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カスタム・チャイルド の商品レビュー

3.8

61件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    25

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2023/12/12

現代版オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』という雰囲気。遺伝子操作で生まれた子供の運命と遺伝子操作を拒んだ親から生まれた子供の運命。それぞれに親のエゴを感じながら織りなす学園ドラマ。ここで描かれる物語は一つのシナリオなのだが、随所にリアリティ溢れる葛藤が見られ、十分あり得そ...

現代版オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』という雰囲気。遺伝子操作で生まれた子供の運命と遺伝子操作を拒んだ親から生まれた子供の運命。それぞれに親のエゴを感じながら織りなす学園ドラマ。ここで描かれる物語は一つのシナリオなのだが、随所にリアリティ溢れる葛藤が見られ、十分あり得そうな世界観、と言えるのではないだろうか。 設定を自在に操作できる社会とは、人の命が軽視された社会。努力の可能性を歪まされる社会でもあり、何より、親の意思や価値観で生命を左右される度合いが高められるのだ。格差も広がるだろうし、類似品、量産型が溢れるだろう。現状、親が自由に設定できるものと言えば、例えば、名前や習い事(ある程度は)。それですら、奇抜なカスタムネームで賛否ある位だから…。

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2021/12/13

読んだ当時まだ子供でしたが、 今思うと強烈なルッキズム・エイジズムへのアンチテーゼの物語で、ルッキズムが解り易く異様で、明確に上世代から子供たちへの呪いのように描かれた作品。 小学生でもそのキモさが読み取れて、また、家庭環境などの問題とも絡め、かなり社会的な作品だったなと思います...

読んだ当時まだ子供でしたが、 今思うと強烈なルッキズム・エイジズムへのアンチテーゼの物語で、ルッキズムが解り易く異様で、明確に上世代から子供たちへの呪いのように描かれた作品。 小学生でもそのキモさが読み取れて、また、家庭環境などの問題とも絡め、かなり社会的な作品だったなと思います。

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2021/07/23

発売当時の10年ほど前、1度読んで面白かった記憶があったので再読。 遺伝子工学のみ発展した仮想現代。遺伝子操作で子供の見た目、能力の傾向などを操作可能。 育児放棄されカスタマーサポートの担当だった知佳さんに拾われ育てられてた春野。 遺伝子操作を悪とする宗教にハマった親を持ち遺...

発売当時の10年ほど前、1度読んで面白かった記憶があったので再読。 遺伝子工学のみ発展した仮想現代。遺伝子操作で子供の見た目、能力の傾向などを操作可能。 育児放棄されカスタマーサポートの担当だった知佳さんに拾われ育てられてた春野。 遺伝子操作を悪とする宗教にハマった親を持ち遺伝子操作されることなく生まれた清田。 アニメのキャラクターそっくりに作られた冬上レイ。 そんな毒親から生まれた男女3人。親のエゴで性格が曲がってしまった登場人物の苦悩の青春小説。 ただ、一般的な青春小説のように煌めいていないし、読み終わった後スッキリはしない。 文章に関しては酷くは無いが、ラノベの感じが残っていで好き嫌いはあると思う。 ストーリー自体は面白いが、終わり方がこれもまた好き嫌いあると思う。 病んでる登場人物の為個人的には好き。

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2020/10/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

遺伝子操作されていない=正義かと思っていたけど、…皮肉にも偏った両親の信仰心によって果たしてどっちもどっち…となったのは上手い構成。 所々ラノベっぽいのが残念。殴り合いとか…から始まる肝心の男二人のなれそめが浅すぎる泣。中盤からの展開は良かったのに…清田がもっと魅力的だったら最高なのになぁ。春野はうざいところが面白いみたいだけど。 最後、春野は保護者のちかさんと将来的に男女として…と示唆しているけれどなんかすごく違和感。不純物が混ざってしまった感じ。

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2018/10/20

近年では、あなた好みのカスタムで子どもを生み出せる。肌も髪も瞳も、造作だけでなくて性質も才能も、全部。気に入らなければ返品も可能。そんな日本の高校生男女3人が、歪んでたり歪ませたり歪まないようにしたりするSFちっくな青春ファンタジー。 途中でBUMP OF CHICKENのアルエ...

近年では、あなた好みのカスタムで子どもを生み出せる。肌も髪も瞳も、造作だけでなくて性質も才能も、全部。気に入らなければ返品も可能。そんな日本の高校生男女3人が、歪んでたり歪ませたり歪まないようにしたりするSFちっくな青春ファンタジー。 途中でBUMP OF CHICKENのアルエを思い出した。みんなの心に彼女はいるのだな、という気持ち。この世界に果たして未来はあるのだろうか。 前作の無印もかつて読んだ記憶があるので、再読したい。

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2016/08/14

遺伝子操作によって、親の思い通りの子どもを作れるようになった日本。 けれども、そんな才能を持って生まれてきても、環境が伴わなければ、思った通りには育たない。 遺伝子操作を受けずに生まれてきた才能のない清田と、恵まれた可能性をもって生まれてきた春野、容姿のみを求められて生まれてきた...

遺伝子操作によって、親の思い通りの子どもを作れるようになった日本。 けれども、そんな才能を持って生まれてきても、環境が伴わなければ、思った通りには育たない。 遺伝子操作を受けずに生まれてきた才能のない清田と、恵まれた可能性をもって生まれてきた春野、容姿のみを求められて生まれてきた冬上。3人は互いの魅力に惹かれ、行動を共にするようになる。 そんなお話でした。 久しぶりに壁井ユカコさんの小説を読みました。 昔はこの人の作品ばかり読んでいたのに。 本当に、この人は、ダメな魅力をもつ男の人を書くのが上手い(笑)。清田や、冬上ばかりではなくて、読者である私も惹かれていくのです。これまで読んだ中でも、一番暗黒の魅力にあふれていたかも。 けれども、今回は、清田もすごくいいキャラでした。 ふたりの魅力に引っ張られて、途中からはもう止められなくなって最後までぐんぐん読んでしまいました。 ただ、序盤、なんとなくいやな感じがして、50ページくらい読んで本棚に4年くらい眠っていたので、序盤のなんとなく、面白くないというか、んー、よみたくないなぁってところがあったので、★★★★☆です。

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2015/12/18

自分好みに作る事ができる子供達。 そんな子供と、違う子供、3人の話。 好きなように外見を作れるのだから内面も…と 文句をいう人達は、確実にこうなるでしょう。 けれど健康面を考えると、非常にあると便利。 しかしながら…遺伝子を好きなように組み換えるのは 当然1択しかない状態になる...

自分好みに作る事ができる子供達。 そんな子供と、違う子供、3人の話。 好きなように外見を作れるのだから内面も…と 文句をいう人達は、確実にこうなるでしょう。 けれど健康面を考えると、非常にあると便利。 しかしながら…遺伝子を好きなように組み換えるのは 当然1択しかない状態になるわけで。 そう考えると、非常に恐ろしいシステムです。 アニメに似せてできた女の子。 名前やら恰好やらを考えるに、確実に『あれ』かと。 最後の方、何が救いで、何がいけないのか。 さっぱり分からなくなってきています。

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2015/11/07

『カスタム・チャイルド』(電撃文庫)と同じ世界の、もう一つの物語です。 ダーウィンズ・ヒルで電話サポートの仕事をしている春野知佳(はるの・ちか)のもとに、吉一(よしかず)あきこという悪質なクレーマーから子どもが「返品」されてきました。子どもの名前は倫太郎(りんたろう)。彼は、カ...

『カスタム・チャイルド』(電撃文庫)と同じ世界の、もう一つの物語です。 ダーウィンズ・ヒルで電話サポートの仕事をしている春野知佳(はるの・ちか)のもとに、吉一(よしかず)あきこという悪質なクレーマーから子どもが「返品」されてきました。子どもの名前は倫太郎(りんたろう)。彼は、カタログの中から気に入った遺伝子を組み合わせて作られた「カタログ・トランスジェニック」です。知佳は倫太郎を、自分の家に引き取り、育てることを決意します。 やがて成長した春野倫太郎は、予備校で清田寿人(きよた・ひさひと)に出会います。彼は、遺伝子操作の技術に頼らずに生まれた、「ジーンプア」です。優秀な遺伝子を持って生まれてきたカタログ・トランスジェニックに対して劣等感を抱く清田と、親の理想からかけ離れていたために捨てられた苦しみを隠しながら飄々とした態度をとる春野、そして、父親のお気に入りのアニメ・キャラクターそっくりに作られた冬上(ふゆがみ)レイの3人を中心にして、物語は進んでいきます。 物語の終盤、春野の弟だった吉一るうたろうが登場し、春野は自分を捨てた親と再会することを決意します。ですが、当然ながら吉一の家には春野の居場所はありませんでした。春野は、吉一家に対する復讐を敢行しますが、るうたろうもまた、ヒステリックな母親のもとで春野の知らない苦しみを味わっていたことを知らされます。 春野と清田の、どこか少女マンガを思わせる男どうしの友情が魅力的に描かれています。

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2021/09/11

遺伝子組換えが一般的になった世界を背景に子ども、をデザインすることが可能となった時代で、三人の少年少女が複雑に絡む話。 一番、共感できたのは、子どもは親の操り人形でないこと。 2013.10.28(1回目)

Posted byブクログ

2015/04/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

年末ですが、新しく創刊された文庫だったし、いわゆるジャケ買いってのをしま して 『カスタム・チャイルド−罪と罰−』って のを読みました。 初めて読む作者さんです 遺伝子工学が発展し、子どもの容姿や性格・得意分野などの【デザイン】が可能 なった仮想現代 子どもを生む前に(とりあえず「生む」 という、原始からの女性がしてきたことだけは残っている) カタログから遺伝子を選び、自分の好み の組み合わせで、子どもをカスタマイズすることができる カタログ・トランスジェニック ‥ 遺伝子操作 社会によって歪められた少年少女の屈折 や友情を描く、著者渾身の青春ストーリ ーとあったけれど、親の立場で読んでしまうからか「青春ス トーリー」部分よりも、ちょっと薄ら寒いものを感じてしまった 吉一(春野)倫太郎 ‥ 4歳の時、母にカタログ(自分の理想・予想)通りに成長しないからと、 クレームをつけられ、バイク便の段ボールに梱包され「返品」される 「返品」先の会社員、春野知佳に引き取られ、 10年後、容姿上は理想的なトランスジェニック・チャイルドに育つ 清田寿人 ‥ 両親の営みにより自然妊 娠で生まれる。 この時代、トランスジェニックからは「遺伝子貧乏」ジーンプア と呼ばれる 冬上レイ ‥ 意図的にアルビノ(色素 欠乏症)の症状を発現するようにつくられた、 異質のトランスジェニッ ク・チャイルド 父が愛好するアニメのキ ャラクターに似せて作られ、14歳の時が至福の時間だった ↑ これって、カンペキ に『エヴァ』の綾波レイでっしょーーー ー おまけに、冬月なら ぬ 冬上 この3人が知り合った16歳の夏、遺伝子工学を専門に教える高専「総領晴 八郎還暦記念ジェネスティクス・スクー ル」のための予備校に通っていた 確かに「青春ストーリー」ではあるけれ ど 子どもというひとつの人格を、親の傲慢から、 好き勝手につくりかえることのキモチワルサ 子どもをしばりつけることのオソロシサ を思いました 「遺伝子操作」という仮想だけれど、 今だって、「それがあなたのためなんだから」と、あれもこれも制限し押さえつ ける親の何と多いこと! 尤も、子どもたち本人にとっては遺伝子操作されようがされまいが、 「自分は自分」として、「自分」を確立しながら成長できていればいいけれど、 そして、何かを抱えながらも友人たちと 距離を近づけたり遠ざかったり‥は、青春時代の特権だとは思うけれど いずれ、仮想じゃない時代が来るんでしょうね < メモ> 冬上レイが父に持たされていた、ジュニ ア・ケータイの機能を、 清田が「糸でんわ」と表現したのが、実にうまい! と唸りました

Posted byブクログ