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戦艦武蔵 の商品レビュー

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104件のお客様レビュー

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2024/10/03

その当時の日本における造船技術の叡智を集めて、秘匿の内に産み落とされた戦艦「武蔵」の生涯の記録です。かの有名な戦艦「大和」の2番艦、いわば次男坊にあたります。 「武蔵」の生い立ちとその後の運命に見る光と影は、世界の潮流にもがく戦時中の日本の姿そのものであり、単なる戦記とは違う凄み...

その当時の日本における造船技術の叡智を集めて、秘匿の内に産み落とされた戦艦「武蔵」の生涯の記録です。かの有名な戦艦「大和」の2番艦、いわば次男坊にあたります。 「武蔵」の生い立ちとその後の運命に見る光と影は、世界の潮流にもがく戦時中の日本の姿そのものであり、単なる戦記とは違う凄みを感じる作品です。また、飾り気のない文章で綴られる惨烈を極めた戦闘の描写と乗組員のその後には、心がえぐられます。 否が応でも戦争について考えさせられる、とても悲しい話です。

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2024/08/01

戦争をテーマにした吉村昭の小説。 直接の関係者数名以外は家族にも漏らすことを禁じられ、極秘裏に計画を進めた巨艦武蔵の建造に携わった技師や軍人の数年間と、むなしく海に沈んだ戦艦武蔵の悲しい運命。 この虚しさはいったい何だったのかと思いつつ読了した後、本棚に同じ本があったのを見て何...

戦争をテーマにした吉村昭の小説。 直接の関係者数名以外は家族にも漏らすことを禁じられ、極秘裏に計画を進めた巨艦武蔵の建造に携わった技師や軍人の数年間と、むなしく海に沈んだ戦艦武蔵の悲しい運命。 この虚しさはいったい何だったのかと思いつつ読了した後、本棚に同じ本があったのを見て何とも言えない気分になった。

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2024/07/31

1973年第21回菊池寛賞 「戦艦武蔵」「関東大震災」など一連のドキュメント作品に対して 大日本帝国海軍 最後の戦艦(でいいのかな?) 武蔵のその建造から最期までを  記録文学の新境地 解説者曰く 日本人の集団自殺を思わせる 巨大な戦艦を ものすごい技術だと思うのだけど 材料...

1973年第21回菊池寛賞 「戦艦武蔵」「関東大震災」など一連のドキュメント作品に対して 大日本帝国海軍 最後の戦艦(でいいのかな?) 武蔵のその建造から最期までを  記録文学の新境地 解説者曰く 日本人の集団自殺を思わせる 巨大な戦艦を ものすごい技術だと思うのだけど 材料の調達から造船まで愛国心と根性で作りあげてしまうような 狂気に近い当時の状況 進水してからは 建造から戦闘へと記録が変わる 作者のあとがきから 戦艦武蔵の建造日誌を友人から借用したとのこと 建艦に携わった技師が焼却するべきものを秘蔵していたものだとのこと 建造に関わるあらゆる種類の多くの数字が 現場に近い記録から起こされた小説 記録された数字と当時の日本軍の行動から見えてくる 資源、時間、人材の強引な召集 最期は、「退艦用意、自由行動をとれ」 レイテ沖で

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2024/05/03

漁具である棕櫚が日本全国から消えるという一見戦艦とは関係なさそうな話から始まり、2/3を建造まで、1/3を進水してからシブヤン海で沈むまでを描く本作。 世界最大の主砲を有する戦艦を建造しておきながら、最後までほぼ出番がなく、雷撃隊の前に海中に没した最期は、戦艦の能力云々の前に、...

漁具である棕櫚が日本全国から消えるという一見戦艦とは関係なさそうな話から始まり、2/3を建造まで、1/3を進水してからシブヤン海で沈むまでを描く本作。 世界最大の主砲を有する戦艦を建造しておきながら、最後までほぼ出番がなく、雷撃隊の前に海中に没した最期は、戦艦の能力云々の前に、巨艦大砲主義に邁進し、戦略・作戦・戦術レベルで語られる際の戦略レベルでの決断に誤りがあったことが痛いほど伝わってくる。

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2024/02/27

太平洋戦争直前、米英日の不公平な軍縮条約は国際連盟脱退につながり、日本海軍が大型軍艦造船に舵を切る。第2号艦として長崎で建造される武蔵を、まず造船大国日本の技術力の面から記述。艦建造の各段階における担当者・作業員たちの群像である。しかし、時代は航空兵力が中心になり、戦艦ではなく空...

太平洋戦争直前、米英日の不公平な軍縮条約は国際連盟脱退につながり、日本海軍が大型軍艦造船に舵を切る。第2号艦として長崎で建造される武蔵を、まず造船大国日本の技術力の面から記述。艦建造の各段階における担当者・作業員たちの群像である。しかし、時代は航空兵力が中心になり、戦艦ではなく空母が海洋戦の主力になると山本五十六大将などが予見していたにも関わらず大型戦艦が建造された。戦隊に編入後はさして活躍することなく米航空兵力によって撃沈される、悪手といえる軍の戦略に翻弄されていく戦艦武蔵の最期は読んでいて辛かった。

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2024/02/14

戦争に突き進む心理を描かれたことは、設計構想の話を期待して手に取ったのでだいぶ不意打ちであった。しかし、きちんと練られており面白い

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2024/01/03

長崎で建造が始まった第2号艦。その地形や造船に関わる人数を考えるとその存在を秘匿するのは容易ではない。前半は数々の困難を乗り越えて巨艦を完成、引き渡しまで。後半は戦艦武蔵と名付けられ戦線に合流するも時代は航空戦力が主になりその能力を発揮できない。 読みだしたら止まらない。 知って...

長崎で建造が始まった第2号艦。その地形や造船に関わる人数を考えるとその存在を秘匿するのは容易ではない。前半は数々の困難を乗り越えて巨艦を完成、引き渡しまで。後半は戦艦武蔵と名付けられ戦線に合流するも時代は航空戦力が主になりその能力を発揮できない。 読みだしたら止まらない。 知っている最後に向けて話は進む。撃沈。 しかし話はまだ続いた。 武蔵沈没の露見を恐れた海軍中枢部は生存者をほぼ邪魔者扱い。内地に送られた者は輸送中に敵魚雷で沈没。生存者はほぼ軟禁状態。 現地に残された者はほぼ全滅。 過酷すぎる。

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2023/12/16

2023年11月読了。 「造船小説」ともいうべき内容だが専門的な用語を駆使して衒学的な内容に陥らずに、「人間の営為の行き着く先が科学の進歩や合理性の極地では必ずしもなく、至って間抜けな崩壊になることがある」ということを、戦艦武蔵という巨物を通じて描いていると私は読んだ。 安易な戦...

2023年11月読了。 「造船小説」ともいうべき内容だが専門的な用語を駆使して衒学的な内容に陥らずに、「人間の営為の行き着く先が科学の進歩や合理性の極地では必ずしもなく、至って間抜けな崩壊になることがある」ということを、戦艦武蔵という巨物を通じて描いていると私は読んだ。 安易な戦争回顧やその逆の安易な戦争批判ではなく、人間を描いているところに凄みを感じる。 61ページ 営業部門としては、長崎造船所が民間企業であるかぎり、第二号艦の建造も一つの受注と考える以外になかった。たとえどのよな重要なかんであろうとも、請負う仕事は、その一つ一つが会社にりじゅんをもたらすものでなければならないはずであった。 →呉の海軍工廠で建造された大和はさておき、武蔵は発注⇄受注の関係で建造された商品である。 133ページ 所員たちには、一つの確信があった。自分たちのつくっているこの巨大な新型戦艦が海上に浮べば、日本の国土は、おそらく十二分に守護されるだろう……と。かれらは、この島国の住民の生命・財産が、自分たちの腕にゆだねられているのだという、強い責任感に支配されていた。そのためにも、かれらは一刻も早く、しかも完璧な姿でこの巨艦を戦列に加えたいという願いをいだきつづけていた。 →結果はどうあれ建造のプロセスにおいてそれぞれの役割を担った人々の気持ちを無視してはいけないと私は思うし、後の世から非難だけしているのは簡単なことだろう。 192、3ページ 呉工廠に転任する梶原監督官から渡辺建造主任宛に出された別れの挨拶文。 建造した船が船台を滑っていく様子を愛児に誕生に準えるのは今も昔も変わらないものですね。 248ページ 「この艦は絶対に沈まない。沈んだ時は、日本の終わりなのだ。国の終わりなら、死んでも一向に悔いはない」そんな論法が、乗組員たちの間に、一種の信仰のような根強さでひろがっていった。 →ファナティックな群衆になった時こそ冷静でいたいと思うがなかなかそれは難しいのだろう。 300ページ 武蔵が沈没する際に猪口艦長が下僚に託した手帳に書かれた戦闘詳報的なメモの一部の抜粋。沈没時を想定して御真影や軍旗を艦外になんとかして持ち出すことがメモされている。命よりも大切な写真と旗ということなのだが、このあたりの心境は当事者でないと分らない感覚ではないだろうか。 306ページ 「調査を進めるうちに、私には、なにか戦艦武蔵が、戦争を象徴化した一種の生き物のように思えてきた。」

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2023/11/14

巨大戦艦時代が終焉をむかえる中、最後の巨大戦艦になるのかな。 宝の持ち腐れみたいに、機密にしていた戦艦やけど、いざ、使う時には、もう負け戦確定的… 何か、悲しさ満点やな。 こんな巨大なもの作るのには、その機材を運ぶのも大変で、巨砲運ぶ為に、運ぶ船作らなあかんとか… 巨大戦艦建設...

巨大戦艦時代が終焉をむかえる中、最後の巨大戦艦になるのかな。 宝の持ち腐れみたいに、機密にしていた戦艦やけど、いざ、使う時には、もう負け戦確定的… 何か、悲しさ満点やな。 こんな巨大なもの作るのには、その機材を運ぶのも大変で、巨砲運ぶ為に、運ぶ船作らなあかんとか… 巨大戦艦建設の最大の難関は、進水なんか… 武蔵の建造から、沈むまでの話やけど、ほとんどは、戦いまでの話が中心。 実際に、もう時代は、戦闘機中心の時代に移行して、不沈艦と歌われた武蔵建造の帝国海軍の夢と野心は… 何か、神話が一人歩きしてる感じ。 その神話が崩れた時、武蔵本体の運命は知らんけど、乗組員の運命が悲惨… 神話という夢は、いつか醒めるのに… 夢のままなんかムリやのに… じっくりと真実を見て、 じっくりと考えて、 早急に対処する。 戦時の異常心理か知らんけど、ちゃんとして〜

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2023/05/28

注ぎ込まれる精神、人命、物資、技術の膨大なエネルギーの壮大さやそこで発露される様々な美しさと、それらが結果的には無意味に浪費されるという、戦争の対照的な両側面を、世界最大の戦艦の建造から沈没までを通じて描いている。

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