リア王(訳:斎藤勇) の商品レビュー
塵、糞、粕、粗末な喜劇。前回、ギリシア神話の悲劇「オイディプス王」に最大の賛辞を送っただけに、青ざめるほどのつまらなさを感じた。そもそも悲劇とは何か。例えば、東日本震災を悲劇と見るとき、平穏に暮らしている人々の上に突如として不幸が襲ったために、悲劇として見る見方が成立する。対し、...
塵、糞、粕、粗末な喜劇。前回、ギリシア神話の悲劇「オイディプス王」に最大の賛辞を送っただけに、青ざめるほどのつまらなさを感じた。そもそも悲劇とは何か。例えば、東日本震災を悲劇と見るとき、平穏に暮らしている人々の上に突如として不幸が襲ったために、悲劇として見る見方が成立する。対し、囚人を閉じ込めた監獄の天井がある日突如として落下し全員くたばったところで、これは喜劇である。これに当てはめれば、リア王は喜劇でしかない。また、例えば、男が自分の真上に高くボールを投げあげて、そうしてから男は自分が老体であることに気付いた。男は落下してくるボールを受けきれずに広い額に当たって動転、尻もちをついた。これはやはり喜劇である。そのまま死んでしまえば喜劇でないにしろ、絶句である。その絶句は、呆れでしかない。リア王はこの、呆れでしかない。で。悲劇でないから、作品が糞であるとかそういうことでは当然ないから、ひとつひとつ指弾していかなければならない。そのゴミ具合を。たくさんあって書くのも面倒臭いが、例えば何故コーディリアは王を愛したのか。作品からは、純朴の者が単に純朴さ故に父を愛した、という程度にしか把握できない。その設定だけでは昨今のライトノベルと同等である。3姉妹において対比される光であるにしろ奥行がない。宇宙から来た美少女が、とにもかくにも醜悪なじぶんを愛してくれる、それだけしかない。同様に、リア王にしても愛される背景が描かれていない。親と娘の信愛が無条件で成立している、とする作品は砂粒の数ほど存在するが、あくまでもそれは俗悪なもので、大衆に愛されるのかも知れないが、世界文学であってはならない。リア王がそれであるなら、ではちゃんと書け、としかわたしには出てこない。この話が、仮に世界の縮図であるなら(少なくともオイディプス王はそうだった)、せいぜい日本のバブル期の巨人の星がアニメ史上最高視聴率を獲得した時代にしか通用しないだろう。まだある。リア王は自ら狂人であるというし、読者もまたリア王は狂っているとためらいなく書くが(amazonなどを見る限りでは)、そんなに狂っているだろうか。会話の筋は通っている。単に幼稚なだけではなかろうか。狂人というより愚者である。終始王には道化が付きまとう。道化は狂人かも知れないが、わたしのなかでは彼の役割は預言者である。王も道化も狂人というならば、単純にキャストが被っている。ではわたしの読みに従って、愚者に預言者が付き添う、としたらどうだろう。オイディプス王では、懸命な王に預言者が助言をするが王は許せず突き返した、そして悲劇に繋がるわけである。そこを愚者に置き換える。愚者に預言者が預言を与えても愚者は何も解さない。道化は道化のままである。道化の役割も今一つとしか思えない。誰ひとり劇のなかで輝かない。喜劇にすらなっていない退屈なものだった。
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シェークスピアは、部分的にしか読んでませんでした。あらためて、悲劇作品を通じてシェークスピアの天才を垣間見た感じです。
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シェイクスピアの四大悲劇の一つ。読むと現代にも通じる愛憎劇あり。ブリテン王リアや道化、エドガー扮する乞食の狂気ぶりも描かれ、読むのに苦労した。 この狂気ぶりがシェイクスピアの「リア王」では非常に特徴的であるらしく、伝統的な秩序を重視するエドガーら善玉と新しいやり口で秩序を破壊し...
シェイクスピアの四大悲劇の一つ。読むと現代にも通じる愛憎劇あり。ブリテン王リアや道化、エドガー扮する乞食の狂気ぶりも描かれ、読むのに苦労した。 この狂気ぶりがシェイクスピアの「リア王」では非常に特徴的であるらしく、伝統的な秩序を重視するエドガーら善玉と新しいやり口で秩序を破壊していく悪玉のエドマンドらとの間で起こるギャップを道化の”狂気”を通して描いている。 実際読んでみて「リア王」は単純に善玉・悪玉では区別できないものがる。元々、ブリテン王リアやグロスター伯爵は近代的な感覚で見るとかなり問題がある訳であるし、リアの娘であるリーガン・ゴネリル、グロスターの庶子であるエドマンドが親世代の秩序を破壊していく。一見すると「悪玉」的な行動は中世的な旧弊を打破してやろう、という気概さえ感じられる。 結果的にリアとグロスターの浅ましい行動から、リア一家はリアとコーディーリアら三人の娘全員が、グロスター家でもグロスター伯爵とエドマンドが死ぬ。主要人物の大半が落命するという悲劇的な結末とともに、エドガーとオルバニーが新たな時代を築くことを決意し終わりを迎える。 人間の浅ましさがもたらした究極の悲劇と言っていいかもしれない。 「リア王」の悲劇は読み手によって受け取り方はいくらでもある。それだけの含みを持たせた作品だからこそ、長きに渡って読み継がれてきたのである。 本書は訳者の野島氏が脚注を本文の下段に付しており、逐一本文の含みとなる意味を確認しながら読み進めることができるので、大変読み手にやさしいように感じた。
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初めて手にしたシェイクスピアでした。10代のはじめに読んだのかな。 正しい人が、したたかな人に陥れられる、厳しい現実を感じながら読んだのを覚えています。
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リア王は自分を裏切った娘を罵倒するシーンがあってその言葉が「ここまで言うか」って思うほどひどいんです。だけど、リア王の台詞や現代の小説にはない表現がされていて思わず読んでしまいました。小説ではないので読みにくいかもしれませんが、慣れると面白いです。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ブリテンの王であるリアは、高齢のため退位するにあたり、国を3人の娘に分割し与えることにした。長女ゴネリルと次女リーガンは言葉巧みに父王を喜ばせるが、末娘コーディリアの率直な物言いに、立腹したリアはコーディリアを勘当し、コーディリアをかばったケント伯も追放される。コーディリアは勘当された身でフランス王妃となり、ケントは風貌を変えてリアに再び仕える。 リアは先の約束通り、2人の娘ゴネリルとリーガンを頼るが、裏切られて荒野をさまようことになり、次第に狂気にとりつかれていく。リアを助けるため、コーディリアはフランス軍とともにドーバーに上陸、父との再会を果たす。だがフランス軍は敗れ、リアとコーディリアは捕虜となる。ケントらの尽力でリアは助け出されるが、コーディリアは獄中で殺されており、娘の遺体を抱いて現れたリアは悲しみに絶叫し世を去る シェイクスピアの四大劇曲の一つ。
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有名な四大悲劇のひとつ。解説によると、4つの中でも一番悲劇らしい。 コーディリアの「Nothingで真実の愛を全てわかって」というのは甘えんぼな気がする。お姉さんたちの言葉はまぁ大げさだけど、だからって疑うのも難しい。 普段の行動や状況から、相手のことを考えて察するのは素敵な思...
有名な四大悲劇のひとつ。解説によると、4つの中でも一番悲劇らしい。 コーディリアの「Nothingで真実の愛を全てわかって」というのは甘えんぼな気がする。お姉さんたちの言葉はまぁ大げさだけど、だからって疑うのも難しい。 普段の行動や状況から、相手のことを考えて察するのは素敵な思いやりだけど…みんな悲しい嘘はいいっこなしな世の中になればいいのにね。 いい子も愚か者も死んでしまうけれど、悪い人たちもやっぱり、最後は悪事がバレてみんな死ぬ。それなら私は、不器用でもいい子で終わりたいなぁ。
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悲劇中の悲劇。 訳し方が下手と言ったらあれかもしれないけど、原文をそのまま訳しすぎて、言葉の意味が成り立ちにくくなっているような感じを受けた。 最後の方は良かったけど、それまではとても上手く訳されてるとは言えない。 解説で、なぜコーディーリアとリアが殺されたのか、ということを...
悲劇中の悲劇。 訳し方が下手と言ったらあれかもしれないけど、原文をそのまま訳しすぎて、言葉の意味が成り立ちにくくなっているような感じを受けた。 最後の方は良かったけど、それまではとても上手く訳されてるとは言えない。 解説で、なぜコーディーリアとリアが殺されたのか、ということを書いていたのだけれど、その理由は“摂理”らしい。普遍性ではなく宇宙性。興味深い。 確かに、ただの勧善懲悪な話ではないのには、何かしらの意図があるのだろう。
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リア王と言うと嘘つき娘と正直娘の話しのように思われているが、実はもっと深い「人間の性」が引き起こす悲劇として描かれている。 権力への執着は、人間にもともと兼ね備わったものであるし、それに加え男女の愛憎も、この権力争いの中に織り込まれている。 ラストで、ほとんどのキャラクターが...
リア王と言うと嘘つき娘と正直娘の話しのように思われているが、実はもっと深い「人間の性」が引き起こす悲劇として描かれている。 権力への執着は、人間にもともと兼ね備わったものであるし、それに加え男女の愛憎も、この権力争いの中に織り込まれている。 ラストで、ほとんどのキャラクターが死んで行く悲劇を観て、観客の感じるものは人間の愚かしさであり、またそれが自分の中にもあることへの戦慄であろう。 悲劇の救いとなろうと予想された、末娘のコーディーリアの愛情や、リア王の家臣のケントの忠義さえも、この悲劇の中に飲み込まれていく。 詰まるところ、救いのない悲劇である。 どのようにして、この悲劇を回避すべきかは、観客に投げ与えられるのだ。 権力の魔性の恐ろしさは、愛情や忠義すらも無力なものにしてしまう。 シェークスピアは、まずはこの人間の本性に秘められた恐ろしさを、ニヒリスティックに観客に伝えたかったのかも知れない。
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シェークスピア四大悲劇の一つにして最高傑作と呼ばれることもあるリア王。他のものに比べてだいぶ世界観が大掛かりで、登場人物や話の筋も重厚。にしてもシェークスピアはなんでこうも最後で主要人物皆殺しにしたがるかなぁ。。。(あらすじ割愛。ググればでてくる) 元ネタありだが、悲劇にしたの...
シェークスピア四大悲劇の一つにして最高傑作と呼ばれることもあるリア王。他のものに比べてだいぶ世界観が大掛かりで、登場人物や話の筋も重厚。にしてもシェークスピアはなんでこうも最後で主要人物皆殺しにしたがるかなぁ。。。(あらすじ割愛。ググればでてくる) 元ネタありだが、悲劇にしたのはシェークスピアのオリジナルらしい。老齢・狂気・裏切り、なかなか濃い話だった。 マクベスのほうが好きだけど、まだ一回目で話の筋追うので精一杯だったからもう一回くらいは読んでみるかな、数年後。
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