青い野を歩く の商品レビュー
短編集。情景がものすごく細やかに描かれているがなかなか頭に入ってこなくて自分には良さがわからなかった。半分も読まず挫折。
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人の性(さが)を透かして見るかのような冷静な観察眼と、簡潔でありながら抒情的で少しばかりのセンチメンタルさを湛えた自然描写が溶け合い、心揺さぶられる物語が立ち上がってくる。 これからなんども、ふとしたときに本書の情景が甦るだろう。忘れがたい小説がまた一つ増えた。 土地の所有者で...
人の性(さが)を透かして見るかのような冷静な観察眼と、簡潔でありながら抒情的で少しばかりのセンチメンタルさを湛えた自然描写が溶け合い、心揺さぶられる物語が立ち上がってくる。 これからなんども、ふとしたときに本書の情景が甦るだろう。忘れがたい小説がまた一つ増えた。 土地の所有者である男たちと、土地へ/男たちの世界へと含まれてゆく女たちというテーマが、どの短編にも通底音としてそっと流れている。 家父長制が脈々と受け継がれ、祖先伝来の土地を遺産として所有することへの男たちの愛着と執着が、アイルランドの郊外に広がる農村地域を舞台に描かれる。 ここで男たちがステレオタイプに描かれてはいないことは、クレア・キーガンの眼の確かさの現れだろう。 女性/世俗から離れて自然の中に神を想う神父の生き方、妻に去られた小作農の男、成金の継父を苦々しく思う息子、女性を知らず半分引きこもりのようなヤギと暮らす中年男、そして娘や妻を支配するまたは農場の生活の一部とみなすような男たちのそれぞれに、くっきりと存在感がある。 葛藤や逡巡、当然のものとして受け継いできた価値観への変わらぬ忠誠と幾分かの揺らぎがリアリティを持って感じられるのだ。 登場するすべての男たちは皆、知らず知らずにどこか深いところで女性を恐れているのではないだろうか。性的に支配すること、家庭の役割に縛りつけること、矮小化して蔑視すること、美しい過去に封印することもまた、女性がうちに秘めた生命力に箍(たが)を嵌め、自分の理解できる範囲に抑え込もうとする行為だ。 土地の相続権がない不平等な社会や、保守的で因習に満ちた共同体で生きる女性たちの多くは、苦しみの中にある。 だが、クレア・キーガンは土地に縛られないある種の自由もまた、可能性として女性の中に見いだしていると思うのだ。 表題作の『青い野を歩く』は構成も文章も素晴らしい傑作だけれども、本書の冒頭と最後を飾る『別れの贈り物』と『クイックン・ツリーの夜』が見事に対を成していることには着目すべきだろう。 両編の主人公である女性たちにとって、望んで選んだ人生ではないかもしれない。それでも自らの人生に抗って未来へと進む強さが、二つの作品には描かれている。 そしてクレア・キーガンは、苦難の旅であれ新しい門出を、慈しみの眼差しでみつめている。 亡くなられて久しいが、岩本正恵さんの翻訳についても書いておきたい。本書の簡潔で端正な、そして瑞々しい文章の魅力は、岩本正恵さんの翻訳スタイルに負うところが大きいと思う。 鴻巣友季子さんの訳で『Foster』が、今年10月刊行という。こちらも楽しみだ。
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「別れの贈りもの」「青い野を歩く」「長く苦しい死」「褐色の馬」「森番の娘」「波打ち際で」「降伏(マクガハンにならって)」「クイックン・ツリーの夜」の8編。こういうの好き。
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今起きている事はこれまでの自分の選択の結果。 現状を後悔しているけど、こうなら無いために自分にできる事があった。 これからどうするかは今の自分の選択次第でどうにでもなる。 行動を起こすか起こさないか自分次第。 理解出来ないストーリーもあった。 とても短いお話で、たのしめたものも...
今起きている事はこれまでの自分の選択の結果。 現状を後悔しているけど、こうなら無いために自分にできる事があった。 これからどうするかは今の自分の選択次第でどうにでもなる。 行動を起こすか起こさないか自分次第。 理解出来ないストーリーもあった。 とても短いお話で、たのしめたものもあった。 既に起こった事は、自分1人のせいじゃない。 他の人の助けや邪魔されたり。 足かせを取って次に進む。 思い出の品を捨て燃やす。 物も思いも取って置かないで捨てる。次に進む。 手放さないと次に進めない。 どちらにせよ、自分の選択次第。
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旅行前の予習。なかなか良さがわからず、最初の3編だけしか読めませんでした。 村上春樹が、自らが編んだアンソロジーで取り上げた一編も含まれているので、期待したのですが…。
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人の業を描いた悲しい話が多い 哀愁とユーモアとあったけどユーモアなのか、 …なのかしらん… ものすごく抑えられて言葉を削ぎ落としてるせいで余計に主人公達の心情が胸に迫ってくる 美しい力量のある文章 荒涼とした土地のイメージが浮かぶ
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哀愁とユーモアに満ちた「アイリッシュ・バラッド」の味わい(帯のキャッチ) 本筋として描かれているのは人……それも少し何かを抱えている。 それだけであれば、他にいくらでもお話はあるだろう。 これが「バラッド」呼ばれる理由は、その小道具にある。 干し草、湿地のサギ、ナナカマドの...
哀愁とユーモアに満ちた「アイリッシュ・バラッド」の味わい(帯のキャッチ) 本筋として描かれているのは人……それも少し何かを抱えている。 それだけであれば、他にいくらでもお話はあるだろう。 これが「バラッド」呼ばれる理由は、その小道具にある。 干し草、湿地のサギ、ナナカマドの火 ヘッドライトにおびえて立つキツネ アカスグリの茂みの香り 山羊の乳とウナギ オレンジをかじって女のもとへ向かう男 星空に神を問う神父 不安でブーツを履いたまま眠る男 外からの穢れを追い払うように外でおしっこをする女 何をやっているのかよくわからない人たちの話が、こうまで心に残るなんて……。 穏やかで過激で、風のように通り過ぎる物語たち。
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一編ずつゆっくり読み進めている間、ずっと頭の中でセピア色の映像を見ているような読書体験だった。女性ならではの豊かな感受性に裏付けられた、柔らかく抑制された筆致が最大限の効果を引き出している。良い短編集。
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淡々とした流れで表面的には静かな物語ばかりですが、でも決して静かではなく、どれも人間の業を感じさせるストーリーです。短編の順に沿って徐々に作品に引き込まれ、面白くなっていきます。訳者が言う「語られなかった言葉により大きな意味がある」という言葉がよくわかる作品集です。
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悲しい恋の話が多かったかな。青い野を歩く…素敵なタイトルだ。アイルランドの女は強い。岩本正恵さんの訳書を読んだのは初めてだが、とてもいい。亡くなられたが残念で仕方がない。
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