世論の曲解 の商品レビュー
データの読みほぐし方がよくわかる。世論は簡単に誘導される。でも、自力でここまで真偽を見分けるのは大変そう。
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小泉純一郎という美酒に酔った自民党が、ねじれ国会の中でだんだんと世論を曲解していき、その後の衆院選で大敗を喫したということが、詳細なデータを元に語られていく。 要するに自民党は未だに小泉人気とはなんだったのかを理解できていないのだと思う。最初の齟齬はすでに安倍政権での郵政造反組...
小泉純一郎という美酒に酔った自民党が、ねじれ国会の中でだんだんと世論を曲解していき、その後の衆院選で大敗を喫したということが、詳細なデータを元に語られていく。 要するに自民党は未だに小泉人気とはなんだったのかを理解できていないのだと思う。最初の齟齬はすでに安倍政権での郵政造反組の復党ではじまっていて、あの高支持率が靖国参拝やタカ派の政治スタンスによって醸成されたのだと。それを好む人もいるけれども、実際には政権を支えるほどの人数はいなかったことが、政権交代に結びついてしまった。 でも、それは自民党どころか民主党もメディアも見誤っていることだと思う。自民党は相変わらずタカ派で保守回帰路線を突き進んでいるし、民主党は小泉純一郎の否定というところから先に進んでいない。で、目を転じると、その辺りを把握していそうな橋下徹が一大勢力になってきている。 そういう意味では、なぜか停滞している日本政治を読み解く一冊だと思う。でも、書いている内容は相当難しい。
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読むのに疲れたが面白かった。先の政権交代を世論の読み違えという観点から多くの世論調査・選挙データを分析して謎解きをするように解説する本。質問事項がひとつ増減するだけで大きく結果が変わってしまう世論調査など目からウロコ。
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人は自分の主義・主張においては本質を逃しがちである事、自分勝手な編集を行っている事を受け手は意識する必要があります。 本書では自民党大敗の原因を始め、当時の政治状況を統計的データを用いてあらゆる角度から検証して解説しています。 その内容の濃さと説得力は圧巻です。
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世論と正確に捉えるということは実に難しい。私たちはステレオタイプ的思考に陥らぬよう、偏った情報に振り回されない訓練が必要だ。
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小泉政権での隆盛(?)から麻生政権での没落に至るまでの自民党の流れと世論との関係を分析している。 正直、あまり日常的に政治に関わっていないので、興味深いテーマであるとは言えなかったが、タイトルからメディア社会の脆弱性についても書いてあるのでは?と思い読み始めた。 読んでみたら...
小泉政権での隆盛(?)から麻生政権での没落に至るまでの自民党の流れと世論との関係を分析している。 正直、あまり日常的に政治に関わっていないので、興味深いテーマであるとは言えなかったが、タイトルからメディア社会の脆弱性についても書いてあるのでは?と思い読み始めた。 読んでみたら、読みは的中。 ソースとしては自民党の政治であるが、その根底にあるのは、曲解された世論と、どうしてそのような事柄が起こるのかというのは、データ分析によって詳細に解説している。 総じて興奮するようなストーリーではないが、著者自身の感情を抑えて、冷静に記述しているのがすばらしい。 著者の言葉を借りれば、 「たまたまテレビに捉えられた(テレビ局側が放映したい)人物の挙動・発言が日本を代表している」 という勘違いは、自分でも無意識に感じてしまっているほど、日常性が高い。 自戒を込めて、このような世論の曲解に挑んでいける冷静で強い情報リテラシーが広がってほしいものだ。
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読み方としては、各章にあるまとめを読んでから、その章を読むと理解が早い。 ・得票率と若年層の投票率は上がっているというデータほ目から鱗。 ・民主党の躍進の主原動力は、野党同士の選挙協力。 ・麻生人気を支えたのはフジサンケイグループ。同グループが最保守であると認識していた...
読み方としては、各章にあるまとめを読んでから、その章を読むと理解が早い。 ・得票率と若年層の投票率は上がっているというデータほ目から鱗。 ・民主党の躍進の主原動力は、野党同士の選挙協力。 ・麻生人気を支えたのはフジサンケイグループ。同グループが最保守であると認識していたが、読者層も同様であると言うデータ。 結論としては、自民党が墓穴を掘りまくって、どうしようもなくなったから民主党への消極的投票になったというところ。きちんと元のデータとその注意点をしつこいくらいに提示していたのは好印象。
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麻生総理が国民的人気だと思われていたのはネットに書いてあった少数意見をあたかも国民の意見のようにメディアが報じたからだ、というのは興味深かったが逆に麻生総理の人気という幻想にとらわれ過ぎてる感もあった。そんなに人気あったっけ?
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2007年参院選、2009年衆院選と立て続けに自民党が大敗した理由について、公的機関などのデータに基づく世論の変動やネット上の言説から分析した本。この本で述べられているのは、主に以下の通り。 ・自民党が2007年参院選で大敗したのは小泉構造改革を支持していた世論を読めなか...
2007年参院選、2009年衆院選と立て続けに自民党が大敗した理由について、公的機関などのデータに基づく世論の変動やネット上の言説から分析した本。この本で述べられているのは、主に以下の通り。 ・自民党が2007年参院選で大敗したのは小泉構造改革を支持していた世論を読めなかったため。それは安倍内閣による郵政造反組の復党が、自民党支持者の間でも評価されていなかったことからもわかる。社会保険庁の不正発覚や従軍慰安婦問題の認識も同様に失点となった。 ・自民党が2009年衆院選で辛うじて100議席を確保できたのは、農村部での支持が目立ったため。昔ながらの自民党支持者や都市部の無党派層の多くは民主党に流れてしまった。 ・「若者の右傾化」という言説は嘘。ネットでは保守的、右翼的な発言をする若者が多いように思えるが、これは人口比から見れば0.5%にも満たない。 ・「国民的な麻生人気」という幻想を生んだのは2ちゃんねるの「麻生太郎研究スレッド」の書き込みを熱心に取り上げたフジサンケイグループのマスメディアであった。このスレッドは発言率上位者10%が全書き込みの半数を占めるというごく少数の人間によるもの。 ・「ネット世論」という言葉は全く的を射ておらず、「ネット小言」と言うほうが実態をよく表している。政治家やマスメディアが相手にすべきなのは、少数の熱心なコピペ作業員の意見ではなく、全国的な世論である。 ・「メディアの世論調査は嘘で、ネット世論が正しい」という妄言を吐くような専門家や評論家は淘汰されるべきである。 全体を通して、自民党の政治家やマスメディアがネット界隈や自民党本部前で熱烈にエールを贈ったごく一部の「自民党ファン」を過大評価し、それまでの国民全体の世論に配慮しなかったことが自民党の敗因として述べられています。 民主主義国家においては声を挙げることが不可欠ですが、声を挙げないサイレントマジョリティを軽視してノイジーマイノリティを重視しすぎるのは民意に反するということが身に染みてわかった。 全体的にはよく分析された良書。あえて苦言するなら、ネットでの政治的発言を調査するのだったら、2ちゃんねるや一部のブログ以外のサイト(mixiなり他の掲示板やブログ)も参照にするべきだった。
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