通天閣 の商品レビュー
ブクログのあちらこちらの本棚を訪問していて、新しく興味の湧いた作家がたくさんできた。三浦しをんさん、万城目学さん、角田光代さん・・・ そして最近気になったのが西加奈子さん。 初挑戦は「通天閣」にしてみる。 けっこうどんよりとした話だ。しかしなかなかおかしみのある文章。リズムがい...
ブクログのあちらこちらの本棚を訪問していて、新しく興味の湧いた作家がたくさんできた。三浦しをんさん、万城目学さん、角田光代さん・・・ そして最近気になったのが西加奈子さん。 初挑戦は「通天閣」にしてみる。 けっこうどんよりとした話だ。しかしなかなかおかしみのある文章。リズムがいい。読んでて町田康さんの文章なんかも思い浮かんだ。本の裏の紹介に天性の物語作家西加奈子、というようなことが書いてある。なるほど物語なあ、と思いながら読む。津村記久子さんの解説にも「物語」の作家であると称賛された記述が出てくる。 読んだ後のすっきり感がいい、と感じる。何かこう「読んだなー(ぐっと背伸びをした時の爽快感のような?)」という感じがする。うまく言葉にしにくいが、どうもそんな感じ。この「読んだなー」という感じと「物語」という言葉を突き合わせていろんなことを考えてみたくなる。「物語って誰のためにあるのだろう?」とか。そう思い至った時に「これは誰に宛てて(どういう読者を想定して)書いたもんなんだろうか」と考えてみるのだが、それが今一つ私にはわからなった。特定の人、というよりはむしろ、そういう物語を欲する人の群れ、みたいなものが頭に思い浮かんでくるのだ。 西加奈子さんという人は何かを強烈に信じている人なのかな、という感じは書いているものからとても伝わってきた。その何かはうまく言葉にはできないが、そういう雰囲気をもった人が書くものは読んでいてやっぱり爽快なのだ。そしてそういうものは特定の思想を持った人、というよりはもっと人間の根源にあるような欲望を引き寄せるのではないのかと思った。「物語の力」のような言葉が思い起こされてくる。 「物語の力」という言葉を前にして、それが何なのか、どういう形をしているのかは自分の中で、今まで上手く答えが出せてこなかった。最近、村上春樹さんによる「僕が『物語』という言葉を使って話すときに、その意味をきちんと理解してくれるのは、河合先生(河合隼雄さん)ぐらいだった」という文章を目にした時に「ここで言う物語ってどんなもの?」とひっかかっていたところであった。 吸引力のある作家。注意深く他の作品も読んでみたい。
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西加奈子さんの作品はたぶんこれで四冊目 西加奈子さん独特の表現がいっぱいで多少読みずらい言い回しが多いけど大いに楽しめます 舞台は通天閣がみえるという利点だけのアパートに住む男 そして遠くニューヨークに行った大好きな恋人、マメを待ち続け信じ続ける女 最後は急スピードで...
西加奈子さんの作品はたぶんこれで四冊目 西加奈子さん独特の表現がいっぱいで多少読みずらい言い回しが多いけど大いに楽しめます 舞台は通天閣がみえるという利点だけのアパートに住む男 そして遠くニューヨークに行った大好きな恋人、マメを待ち続け信じ続ける女 最後は急スピードで展開する 著書での文を抜粋 ――しんどいときは、自転車降りたらええねや。あの坂を毎日上るみたいに、毎日毎日頑張っとったら、いつかええことがある どこか寂しげな大阪、西加奈子さんワールド炸裂です
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
一回しか行ったことはないけど通天閣って東京タワーより好きかも。 あの周辺の泥臭い雰囲気も好き。 その雰囲気そのままの小説。 ふたりの語り手の関係も、最後まで気づかなかったから、気づいたときは「あっ」と思った。 最後の男の絶叫あたりがちょっと違うんじゃないかなあと思ったけど 久しぶりにいい余韻がある小説を読んだって気分です。 ☆4か5かで迷ったけど、おまけで5にしておきます。
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まったく縁のなさそうな二人の主人公それぞれの小さな物語。それがクライマックスの通天閣で繋がるなんて…。結局、何かが劇的に変化した訳ではない二人それぞれのラストシーン。それがかえって大きな余韻を残してくれました。
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久しぶりの小説。まだ読み始めたばかりだけど面白そう。通天閣の4本の足のうちの1本のすぐ隣にある喫茶店に入ったくだりで、10数年前にVAIOの展示会に応援で大阪の日本橋に行ったことを思い出した。一緒に働いていたみんな頑張ってたな。 http://booklook.jp お、お、ぉぉ...
久しぶりの小説。まだ読み始めたばかりだけど面白そう。通天閣の4本の足のうちの1本のすぐ隣にある喫茶店に入ったくだりで、10数年前にVAIOの展示会に応援で大阪の日本橋に行ったことを思い出した。一緒に働いていたみんな頑張ってたな。 http://booklook.jp お、お、ぉぉ、俺と同じ名前のが登場。前髪が鼻の頭まであって、メガネが油で七色に汚れている暗い奴だが今後に期待できそう。 http://booklook.jp
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他の方の感想を見ると、好き嫌いはかなり分かれてるみたいですが、私は西さんの本の中でベスト3に入ると思います。大阪の通天閣の下町でどろどろ這い上がれない状態の二人の心情にどっぷり使ってしまい、身投げするおっさんの台詞に「ああ、きっと誰もが、そういう風に思う時期があって、一人を抱えて...
他の方の感想を見ると、好き嫌いはかなり分かれてるみたいですが、私は西さんの本の中でベスト3に入ると思います。大阪の通天閣の下町でどろどろ這い上がれない状態の二人の心情にどっぷり使ってしまい、身投げするおっさんの台詞に「ああ、きっと誰もが、そういう風に思う時期があって、一人を抱えて生きてるんだろうなあ」とずっしり落ちてしまい、ラストで浮き上がれなかったですが、でも、どーしょーもない人間のどーしょーもなさが愛しく切なく、誰かれとなくやさしくしたい気持ちになりました。しかし、内容とは関係なく、いつも思うことなのですが、西加奈子さんの大阪弁の「かわいげ」とか「せつなさ」とかがうまく他の地方の人に伝わってるのかなあ、と疑問に。なんで、こんなにいいのに、評価低いのか・・・全体に重いからかなあ・・・夢のせいもあるのかなあ・・・
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通天閣のあのあたりを知ってるから リアルやなあーと思った。 こういう2人の語りが交差する 文章好きです。 日常の何気ない動作や 言葉なんかを表す文が良い。 2011.7
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見てみぬふりをしてる、いろいろなこと。 壊れかけた関係、 自分の気持ち、 誰かからの愛情。 どれも、悪くない。 たまには素直に、泣いてもいいんじゃないか。
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現実ってこんなもんだよ、と思えるような人生をこの本で味わった 泥臭い、猥雑な、そこに住む滑稽な人々。けれど最後の最後に人間のパワフルさを見せてくれる本
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オチはある意味びっくりした。 ママの言葉は泣きそうになった。 こんなことないよな、でもあるかもしれないと思わされる日常。 通天閣に登ってみたくなった。
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