誰も似ているようですでに未来の作品で 出版計画は満杯になってしまい仕事がなくなってしまった。 ただでさえガーディアンの出現でSFのアイディアが限られてしまったというのに。 家計は苦しくなり、カイラと私の仲を疑って夫婦仲も険悪に。 彼らは人間を保護するためにやって来たと言うが、 犠牲となる個人が未来とは変更されただけではないのか。 装丁:多田和博 カバーイラスト:西口司郎 カバー写真:アフロ 著者を主人公としたノンフィクション風SFです。 人間を救うことを生きがいとして未来からやってきたアンドロイドに対して 2001年の人々はどのように行動するのか。 実在の人物や出来事も多く登場するので、 「「そのまんま東が宮崎県知事になる」というのはどうだろう。 ギャグっぽいが微妙にリアルで、判断に困る。」のような 未来の自分が教える出来事を信じられない私、という ユーモアのあるシーンも多いです。 山本さんのプロフィールや作品を知っていればより楽しめそう。 しかし実際の奥さんと不仲になってしまった場面や 精神を病んだ未来の自分など厳しい描写も多く よく自分を主人公として客観的に書けたな、と感じます。 パラレルワールドの不毛さと人間の愚かさが浮き彫りになった作品。
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山本弘「去年はいい年になるだろう」読書中。AIである「ガーディアン」が登場するため、「アイの物語」と重なる部分が多々ある。ただ、メインアイデアは時間遡行だろうし、それを踏まえてタイトルをみると少し不穏な印象も...。後半に期待。 それにしても、長編作品ではよくも悪くも山本節が炸...
山本弘「去年はいい年になるだろう」読書中。AIである「ガーディアン」が登場するため、「アイの物語」と重なる部分が多々ある。ただ、メインアイデアは時間遡行だろうし、それを踏まえてタイトルをみると少し不穏な印象も...。後半に期待。 それにしても、長編作品ではよくも悪くも山本節が炸裂するのだよね。もちろんそれが好きなわけだけれど、たまには純粋に「物語」として楽しめる山本弘の短編も読みたくなる。短編集、そろそろ出ないかなー。彼は本当に短編がうまい作家さんだと思うのだよ。 山本弘「去年はいい年になるだろう」読了。未来からロボットがやってきた、という設定で、私小説スタイルで山本弘本人(この分岐とは異なる山本弘)周辺に起こった様々な歴史改編の爪跡を描いて行く形式。前半から中盤は、仕掛けの割に話が地味に見えるかも。 後半になって話が大きく動く。パラレルワールドものとしては短編的なネタなんだろうけれど、一人の人生を改編することの重みは、私小説形式によって伝わってきた。エピローグがよかったです。 山本弘は歴史改変によって生じる複雑なパラレルワールドについて、図を使って説明してくれるから親切で嬉しい。複雑な話がでてくる小説は、もっと図を使ったほうがいいと思うんだ。小川一水「第六大陸」なんて、ロケットの形状に詳しくない私にはちんぷんかんぷんな説明が多すぎた。 と、disっておきながら、同じく歴史改変パラレルワールドものの小川一水「時砂の王」はいい作品ですよ。「去年はいい年になるだろう」を読むと、また読み返したくなるな。「時砂...」はかなり派手な出来事が起こる作品です。
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ブクログのシステムが許せば星6個ですね。いつもながら……と言うほど毎回じゃないですが、山本弘のSFは、なんというか、肌に合います。 今回は時間テーマ、というか未来からの訪問者ですね。 山本弘の固定ファンをニヤリとさせるモノをちりばめながらも、じわじわとナニカが襲ってくる感じは...
ブクログのシステムが許せば星6個ですね。いつもながら……と言うほど毎回じゃないですが、山本弘のSFは、なんというか、肌に合います。 今回は時間テーマ、というか未来からの訪問者ですね。 山本弘の固定ファンをニヤリとさせるモノをちりばめながらも、じわじわとナニカが襲ってくる感じは、読んでいる間じゅう、ゾクゾクさせられました。 ただ、一方で「山本弘?誰それ」という人なら星4つ、という所かもしれません。
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京都在住の自分には関西弁で綴られる文体に親しみがあり、細かいニュアンスも理解できるが、SFを読んでいる時に感じる特有の「本」との距離というか間合いになれなかった。 美少女ゲームにありがちな「美女アンドロイドが押し掛け女房状態」という設定から始まるが・・・。
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SFなんだろうと思うけど、頭が固いのか今ひとつ楽しく読み進められませんでした。 おもしろくないわけではなく、難しい感じ。
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人間の善意や賢明さに期待するシステムは必ず破綻する 大切なのは許容することだ。生身の女性を脳内の理想像に当てはめてはいけない。「これを喜んでくれるはず」とか「これくらい許してくれるはず」とか、勝手な思い込みで決めつけてはいけない。 彼女には彼女の意思があり、好みがある。君の方が...
人間の善意や賢明さに期待するシステムは必ず破綻する 大切なのは許容することだ。生身の女性を脳内の理想像に当てはめてはいけない。「これを喜んでくれるはず」とか「これくらい許してくれるはず」とか、勝手な思い込みで決めつけてはいけない。 彼女には彼女の意思があり、好みがある。君の方が彼女に合わせなくてはならない。 結婚生活は理想通りにはいかない。疲れることも多い。しかし、理想と違うところも含めて素晴らしいのだ。
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20100614読了。実在人物が結構出て来て、自伝的、ではあるけども、パラレルというべきか。いかにも、でした。
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ふんぎゃあ。 なるべく読み終わった直後に感想を書くことにしている。その興奮なんかを冷まさずに書く為に。 ふんぎゃあ。 ああもう。 本当は五つ星なんて連発したくない。 これも読んでる途中まで、「よくできている。物凄く良くできている。でも、これじゃ四つだな」と思っていた。 いやもう...
ふんぎゃあ。 なるべく読み終わった直後に感想を書くことにしている。その興奮なんかを冷まさずに書く為に。 ふんぎゃあ。 ああもう。 本当は五つ星なんて連発したくない。 これも読んでる途中まで、「よくできている。物凄く良くできている。でも、これじゃ四つだな」と思っていた。 いやもう。 ラストの章。 間違いなく五つな訳で。もっと星ないの。 神様ありがとう。 全然いると思ってないけど、ありがとう。 『アイの物語』を手に取らせてくれたことと、新刊のこの本に気づかせてくれたこと。 作中、『アイ〜』にて、人と云う存在に絶望している的な気持ちが込められているって云う下りがある訳ですが、でもね、やっぱり作者は人が、人を、信じたいんですよ。 人は、そりゃもうビックリしちゃうくらい愚かで、非論理的で、間抜けで、残酷なんだけど、でもさ、人が人を愛してやらなければ、誰がこの孤独な存在を認めてあげられるの?と。 云っているようにしか思えない。 あなたとわたし。 決して同一にはなれない。 でも、なれないからこそ意味が、意義があるんだよね、って云う。 生涯ベストに間違いなくランクインしました。
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多彩な活動で知られるSF作家の山本弘自身が、自らをモデルに私小説として描き上げたパラレルワールドを扱ったSF小説だ。タイムトラベル物をよく読みこなしているSFファンにはかなり面白い作品かもしれない。トンデモ本を楽しむ集まり、「と学会(とがっかい)」会長でもある著者が、それを逆手に...
多彩な活動で知られるSF作家の山本弘自身が、自らをモデルに私小説として描き上げたパラレルワールドを扱ったSF小説だ。タイムトラベル物をよく読みこなしているSFファンにはかなり面白い作品かもしれない。トンデモ本を楽しむ集まり、「と学会(とがっかい)」会長でもある著者が、それを逆手にとってパロディ精神とSF実証主義を駆使して書いた作品だ。2001年9月11日のニューヨークでのテロ事件が、300年後の未来からやってきたアンドロイド達により未然に阻止されたという書き出しで、「2001年の自分」がどうなっていったかを描いている。いわば、もしもの世界の実証的な再構築だ。自虐的なところも多々あるのだけれど、しっかり自分好みの美人アンドロイドも登場させて、苦しみながらも楽しんで書いた様子がありあり。
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「神は沈黙せず」、「アイの物語」の山本弘氏の新作。主人公は作者自身がモデル(?)のため、作中上記代表作のネタバレが多発し、未読の方は注意が必要。 作者が代表を務める「と学会」の話や主人公の家族の話等、どこまでがフィクションなのか興味深いが、純粋な小説としては及第点レベルといった印...
「神は沈黙せず」、「アイの物語」の山本弘氏の新作。主人公は作者自身がモデル(?)のため、作中上記代表作のネタバレが多発し、未読の方は注意が必要。 作者が代表を務める「と学会」の話や主人公の家族の話等、どこまでがフィクションなのか興味深いが、純粋な小説としては及第点レベルといった印象であり、上記代表作には残念ながら遠く及ばない感じ。
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