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オランダ風説書 の商品レビュー

4.2

13件のお客様レビュー

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2020/07/18

いやあ、面白かった。 江戸時代日本はどのような情報を得ていたのか? オランダ人はどのような情報を与えていたのか? オランダ風説書で抜粋された内容から、日本政府・オランダ人の世界観が見える。当時の世界が見える。 情報もパワーの一種だけど、情報という重要なパワーに焦点を当てている...

いやあ、面白かった。 江戸時代日本はどのような情報を得ていたのか? オランダ人はどのような情報を与えていたのか? オランダ風説書で抜粋された内容から、日本政府・オランダ人の世界観が見える。当時の世界が見える。 情報もパワーの一種だけど、情報という重要なパワーに焦点を当てている。 想像の何倍以上も、当時の世界観を見渡せる良書でした。 「幕府は「外」の存在を認識した上で、人や物、情報の動きに厳しい制限を加えた。だからこそ、「外」の状況を知るために風説書が必要とされたのである。」

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2014/05/14

面白かったが、ところどころ主語述語が分からなくなって、行ったり来たりした。結論で、「風説書は、江戸時代の日本が聞いたオランダ人のささやきでしかなかった」「人間は興味のあることしか知ろうとせず、自分の価値観に合致することしか理解しないのではないか」と書かれている。異文化をどのように...

面白かったが、ところどころ主語述語が分からなくなって、行ったり来たりした。結論で、「風説書は、江戸時代の日本が聞いたオランダ人のささやきでしかなかった」「人間は興味のあることしか知ろうとせず、自分の価値観に合致することしか理解しないのではないか」と書かれている。異文化をどのように取り入れ、取捨選択し、解釈し、受け入れるのか。西欧近代のパワフルな破壊力の正体がなにで、それとは何人たりも無関係でいられないという時代について、色々考えさせられた。

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2014/03/28

江戸時代を通してオランダと江戸幕府の間で取り交わされた オランダ風説書を解説する一冊。語り口は柔らかく、 非常に読みやすい。オランダや江戸幕府の意図や、 通訳人と商館長の苦労など、大変面白く読めた。

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2014/03/14

世界史上類例がないとも述べられる、200年の長きにわたって継続的にリポートされつづけた国際情勢。それが風説書だった。この新書が論文を下敷きにしているだけあって、そこまでの知識を新書レベルで誰が欲するんだというくらい掘り下げている。 いろいろ改めて気づかされる。 なぜオランダが唯...

世界史上類例がないとも述べられる、200年の長きにわたって継続的にリポートされつづけた国際情勢。それが風説書だった。この新書が論文を下敷きにしているだけあって、そこまでの知識を新書レベルで誰が欲するんだというくらい掘り下げている。 いろいろ改めて気づかされる。 なぜオランダが唯一の西欧の貿易相手国だったかということや、なぜオランダは日本と貿易をし続けたのかということなど。 また、風説書は幕閣や諸藩にとって西洋近代の脅威を感じとる窓口であったと述べられる。とりわけ薪水給与令への転換を見れば清朝の連敗は衝撃であったことが容易に想像つく。 通詞や商館による自身が有利になるための情報操作があったものの、中央がオランダにリポートを課し続けたことは本書が述べるとおり清や朝鮮と異なるところであり、それを受け継いだ国家の体質が19世紀後半以降における決定的な西欧化の違いとなって表れてくるのだと思う。

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2013/08/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本人の海外渡航を禁じた江戸幕府にとって、オランダ風説書は最新の世界情勢を知るほぼ唯一の情報源だった。長崎出島を舞台に鎖国のニ百年間、毎年続けられた世界情報の提供の実態に迫る。 第一章 「通常の」風説書 第ニ章 貿易許可条件としての風説書 第三章 風説書の慣例化 第四章 脅威はカトリックから「西洋近代」へ 第五章 別段風説書 第六章 風説書の終焉 おわりに 著者によると研究すればするほど、風説書の限界が見えてくるという。本書の結論風にあえて言うなら「風説書は、江戸時代の日本が聞いたオランダ人のささやきでしかなかった」ということになるという。 著者の過大評価すべきでないという見方は面白いが、幕府の役人達もなかなかやるというのが率直な感想であった。(初期においては唐人ルートの情報と突き合せたりしている) シャム王がジャンク船を利用して対日貿易を行っていたとは知らなかった。 通詞が情報を取捨し江戸へ伝えるか決める様子は、情報の流れを知るうえで興味深い。オランダ人もライバルを蹴落とすために、思惑を持って情報を提供しているのが面白い。 やや読み難い気がしたが世界史の視点から徳川日本を知る事が出来る本である。

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2011/07/29

江戸時代は「鎖国」状態などではなかったことはもはや常識になっている。その根拠の一つが「オランダ風説書」の存在だが、それが実際にはどのようなものだったのかが、オランダ語文献の側からも明らかにされているのが本書の特徴だ。その結論が末尾で吐露されているのだが――研究者としての率直な態度...

江戸時代は「鎖国」状態などではなかったことはもはや常識になっている。その根拠の一つが「オランダ風説書」の存在だが、それが実際にはどのようなものだったのかが、オランダ語文献の側からも明らかにされているのが本書の特徴だ。その結論が末尾で吐露されているのだが――研究者としての率直な態度に感心。

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2011/04/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 日本人の海外渡航を禁じた江戸幕府にとって、オランダ風説書は最新の世界情勢を知るほぼ唯一の情報源だった。 幕府はキリスト教禁令徹底のため、後には迫り来る「西洋近代」に立ち向かうために情報を求め、オランダ人は貿易上の競争相手を蹴落すためにそれに応えた。 激動の世界の中で、双方の思惑が交錯し、商館長と通詞が苦闘する。 長崎出島を舞台に、「鎖国」の200年間、毎年続けられた世界情報の提供の実態に迫る。 [ 目次 ] 第1章 「通常の」風説書 第2章 貿易許可条件としての風説書 第3章 風説書の慣例化 第4章 脅威はカトリックから「西洋近代」へ 第5章 別段風説書 第6章 風説書の終焉 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2010/11/21

17世紀のオランダ人と日本人の会話は主としてポルトガル語で行われた。布教を目的として来日ポルトガル人が日本人に熱心に彼らの言葉を教えたのと違い、商人として来たオランダ人は利益を生まない語学教育に時間を費やしたりしなかった。 17世紀的なヨーロッパとは違う19世紀のヨーロッパの在り...

17世紀のオランダ人と日本人の会話は主としてポルトガル語で行われた。布教を目的として来日ポルトガル人が日本人に熱心に彼らの言葉を教えたのと違い、商人として来たオランダ人は利益を生まない語学教育に時間を費やしたりしなかった。 17世紀的なヨーロッパとは違う19世紀のヨーロッパの在り方を幕府は認識していた。 カトリックの侵入を防ぐための装置だったオランダ風説書は西洋近代に対してもそのまま転用が可能だった。 情報集散地としてのオランダの機能は大きかった。新聞もアムステルダムで17世紀には複数発刊されていた。 オランダ東インド会社は秘密主義で有名だった。 オランダ人は日本市場の潜在的な可能性に期待しており、幕府の貿易統制さえなくなれば、利益があがるだろうと信じ続けていたことである。それゆえ、日本との独占的な関係を完全にたちたくなかった。 ベルギー独立に伴って1840年代からオランダは税収が激減し、財政危機に陥った。 18世紀、いらんだの地位は目に見えて低下した。あらゆる面でイギリスが優位になった。しかし日本では何を語ろうとも信じてもらえる状況だった。

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2010/09/06

江戸時代における海外情報の流通を追った労作である。 通時的な分析によって、徳川幕府の関心の移り変わりが透けて見えるのが面白い。 こうした研究が成り立つのも日蘭が長いこと深い関係を結んでいたからこそだが、オランダの国際的地位が揺れ動く中で関係を維持するために、商館や通詞たちは暗闘を...

江戸時代における海外情報の流通を追った労作である。 通時的な分析によって、徳川幕府の関心の移り変わりが透けて見えるのが面白い。 こうした研究が成り立つのも日蘭が長いこと深い関係を結んでいたからこそだが、オランダの国際的地位が揺れ動く中で関係を維持するために、商館や通詞たちは暗闘を繰り返してきたわけである。したがってこれは、阿蘭陀通詞という裏方の歴史でもある。 「おわりに」でさらっと触れられているが、通詞たちは幕府だけでなく九州諸藩にも情報を横流ししていたらしい。彼らにとってはバイト感覚かもわからんが、通詞たちの情報が多少なりとも九州諸藩の国際感覚醸成に役立って幕末期につながった、と妄想すると面白い。

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2019/01/16

●構成 第一章 「通常の」風説書 第二章 貿易許可条件としての風説書 第三章 風説書の慣例化 第四章 脅威はカトリックから「西洋近代」へ 第五章 別段風説書 第六章 風説書の終焉 --  江戸時代の日本は一般に「鎖国」をしていたと言われているが、歴史的には決して国を鎖してはいない...

●構成 第一章 「通常の」風説書 第二章 貿易許可条件としての風説書 第三章 風説書の慣例化 第四章 脅威はカトリックから「西洋近代」へ 第五章 別段風説書 第六章 風説書の終焉 --  江戸時代の日本は一般に「鎖国」をしていたと言われているが、歴史的には決して国を鎖してはいない。長崎、対馬、薩摩、松前の「四つの口」によって規模は小さいがはっきりとした外国との交易がなされていた。そのうち長崎口は、オランダ及び唐人(中国を中心とし、東南アジアも含む)を相手に交易を行っていた。交易は単に商業上の目的に留まらず、情報収集の役目も果たしていた。日本人の外国への渡航、外国からの帰還、許可された場所と国以外の接触禁止が発令された1630年代以降、外国に関する情報収集はほぼ交易を通じて行う以外になかったのである。  本書は、幕府の指示によりオランダ商館から毎年提出された「風説書」について、その性格や実態、取り扱われた情報や提出された情報の質量など、多岐にわたって論ずる。  従来の研究史では「風説書」の作成にあたってオランダ商館から提出された原本から和訳されていたとされているが、著者はそうではなく、通常の「風説書」については原本は存在せず口頭による報告をオランダ通詞が聞き書きするものであったとする。また、この時にオランダ商館長と通詞が協議の末長崎奉行に報告する内容を恣意的に取捨選択していたこと、さらには通詞の独断で取捨選択も成されたことを明らかにする。  また、「風説書」のオランダにとっての意味合いについて、著者は17世紀の段階では交易上競合する他国(カトリックの西洋諸国)の情報を日本に伝え、その結果他国を排除することを主眼に置いているとする。18世紀には、オランダはイギリスなどの勢力拡大を受けて低迷していたが、日本においては多大な信頼を得ており、「風説書」何を言っても日本が信じるような状態であった。19世紀にはオランダの衰退著しく、場合によっては虚偽の報告が必要なほどに苦慮していたのである。  本書は江戸幕府の対外政策にとってどのような情報が必要だったのか、また当時西洋世界との唯一の窓であったオランダは日本に対して西洋をどのように伝えたのか、そしてそもそも「風説書」とは何であったのかについての、最新の研究結果である。 -- 【図書館】

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