オーガニック革命 の商品レビュー
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読んだ率直な感想としては、とてもスタイリッシュな本だと思った。"ポストデジタルとしてのオーガニック"など、思わず目を止めてしまう表現が多かった。また視点も面白いと思う。"現在、道路の両隣に歩道を2つ作るが、歩道の両側に道路を作ったほうがいい。あくまでも車ではなく人間中心の世界だから"みたいな文章など、あまりそういう発想したことがなかったので、とてもインスピレーションを頂いた。しかし本の説得力としては今ひとつだった。所々にロジックの飛躍が見えた。勢いで読むと何か変な説得力があるが、少し冷静になって思い返してみると矛盾を多く感じる。 著者の主張は大きく分けて二つある。一つはスーパーノマドなライフスタイルが今後の主流になるということ。もう一つはオーガニックなライフスタイルが今後の主流になる、というものだ。スーパーノマドなライフスタイルとは身の回りのものを処分し、身軽にし、一つの場所に定住せずいろいろな場所に移り住みながら暮らすことだ。オーガニックなライフスタイルとは大量生産で生み出されたどこでとれたか分からないような食べ物を食べるのをやめ、体に良いものを食べ、下手に交通機関を使うのではなく自転車や徒歩などを有効利用し、体にも地球にも優しい持続的な暮らしを意味する。この二つの主張を上から見たとき、矛盾が見える。 上にも書いたように、最初の章において著者は"ポストデジタルとしてのオーガニック"という表現を使うが、なんとなく分かるようでよく考えてみるとよく意味が分からなかった。彼はオーガニックを上記のような"ライフスタイル"として定義していたが、デジタルなライフスタイルの意味がよく分からない。「デジタル」を広辞苑で調べると"ある量、またはデータを有限桁の数字列として表現すること"とあった。つまり"ぶつ切りにすること"である。たぶん著者はデジタルなライフスタイルを"効率を重視したライフスタイル"という意味で使っているのだろうが、それでもよく分からなかった。農家や酪農が効率を求めて農薬や化学肥料、遺伝子組み換えを使って育てた食べ物ではなく、非効率でも丹念に有機農法で育ててくれた野菜ややFree Spaceで育てた家畜を選ぶべきだ、という主張や近くのスーパーではなくファーマーズマーケットに足を運んで野菜を買うべきだ、という主張においてはなんとなく効率とオーガニックの対比も分かる。しかしそれ以外において著者が"効率的な"生活を捨てようとしているようには見えない。むしろ身の回りのものを処分していつでも動けるようにしていることの方が"効率的"に見える。彼のノマドなライフスタイルそのものがぶつ切りな"デジタル"に見える。 一番分からなかったのがイギリスにおける金融市場とオーガニック活動の対比である。著者はサッチャー政権における金融ビッグバンとその後のブレア政権による政策によってイギリスは一気にグローバル化し、活気を取り戻したという。その後ブレアはブッシュのイラク攻撃を支持したことにより求心力を失っていく。そして資本主義の中で育てられた金融市場は限界を迎えており、それに代わるのがオーガニックだともいう。この対比が意味分からなすぎた。 本文中でオーガニックの比較対象をこっそり変えて自分の意見を主張している点や、ノマドなライフスタイルとオーガニックなライフスタイルを個別に見てメリットを主張している点が、この本に対して矛盾を感じる理由だった。ただイギリスの近代化の流れを知れたことや、著者の斬新な視点に触れられたという意味で読んでよかったと思った。
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この本を読むまであんまり高城さんの事を知らなかった。しかし、本を読み勧める事で、彼の魅力をとりわけテレビで報じられる以外で感じ取れた。
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先見性の鋭い高城剛さんがロンドンで出会ったオーガニック。オーガニックは生活態度すべてに影響するスタイルとヨーローッパ発のムーブメントを紹介されています。著者が手がける多くの書籍を拝見していますが、その中ではインパクトの少ない内容に感じました。ただ、これから先、「世界はどのように進...
先見性の鋭い高城剛さんがロンドンで出会ったオーガニック。オーガニックは生活態度すべてに影響するスタイルとヨーローッパ発のムーブメントを紹介されています。著者が手がける多くの書籍を拝見していますが、その中ではインパクトの少ない内容に感じました。ただ、これから先、「世界はどのように進むのか?」の視点には直感的なスパイスが詰め込まれていますので感化されます。
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高城剛の新刊 出たばかりのを買って早速読破 エッセイみたいなものだが、世界中飛び回っている人の世界の見方は勉強になる タイトルが「オーガニック」なのだが、内容としては英国のバブル崩壊、そしてそれ以後の英国の状況と流行を分析し、それについての自分の考えを紹介している 小泉&竹中氏の構造改革が批判に晒されるように、ブレア政権は良い所があったのかも知れないが、やはり米国のギャンブル市場経済のシステムに掻き回された結果となった そもそもNHKが何年も前から特集していたように、先物取引などの市場システムでは異常なほどのマネーが取引され、権威ある経済学者も参加し、そして結果的に大破綻した 米国の、「今が良ければ全てOK」というライフスタイルと、家に投資し続けカードを使いまくる サブプライムローンのような問題が起こった要因である超消費社会はどう考えても異常であった 高城氏も指摘するように、日本のマスコミは現在進行形の海外のニュースを取り上げない にもかかわらず大手企業の新しいサービスや商品には飛びついて取り上げる悲観論は嫌だが、意味もなく楽観論を言うのもおかしい 必要なのは自然体のリアリティだろうか 単に「これからは農業だ!」と言ったところで急に全てが変わるわけではないけど、確かに筆者がいう「コンビニとスーパー」というライフスタイルを切り替える必要性は常々感じていた 個人的には「運動」と「食生活」の見直しが必要だと思ったし、同時にやはり世界の情報を得るためには(ネット上においても同様だから)「英語」を少しずつ勉強しようと思っている
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イギリスではリーマンショック以降にオーガニック革命とでもいうべき新しい状況が生まれているという話を実体験にもとづいてレポート 著者曰く、オーガニックよりもグリーンといったほうがしっくりくるらしい。 がまんしない、そしてかっこいいエコ。
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マスコミで名前だけは知っていた、ちょっと胡散臭そうな人、というのがこの本を読む前の作者に対する私の勝手なイメージだった。ところが、この本を読んでみて、地に足のついた、マトモな大人だということがよくわかった。 読み終わった今、彼を変人だとしたのは、その斬新さについていけてない人々...
マスコミで名前だけは知っていた、ちょっと胡散臭そうな人、というのがこの本を読む前の作者に対する私の勝手なイメージだった。ところが、この本を読んでみて、地に足のついた、マトモな大人だということがよくわかった。 読み終わった今、彼を変人だとしたのは、その斬新さについていけてない人々なのだろうということが容易に想像が付く。 ただ、悲しいかな、彼の思想は一番の理解者であるべき家族には届かず、離婚という反旗を翻されてしまった。どうか、彼の心の傷が一日も早く癒えることを。
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高城剛によるオーガニック賛歌。ロンドンに住んだときのオーガニックムーブメントを詳しく紹介しているが、それだけの感も強い。単なるロンドン情報でなく、日本においてはどう発展していくのか、その道筋が見えると良かった。悪くはないけど、いまいち浅い気がする。
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僕は、ハイパーメディアクリエイターこと、高城剛を、ものすごく信頼している。 素晴らしき先見の明を持っている。 震災が起こるずっと前から自分の水や電気を自分で作り、確保している。 現在はバルセロナに住んでいるが、定住はせず、ハイパーノマドとして各地を巡ってテレビやインターネット...
僕は、ハイパーメディアクリエイターこと、高城剛を、ものすごく信頼している。 素晴らしき先見の明を持っている。 震災が起こるずっと前から自分の水や電気を自分で作り、確保している。 現在はバルセロナに住んでいるが、定住はせず、ハイパーノマドとして各地を巡ってテレビやインターネットには映らない世界の生の姿を見聞きしているらしい。 テレビなどでは直感で動いているなどと言うが、しっかり世の中を自分の目で見たうえでの行動だ、決して動物的勘だけで動いているわけではない。 そんな高城剛が、20世紀のアメリカ型資本主義とインターネットに見切りをつけて、次はオーガニックというライフスタイルに身を置いた。 イギリスで起きたオーガニックというムーブメントにアナーキズムを見出した高城から見た時代の流れが本書には書かれている。 複雑な事柄を、フランクに優しく書こうとする高城の文体にも好感が持てる。 自らの手で野菜や食べ物をつくること、それを路上で売るという行為は、いま最もアナーキーでクリエイティブな行為なのだ!
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高城氏はメディアで語られているイメージとは違って、かなりマトモな印象を受けた。結構勉強してるんですねぇ。オーガニックどうこうよりも、震災、金融危機によって資本主義、都市システムの制度疲労が露呈した中、新たな世界に向けての処世術の一端を見た気にさせてくれる一冊。
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最初は読みやすいが、う〜ん…結局お金があれば好きな事できるよねーって感じ。なんとなくモヤモヤ 彼がこのようにオーガニックについて語ると、全てがファッションになってしまうのが残念。彼は上手いが上手すぎて引くなぁ
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