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螺旋 の商品レビュー

3.7

25件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    10

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2021/02/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『螺旋』の作者を探す物語と、『螺旋』を手にした人の物語。2つの物語が”螺旋”のように1点に、とは言い過ぎでしょうか。前者のダビッドは、最後まで自分を生活を変えることなく仕事?を続けた。一方後者の登場人物:エルサ、フラン、レケーナは、それぞれがそれまでの生き方を”変える”行動に結びついている。 物語を語る口、つづる手には神が宿る。本を創る人、本を編る人、本を読む人は、「本」でつながり、本って素晴らしい、と、感じさせる内容でした。 印象的なフレーズは: ★作家と作品を比較した場合、どちらがより重要だろう。 作家はいずれあの世へ旅立つが、作品は永遠に生き続ける。 ★一人の人間と本とでは、どちらがより大切か? 答えは言うまでもなく人である。 ★友達というのは時に別れ別れになるけれども、だからといって友人でなくなるわけじゃないんだよ ★子供に将来何になりたいって訊いたら、みんな口をそろえて、サッカー選手、宇宙飛行士、消防士って答えるはずだよ。だけど、幸せになりたいなんていう子はいないよ。…。何か職に就けば幸せになれると思いがちだけど、そんなことはない。時には、幸せと仕事が相容れないことだってあるんだ。 ★アイデアはどんな風に生まれてくるんですか、…、信じてもらえないだろうが、時々むこうからやってくるのが感じられるんだよ。…、あら足が近づいてくるような感じなんだ。

Posted byブクログ

2017/10/10

読書って大事 ほんとそう思えるよね 文中にも出てくるけど、引用される小説があると あーやっぱりその編の本もよまなくっちゃってなるのわかるw 最後の顛末はからみあったものがすとんとほぐれる感じがすごく良い!

Posted byブクログ

2015/02/12

★★★ コーアン出版社に勤める編集者のダビットは、社長のコーアンに呼ばれ秘密の指令を受ける。 コーアン出版社は、謎の作家トマス・マウドによるSF大河小説「螺旋」の大ヒットにより一流出版社の仲間入りをしていた。 定期的に続編を送ってきたトマス・マウドだが、ここ数年は配達が止まってい...

★★★ コーアン出版社に勤める編集者のダビットは、社長のコーアンに呼ばれ秘密の指令を受ける。 コーアン出版社は、謎の作家トマス・マウドによるSF大河小説「螺旋」の大ヒットにより一流出版社の仲間入りをしていた。 定期的に続編を送ってきたトマス・マウドだが、ここ数年は配達が止まっている。実はトマス・マウドの正体は誰も知らない。ダビットの指名は、トマス・マウドを探しだし、続編を送らせること。 コーアンの調査により、トマス・マウドはブレダレッホという田舎の村に住む六本指の人物だと推測される。 ダビットは妻のシルビアと共にブレダレッホへ向かう。これは夫婦の将来を決める旅行でもある。 ダビットとシルビアの着いたブレダレッホには、元船乗りエステーバン、死病の床に就きながら元気な時のように村人に慕われるその妻アリシア、シングルマザーのアンヘラとその息子トマスたちに会う。 コーアン社長の秘書エルサは離婚したばかりの40代の女性。 ダビットに勧められた「螺旋」を手に取り、今までの人生を思い起こす。 麻薬中毒者のフランは、ひったくったバックに入っていた「螺旋」を手に取り、自分が本を読んでいた頃のことを思い出す。 彼らの人生、彼らの生活。 1冊の本は確実に数人の人間の人生を変えていく。 ★★★ 小さな奇跡と善意と偶然が重なって、未来が確実に良い方に変わっていく。実に素直で前向きな1冊。 しかしダビットくんは、トマス・マウド探しでド素人らしく直撃しては撃沈しを繰り返し、 1回目はともかくさすがに2回目はもうちょっと方法考えようよ、六本指の人間が複数出てきた時点で確認方法変えようよなどと本に話しかけたくなってしまう(笑) 作者はスペイン人。これを書いたのはまだ20代の時で、初めて出版された小説らしい。 主眼者が移り変わる描写は唐突だともと感じたのですが、20代ほぼ処女作だからかなーとは思いました。

Posted byブクログ

2014/08/02

話の流れは時間軸に沿って展開される、主に三人のそれぞれの人生。 3つの人生が螺旋のごとく、交わらずに中心を向いて動いていく。 「どこかで交差するのか」と期待もしたが、無理にくっつけた感のあるラストは、しっくりせず作りすぎ。 ミステリー要素もあるが、もう少し人生を深く描き進んでくれ...

話の流れは時間軸に沿って展開される、主に三人のそれぞれの人生。 3つの人生が螺旋のごとく、交わらずに中心を向いて動いていく。 「どこかで交差するのか」と期待もしたが、無理にくっつけた感のあるラストは、しっくりせず作りすぎ。 ミステリー要素もあるが、もう少し人生を深く描き進んでくれたら…と思ってしまった。 それでも一気に読みたくなるドライブ感は良い。

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2014/02/11

本気ガチで面白かった。 「螺旋」という本のタイトルは、この物語の中で、トマス・マウドという謎の作家が書いているベストセラーの本のタイトル。その作家からすでに届いているべきの次巻の原稿が来ないことから、編集者のダビッドは、その作家が暮らしているとされる村に「彼」を探しに向かうこと...

本気ガチで面白かった。 「螺旋」という本のタイトルは、この物語の中で、トマス・マウドという謎の作家が書いているベストセラーの本のタイトル。その作家からすでに届いているべきの次巻の原稿が来ないことから、編集者のダビッドは、その作家が暮らしているとされる村に「彼」を探しに向かうこととなる。 「螺旋」の本を中心に、さまざまな、全く違う環境に身を置いていた人間の人生が螺旋を描くように絡み合って、一つの流れの中に描かれていくような。 1人1人の生き様が素敵だなぁと思うような、話。

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2013/08/03

1年前に読み始め、半分読むのに1年かかりました。 それが、不思議なもので先週、たったの2、3日で読み終えました。 初めはそれほど惹き込まれなかったのです。典型的な都会人でエリートのダビッドが田舎に来ていかにも典型的な失敗を繰り返す、都会とは違い、ゆったりした生活を送る人々やトマス...

1年前に読み始め、半分読むのに1年かかりました。 それが、不思議なもので先週、たったの2、3日で読み終えました。 初めはそれほど惹き込まれなかったのです。典型的な都会人でエリートのダビッドが田舎に来ていかにも典型的な失敗を繰り返す、都会とは違い、ゆったりした生活を送る人々やトマスマウドを取り巻く素晴らしく優しい人たちとのやりとりが暫く繰り返される、少し退屈になり読むのを止めていました。 読むのを再開してからは、1つの本によって色々な人生が交わって変わっていくのに惹かれてどんどん読み進みました。トマスマウドとは誰か?というよりは、何か?と問う方が良いかもしれません。

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2013/07/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

またしても表紙の装丁のイメージと違う。 スペインの若手作家だけあって、筆致は軽やか。 やはりラテン。ラテンの雰囲気満載。 内容が軽いという意味ではなく、文化の違いを実感。 欧米文学特有のまわりくどい比喩表現、 どうしてそこで笑うのかとツッコミたくなるジョーク、 あいさつ代わりの抱擁やキス。 私のような文学(特に古典)に無知な人にはわからないネタ。 翻訳物が苦手というわけではなかったが、今回は久しぶりということもあって、このクセのある文体に慣れ、プロローグである第1章~第3章くらいを読むのにだいぶ時間がかかった。というかあのプロローグは私には長すぎたし、正直あそこまで長くする意味あるのかな?とも思った。 ようやくストーリーに引きこまれはじめたのは、3分の1を過ぎたあたりか。 マドリッドの出版社に勤める編集者のダビッドは、誰も正体を知らない世界的ベストセラー作家、トマス・マウドを探しにピレネー山脈の山深いところにあるブレダレッホという村を訪れる。 このダビッドのトマス・マウド探しに挟みこまれるように、ダビッドの会社の秘書、彼女の姪、秘書のバッグを盗んだ麻薬中毒の青年の話、青年が助けを請うコンピュータ技師の青年の話などがそれぞれ"螺旋"のように絡まってくる。 村人の驚くべき事実だとか謎の作家探しだとか書評に書いてあったもんだから、ミステリーだと勘違いするが、ミステリーの要素は意外に少ない。 第一ダビッドの推測や探し方ってちょっと頭悪い感じに書かれてるし(笑) しかし結果的にはそれが期待はずれだったといも言えるし、むしろよかったような気もする。 作者はミステリーや人探しに主軸を置いているわけではないのだ。 排他的で謎めいているように思えた村は、大地に根付いた死生観を持ち自然と共生しながら質素に暮らしている。 この村では、子供が生まれると両親はその子のために木を一本植える。 その子が大人になって亡くなると、木を切り倒して棺を作る。 このエピソードを読んで私は「メメントモリ」という言葉を思い出した。 死は敗北ではなく、自然の一部として受け入れているのだ。 私は海外含めて旅行が好きだが、いわゆる大都市の観光でなく、小さな街や村で生活を味わうのが好きだ。 こんなブレダレッホみたいな村にいって、バルでビールを飲みながら地元の人とカタコトのスペイン語でおしゃべりできたらなあと思う。 登場人物に比較的感情移入できたのはヤク中(治療中)のフランかなあ(笑)? 全体を通して読みにくい部分もあったが、読後感はさわやかでホッとする。 機会があれば作者の他の作品も読んでみたいと思う。なのにさ、あとがきで訳者が他の作品のあらすじを詳細に書いちゃってるの。 あれは書き過ぎなんじゃないかなあと思った。

Posted byブクログ

2013/04/21

世界中の読者を夢中にさせるベストセラー小説、『螺旋』。謎につつまれたその作家の正体をさぐるため、編集者ダビッドは観光客を装って僻地の小さな村へ。  といってもミステリー色はあまり強くなく、あいまいな手がかりに振り回されて、妻に捨てられそうになったり、木から落ちたりと、次々と災難に...

世界中の読者を夢中にさせるベストセラー小説、『螺旋』。謎につつまれたその作家の正体をさぐるため、編集者ダビッドは観光客を装って僻地の小さな村へ。  といってもミステリー色はあまり強くなく、あいまいな手がかりに振り回されて、妻に捨てられそうになったり、木から落ちたりと、次々と災難に遭遇するダビッドのへっぽこ探偵ぶりがユーモラスに描かれる。ダビッドが、つつましい愛情にもとづく生活の価値を見出し、作家の正体にたどりつく過程に、麻薬中毒から抜け出そうともがくフランの物語が絡み、一つの物語のつくり手、送り出し手、受け手が、それぞれに大切な人との関係を再発見していくことになる。 物語をめぐるメタ物語的なものを想像していたのだが、都会と田舎、金を得るだけの労働と、つつましやかな愛情につつまれた生活を対比させて、最後はすべてがおさまるべきところにおさまるという、わりあいにシンプルな物語だ。へんにひねらないところが好感はもてるが、いささか保守的な感じがしないでもない。

Posted byブクログ

2012/10/17

マドリッドにある出版社の編集者ダヴィッドは、社長から一つの依頼を受ける。それは、ある人気作家を探し当て次回作の原稿をとってくることだった。ただ、そこには問題があった。その作家トマス・マウドは、原稿を郵便で送りつけてくるだけで、誰も顔を見たことがない覆面作家だったのだ。 調査の結...

マドリッドにある出版社の編集者ダヴィッドは、社長から一つの依頼を受ける。それは、ある人気作家を探し当て次回作の原稿をとってくることだった。ただ、そこには問題があった。その作家トマス・マウドは、原稿を郵便で送りつけてくるだけで、誰も顔を見たことがない覆面作家だったのだ。 調査の結果、郵便の発送元はピレネー山麓にある人口六百人ほどの僻村であること、さらに原稿についていた指紋からその男には右手の指が六本あることが分かった。いつも留守がちで妻との間に波風が立ちかけているダヴィッドは、仕事の件を秘密にして妻を誘い、休暇旅行という名目で村に向かうのだったが。 探偵役が妻同伴というあたりからどうやら普通のミステリではなさそうだなと気づく。たしかに謎があり、最後にその謎は解かれるのだから、ミステリと呼んでもまちがいではないが、六本指を持つ謎の男探しというテーマに見合ったサスペンスは一向に登場しない。主筋ではドジでマヌケな素人探偵のドタバタ劇が展開されるばかり。そればかりか、秘密がばれ、怒った妻はマドリッドに帰ってしまう。一方マドリッドを舞台にしたサイド・ストーリーでは麻薬中毒から抜け出そうとする若者のシリアスなドラマが進行中で、何組かのグループが織り成すドラマが平行して物語は展開されてゆく。ジグソウパズルの最後のピースがあるべき場所にはめ込まれるように物語の最後で、それらはぴったり結ばれる。そのパズルの絵柄こそ作中の『螺旋』という小説なのだ。 ミステリは好きだが、知性も洞察力もありそうな犯人が、どうして割に合わない殺人を犯すのか、それも連続して何人もの人々を、という疑問がある。どれだけ上手に書かれても、殺人という行為はにはよくない後味のようなものが残る。 この小説のいちばんいいところは、後味のよさというものではないだろうか。作家の個性でもあろうが、人間というものに対する肯定感のようなものが読んでいるあいだずっとただよっている。エキセントリックな村人も多数登場するのだが、その書きぶりに好感度が高い。一口に言えば誰もが善人なのだ。善人ばかりを登場させて面白いミステリを書いてみせるという困難に挑戦したという点で、この小説の点は高い。 探している覆面作家は大体この人だろうという見当はつくのだが、作家は簡単に正解には導いてはくれない。ちゃんとどんでん返しが待っている。サイド・ストーリーがメイン・ストーリーと出会う設定はハリウッド製のロマンティック・コメディ顔負けのご都合主義的解決ではあるが、それまでに登場人物に対して思い入れがあるので許してしまう。弱冠二十五歳でこれだけの小説を物にしてしまう作家の才能にあらためて驚く。次の作品が早く読みたいと思うのは評者だけではないだろう。

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2012/02/10

謎の作家を探す旅。同系の話としてはJ・キャロルの『死者の書』、篠田節子『聖域』があるが何れもダークな仕上がり。それに比べ本作はスペインの空のようにカラッと晴れている。手掛かりは人口六百余の僻村に住むこと、6本指であること。印象的だったのは謎の作家の隠れ処である地下書斎。アレクサン...

謎の作家を探す旅。同系の話としてはJ・キャロルの『死者の書』、篠田節子『聖域』があるが何れもダークな仕上がり。それに比べ本作はスペインの空のようにカラッと晴れている。手掛かりは人口六百余の僻村に住むこと、6本指であること。印象的だったのは謎の作家の隠れ処である地下書斎。アレクサンドリア図書館、迷宮図書館、バベルの図書館それにミスカトニック大学等、暫し迷ってみたい魅惑の宝物庫は数あれ、金文字革装丁の稀覯本等一冊もない螺旋の図書館が一番居心地良さそうだ。唯一人の為に書かれた世界的ベストセラー『螺旋』も又良し。

Posted byブクログ