閉じた本 の商品レビュー
イギリスの作家「ギルバート・アデア」の長篇ミステリ作品『閉じた本(原題:A Closed Book)』を読みました。 「ディック・フランシス」(「フェリックス・フランシス」との父子共著含む)、「ミネット・ウォルターズ」、「サマンサ・ヘイズ」に続きイギリスのミステリ作品です。 ...
イギリスの作家「ギルバート・アデア」の長篇ミステリ作品『閉じた本(原題:A Closed Book)』を読みました。 「ディック・フランシス」(「フェリックス・フランシス」との父子共著含む)、「ミネット・ウォルターズ」、「サマンサ・ヘイズ」に続きイギリスのミステリ作品です。 -----story------------- 事故で眼球を失った大作家「ポール」は、世間と隔絶した生活を送っていた。 ある日彼は自伝執筆のため、口述筆記の助手として青年「ジョン」を雇い入れる。 執筆は順調に進むが、ささいなきっかけから「ポール」は恐怖を覚え始める。 「ジョン」の言葉を通して知る世界の姿は、果たして真実なのか? 何かがおかしい……。 彼の正体は? そしてやって来る驚愕の結末。 ただの会話が、なぜこれほど怖いのか。 会話と独白のみで綴られた、緊迫の異色ミステリ。 訳者あとがき=「青木純子」/解説=「村上貴史」 ----------------------- もっぱら声や音を頼りに日々を送る盲人「ポール」が主人公のサスペンス小説… 情景や登場人物の動作を描写する文章は一切なく、登場人物の会話と主人公の独白のみで物語が進行するという特異な叙述スタイルで描かれた作品、、、 昔懐かしいラジオドラマを聞いているような感じ… 読者も盲目の「ポール」と同じ状況下に置かれているので、「ポール」と同様に虚実入り乱れた事象に翻弄されながら、そして、もどかしさや猜疑心を感じながら読み進めるという、不思議な感覚を持った作品でしたね。 ブッカー賞も受賞した経歴を持つイギリス人作家の「ポール」は、旅先のスリランカで交通事故に遭い、失明し両方の眼球を摘出した… それから4年、「ポール」は、イギリスの田舎で隠遁生活を送っていたが、ついに沈黙を破り、新聞に自伝執筆のための口述筆記者募集の広告を出す、、、 ある日、通いの家政婦「ミセス・キルブライド」と二人きりの「ポール」の屋敷に、「ジョン・ライダー」と名乗る青年がやってくる… 広告を見て応募しにきたという「ジョン」は、「ポール」の辛らつな面接を飄々とかわして採用される。 「ジョン」と「ポール」の二人は、協力して執筆を進めていく… 「ジョン」は、見るも無惨な「ポール」の顔にもひるまず、彼に尽くし、新しい世界を伝えてくれるが、些細なことから物語は一変、、、 「ポール」は「ジョン」に対して恐怖を覚え始め、「ポール」に、ある疑惑が生まれます ――「ジョン」が伝える言葉は、果たして真実なのだろうか? 「ジョン」の口から出る言葉を文字通り受け取ることができなくなっていく「ポール」(と読者)… 信じたい気持ちと信じがたい気持ちに揺さぶられつつ、じんわりと忍び寄る恐怖、、、 「ポール」(と読者)の疑心暗鬼にかられた末の思いこみなのか? そもそも、「ジョン」が応募してきた理由は何だったのか? 「ジョン」の真意は? いったい「ジョン」とは何者なのか? 物語が進むにつれて、徐々に増していく疑念と緊迫感と、ラストに待ち受ける驚愕の真相… ある程度は、想定できる展開でしたが、結末そのものよりも、「ポール」の不安やもどかしさ、猜疑心や恐怖を、「ポール」と同じ立場で感じることを愉しめた作品でした、、、 好き/嫌いがはっきりする作品かもしれませんが、個人的には好きなジャンルに分類できる作品でした… 古書店で30円でしたからね、コスパもむっちゃ高かったですね。 以下、主な登場人物です。 「ポール」 盲目の大作家 「ジョン・ライダー」 ポールの助手 「ミセス・キルブライド」 通いの家政婦
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「すべての言葉が信じられなくなる」といった内容の本の帯が期待を煽りすぎていて、期待が高くなりすぎた印象です。翻訳小説が苦手な私でも、それなりに面白く読めました。
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事故で眼球を失った大作家ポールは、世間と隔絶した生活を送っていた。ある日彼は自伝執筆のため、口述筆記の助手として青年ジョンを雇い入れる。執筆は順調に進むが、ささいなきっかけからポールは恐怖を覚え始める。ジョンの言葉を通して知る世界の姿は、果たして真実なのか?何かがおかしい…。彼の...
事故で眼球を失った大作家ポールは、世間と隔絶した生活を送っていた。ある日彼は自伝執筆のため、口述筆記の助手として青年ジョンを雇い入れる。執筆は順調に進むが、ささいなきっかけからポールは恐怖を覚え始める。ジョンの言葉を通して知る世界の姿は、果たして真実なのか?何かがおかしい…。彼の正体は?そしてやって来る驚愕の結末。会話と独白のみの異色ミステリ。(アマゾン紹介文) ‘驚愕の結末‘というのは、その前に丁寧な伏線があってこそだと思いますので、ちょっと頷きかねるかなぁ…。 サスペンスとしては上質で、ぐいぐい読ませる本でしたが、ラストは強引だと感じました。
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全編会話のみで繰り広げられるミステリ。 事故で眼球を失った大作家が新作を口述筆記させるため雇った青年。物語の大半はこの二人のやり取りです。 気難しく、拘り屋の自分に辛抱強く、賢く接する青年ジョンに主人公の作家ポールも徐々に気を許していくのですが……そうは問屋がおろさないよねと読む...
全編会話のみで繰り広げられるミステリ。 事故で眼球を失った大作家が新作を口述筆記させるため雇った青年。物語の大半はこの二人のやり取りです。 気難しく、拘り屋の自分に辛抱強く、賢く接する青年ジョンに主人公の作家ポールも徐々に気を許していくのですが……そうは問屋がおろさないよねと読む側は思いますよね。 そしてジョンが少しずつこちらへ見せていく「歪み」のようなもの…文字通り目がないポールはジョンの言うことを真実だと信じていたのですが…同様の読者もその裏切りに期待が盛り上がると思います。 が、個人的にはやや唐突な感じが否めない(あまりにも匂わす場面すらなかったので)。ジョンがとうとうとその理由を語る件で、なぜか一気に俗っぽい小説になってしまった(個人的に)。もちろん酷い話ではあるんですけど。なので☆3つ。
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会話形式で進んでいくミステリ。最後にはあっと驚く(少なくとも私は驚いた)どんでん返しあり。読み易く、そして面白かった。
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会話だけで進む物語。 盲目でプライドが高い小説家がお世話係兼助手を雇うところから始まる。 些細なことで喧嘩しつつも友情を深めていき、助手を信頼するようになるものの段々チグハグな世界を感じ取り真実は何か分からなくなっていくサスペンス。
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早い段階で、大筋には、誰もが気付くと思うが、それを知った上で、どう展開していくのを追っていく、スリル。 暴露の後、犯人の勝利で終わったと思ったが・・・ そこで終わるか!? 会話だけの展開だからこそ? キライじゃないなぁ こういうの。
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叙述トリックを期待して読み始めた。 会話文のみで展開される進み方は初体験で、斬新だった。 途中、斜体(イタリック)で書かれた、主人公の心境を綴ったかのような言葉も交えて展開されたが どうも読みにくい…気のせいか? と思いながら、最後まで読んだらワンテンポ遅れてその意味に気が付いた...
叙述トリックを期待して読み始めた。 会話文のみで展開される進み方は初体験で、斬新だった。 途中、斜体(イタリック)で書かれた、主人公の心境を綴ったかのような言葉も交えて展開されたが どうも読みにくい…気のせいか? と思いながら、最後まで読んだらワンテンポ遅れてその意味に気が付いた。 個人的にはそこがちょっと面白く感じた。本当に、心ばかりのちょっとだけ。 勢いで読める本であった。 星でいえば2つだが、その発見もあり、3つで。
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帯の煽りを意識しすぎて、 どんなオチがくるのかと、 どきどきしまくってたら、 案外あっさりしてた。 期待するのはいかん。 会話と独白のみの小説。 ラジオドラマでの再現は可能だろうか? たぶん不可能。 音声の場合は、声色からも状況が判断できる。 文字だけの場合、フラット。 描写が...
帯の煽りを意識しすぎて、 どんなオチがくるのかと、 どきどきしまくってたら、 案外あっさりしてた。 期待するのはいかん。 会話と独白のみの小説。 ラジオドラマでの再現は可能だろうか? たぶん不可能。 音声の場合は、声色からも状況が判断できる。 文字だけの場合、フラット。 描写がないということとあわせて、 あまりにも読者の想像にゆだねられていることが多い。 それでいて、まったく不親切に感じないのは面白い。
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※このレビューにはネタバレを含みます
物語が会話、もしくは独白のみということに驚き☆ 状況説明がないことで、目が見えない主人公の ちょっとした疑惑や不安を我が事のように感じることができる。 ”closed book を辞書で引いてみると、 「すでに決着したこと・終わった話・決定事項」という意味と 「不可解なこと・わけのわからないこと・理解しがたき人物・ 得体の知れぬ人・謎」という意味のふたつがあることがわかる。” <訳者あとがき>に書かれた、タイトル「閉じた本」の意味に 妙に納得。 最後まで読んで、もう一度最初から 内容の確認作業をしてしまいました。
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