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オランダ風説書 の商品レビュー

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13件のお客様レビュー

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2010/08/01

オランダという国に興味があったので読んでみた。 風説書がなんなのかはよく知らなかった。けれど、鎖国する日本にとって世界情勢を知るためには必要だったもののようで。当時の日本のせこい感じがよく伝わってきた。鎖国がどうこういう気はないけど、国を閉じる気が本当にあるならアジアとも貿易し...

オランダという国に興味があったので読んでみた。 風説書がなんなのかはよく知らなかった。けれど、鎖国する日本にとって世界情勢を知るためには必要だったもののようで。当時の日本のせこい感じがよく伝わってきた。鎖国がどうこういう気はないけど、国を閉じる気が本当にあるならアジアとも貿易しないべきだし世界情勢なんか知る必要ない。その辺の中途半端な感じが腹立つ。欧米の何がそんな気に入らなかったのか、今の俺ではわかり兼ねるけれど、平和な江戸の250年は開国によって世界の荒波にのまれていくことになったというのは疑いようがない。 龍馬やなんかの開国派が正しいとは言わない。国を開かなければ世界レベルの大戦に巻き込まれず、二度も原爆を投下されることもなかったのかもしれない。勿論科学の進歩も相俟った部分が大きいけれど、当時大国にはなっていなかった蛙の日本が出来ることなど限られていた。戦争を経て大きくなった日本も今また蛙に戻りつつある。それは一時の発展で大きくなっても、時代とともに世界も大きくなるからで、それに合わせて進化しなければ取り残されるのは自明。GDPで見る世界の中での日本の規模はそれこそほんとうのドメスティック。 パナとソニーを足してもサムスンに足らないと言ったらどうだろうか。GDPとか一人当たりGDPとか言っても寄せ集め感が否めない。国内コンテンツの小ささが世界で勝手に鎖国状態になる原因だとは思わないだろうか。 小さいのは政府だけにして欲しい。 とはいえ、今のオランダの一人当たりGDPは日本や、かつてオランダが追いかけたイギリスを上回っている。思うに、オランダの自由なイメージや開けた国というのはそれだけで国力が上がるのではないかと。長期的に。 本書は風説書についての本であるが、風説書が何かというだけなら何も本一冊読む必要はない。しかし、自分の知識に風説書が絡むことで新たに見えてくるものがあると思うなら読んでみるのもいいかもしれない。

Posted byブクログ

2010/07/06

近代以前、海外の情勢を知る手段は限られていました。まして、貿易を経済の礎にしていた国でもなければ、土地から離れた遠い世界の出来事に関心を持つことも少なかったはずです。実際、鎖国的な体制をとった東アジア圏の国々で、オランダ風説書のような仕組みができたのは日本くらいらしいです。そこが...

近代以前、海外の情勢を知る手段は限られていました。まして、貿易を経済の礎にしていた国でもなければ、土地から離れた遠い世界の出来事に関心を持つことも少なかったはずです。実際、鎖国的な体制をとった東アジア圏の国々で、オランダ風説書のような仕組みができたのは日本くらいらしいです。そこがおもしろいところでもあるのですが! 本書は、歴史上の細かい出来事ももらさず書いていながら、全体を通してのメッセージもしっかりしています。知識不足で、文章の雰囲気くらいしかわかりませんでしたが、オランダ風説書の魅力が感じられるよい本だと思いました。高校で世界史をやった人も、日本史をやった人にもオススメです。こういう複眼的な見かたができると歴史も楽しいです。

Posted byブクログ

2018/10/07

「ここでいう『日本文字で美しく書かれ、商館長による署名がなされ』た文書が、オランダ風説書である。風説書は、オランダ人が眼にした数少ない正式な日本文書であった。江戸では老中、ことによると将軍さえ見るかもしれない。そのためとくに緊張感をもって、ていねいに仕立てられた。」(はしがきより...

「ここでいう『日本文字で美しく書かれ、商館長による署名がなされ』た文書が、オランダ風説書である。風説書は、オランダ人が眼にした数少ない正式な日本文書であった。江戸では老中、ことによると将軍さえ見るかもしれない。そのためとくに緊張感をもって、ていねいに仕立てられた。」(はしがきより) 江戸時代に200年にわたって長崎から江戸に届けられた世界の出来事に関する情報「オランダ風説書」について書かれた本。非常におもしろかった。幕府が世界の情報を熱心に収集しようとしていたという事実と、その意義、あるいはその限界について書かれた本。いろいろ考えさせられた。

Posted byブクログ