不思議の国のアリス の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』(1865) 読んでみた。こどものころ、アニメでやっていたのだが、なんかグロテスクでどうにも好きになれなかった。とくに公爵夫人とか、女王とか、ヤマンバみたいで正視にたえない。 仕事の関係で論理学を勉強しなければいけなくなり、論理学の本を何冊か読んでみると、論理学者はけっこうアリスの例をひくのである。ルイス・キャロルがオックスフォードの数学・論理学の講師だったからである。たしかに、アリスのなかには「逆でつながっているな」とか、「第2格じゃつかえない三段論法をやっているな」とか、いろいろと論理の遊びが目につく。論理学の本をすこし読んでから、これをよむと楽しめるんじゃないかと思う。じっさい、大学の論理学の講義でアリスをつかっているところもあるのだそう。 角川文庫の訳者はシェイクスピアの専門家、河合祥一郎氏である。作中の詩ももとのリズムで歌えるように訳すという熱のいれようで、もちろん韻も反映している。名訳だろう。 キャロルの本名はチャールズ・ラトウィッチ・ドッドソンだそうだ。ドジソンと訳されているのはまちがいだそう。作中にドードーという鳥がでてくるが、ドッドソンのもじりだそうだ。ちょっと英語版をみてみたら、シロウサギはwhite rabbit、三月ウサギはmarch hare、海亀モドキはmock turtleと書いてある。わりと好きなヤマネはdormouseというそうだ。dormioはラテン語で寝るだったような気がする。ヤマネってたしか一年のほとんどをねている動物だったと思う。 「不思議の国のアリス」が出版されたのは、幕末まっ最中で、下関戦争(1864)の翌年、アメリカじゃ、リンカーンが暗殺された年である。 英国はドイツみたいなメルヘンがなかったかわりに、19世紀から20世紀のはじめにかけて、児童文学をたくさんつくっている。むずかしい話も子ども用にしっかり書きなおしつづけるマジメさがある。それで、世界中に自国の文化をひろめてきたんだなと思う。これはハリー・ポッターの現代まで変わらない。児童文学は、つぎの世代にその国の文化を伝えることで、文化政策としても、とてもいいんじゃないかと思う。日本アニメがその線でいくといいんだが。
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あれ…アリスを本棚にいれてなかったんだ!と少し驚きました(^_^;)。 ま、それはともかく…6年以上前に買った本を見ては放置、見ては放置…を繰り返し今に至ります。ディズニーのアリスを観て、先入観というかイメージがしっかりついてしまっており、原作世界とディズニー世界を分けるのが大...
あれ…アリスを本棚にいれてなかったんだ!と少し驚きました(^_^;)。 ま、それはともかく…6年以上前に買った本を見ては放置、見ては放置…を繰り返し今に至ります。ディズニーのアリスを観て、先入観というかイメージがしっかりついてしまっており、原作世界とディズニー世界を分けるのが大変。そもそも、実はディズニーアニメのアリスすら、何度も繰り返し観てようやく理解?したわけですが…。 12章からなる不思議の国。ルイスキャロルが実在するアリス-リドルに語ったお話というエピソードのくだりは大体把握してるつもり。不思議の国の流れもだいぶ把握しつつあるかな…いや、まだまだ怪しい。 アリスの2つのお話の世界が好き過ぎて、アリス研究ノートを作ってる私^o^。さらに精進いたします!
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幼い少女の見た夢という設定からキャラクターやストーリーは全てが"へんてこりん"となっていますが、それら"へんてこりん"を全て含む世界観は全世界の人々を魅了して止まないでしょう。そんな物語にジョン・テニエルによる挿し絵も多く付されており、本書...
幼い少女の見た夢という設定からキャラクターやストーリーは全てが"へんてこりん"となっていますが、それら"へんてこりん"を全て含む世界観は全世界の人々を魅了して止まないでしょう。そんな物語にジョン・テニエルによる挿し絵も多く付されており、本書の魅力をさらに引きたてています。 また"訳者あとがき"ではこの物語が生まれたいきさつの紹介がされており、登場キャラクターたちの名前の由来なども語られています。例えばあるキャラクターの話に登場するエルシー・レイシー・ティリーという三姉妹は、リドル三姉妹(アリス・リドルは三姉妹の次女です)のことであって、それぞれ名前がアナグラムとなっているということです(Lacie=Alice等)。 最後には訳者からのクイズまで出されてしまいます。本書109ページに付されている挿し絵のどこかに白ウサギが隠れているのですが見つけられるでしょうか?という内容であり、訳者自身もアリスのような子供の心を忘れないという意気が伝わってきます。 何はともあれ学業や仕事など現実の世界に疲れたなと思ったとき、子供の心を思い出したいとき、少しくらいならこんなメルヘンの世界へ逃避してしまっても許されるのではないでしょうか。
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アリスが夢の中で冒険する話。途中で体が大きくなったり小さくなったりする。最終的には裁判でトランプ達に向かって「ただのトランプ」といって夢から覚める。
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色んなところでパロディが作られている有名な作品。 訳が巧みだが、英語では有り得ない日本語があるため、意訳ないしは超訳と呼ぶ方がいいかと思われる。役者は翻訳にのぞむ際、原作にある優れた言葉遊びの雰囲気を損ねたくなかったらしい。 それはさておき、題名通り、非常にファンタジックで...
色んなところでパロディが作られている有名な作品。 訳が巧みだが、英語では有り得ない日本語があるため、意訳ないしは超訳と呼ぶ方がいいかと思われる。役者は翻訳にのぞむ際、原作にある優れた言葉遊びの雰囲気を損ねたくなかったらしい。 それはさておき、題名通り、非常にファンタジックで、またユーモアのある作品だと思えた。シャレなどの諧謔に満ち満ちていて、笑える箇所が多い。 難点は挿絵に怖い感じがするところだ。アリスは少女で、たしかに背丈は違和感がないのだが、顔が余りにも大人びすぎていて気味が悪い。 しかしストーリーの方は全体的にハイレベルな作品と思います。 ぜひご一読を!
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他社の文庫版で既読、映画化されるので内容が気になり、読んでみた。言葉遊びの面が強く、アリスたちの韻を踏んだ言葉、動物たちとの言葉遊びの会話がなんともユーモア溢れるなと感じた。そこにアリスたちの思考に工夫が凝らされていたり、所々脈略もない発言なども飛び出すことが少なくないが、それら...
他社の文庫版で既読、映画化されるので内容が気になり、読んでみた。言葉遊びの面が強く、アリスたちの韻を踏んだ言葉、動物たちとの言葉遊びの会話がなんともユーモア溢れるなと感じた。そこにアリスたちの思考に工夫が凝らされていたり、所々脈略もない発言なども飛び出すことが少なくないが、それらも含め児童文学らしさが随所に表現されている印象である。子供から大人まで何年のも間読み継がれている作品なのも頷ける。物語からもアリスの天真爛漫さ、自由奔放さ、動物たちと元気に駆け回るイメージが良く現れているのだと感じる。
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子どものころに数回読んでいたので物語の大筋は知っていて、理由はハッキリしないのだけど苦手意識を持っている作品だった。 今回読書会でオススメに入っていたこともあり、改めて読んでみることにした。 以前読んだ時よりも落ち着いて読めたのは、わたしが大人になったことと、訳のおかげだったと...
子どものころに数回読んでいたので物語の大筋は知っていて、理由はハッキリしないのだけど苦手意識を持っている作品だった。 今回読書会でオススメに入っていたこともあり、改めて読んでみることにした。 以前読んだ時よりも落ち着いて読めたのは、わたしが大人になったことと、訳のおかげだったと思う。 やはり異質なというか、入り込めない感のようなものはあるのだけど、これがアリスの世界なのだとも思う。 子どもの時に苦手だったのは、得体の知れなさが漠然としていたからだろう。今回はそれが少し見えたように思う。 ファンタジー系の作品によくある感覚に似ているのだ。 このような作品は世界観を楽しむのであって、物事を深く考えない方がいい。 だから立て続けに似たような系統の本を読むと現実世界との境がわからなくなる。ショーを見るように本を読めばいいのだ。 やっとこの本の楽しみ方がわかった気がする。 またしばらく読み返すことはなさそうだが、いつかまた手に取ることもあるだろう。 英国の作品って、だいたいこういう小難しそうにどうでも良いことを小説にしたような雰囲気の物が多いような… お国柄だろうか。
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この年になるまで、一度も読んだことが無かったので一度くらいと思い読んでみた。 全くこの本についての情報を集めずいきなり読んだので、最初はちんぷんかんぷん。。。 さっぱり理解できない。 というか、理解する本じゃないのだろうな。 お伽の世界を楽しむ本なのだろう。 言葉遊びが溢れて...
この年になるまで、一度も読んだことが無かったので一度くらいと思い読んでみた。 全くこの本についての情報を集めずいきなり読んだので、最初はちんぷんかんぷん。。。 さっぱり理解できない。 というか、理解する本じゃないのだろうな。 お伽の世界を楽しむ本なのだろう。 言葉遊びが溢れているが、原文はきっともっと面白いに違いない。
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※このレビューにはネタバレを含みます
【不思議:どうしてなのか、普通では考えも想像もできないこと。説明のつかないこと。また、そのさま】 意味を調べると、こうありました。 また、こうも書いてありました。 【非常識なこと。とっぴなこと。また、そのさま。】 うん、こっちの方がしっくりくる。 正直に言って、読み進めるのが苦痛ですらありました。 あまりにもシュール、あまりにもナンセンス。 悪い夢のように場面がころころと変わり、筋のとおらない会話の嵐。いや、会話にすらなっていないか。 そんな印象が、ラストシーンで一気にひっくり返されました。 ただの日常も、子供にとっては色とりどりの冒険になりうるのだと、とても優しい視点で描かれていました。 あとがきに目を通したあと再読すれば、新たな読み方ができそうです。 まさか実在の女の子に向けて贈られた物語だったとは。しかもその原案はボートの上で即興で作られたものだったとは。 とはいえ、やはりあの世界を通り抜けるには相当な体力を使いそうですが……子供ならすんなり受け入れられるんでしょうかね。 続編である鏡の国のアリスも是非読んでみたいです。
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それはたいしてめずらしいことではありませんし、ウサギが「まずい! まずい! 遅刻だぁ!」と、ひとりごとを言っているのを耳にしたときも、べつに変だとは思いませんでした。 2015/06/06-06/09
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