“リア充"幻想 の商品レビュー
軽快な語り口でよどみなく論理が展開していくが、その語られる中身は単なる時事評論にとどまらずぼく自身の「生きづらさ」までもえぐるものであり唸らされる。そして、「いま」この本と対峙して思うのは、収められている「真実があるということの思い込み」からいかに解放されるかという問題意識にはも...
軽快な語り口でよどみなく論理が展開していくが、その語られる中身は単なる時事評論にとどまらずぼく自身の「生きづらさ」までもえぐるものであり唸らされる。そして、「いま」この本と対峙して思うのは、収められている「真実があるということの思い込み」からいかに解放されるかという問題意識にはもちろんいまなおある程度有効性があるのだけれど、同時に「すべてがフェイクだ」と居直ってしまう幼児的な自閉・自己中心主義に染まってしまう陥穽をも避けたく思ったということだ。原理主義にもシニシズムにも染まらない第三の道がありうるのかも?
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2008年の秋葉原通り魔事件と、その犯人と同じ苦しみを抱いている若い人びとについて、政治思想史の研究者として知られる仲正昌樹にインタビューした内容をまとめた本です。 仲正は、現代の社会の中で生きづらさを感じている人たちにとって、生きづらさの原因を「リア充」や「モテ/非モテ」、「...
2008年の秋葉原通り魔事件と、その犯人と同じ苦しみを抱いている若い人びとについて、政治思想史の研究者として知られる仲正昌樹にインタビューした内容をまとめた本です。 仲正は、現代の社会の中で生きづらさを感じている人たちにとって、生きづらさの原因を「リア充」や「モテ/非モテ」、「人間力」といった当人の人間的属性に求めるような語り方が抑圧的な効果を生んでいることを指摘します。そのうえで、そうした「幻想」に悩んで生きづらさを感じるくらいなら「孤独」に開きなおって他人の目を気にせずに生きればいいのではないか、というスタンスを示しています。 ただ、リア充に対するルサンチマンを募らせている相手に、リア充などというのは「幻想」だから捨ててしまえ、といわれると、余計に反発される危険性もあるのではないか、という気がします。後生大事に抱え込んでいる、リア充に対するルサンチマンまで奪いとられたとき、そのひとに何が残るのだろうかと考えると、著者のいうように開きなおることができるほど強くないひとだっているのではないでしょうか。そんなわけで、どっちに転んでも生きづらいことに代わりはないのか、と思ったりしました。 ところで、著者たちが出かけた「メイド喫茶S」というのは、どこなんでしょう。
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表紙とタイトルだけで手にとってみた。予想外の中身にびっくり。てっきりオタク論?(リア充がどうとか、オタクがどうとか、)的な話かと思っていたら、秋葉原無差別殺人の犯人kの犯罪心理だった。 事件についてある程度は知っていても、本書までの知識はなく、本書を読むに当たって必要な知識が足り...
表紙とタイトルだけで手にとってみた。予想外の中身にびっくり。てっきりオタク論?(リア充がどうとか、オタクがどうとか、)的な話かと思っていたら、秋葉原無差別殺人の犯人kの犯罪心理だった。 事件についてある程度は知っていても、本書までの知識はなく、本書を読むに当たって必要な知識が足りていないことを痛感しながら読むことになった。 自分とはかけ離れた人物について、と思って油断していると、ところどころ引っかかる言葉がある。考えさせられる、気になる話がある。 しかし、何せ理解しきれていないことをひしひしと感じつつ読んでいたので、せっかくの引っかかりも淡いものとなってしまった。 この著者の別の本でも読んでみようか。 編集者との対談形式だが、私は読みにくいと感じる。編集者が興味を持った所と違うところが気になってもそこは触れてもらえない。話し言葉を読んでいるので、なかなか分かりにくく、疲れてしまうとおもう。実際に自分が著者にインタビューし、一緒に理解を深めていくならば良いのだが、何せついていけなかったことがキツかった。
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秋葉原事件は犯人の幻想から生まれた憎悪によって起こされたのではないか。 正しいものが何かよくわからない時代ですから思い込みを減らしていき事件が起きないようになってほしいです。
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真の友情,真の幸福,真の恋愛,「人間力」。そういうものが存在するという幻想を抱いて自己とのギャップに苦しみ,潰れていく若者が後を絶たない。秋葉原通り魔事件等を題材に,そんな幻想を解体。 こういう幻想をいつ捨てるかってなかなか難しいよなぁ。子供のころは理想をもって前向きに育って...
真の友情,真の幸福,真の恋愛,「人間力」。そういうものが存在するという幻想を抱いて自己とのギャップに苦しみ,潰れていく若者が後を絶たない。秋葉原通り魔事件等を題材に,そんな幻想を解体。 こういう幻想をいつ捨てるかってなかなか難しいよなぁ。子供のころは理想をもって前向きに育ってほしいけど,社会に出るまでにはある程度世間を知っておく必要ってあるよね。娘だといろいろ心配。結構リアリストの妻がうまくサポートしてくれるかなぁ?
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全体的に編集があまい気がした。また冒頭で触れているように本編では「リア充」という単語は登場しないので、タイトルはどうなんでしょうか。
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「モテ/非モテ」や「人間力」、「(何でも話せて心から分かり合えるという定義の)友達」などは、現代の価値感で作り出されたものだし、幻想ですよって話だと受け取った。著者の体験から導き出した論など同意できない部分もあったけど、完璧を求めて立ち止まっている人が読めば、少し心が楽になるんじ...
「モテ/非モテ」や「人間力」、「(何でも話せて心から分かり合えるという定義の)友達」などは、現代の価値感で作り出されたものだし、幻想ですよって話だと受け取った。著者の体験から導き出した論など同意できない部分もあったけど、完璧を求めて立ち止まっている人が読めば、少し心が楽になるんじゃないかな。 「モテ」とは言うが、いつも女性に囲まれてちやほやされている男性は身近にいるのか。 「人間力」と言うが、それは何か。曖昧なものをどう判定するのか。何かをすれば身につけられるものなのか。 言葉の定義から一度考えてみんしゃいってことだと思う。
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仲正昌樹は何のためにこの本を書いたのだろうか? 目新しい考察はないし、何かの具体的な指針が提示されているわけでもない。「他人の目を気にせず生きられるとしたら、それでいいではないか」(あとがき)って、元も子もない。本文は何のためにあるんだ。インタビュー形式なのもおそらく失敗した要因...
仲正昌樹は何のためにこの本を書いたのだろうか? 目新しい考察はないし、何かの具体的な指針が提示されているわけでもない。「他人の目を気にせず生きられるとしたら、それでいいではないか」(あとがき)って、元も子もない。本文は何のためにあるんだ。インタビュー形式なのもおそらく失敗した要因。インタビュアー(編集者?)の力量がいまいちなせいもあるが、活字にした時点で「インタビューをもとに本として再構成しよう」と思うべきレベル。仲正昌樹自体は好きな学者だけに、残念な出来。
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テーマが微妙に古い。そして考察が浅い、というより甘い。 リア充/非リア、モテ/非モテ、オタク、インターネット、加藤事件など。 もっと示唆に富む考察を期待してたんだけど… 例えば「モテ/非モテ」を承認欲求の見地から解説したり、なんというか使い古されてヨボヨボになった言説をさも斬新...
テーマが微妙に古い。そして考察が浅い、というより甘い。 リア充/非リア、モテ/非モテ、オタク、インターネット、加藤事件など。 もっと示唆に富む考察を期待してたんだけど… 例えば「モテ/非モテ」を承認欲求の見地から解説したり、なんというか使い古されてヨボヨボになった言説をさも斬新な解釈かのように語っていて読むのが辛かった。 モテがネットでよく語られるようになって若者の意識に刷り込まれた、ってさ、そもそもなぜ取り上げられるようになったか学術的な視点から知りたいから読んだのにガッカリ。3点。
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