槍ヶ岳開山 新装版 の商品レビュー
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今年の夏、親しい友人と計画して槍ヶ岳を登頂した。予定よりも天候が悪く、これまでの登山経験の中でもなかなか厳しい登山であった。登山中に登山仲間から播隆上人について教えてもらい、槍ヶ岳山荘でもその歴史を断片的に学んだ。 小説の中の播隆上人はもともと商人であり、おはまという妻もいる普通の男であった。数奇な運命により僧侶となり、笠ヶ岳と槍ヶ岳の開山を行なうこととなった。登山だけの話ではなく、この小説は播隆上人を通して人の想いや人々の運命を語る物語であると感じた。 やっと滲むような暑い夏が終わり、夏の槍ヶ岳を思い出しながらこの本を読み終えた。
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新田次郎の作品を読み始め、地元にゆかりのあるものがたりと思いながら、手に取りました。つらい事は、いつの時代でも、どこでもおきるでしょう。一心不乱に、何かをなせばそれを乗り越えれるのでしょうか?名のある山の頂には、良く祠があります。それを安置した先人に想いをはせ、自然への畏敬と世界...
新田次郎の作品を読み始め、地元にゆかりのあるものがたりと思いながら、手に取りました。つらい事は、いつの時代でも、どこでもおきるでしょう。一心不乱に、何かをなせばそれを乗り越えれるのでしょうか?名のある山の頂には、良く祠があります。それを安置した先人に想いをはせ、自然への畏敬と世界の安寧をせめて、祈りたいです。
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昨年の秋に槍ヶ岳に登った際に友人に薦められて手に取った本。 新田次郎の丁寧な取材で明らかにされる播隆と槍ヶ岳開山の歴史は読み応えがあるが、自分は何よりひとりの求道者をカリスマに仕立て翻弄する世論について考えさせられた。 自らをタレントとして売り出しカリスマになろうとする人だけ...
昨年の秋に槍ヶ岳に登った際に友人に薦められて手に取った本。 新田次郎の丁寧な取材で明らかにされる播隆と槍ヶ岳開山の歴史は読み応えがあるが、自分は何よりひとりの求道者をカリスマに仕立て翻弄する世論について考えさせられた。 自らをタレントとして売り出しカリスマになろうとする人だけでなく道を極めてひとつの仕事に心血を注いでる間に周りから勝手にカリスマに仕立て上げられる人もいる。播隆はまさにその人で、そのいやらしさに気づきつつもそれを受け入れることで様々な困難に翻弄される。戒律を守り続け、求道を続けることは難しい。 思いがけず社会的な地位や名声を得てしまった時や他者の評価が自己評価よりも上回ってしまった時の身の処し方を考えさせられる。
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槍ヶ岳開山は、槍ヶ岳開山や笠ヶ岳再興をおこなった播隆上人を主人公にした小説です。 実在の人物ですが伝記ではなく、あくまで新田次郎氏の創作小説。 例えば播隆上人は史実では10代で出家していますが、この小説では30才ごろまで商人をしていたことになっています。 商人の彼が一揆に巻き込まれ、誤って妻を殺してしまった所から物語が始まります。 槍ヶ岳開山の偉業が本作のメインテーマですが、予想したよりも播隆上人が卑小に描かれていました。 屈強なアルピニストでもなく敬虔な宗教者でもなく、ただ妻の許しを得たい平凡な男。 そんな側面が強かったように思います。 周囲に対しても弱腰で、長年苦楽を共にした弟子の徳念に我慢を強いること度々。 播隆上人の偉業よりも、上人今際の際に彼の元を去った徳念の、それまでの苦悩に想いを馳せてしまう…。 他の新田次郎氏の小説に比べても山や登山の描写は少なく、アルピニストとしての播隆上人を期待していた私には拍子抜けな面もありました。 とはいえ、文章力は流石の一言。 お気に入りの一文が、たくさん見つかりました。 不満はありますが決してつまらない訳ではなく、主人公が播隆上人でなければ、純文学として楽しめたと思います。
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このところ自分が低山ハイクを良くするようになり、高山である槍ヶ岳開山に興味を持って読んでみた。 小説ながら良く取材して書かれているらしく、いろいろな事情に驚き、知ることが多かった。 そもそも、槍ヶ岳信仰というものがあって開山したものではないことが意外だった。特に関心を持たれていない山を、山頂に仏像を設置し、人々が登って拝む山にすることが行われたのだ。 作中では新田開発などに手を染めるいわゆる事業僧・椿宗の意向から始まったことになっている。僧もただ座しているのでなく、寺を経営したり、何かで名を上げて階層を登る努力をするなどの営みをそれぞれ行っている。 主人公播隆の登山をサポートした面々、村で力がありキーとなった家のことなど、当時の様子を魅力的に描き出していて面白かった。 物語は播隆が僧になる以前のことから最期までを扱い、その重い心の軌跡をたどる旅となっている。
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槍ヶ岳を初登攀した修行僧・播隆の物語。カテゴリーを山岳小説にしたが、純粋な登山話ではない。槍ヶ岳開山を志したころまでは良かったが、終盤はイマイチ。大名や幕府の老中がからんだり、最後は弟子同士の色恋沙汰が露見したり、ストイックな主人公を世間が俗化させようとする、宗教小説のようになっ...
槍ヶ岳を初登攀した修行僧・播隆の物語。カテゴリーを山岳小説にしたが、純粋な登山話ではない。槍ヶ岳開山を志したころまでは良かったが、終盤はイマイチ。大名や幕府の老中がからんだり、最後は弟子同士の色恋沙汰が露見したり、ストイックな主人公を世間が俗化させようとする、宗教小説のようになってしまった。
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山岳宗教小説。昭和43年の作品。格調高い文体だが内容的には今ひとつの感想を持った。点の記のほうが小説としては良い。
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史実に忠実かは別として、播隆上人の素晴らしさが分かる。ちょうど槍ヶ岳に行く前に読み始め、帰路で読み終わった。思い出の一冊になった。
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史実の播隆上人とだいぶ異なっている。最後まで自分が手をかけた妻のことを悩み生き抜いた市井の人という設定は、人間味溢れるとはいえ、自己本位といえばそれまで。自分の意志を言わず黙してあらゆる煩わしさから消極的な人物に思えた。
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私を山へ向かわした本の一冊。山に行くたびに読み返している。宗教観を考える機会の少なかった自分に 山を通じて考えさせてくれる一冊。
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