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戦艦武蔵 の商品レビュー

4

111件のお客様レビュー

  1. 5つ

    26

  2. 4つ

    56

  3. 3つ

    23

  4. 2つ

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2026/03/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・あらすじ 第二次世界大戦中、日本帝国海軍が秘密裡に建造した世界最大、そして日本最後の戦艦武蔵。 武蔵が建造されて沈没するまでの歴史的背景や技術者たちの苦難などを残された記録から描写する記録文学。 ・感想 本編よりもあとがきが良かった。(もちろん本編も面白かったですけど) あとがきで吉村先生がなぜこの戦艦武蔵を題材に選び、戦艦武蔵を通して何を表現したかったのかを知ってから星4評価になった。 本編を読んでる時に気づけよってね。 本編読んでる時に吉村先生の意図を汲み取れなかった己の感受性やら能力不足が悲しい…。 本編は吉村先生が調べ上げた資料を元に書かれる記録文学であるので知識のない私なんぞは「ふんふん、なるほどなー大変だなぁ。確かに、そういう問題もあるよね…昔の人もすごいな」などあっさいペラペラな感想をもつのみ。 後半はあんなに頑張ったのに結局最後はこうなるんだな、という寂しさと諦観があり何ともしんみりした読了感だった。 冒頭は何やら最近棕櫚が不足している。買い付けをしているグループの目的も正体もわからない。一体何が起こっているのだろう?とワクワクさせる始まりだった。 戦艦武蔵を建造するにあたって尽力した人々と成す術なく戦火に飲み込まれていった人々。 国家の威信をかけた大事業、大事業を成功させるためにどれだけの人、金、ものが費やされ、だからこそ簡単に沈めるわけにもいかず「御殿」となった武蔵。 色々考えさせられる事業だわ。 別に愚行とまでは思わないけども。 「私は、戦争を解明するのには、戦時中に人間たちが示したエネルギーを大胆に直視することからはじめるべきだという考えを抱いていた。そして、それらのエネルギーが大量の人命を物を浪費したことに、戦争というものの本質があるように思っていた。戦争は、一部のものが確かに煽動して引き起こしたものかも知れないが、戦争を根強く持続させたのは、やはり無数の人間たちであったにちがいない。」 あとがきも素晴らしいけど、解説もまた良かった。 「吉村昭氏の作品の底にある人間観、それは人間というものは何をしでかすかわからないということへの暗い好奇心と、何をやってもタカが知れているという無常感をはらんだ徒労の意識である。」と解説されていて、私が吉村作品に惹かれる理由がまさにソコなんだなと納得した。 吉村先生は決して人間を美化しない。 別に人間をバカにしていたり嫌悪してるわけでもない。 やっぱり一言でいい表すならやはり「諦観」。 客観的で冷徹な人間への諦観を含んだ観察眼が吉村作品の通底するテーマであり魅力だと思う。 結論、やっぱり吉村昭作品最高!

Posted byブクログ

2025/12/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 長崎から棕櫚が消えた。何かが起こっている。冒頭の不気味さ。その棕櫚のすだれに隠された港で造られていたものは。。。  いやあ、もう悔しいというか怒りというか、時代遅れの巨大戦艦を造るまでの異常なまでの秘密主義に翻弄された人々と、ほとんど成果を上げることなくあえなく海中に沈んだ戦艦の乗組員たちが哀れでなりません。  それにしても淡々と事実を積み上げてその狂気を描く吉村氏にはますます敬意を払いたい。素晴らしい作家です。現代でこのようなことができるのは。。。。小川哲さんぐらいでしょうか。まだ吉村氏の読んでない作品がたくさんあるので、これからも読んでいきたいです。

Posted byブクログ

2025/11/21

猪口艦長が私の地元の出身なので、なんとなくの興味で読んでみました。 戦艦武蔵については名前を知っている程度で、建造の経緯や実像については全くと言っていいほど知りませんでした。 本書を読んで、想像をはるかに超える壮絶な歴史に今は少し放心です。 特に驚かされたのは、現在では誰もが...

猪口艦長が私の地元の出身なので、なんとなくの興味で読んでみました。 戦艦武蔵については名前を知っている程度で、建造の経緯や実像については全くと言っていいほど知りませんでした。 本書を読んで、想像をはるかに超える壮絶な歴史に今は少し放心です。 特に驚かされたのは、現在では誰もが一度は耳にしたことのある武蔵や大和が、当時は終戦までその存在すら徹底的に秘匿されていたという事実。図面の管理や建造現場の目隠しはもちろん、実際に建造に携わる人でさえ全貌を知らされないという徹底ぶりは、考えられないほど厳格で、当時の緊張感がそのまま伝わってくるようです。 後半、武蔵が戦場へ赴き、最期を迎えるまでの展開は息つく間もなく、一気に読み進めました。 敵機からの集中攻撃、戦火の中での判断と猪口艦長の決意、そして沈没へと至るまでの描写は胸に迫り、ページをめくる手を止めることができませんでした。 名前しか知らなかった武蔵に、「実在した巨大な艦」としての姿と、そこに関わった人々の熱い思いが重なって見えました。 だけど、決して美談ではない。膨大な人と労力を費やしてまで建造した武蔵とは何だったのか。。。 少し重たい、読了後の余韻が続いています。

Posted byブクログ

2025/08/24

吉村昭は信頼している作家であり好きな作家の一人である。 本作も期待を裏切らなかった。 記録文学というらしいが、かなり綿密に調べてあり、フィクションというよりほぼノンフィクションの趣である。 武蔵が完成するまでが作品のおよそ七割を占め、残りの三割が実際の戦争での記録になる。この...

吉村昭は信頼している作家であり好きな作家の一人である。 本作も期待を裏切らなかった。 記録文学というらしいが、かなり綿密に調べてあり、フィクションというよりほぼノンフィクションの趣である。 武蔵が完成するまでが作品のおよそ七割を占め、残りの三割が実際の戦争での記録になる。この配分がポイントの一つであり、武蔵の完成までは正に「プロジェクトX」の趣きである。日本人の一つのことに取り組む粘り強さと緻密さがよく描かれ、職工たちの平均的な質の高さがよく分かる。 実際の戦争に投入されてからは、割とあっさり書かれている。 海軍上層部が船の諸元性能の情報が漏れるのを恐れるあまり、船を戦闘に積極的には投入せず、ただ停泊させていたり、出撃してもすぐ撤退させてしまう様は滑稽でもある。レイテでの最初で最後になる戦いも一方的にやられるばかりでほぼ役立たずのまま、戦前の国家プロジェクトは終わってしまう。その後の武蔵の艦員の最後も記されているがなんとも無残なものである。 続けて「戦艦武蔵ノート」も読もうと思う。

Posted byブクログ

2025/07/12

戦艦武蔵の建造から沈没までの記録。 当時の技術の粋を集めて、史上最大の戦艦を建造するストーリーはさながらプロジェクトXのようで、困難に立ち向かう技術者達の姿はビジネス書で取り上げられるようなサクセスストーリー。 一方、当時、すでに戦艦の戦力に航空機が代替され始めており、実際に戦場...

戦艦武蔵の建造から沈没までの記録。 当時の技術の粋を集めて、史上最大の戦艦を建造するストーリーはさながらプロジェクトXのようで、困難に立ち向かう技術者達の姿はビジネス書で取り上げられるようなサクセスストーリー。 一方、当時、すでに戦艦の戦力に航空機が代替され始めており、実際に戦場では戦艦武蔵は敵の飛行機による攻撃になすすべなく、沈没。 その最期を知っている後世の我々からすると、前半のサクセスストーリーも少し方向性が違う努力に思えてしまう。 しかしながら、それこそが人間なのかな、と思わせる話。

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2025/04/11

戦艦の専門用語と軍役職と名前が詳細に書かれており、固い文面で読むスピードが落ちる。 これだけ莫大な人員、材料を投入し数年の月日を費やして建造した巨艦武蔵、その甲斐もなく人を巻き込んで沈没した運命は、やりきれない悲しさと虚しさがある。

Posted byブクログ

2024/11/22

終始、客観的な視点で物語が進むせいか「何でこんな馬鹿なことをしたんだろ」という感想がまず初めに湧いた。 冷静に後から振り返れば、とてつもない大きな船を造ることには人員もコストも材料も膨大なものになるし、出来たら出来たでまた人員や燃料が必要になり、挙げ句の果てに航空機からの格好の的...

終始、客観的な視点で物語が進むせいか「何でこんな馬鹿なことをしたんだろ」という感想がまず初めに湧いた。 冷静に後から振り返れば、とてつもない大きな船を造ることには人員もコストも材料も膨大なものになるし、出来たら出来たでまた人員や燃料が必要になり、挙げ句の果てに航空機からの格好の的になって総攻撃を浴びて沈没するという悲惨という他ないプロジェクトのように思えた。

Posted byブクログ

2024/11/11

漁網に使う棕櫚の繊維が誰かに買い占められたことを書き出しに使うのがプロの技。いや、取材の賜物というべきか。 尋常ではない巨大戦艦を造るための苦悩や苦心を書く前半が本書の面白いところ。 だから、竣工した武蔵を海軍に引き渡した瞬間に部外者にとなって、呉工廠を後にする三菱造船所の面々と...

漁網に使う棕櫚の繊維が誰かに買い占められたことを書き出しに使うのがプロの技。いや、取材の賜物というべきか。 尋常ではない巨大戦艦を造るための苦悩や苦心を書く前半が本書の面白いところ。 だから、竣工した武蔵を海軍に引き渡した瞬間に部外者にとなって、呉工廠を後にする三菱造船所の面々というシーンまでがあれば本書は十分だと感じた。 まあ武蔵の生涯という意味では就役後、撃沈されるまで書かないと落ち着かないというのはわかるが。 そして、設計図を焼いてしまったN太郎の話はやっぱり考えさせられる。 選ばれて極秘任務に抜擢されたものの、最年少なので下働きしかさせてもらえず、その間に同期生は仕事を覚えていく。 それに焦って不祥事を作り出したが、意に反して大事件となり任務にあたった同僚たちは拷問を受けて再起できなくなった人もいるという。 このエピソードを書くからこそ吉村昭だと思う。

Posted byブクログ

2024/10/03

その当時の日本における造船技術の叡智を集めて、秘匿の内に産み落とされた戦艦「武蔵」の生涯の記録です。かの有名な戦艦「大和」の2番艦、いわば次男坊にあたります。 「武蔵」の生い立ちとその後の運命に見る光と影は、世界の潮流にもがく戦時中の日本の姿そのものであり、単なる戦記とは違う凄み...

その当時の日本における造船技術の叡智を集めて、秘匿の内に産み落とされた戦艦「武蔵」の生涯の記録です。かの有名な戦艦「大和」の2番艦、いわば次男坊にあたります。 「武蔵」の生い立ちとその後の運命に見る光と影は、世界の潮流にもがく戦時中の日本の姿そのものであり、単なる戦記とは違う凄みを感じる作品です。また、飾り気のない文章で綴られる惨烈を極めた戦闘の描写と乗組員のその後には、心がえぐられます。 否が応でも戦争について考えさせられる、とても悲しい話です。

Posted byブクログ

2024/08/01

戦争をテーマにした吉村昭の小説。 直接の関係者数名以外は家族にも漏らすことを禁じられ、極秘裏に計画を進めた巨艦武蔵の建造に携わった技師や軍人の数年間と、むなしく海に沈んだ戦艦武蔵の悲しい運命。 この虚しさはいったい何だったのかと思いつつ読了した後、本棚に同じ本があったのを見て何...

戦争をテーマにした吉村昭の小説。 直接の関係者数名以外は家族にも漏らすことを禁じられ、極秘裏に計画を進めた巨艦武蔵の建造に携わった技師や軍人の数年間と、むなしく海に沈んだ戦艦武蔵の悲しい運命。 この虚しさはいったい何だったのかと思いつつ読了した後、本棚に同じ本があったのを見て何とも言えない気分になった。

Posted byブクログ