世論の曲解 の商品レビュー
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世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか (光文社新書) 2009/12/16 2011年12月18日記述 2009年末に出た本。 菅原琢氏による自民党敗北の分析書である。 安倍晋三、麻生太郎となぜ選挙で勝利を収めることが出来なかったのかが分かるだけではなく客観的なデータを持って分析している点が良い。 特に安倍政権は郵政選挙で追放した議員たちを復党させた事が完全に間違った選択であったと改めて実感した。 そして麻生太郎氏の人気も偏りのあったものでしかなかったことも。 特にネット世論なるものは現実としてネット小言に過ぎないという指摘はその通りであろう。 (TV視聴率1%=100万人が視聴していると言われている) ネットでいろいろ自分の考えを述べたり、一定の影響力を持つのは確かだが国全体の単位で言うとまだあやふや、もしくは一部の声を代弁してるに過ぎない面があるのはネット利用者は心得ておくべきだ。 ただ本書は自民党が負けた理由を分析している本で民主党はどうなのかが触れられておらず残念だ。 実際問題、民主党の問題点を指摘していたネット上のブログなどは数えきれない程あるが、そこらへんがどうなのかもう少し突っ込んだ分析が欲しい。 そして2011年末現在、現実世論もネット上の議論でも民主党の評判はさんざんだ。 次の衆議院選挙では政権維持は無理で、しかも2009年に敗北した自民党より状況は困難だろう。 ただ自民党側も本書の指摘する点を真摯に受け止め、小泉構造改革路線を徹底するくらいの構えを見せなければ大勝とはならず、政治の混迷が続くことが予想される。
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世論調査や投票行動を分析して、2007参院選と2009衆院選で自民党が大敗したのは、小泉路線をやめたからだという結論を出している それなのに自民党は、小泉路線が敗戦の原因だと分析したものだから、かえって、農村部の大御所だけが目立つ政党になってしまっており、今後も復活はないだろうと...
世論調査や投票行動を分析して、2007参院選と2009衆院選で自民党が大敗したのは、小泉路線をやめたからだという結論を出している それなのに自民党は、小泉路線が敗戦の原因だと分析したものだから、かえって、農村部の大御所だけが目立つ政党になってしまっており、今後も復活はないだろうという予想
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メディアは、人気、景気、世論などという実態を伴わない言葉で一般化し、通説を作り上げ、与える印象で読者・視聴者を理解したような気にさせる(アナスンス効果)手法を得意とするが、それが個人の人生や一国の命運を左右しかねないことに気づいていないとすれば危険だ。 情報の受け手である我々は...
メディアは、人気、景気、世論などという実態を伴わない言葉で一般化し、通説を作り上げ、与える印象で読者・視聴者を理解したような気にさせる(アナスンス効果)手法を得意とするが、それが個人の人生や一国の命運を左右しかねないことに気づいていないとすれば危険だ。 情報の受け手である我々は、疑問を持って情報に接するとともに、先入観(本書では、確証バイアス[自分の考えや事前に有している印象や情報にしたがって物事を解釈し、自らの考えに合致する都合のよいものだけを選び取ってしまう習性]の危険性を指摘している)を排除し、数字に対するリテラシー(与えられた材料から必要な情報を抽出し活用する能力)を高く維持していなければならない。
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政治研究を専門とする著者が、世論と選挙結果の関係について分析した本。定量分析の難しい世論について、主として世論調査結果を分析することによって、客観的に選挙結果に及ぼす影響を示している。論理的である。ただし、一部イデオロギーについての論述、特に「憲法改正の方針」を過大に解釈したり、...
政治研究を専門とする著者が、世論と選挙結果の関係について分析した本。定量分析の難しい世論について、主として世論調査結果を分析することによって、客観的に選挙結果に及ぼす影響を示している。論理的である。ただし、一部イデオロギーについての論述、特に「憲法改正の方針」を過大に解釈したり、デモについて非論理的手段と過小評価しているところが、反政府的、市民グループや労働組合(左翼)的論調になっているようで気になった。印象的な記述を記す。 「小選挙区制は、2大政党が接戦を繰り広げている選挙区が多ければ、わずかな票の動きで全体の選挙結果が大きく動くという性質がある」p34 「自民党は、旧来の支持層に依存するのみではもはや勝てず、小泉構造改革路線がそうであったように新しい支持層を開拓していかなければならない。都市部のより若い世代の有権者を惹きつけていかなければならない。それにもかかわらず、安部政権はむしろ正反対の方向に進み、「古い自民党」を復活させ、必然の結果として敗北したのである」p65 「野党が協力して戦う意義は大きい。これまでの自民党は、野党の分立に助けられ、1人区を有利に戦ってきたわけである」p94
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2009年自民党から民主党に政権が交代した。自民党が大敗したのは自分たちの支持低下の原因を見誤ったことにある。特に麻生太郎が国民に人気が有ると勘違いして総理にしたのが大失敗。元から人気が無かったのに加え、総理になってしまったことでその無能ぶりが広く知れ渡ることになり、とことん落ち...
2009年自民党から民主党に政権が交代した。自民党が大敗したのは自分たちの支持低下の原因を見誤ったことにある。特に麻生太郎が国民に人気が有ると勘違いして総理にしたのが大失敗。元から人気が無かったのに加え、総理になってしまったことでその無能ぶりが広く知れ渡ることになり、とことん落ち込んでいった。しかしなぜそのような勘違いをしたのか。それが世論の曲解であるのだが、そのからくりは本書を読むとわかる。それにしても小泉・安部・福田・麻生はひどかった。それぞれの父や祖父はなかなか良かったのだが・・・
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新書にしてはあり得ないほど濃密な内容 著者のブログやTwitterとも合わせて、小泉氏以来の国政選挙に関して多くの知見を得ることができると思います 社会学関係の物書きの人たちが自業自得とはいえ完膚なきまでにやられていますが多少同情しないでもない
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麻生さんが人気があったのは、産経新聞がそういう報道をしたから。それによって麻生さんは国民に人気がある、選挙に強いという言説が広まっていった。
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話題になっていたのは知っていたけれど、もう古いことだしなあと思って読まなかった本。 読んでみたら、たしかに扱っている事項は古いんだけど、充分に普遍的なリテラシーのすすめが書かれていた。タイトルが悪いなあ。 あの名著『社会調査のウソ』のバリエーションって感じ。
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データを検証して政治状況を適切に分析していくという内容には共感。けれど、「小泉政治が不人気だから自民党は政権交代した」のではなく、「小泉以降の総理大臣が古い自民党に戻る政策を推し進めたので有権者は離れた」という分析には半分納得・半分腑に落ちない。たしかに小泉以後の総理大臣にそうい...
データを検証して政治状況を適切に分析していくという内容には共感。けれど、「小泉政治が不人気だから自民党は政権交代した」のではなく、「小泉以降の総理大臣が古い自民党に戻る政策を推し進めたので有権者は離れた」という分析には半分納得・半分腑に落ちない。たしかに小泉以後の総理大臣にそういう側面はあったかもしれないが、やはり小泉の進めた(と言われる)構造改革路線・規制緩和路線による格差社会の進行は評価されたなかったのではないか。そのことが政権交代の要因になったのではないだろうか。そのことに触れられてないのが残念。
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目の前に間違いのない情報、データがあったにもかかわらず自らの考え方に合致する都合の良いものだけを選び取ってしまった。07年参院選の大敗を正しく総括できず09年総選挙において大惨敗を喫した自民党。データ、図表を客観的冷静に眺めながら大敗の真相に迫る。データ一つを読み取るにも身勝手な...
目の前に間違いのない情報、データがあったにもかかわらず自らの考え方に合致する都合の良いものだけを選び取ってしまった。07年参院選の大敗を正しく総括できず09年総選挙において大惨敗を喫した自民党。データ、図表を客観的冷静に眺めながら大敗の真相に迫る。データ一つを読み取るにも身勝手な先入観で見たり、単眼でしか見なかったりで、真実を大きく見誤ってしまった。得られる教訓は少なくない。
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