光車よ、まわれ! の商品レビュー
ふとした時に目の錯覚でなにか化け物だったり怖かったり驚いたりすることがたまにあって、それが身近な恐怖で、ファンタジーだけれど有り得るかもしれないと思わせるストーリー、面白かったです。終わり方がとても好きです。もっと子供の時に読みたかったナ!!
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級友がばけものに見え、町がいつもと変わる。水の向こうのさかさまの国からの侵略に対抗し、光車を探す子どもたち。 ある日を境に世界が一転する恐怖と、それに立ち向かう勇気。その融合に心踊る。 全体を覆う暗鬱な雰囲気は、今の時代にも照らし合わされるかも。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いつもの道が魔の存在に侵食されている感じとか地下の異世界の描写とかがとてもワクワクする。もし子供の頃読んでたら、だいぶ影響受けて水溜まり怖がったり大人たちを睨んだり謎の訳知り顔でその辺散歩したりしたに違いない。 登場人物たちの思考回路がよくわからなくて物語に少し入り込めなかった感ある。友達死んだり家族消えたりしてるのに反応がドライ過ぎる。
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情景がありありと浮かんできてすごい。なんか、ぞくぞく怖いけどわくわくして、起きてもいつまでも記憶に残ってる夢を見てるみたいだった。 冒険譚の詳細が全て明かされないことも、細かいことは覚えていられない感じが夢みたい。 ルミのお兄ちゃんはどこにいったの?クラスメイトや先生たちはどうし...
情景がありありと浮かんできてすごい。なんか、ぞくぞく怖いけどわくわくして、起きてもいつまでも記憶に残ってる夢を見てるみたいだった。 冒険譚の詳細が全て明かされないことも、細かいことは覚えていられない感じが夢みたい。 ルミのお兄ちゃんはどこにいったの?クラスメイトや先生たちはどうしてウラの世界の仲間だったんだろう。龍子には本当にもう会えないの?夜間閲覧室はなんだったのかな。 冒険譚を読み終わった後にも想像できることがたくさんたくさんあって、本を読んだらそれで終わり。じゃなくてずっとわくわく楽しませてくれるなんて天才!
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子どもの頃から存在は知ってたんだけど、司修の絵が怖くて読めなかった。しかし、あちこちで良い噂を聞くので、もう充分大人だし、読んでみることにする。 表紙と挿絵はスカイエマになっていて見た目の怖さはかなり薄くなっていた。 一読して思ったのは、「読む時期を逸したな」。これ、小学生で読ん...
子どもの頃から存在は知ってたんだけど、司修の絵が怖くて読めなかった。しかし、あちこちで良い噂を聞くので、もう充分大人だし、読んでみることにする。 表紙と挿絵はスカイエマになっていて見た目の怖さはかなり薄くなっていた。 一読して思ったのは、「読む時期を逸したな」。これ、小学生で読んだら、夢中になっただろうな、と。 水を操り、逆さまの世界から逆転を狙っている水の悪魔たちと、子どもたちの戦い。勝つためには三つある光車を揃えなければならない。 設定は現在の目で見るとロールプレイングゲームみたいなのだが、それを言ったら『指輪物語』だってそうだし、こちらが先から、もちろんロールプレイングゲームがこういうファンタジー小説を真似しているわけだけど。 昭和48年の発表だから、電話が呼び出しだったり、「誕生会」があったりするのは懐かしいが、その他は特に昭和を意識させるようなところはなく、今でも違和感なく読める。 ファンタジー系児童文学としてかなり異端なのは、登場人物が死ぬこと。ここまで死と隣り合わせの物語は今でもないのではないかと思う。 登場人物達の親子関係が薄いのが、余計に子ども達の戦いを厳しく孤独なものにしている。普通の児童文学なら、優しい、頼りになる大人が出てくるものだが、ここでは頼りになりそうな老人は死にかけている。 読後の余韻も複雑で深い。(龍子の名前の意味がわかる) 今読んでもかなり怖くて面白い。 しかし、司修の絵がないとやはりもの足りない。子どもの頃あんなに怖かったのにないとつまらない。スカイエマは人気のイラストレーターだが、司修程の繊細で湿度の高い表現にはならない。 松谷みよ子の本の挿絵も怖かったが、あれが他の絵では印象が全く変わってしまうと思う。 この本も司修の絵で出して欲しかった。 マンガ化するなら、楳図かずおではなくて諸星大二郎。
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爪を立てながらどうにか物語にしがみついて読了したけど、あかん、わたしには合わなかった。ダークな幻想小説とはほんとに相性が悪いなぁ…。
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物語そのものというより、文章から湧き上がる眩いイメージに圧倒された。雨と霧に覆われた重苦しい街角の描写も印象に残った。
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1973年に単行本初版、2004年に”復刊.com”を介して単行本として復刊、そして文庫本として更に手を加えたもの。 本書に登場する中心人物3人をイラスト化した表紙になったのは、この最後の文庫本のみか。 ”扉買い”という行為があるそうだが、正直を言うとそれ位にインパクトが有り魅力...
1973年に単行本初版、2004年に”復刊.com”を介して単行本として復刊、そして文庫本として更に手を加えたもの。 本書に登場する中心人物3人をイラスト化した表紙になったのは、この最後の文庫本のみか。 ”扉買い”という行為があるそうだが、正直を言うとそれ位にインパクトが有り魅力的な表紙だ。 内容は、想像をはるかに超えて(嬉しいことに!)恐ろしく面白いものだった。 古い原稿の為か、表現は今時に類を見ない(気がする)、おどろおどろしいと言うか、直感的に「ああ!、わかる!」って感じがする。 小学生位の頃に感じたもの、言葉で表現する語彙を持たなかったころのイメージが、胸の奥底から湧き上がるような感じ。 全編に渡って緊張感が続く。暗く重く、ねっとり湿った感じに包まれ続けるので、早く先を知りたい、早くここから抜け出したいと思いながら(でも面白いので読み終わりたくないという矛盾を抱えながら)一気に読み進んでしまう。 単純なハッピーエンドではない、とにかく力の強い作品だ。 復刊されたのも納得の作品。 有り難いことです。
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少年少女が敵と戦う冒険譚であるのだけど、最後まで流れる不穏な雰囲気や解き明かされない謎やキーワードに、読み終わっても心の奥にざらりとした余韻を感じさせられました。敵の描写や裏側の世界などもぞわぞわして、好みかは別として揺さぶられる本だと思いました。
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優れた作品とは何かということを考えざるを得ない、というのが第一の読後感である。なぜなら、ある意味で既視感のある設定(子供たちの冒険、善悪のわかりやすい配置)であるにもかかわらず、読後に残るこのかき乱された不安定な心持ちはどこからくるのか、を問わずにいられないからである。 最初の場...
優れた作品とは何かということを考えざるを得ない、というのが第一の読後感である。なぜなら、ある意味で既視感のある設定(子供たちの冒険、善悪のわかりやすい配置)であるにもかかわらず、読後に残るこのかき乱された不安定な心持ちはどこからくるのか、を問わずにいられないからである。 最初の場面から、読み手はこの作品の導き手である一郎の不安にどんどん巻き込まれていく。冒険のリーダーである龍子は多くを語らず、物語はイメージが先行しそうになりながら、辛うじて想像が追いつく程度に現実味を残しつつ展開していく。作者自身が善悪二元論に終わらない、と表現している通り、善と悪はせめぎあい打ち消しあって一応の終息をみるのだか、大団円とはならない。器に収まりきらない、溢れるイメージの豊穣さが、この作品を魅力あるものとしており、読者は今読んできた物語より更に大きな系の存在を漠然と意識することになる。 優れた作品とは、いま読んだもので終わらない、足りない何かを感知させてくれるもの、と言えるのだろうか。 という訳で、読み終わったばかりなのに、私はもう一度読み返したい気持ちになっているのである。
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