小説帝銀事件 新装版 の商品レビュー
昭和の未解決事件「帝銀事件」。今では、ほとんどの人が犯人とされた平沢貞通は犯人ではないと思っているのかもしれないが、当時は平沢犯人説で決定された。そこに疑問を抱き、一新聞社員の回顧録という形で、事件を綿密に取材し世間に発表したのがこの作品である。 作者の松本清張が言っているよ...
昭和の未解決事件「帝銀事件」。今では、ほとんどの人が犯人とされた平沢貞通は犯人ではないと思っているのかもしれないが、当時は平沢犯人説で決定された。そこに疑問を抱き、一新聞社員の回顧録という形で、事件を綿密に取材し世間に発表したのがこの作品である。 作者の松本清張が言っているように、警察の見解がマスコミの見解となり、それが世間の見解になるというのは怖いことだが、今でも起こりうることである。
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実際にあった事件を、当時の証拠などから推理する、小説としての帝銀事件。 事件自体あまり詳しくないが、提示された証拠や自白などを読み解いていく様は、さすが推理小説の大御所。 一つ疑問だったのは、名刺の件。裏に住所を鉛筆で書いて後で消した、という平沢の供述にスポットが当てられている。平沢の供述通り現場に残された名刺にはその跡があったが、本当の犯人ならそんなことを主張するだろうか。自分の首を絞めるようなことは発言しないのではないかと思ったので、そこがモヤモヤしている。
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帝銀事件のノンフィクションです。 状況証拠と自白のみで死刑判決を受けましたが、冤罪の可能性もある謎だらけの事件です。 「日本の黒い霧」と併せて読むことをお薦めします。
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2025.11.06 本作を読むと、帝銀事件は冤罪なのだろうと思わざるをえない。まず、この事件は新しい刑事訴訟法に基づく裁判ではないということ。 すると、自白をした者が負け!という意味では冤罪ではあっても誤判ではないという評価もできる。やはり、日本では警察に捕まるということそのも...
2025.11.06 本作を読むと、帝銀事件は冤罪なのだろうと思わざるをえない。まず、この事件は新しい刑事訴訟法に基づく裁判ではないということ。 すると、自白をした者が負け!という意味では冤罪ではあっても誤判ではないという評価もできる。やはり、日本では警察に捕まるということそのものがかなり危険ということです。
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気になってた事件 いかにも冤罪って話なのかとおもってたんですけど お金の流れとか 怪しい部分もあったりして ん… でも なんだか 平沢さんを犯人に仕立てておくほうが事が無難に進む みたいな空気を感じてしまった 私がそう感じるのだから 松本先生はもっと強く思ったのでしょうね 小...
気になってた事件 いかにも冤罪って話なのかとおもってたんですけど お金の流れとか 怪しい部分もあったりして ん… でも なんだか 平沢さんを犯人に仕立てておくほうが事が無難に進む みたいな空気を感じてしまった 私がそう感じるのだから 松本先生はもっと強く思ったのでしょうね 小説帝銀事件とはなっていますが ノンフィクションですよね そして問題提議もしてますよね 最後の方に 警察の勘違いで無理やり自白?させられて逮捕されたけど 別件で逮捕された犯人が自白して 誤認逮捕だった…って話が載っていて 笑ってしまいました 自白がすべての旧刑訴法って 怖いですね 中野にスパイ学校があったとか 日本で封鎖預金が実施されていたとか知らない事が興味深かったです
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松本清張文学忌、清張忌 1958年文藝春秋連載 1959年第16回文藝春秋読者賞受賞 社会派ノンフィクション 1948年、帝国銀行で起きた毒殺事件。12人が命を落とし、現金が奪われた帝銀事件 まだ日本は、GHQの占領下にあった 当初は参考人のひとりだった画家・平沢貞通が、ある時...
松本清張文学忌、清張忌 1958年文藝春秋連載 1959年第16回文藝春秋読者賞受賞 社会派ノンフィクション 1948年、帝国銀行で起きた毒殺事件。12人が命を落とし、現金が奪われた帝銀事件 まだ日本は、GHQの占領下にあった 当初は参考人のひとりだった画家・平沢貞通が、ある時点から犯人と断定され、死刑判決を受けるまでの経緯には、今も多くの謎が残っている まず、事件の経過を資料に基づいて小説として再現、次に捜査や証拠への疑問を提示し、そして清張なりの推理と再考を試みている 読み終えて強く印象に残ったのは、容疑者・平沢の言動の不安定さだった 虚言癖や経歴詐称が、むしろ「犯人らしさ」を強めてしまう言動が目につく 清張も彼を無条件に擁護していないという事なのかなと思う ただ、あいまいな証拠と不透明な捜査のなかで、なぜここまで断定できたのか―その疑問は、今も重く残る もしかしたら 書けなかった事もあるのかもしれません
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気になっていた事件。 ついに読むことができた。 タイトルに小説とついているが、 帝銀事件をそのまま描いている。 編集者があるきっかけでこの事件を調べ まとめた形になっている。 帝銀事件は昭和23年1月26日に起こった 毒殺・強盗事件だが、 その手口があまりに手慣れていて 犯人は軍関係者だと目された。 しかし、操作は行き詰まり 名刺という証拠品から絵描きが浮上する。 物的証拠は間接的なものばかりなのに 強要された自白により 犯人とされ死刑判決を受けてしまう。 旧刑訴法では、自白を証拠とできたためだ。 この犯人はおそらく冤罪と思われる。 死刑執行はされず獄中で高齢でなくなっている。 この本は、事件の内容を 緻密に淡々と説明していて なかなか読みにくい本ではあった。 操作資料や裁判資料をもとに事実確認をしていく。 犯人として疑わしい描かれ方をするとき 犯人かもしれないと思ってしまい、 また犯人ではあり得ないと主張されるとき これは冤罪だと感じてしまう。 自分が簡単に説得されやすく 流されやすい存在だと気づかされた。 世論といったものも似たようなものだと思う。 GHQ統治下の時代の空気がわからないので なんとも言えないが、この本は 事件の真実に迫ろうとする 危険も伴う作品なのではないかと感じた。 表向きは解決しているが、 本当の意味では迷宮入りしているこの事件に 問題提起する形で、小説というよりは ジャーナリズムを感じる作品だった。
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帝銀事件の復習。平沢さんのコルサコフ症候群など詳しく知れたんだけど、やっぱり謎が多いなあこの事件。当時、青酸カリてすぐに手には入ったん?それも驚きました。
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去年、死刑囚として47年もの間拘束されていた袴田さんの無実が確定し、釈放された。袴田さんはもはや、自分が釈放されたことがわかっているのかも疑問なぐらい精神をきたしてしまっている。。人生の大半を牢の中で過ごさせてしまった罪の大きさは計り知れない。 帝銀事件もまた然り。戦後間もな...
去年、死刑囚として47年もの間拘束されていた袴田さんの無実が確定し、釈放された。袴田さんはもはや、自分が釈放されたことがわかっているのかも疑問なぐらい精神をきたしてしまっている。。人生の大半を牢の中で過ごさせてしまった罪の大きさは計り知れない。 帝銀事件もまた然り。戦後間もない昭和23年、帝国銀行椎名町支店で青酸カリによる大量殺人が発生した。行動のスムーズさから判断するに、犯人は冷静沈着、慎重な性格で、かなり医療に精通した人間と推察される。そしてまた大量の死を目の当たりにしても動じないところを見ると残忍酷薄で精神力の強い人物である。そこで警察は軍関係、特に七三一部隊を含む科学研究所に焦点を当てて捜査を始めた。 ところが、浮上したのはテンペラ画家の平沢貞通。全く医療にも軍にも薬品にも関係のない人物なのに、名刺の裏に書かれていた文字の筆跡が似ていること、容姿が似ていること、アリバイが曖昧なこと、事件後金払いが良くなったこと‥確たる証拠もないのに、あれよあれよという間に犯人に仕立て上げられ、仕舞いには死刑囚にされてしまった。彼がコルサコフ症候群で証言もころころ変わるということも大きく作用している。軍関係の調査はどうなったのでしょう。打ち切られたのか資料も残っていない。軍の科学研究者たちは外地から秘密裏に帰国し、霧散して行った。多くはGHQに引き取られたという。そして今回の事件もGHQが軍の捜査を阻んだ可能性もある。 今回の証言者たちの中にはは証言内容を徐々に平沢を黒に寄せていった人もいる。世論や検察、警察の判断とは違うことが言えなくなり、断定的に似てると言ってしまえばだんだん似てるようにも見え始め、無意識に自分は正しいと思ってしまう。筆跡も面通しも主観が入るので当てにならないはず。 「マスコミが大衆感情を煽り、一つの世論が形成された。世論はいつも片側にある種の暴力を養ってふくれるものである。」「警察の主観が新聞の主観となり、それが読者の主観となり世論の主観となるのである。」そしてこの負のうねりは令和になった今でもネットという不気味な怪物を介して訳のわからない主観を生み出している。大きな主観の渦の中で自分の意見を通すことは難しい。
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事件を客観的にグイグイと。 果たして真犯人は?証拠なく検察側の都合の良いように積み上げられた事象で犯人とされた平沢。戦後の法改正寸前の混乱期の様がうかがえる。
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