感応連鎖 の商品レビュー
4人の女性のそれぞれの視点で描かれている物語。分厚いけど、一気に読めます。 まさに、タイトルどおり「感応」と「連鎖」のお話。うーん、うまいなあ。 でも、ちょっとしたホラーかな。
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とある女子高での風景と恋のエピソードを、 4人の女性の視点でそれぞれの人生と絡めながら描いていく。 ベースにあるのは妄想、自己愛、過剰な自意識。 第1章の語り手は物語の主役である、身長159センチ体重95キロの肥満体の女子高生。 彼女は自分の外見の醜悪さをよくよく理解...
とある女子高での風景と恋のエピソードを、 4人の女性の視点でそれぞれの人生と絡めながら描いていく。 ベースにあるのは妄想、自己愛、過剰な自意識。 第1章の語り手は物語の主役である、身長159センチ体重95キロの肥満体の女子高生。 彼女は自分の外見の醜悪さをよくよく理解していて、 馬鹿な振りをするなど、身の丈に合った言動を心がけている。 それは一見謙虚だけど、 根底にあるのは自分の都合のいいように周囲の印象を操作したい、 「異形」というベクトルで特別な存在でありたいという自己愛。 クラスメイトの美少女を「夢の娘」だと思い、彼女に恋愛をさせようと妄想する。 第2章は「自分の想像以上に悪いことは起こらない」というジンクスを貫き、 「最悪の結末」を妄想しながら日々を過ごす主婦の視点。 第3章は人の深層心理を読み取り口にしてしまう女子高生、 第4章で「夢の娘」が物語を締めくくる。 女が女に対して持つ優越感や嫉妬など、とろっとした悪意を感じる。ある意味人間ホラー。 そしてここまで極端ではないにしろ、 登場人物たちの持つ思想、感情、習慣はたいていの人が身に覚えがあるものではないかと思う。 斜め読みしたらたぶん大して面白くないから、考え噛み締めて読むべき。 うーん深い。 1,2章がとても引き込まれる。 着地は若干ぼやけたけれども、 おやっと思って考えると寒くなる未来が見え隠れ。 ふわふわした世界観な上、 明確な回答を示されないし、はっきりしたメッセージは書かれていない。 とにかく読んでみて感じたこと、もやもやを自分の中で輪郭をつけてあげて、 意味を考え捕らえる必要があるので、 ぴんとこなければ「で何が言いたいの?」となりそう。 その点でも好き嫌いは分かれそうだけれども、 心理描写が細やかなので嵌るととても響く。 私はこの作品の暗いところを流れる感じや、 登場人物の危うさ、狡さがリアルに思えて、 とらえどころのない結末が世界観にあっているなあと感じました。
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とても感想を書きにくいお話。相手の事を物凄く意識しているのに、そうじゃないフリをしている女の子が次々に出てくる。平然と振舞いつつ、その頭の中では物凄い勢いで色んな事を考えたり計算したりしている、そんなところが凄く面白かった。
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はじめはひたすらにセツに大いに共感して読み進めていたのだが、最後のページを読んでぞくっとした。朝倉かすみってどんな人なんだろう。
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図書館:登場人物の中から各章一人ずつ、五人の視点で描かれている。一気に読んでしまうと話の流れがわかって、ラストに「おおっ」ってなること間違いなし。
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女子高生なんてのは、他者という鏡があってこそ、自分の存在を実感できるという、なんともややこしい時期だと思う。というよりも、現役の女というものは、他者の視線で生かされている部分が多かれ少なかれあると思う。そういう女の性を、ちょっと一風変わったかんじに、脂肪ではない何かで膨らんだ巨大...
女子高生なんてのは、他者という鏡があってこそ、自分の存在を実感できるという、なんともややこしい時期だと思う。というよりも、現役の女というものは、他者の視線で生かされている部分が多かれ少なかれあると思う。そういう女の性を、ちょっと一風変わったかんじに、脂肪ではない何かで膨らんだ巨大な節子に、他人の本音が読めてしまう貧相な絵里香に、理想な外見を持ちながら空っぽの由希子という女子高生3人の絡みを使って描かれている。しかし、3人よりも面白いのは、自分の娘を「セシル」と本気で呼ぶ節子の母親と、一番最悪な状況を常に考える悲観主義の初美の、2人の自分大好きな中年の女かも。
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この感じ・・・ この、ちょっと冷たいというか・・ そっけないというか・・ 言い切るような感じ? どこかで読んだことあるなぁと思ったら、 「田村はまだか」を書いた人だった! 途中、夢中になって引き込まれる場面もあることはあったけど、 私は朝倉さんのこの文章の感じは、 そんなに好...
この感じ・・・ この、ちょっと冷たいというか・・ そっけないというか・・ 言い切るような感じ? どこかで読んだことあるなぁと思ったら、 「田村はまだか」を書いた人だった! 途中、夢中になって引き込まれる場面もあることはあったけど、 私は朝倉さんのこの文章の感じは、 そんなに好きじゃないかもしれない。
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+++ 女たちの内側で、何かが蠢く。 肥満を異形とする節子か、他人の心が読める絵理香か、自意識に悩む由希子か。 交錯する視点、ぶつかり合う思惑。 真実を語っているのは誰?──魅惑の長編小説 +++ 夢の少女という母の理想を吸収するように対極を成す巨漢に育ち、それを異形と思わ...
+++ 女たちの内側で、何かが蠢く。 肥満を異形とする節子か、他人の心が読める絵理香か、自意識に悩む由希子か。 交錯する視点、ぶつかり合う思惑。 真実を語っているのは誰?──魅惑の長編小説 +++ 夢の少女という母の理想を吸収するように対極を成す巨漢に育ち、それを異形と思わせようと腐心する墨川節子。幼いころに受けたセクハラ紛いの行為によって強迫観念的に負のシミュレーションを重ねていく数学教師の妻・秋澤初美。少しばかり綺麗な元モデル似で、幼いころから人の負の感情を言葉にしてしまうという特性を持つ佐藤絵里香。節子と絵里香のクラスメイトで節子の母の理想とする夢の少女を具現化したような新村由季子(旧姓島田)。出会った瞬間から外側からではわからない部分で感応し合う三人の少女は、それぞれのやり方で自分の感情をコントロールし、そ知らぬ顔で影響を与え合っているように見える。容姿に特徴があるこの三人なので、ものすごく特別なことのようにも見えてしまうが、この年頃の少女が集まれば多かれ少なかれ起こることだとも思われる。からっぽならからっぽなりに、不安定なら不安定なりに、自意識過剰なら自意識過剰なりに自分自身の輪郭を侵されないように防御態勢を固めつつも、少しずつ互いの毒に染まり合って自己というものを作り上げていくのだろう。三人の少女を冷静にみつめる温度のない目が常に意識されるような一冊でもある。
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多かれ少なかれ、人は周りの人や状況に感応するものだと思う。 でも、この登場人物の感応ぶりはすごい。 自意識が自分自身を肥大させていくという観点がおもしろい。 女子高生の時って、特に自意識過剰、周りの目が気になる気がする。 その時期を掴み取った作品。 島田由季子さんが強烈。 空...
多かれ少なかれ、人は周りの人や状況に感応するものだと思う。 でも、この登場人物の感応ぶりはすごい。 自意識が自分自身を肥大させていくという観点がおもしろい。 女子高生の時って、特に自意識過剰、周りの目が気になる気がする。 その時期を掴み取った作品。 島田由季子さんが強烈。 空っぽな自分に、何を詰め込もう。
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借本。 著者の本はこれが初めて。 タイトルの通りで、面白い。 ぞわっと頭を使いながら読むのがおすすめ。 頭がクタクタの方にはおすすめしない一冊。
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