1,800円以上の注文で送料無料

戦艦武蔵 の商品レビュー

4

104件のお客様レビュー

  1. 5つ

    24

  2. 4つ

    53

  3. 3つ

    21

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/08/07

吉村昭の代表作。今回も事実のみを淡々と描く作風が見事だった。建設に関わった人たち、武蔵に乗船して太平洋で戦った人たちの異常な熱気を感じた。

Posted byブクログ

2021/06/27

日本帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の戦艦「武蔵」―厖大な人命と物資をただ浪費するために、人間が狂気的なエネルギーを注いだ戦争の本質とは何か? 非論理的“愚行”に驀進した“人間”の内部にひそむ奇怪さとはどういうものか? 本書は戦争の神話的象徴である「武蔵」の極秘の建造から壮絶な終焉...

日本帝国海軍の夢と野望を賭けた不沈の戦艦「武蔵」―厖大な人命と物資をただ浪費するために、人間が狂気的なエネルギーを注いだ戦争の本質とは何か? 非論理的“愚行”に驀進した“人間”の内部にひそむ奇怪さとはどういうものか? 本書は戦争の神話的象徴である「武蔵」の極秘の建造から壮絶な終焉までを克明に綴り、壮大な劇の全貌を明らかにした記録文学の大作である。

Posted byブクログ

2021/06/10

詳細な下調べに基づく事実を順を追って記載しているのみであるが、だからこそ感じさせる異常性と虚無感がすごい。解説が絶妙に言い表している。

Posted byブクログ

2021/04/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

太平洋戦争の最中、当時の技術を結集して作られた最強の戦艦武蔵の建造とその最後を描く。 前半では、超機密裏のうち、多大なる資源、時間、労力が投入され、製造されていく武蔵が描かれている。 その裏には巧みな機密保持工作や造船技術者の苦悩があった。 武蔵は完成後、あまり実戦に出るチャンスが無く、最終的には米軍の航空隊と魚雷攻撃の集中砲火でコテンパンにやられて沈没する。 前半で描かれていた機密保持や技術者の苦労は一体何だったのか…というほどのあっけない最後であり、なんとも言えない虚しさが残る。 吉村氏特有の冷静で客観的な表現で描かれており、とても読みやすい。

Posted byブクログ

2020/12/30

引き篭もりの年末用に用意していた一冊。あっという間に読んでしまいました。プロジェクトの全容もほとんど知らされず、時には軍や警察からの理不尽な仕打ちを受けつつも御国のためと奮闘する三菱造船所の技術者たちの思い、制海権を争うにはすでに時代遅れの長物となった軍艦の迷走、あくまで客観的な...

引き篭もりの年末用に用意していた一冊。あっという間に読んでしまいました。プロジェクトの全容もほとんど知らされず、時には軍や警察からの理不尽な仕打ちを受けつつも御国のためと奮闘する三菱造船所の技術者たちの思い、制海権を争うにはすでに時代遅れの長物となった軍艦の迷走、あくまで客観的な視点で進む物語が逆にリアルを引き立てる。Wikipediaを引きながら旧日本軍の戦略の愚直さ、組織の腐敗を再学習できます。

Posted byブクログ

2020/10/06

最近、吉村さんにどハマり。これもまたよし。絶妙なタイミングで図書館で見つけた。戦艦武蔵の闘いより、建設過程をよく描いた珍しい作品。戦闘自体はあっさりした感じ。しかし、冒頭からワクワクさせる描写は見事やなあ

Posted byブクログ

2020/08/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ノンフィクションを読みたいと言ってた Fの常連さんに、吉村昭をお勧めしたら どハマりしてるようだったので 私も久々に、ご相伴にあずかろうかと 笑 速筆の吉村氏、とにかく著作が多い もう既に、他界されてるので これ以上、増えることは無いにしても 制覇するには、気が遠くなるなぁー (^-^; しかし、好きな作家のデビュー作は しっかりと押さえて置かないとね 学生時代からの短編や 同人誌などを含めたら、ちょっと違ってきますが… 「記録小説」というジャンルを確立させたという意味では 本書は、デビュー作と言っても過言ではないようです 日本帝国海軍からの極秘依頼で 三菱重工長崎造船所で造られた戦艦武蔵 過去に建造した戦艦と比べても 飛躍的に大型だった為 船台拡張を含めた、技術の向上が求められた 軍の最高機密である、戦艦建造は 三菱重工社内でも、極秘扱いとなり 機密に対する警戒は厳重を極めた 設計者から艤装員に至るまで 厳重な身元調査を経て、誓約書にサインをさせられた 長崎は、地形上 三方を山で囲まれているため 外部から武蔵を隠す必要があった 巨大な戦艦を覆い隠す為に 漁具に使われる棕櫚を簾状に編んで 前面に張り巡らせた また、長崎住民に対する監視も 厳しく行われた 造船所を見下ろす山の中に 警備の警察を配置し 造船所方面を見つめたりしただけで 逮捕された 高台にある、イギリスやアメリカの領事館から 建造中の様子が窺い知れないよう 目隠しの為に、倉庫を建造したり グラバー邸や、上海銀行を 三菱重工が買い取ったりした 厳重を極めた中 図面が紛失する事件が起こる 設計部軍艦課に、特別に作られていた 設計場兼図庫から 一枚の設計図が消えてしまった その部屋は、完全に独立していて ただ一つの出入口も、鉄製のドアで締められ その外には、守衛が控えている 入退出時には、守衛の管理している 出入者名簿に都度、署名捺印させられるほど 徹底されていた 設計図がの管理も、念入りに行われていたにも関わらず 一枚の図面が紛失した 6名の技師と2名の製図工は 憲兵に連れ去られ独房に留置 個別に、特高の刑事から厳しく尋問された 二週間に及び 家宅捜査や、身辺調査も行われ 調査結果と、答弁に齟齬があると 数人がかりで暴行、拷問を加えた 製図工の少年が、職場から逃れたい為に 図面を一枚持ち出して 焼却してたと白状する 少年は、その後裁判にかけられ 刑を受けると、密かに満州に送られ 家族も長崎から姿を消した その他、技術的にも困難を極めた 戦艦武蔵の建造は 1940年11月1日進水の日を迎えたが 船体が、外部に露呈してしまう為 住民の外出を禁止した あまりにも巨大な戦艦だった為 進水時、周辺の海岸に高波が発生し 逆流した河川では、水位が上昇して 民家に流れ込んで床上浸水になった 厳重な機密保持を経て建造された 戦艦武蔵だったが 戦闘機中心となっていた 太平洋戦争では、思いの外戦力にならなかった 巨大な船体を活かした 物資輸送と、実践訓練 山本五十六連合艦隊司令長官の遺骨を 本土に運んだ事 その後、「捷」作戦に参加 アメリカ軍による被弾、被雷を受け沈没した 本書では 戦艦武蔵の発注から沈没までを描いているが 建造中の出来事が中心となっているので 戦艦の知識が皆無な私でも 手に汗握りながら、読み進めることができる まさにプロジェクトX 武蔵は、残されてる画像や映像が ほぼ無いので 全体のイメージがしずらかったけど このご時世、YouTubeで検索すると いろいろ出てくる 戦艦武蔵の最期をCGで見る事もできる 大勢の人が、必死の思いで作り上げ 大勢の人が、犠牲になった 言うまでもなく、戦争は最悪な事である事は 間違いない 平時では、全く想像が及ばないことが 平然と行われる 人は歴史に学ばないといけない と、しみじみ感じ入ってたところ あとがきを読んで、愕然とした 「戦争は、一部の者が確かに扇動して引き起こしたものかもしれないが 戦争を根強く持続させたのは 無数の人間たちであったに違いない あれほど、膨大な人名と物を消費した 巨大なエネルギーが 極一部の者だけで 到底維持できるものではない」 なるほど… 「戦争中に、人間たちが示したエネルギーが 大量の人命と物を浪費したことに 戦争というものの本質があるように思っていた」と まあまあな数、いろんな角度から書かれた 戦記モノ読んできましたが この一文を読んで、至極納得した #戦艦武蔵 #吉村昭 #三菱重工長崎造船所 #太平洋戦争 #時代遅れの巨大戦艦 #心血注いで造った割に #使われ方がお粗末過ぎる #吉村作品にハズレなし

Posted byブクログ

2022/06/05

2015年3月、マイクロソフトの共同創業者の故ポール・アレン氏の捜索プロジェクトチームが8年がかりで、シブヤン海底に眠る武蔵を発見した。本書を読みながら発見時のテレビの衝撃的な映像を思い出した。 大和は海軍の施設である呉海軍工廠で造艦されたのに対して、武蔵は三菱重工長崎造船所と...

2015年3月、マイクロソフトの共同創業者の故ポール・アレン氏の捜索プロジェクトチームが8年がかりで、シブヤン海底に眠る武蔵を発見した。本書を読みながら発見時のテレビの衝撃的な映像を思い出した。 大和は海軍の施設である呉海軍工廠で造艦されたのに対して、武蔵は三菱重工長崎造船所という民間企業が造ったことは初めて知った。 武蔵の起工から竣工までが造艦に関わる人間ドラマとともに完成するまでの過程が克明に記されており記録文学の傑作と言える名著だと思う。 造船所から海軍に引き渡されるまでを前編、海軍が所有してから沈没までを後編として、最新の映像技術でぜひ映画にしてほしい作品。豪華キャストに実力派の監督が手掛けてくれればヒットは間違いないと思う。映像化されれば万難を排して見に行くだろうと思わせてくれる作品だった。

Posted byブクログ

2020/07/15

戦艦武蔵の建造から最期までを、ある意味淡々と描いている。 誰かに感情移入する事もなく、事実を事実として緻密に描き切っている。 敵国である米英だけでなく、日本国民にも秘密とされた大和、武蔵。すでに航空機での戦争へと移行しつつあった時代に敢えて不沈艦として大型戦艦を建造する意味と...

戦艦武蔵の建造から最期までを、ある意味淡々と描いている。 誰かに感情移入する事もなく、事実を事実として緻密に描き切っている。 敵国である米英だけでなく、日本国民にも秘密とされた大和、武蔵。すでに航空機での戦争へと移行しつつあった時代に敢えて不沈艦として大型戦艦を建造する意味とは何だったのか。 日本海軍の象徴としてなのか。武蔵建造にかける人達の盲目的なまでの情熱。出来てからの活躍が難しいと何となく理解していても、完成させる事が目的となっていた当時の人達の情熱。 完成してからの描写があまりにも悲しい事と対比すると、 何と無駄なものに時間と労力と人を投資していたのか、と思ってしまう。 吉村氏はそれをある意味淡々と、そして冷静に冷徹に描いている。戦争の愚かさ、無意味さを大上段から批判せずに我々に提示している。何とも悲しい小説である。

Posted byブクログ

2019/10/01

さすがの著者の記録文学。前半は若干冗長だが、中盤から後半にかけての悲哀が半端ない。だが、著者独特の淡々とした筆致から戦争に邁進する人々の狂気や妄信を詳らかにしていく...。日本海軍の旗艦的な存在である戦艦と、その戦艦の造船や操船に携わった人々の想い...。ちょっとワクワクしてしま...

さすがの著者の記録文学。前半は若干冗長だが、中盤から後半にかけての悲哀が半端ない。だが、著者独特の淡々とした筆致から戦争に邁進する人々の狂気や妄信を詳らかにしていく...。日本海軍の旗艦的な存在である戦艦と、その戦艦の造船や操船に携わった人々の想い...。ちょっとワクワクしてしまう自分はまだまだ修行が足りないなぁ。

Posted byブクログ